月曜ドラマシリーズ 「ちゅらさん3」2話「親子(うやっくわ)の思(うむ)い」

一風館

勝子「あ… ごめんなさいね 管理人さん せっかくのごちそうが 冷めてしまったさぁ…」

みづえ「いえ 大丈夫よ あっためれば いいんだから 大心さん それ 取って」

島田「あ はいはい」

遥「じゃあ 私も お手伝いしますね」

ちゅらさんの画像

恵理「文也君」

文也「うん?」

恵理「何かあったら いつでも 言ってね」

文也「よせよ いや 俺こそ どなって 悪い」

恵理「ううん 驚いたけど ちょっと 恰好よかったさぁ」

文也「え… ほんとに?」

恵理「うん…」

真理亜「あ~ つまんねえ もう 仲直りか…」

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恵理「なんですか それ? 大丈夫 祥子ちゃん?」

祥子「うん…」

容子「あ… あれだね 柴田パパ」

柴田「はい 何でしょ 容子ママ?」

容子「盛り上げなさい この場を楽しませなさい」

柴田「はい では…『似ている』…」

容子「認める 続けなさい」

(拍手と歓声)

柴田「『似ている あれは 東京には 珍しい 大雪の夜だった 会社に入ったばかりの私は あこがれていた女性の先輩 浅沼 瞳さんに 急に 電話で呼び出されたんです だが 瞳さんは 酔っているようで 私は なんだか 心配で 捕まらないタクシーを あきらめて 私は走った そして とあるバーの扉を開けた 瞳さんは 酔っていた 明らかに なんか つら~い事が あった雰囲気だった 恋に破れたのだろうか…』」

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柴田「『柴田君』『はい』『何か 面白い話して』『え?』『お願い』『私は 話した ありとあらゆる 自分の笑える失敗談を… 瞳さんは 笑い転げた』『アッハハハ…』 『だが 私は気づいていた その瞳さんの ひとみに 涙が浮かんでいたことを… 私は 話し続けた この時間が 永遠に 永遠に 永遠に続いてくれ… 瞳さんを ず~っと 笑い続けさせてくれ… そう願った だが そうも いかない 瞳さんは言った』

柴田「『ありがとう』『はい』『東京の最後の夜に とっても すてきな思い出が出来たわ』『そう言って 僕のほほにキスをして…』『彼女は去って行った 僕は泣いた そして 彼女を追って 外に出た』『だが 降りしきる雪で 彼女を 捜し出すことは できなかった』『あの雪の夜の空気に… 似ている…』」

(拍手)

遥「いいお話ですねえ」

柴田「はぁ…」

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恵理「であるねぇ」

ハナ「だからよ…」

真理亜「え そうかぁ?」

柴田「うん?」

勝子「これが 噂の『似ているシリーズ』ねぇ」

容子「柴田パパ!」

柴田「は?」

容子「駄目だ! 私は『楽しくしろ』って 言ったんだよ しんみりしたやった…」

柴田「は…」

遥「あ そうか 駄目じゃん」

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柴田「『駄目じゃん』って そんな…」

真理亜「ヘッヘヘン」

容子「パパ 駄目だ…」

柴田「そう… そうだ ウッフフフ… 楽しくするといえば 真理亜さんの写真の新作が…」

真理亜「えっ?」

容子「柴田パパ 見せなさい!」

柴田「はい!」

(歓声)

柴田「これは 今朝の撮りたててです! オープン!」

一同「うわ~!」

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真理亜「ちょっと! 見せなさいよ! ちょっと! これ どうやって 消すのよ?!」

