ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「あまちゃん」102回「おら、悲しみがとまらねぇ」

【 連続テレビ小説「あまちゃん」】102回のネタバレです。

あらすじ

事務所を解雇されたアキ(能年玲奈)は、北三陸にいる春子(小泉今日子)に「もう帰りたい」と電話をする。しかし、春子は大反対。若いころの春子(有村架純)が、夢破れて帰郷しようと夏(宮本信子)に電話をしたときの記憶がよみがえったのだ。自分を突き放した夏と、今の自分を重ね合わせた春子は、アキを応援するため、上京することを思い立つ。そして、春子が向かった先は…。

102回ネタバレ

まごころ第2女子寮

アキ「クビになっちゃった。」

天野家

春子「え?」

電話・アキ『事務所 クビになっちゃったんだ 今日。 太巻さんに嫌われて。』

春子「どうして?」

回想

荒巻「うちにいる限り 俺が潰すから。 何度 はい上がってきても 奈落に落とすから。 ごめんね。」

回想終了

まごころ第2女子寮

アキ「もう帰りたい。」

天野家

電話・アキ『ねえ ママ アキ そっち帰りたいよ。』

まごころ第2女子寮

アキ「もう帰っていい? いいよね?