恵理「いいじゃないですか 真理亜さん」

奈々子「素直になりなさい」

柴田「ま 真理亜さん どこに行くの?」

容子「木に登った!」

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そして 沖縄組は 那覇へと帰っていきました

古波蔵家

ハナたち「ただいま!」

恵文「あぁ… お帰りなさい 祥子ちゃん」

恵尚「祥子ちゃん お帰り」

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祥子「ただいま」

恵尚「あの~さ 念のために 聞くけどさ…」

勝子「あ 奈々子ちゃん『生まれる時には こっちに来ようと思ってる』って」

恵尚「ほんとに? じゃ 祥子ちゃん なるべく早く産もうね」

祥子「えっ?」

勝子「バカだねえ」

恵文「さ さ…立ってないで 中へ入って 休みなさい」

祥子「はい」

勝子「頑張ろうね 祥子ちゃん」

祥子「はい」

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辻内家
リビング

恵理「ですから その『一風館』ていうアパートは ウチの病院の 寮みたいなもんなんですよ 看護師が3人と医者が2人 それに 元医者が1人」

美帆子「すごいね」

恵理「そうなんですよ あ… でも 看護師は1人… 私の義理の妹になるんですけど 出産で 今 沖縄に 帰ってるんですけどね」

美帆子「へえ~ 沖縄か…」

恵理「はい!」

美帆子「懐かしいな…」

恵理「え… 行かれたことあります?」

美帆子「うん 死んだ主人と…」

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恵理「え… あぁ…」

美帆子「結婚前に 親に ないしょでね」

恵理「…あらっ」

美帆子「きれいだったなぁ 石垣島に行ったんだ」

恵理「えっ 本当ですか? 私の生まれたのは 石垣島から 船で 30分ぐらいのところにある『小浜島』って いうところなんですよ」

美帆子「へえ~ 小さな島?」

恵理「はい 小さいですねぇ 人口が 500人ぐらい 小学校と 中学校が一緒になってて…」

美帆子「へぇ~ すてきなんだろうな」

恵理「はい すてきですよ」

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美帆子「なんで 今は 東京なの?」

恵理「それはですね 話せば 長いんですけど 話しますね ちょっと 待って下さい」

美帆子「はぁ… 愛子? 愛子 居るんでしょ? 出ておいで 学校は? お母さんなら 大丈夫だから ほら 今日は 恵理ちゃん 来てくれてるし」

恵理「うん 大丈夫だよ」

美帆子「学校行ってらっしゃい… ね …愛子」

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美帆子「ごめんね」

恵理「あ いえ そんな… 優しい いい子ですね 愛子ちゃん」

美帆子「うん」

玄関前

恵理「あ… 愛子ちゃん 学校は?」

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愛子「うるさいな あんたに関係ないじゃん 早く行けば? ほかの人が 待ってるんでしょ?」

恵理「えっ?」

愛子「私には ほかの人 いないから お母さんだけだから あんたなんか 仕事でやってるだけじゃん」

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北栄総合病院
会議室

医師 A「初期がんですので 開腹手術ではなく 内視鏡手術の処置を行います また このクランケは 高血圧の上 糖尿があり 心電図上 STT変化がありますので 速やかに オペを 行わなけれなりません 内視鏡手術でやれば クランケの心臓に 負担をかけずに済みますので…」

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回想

愛子「ウソつき お母さん 治ってないじゃん」

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回想終了

医師 A「オペの現場には 内視鏡手術の経験が豊富な 西宮先生に アドバイザーとして 立ち会ってもらいます 西宮先生 よろしく お願いします …西宮先生 西宮先生!」

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遥「あ… ごめんなさい」

医師 A 「西宮先生 よろしく お願いします」

遥「はい よろしくお願いします」

屋上

恵理「(ため息)」

ちゅらさんの画像

遥「あぁ…」

恵理「あぁ?」

遥「どうしたの?」

恵理「いや そっちこそ」

遥「私? …私は ちょっと疲れたから 休憩」

恵理「あ~ あ… そうなんだ」

遥「どうしたの? なんか 悩み?」

恵理「うん… ねえ 聞いてくれる?」

遥「うん いいよ」

恵理「実は… あの辻内さんって いう患者さん」

ちゅらさんの画像

遥「…うん」

恵理「それがさ…」

遥「うん」

そして

遥「それは しかたないよ 悩んでも しょうがない」

恵理「うん…」

遥「確かに 私たちのしているのは お仕事だよ それで お金も もらってる 1人の患者さんの事だけを 考えてるわけじゃないし 24時間 その人の事だけを 考えてるわけじゃないし」

ちゅらさんの画像

遥「でも そんな事で 自分を責めたら キリがないよ 仕事は 仕事かも しれない でも その時間内は 一生懸命 頑張る それしか できない それで いいと思うよ」

恵理「うん」

遥「うらやましいな あなたが…」

恵理「え?」

遥「ううん そういうこと そんなに落ち込むな… ね!」

恵理「うん ありがとう」

遥「いいえ」

恵理「頑張るしかないねぇ 落ち込んでる暇なんか ないのにね」

ちゅらさんの画像

遥「そうだよ」

恵理「うん じゃ お先に」

遥「お疲れさま」

恵理「お疲れさまでした」

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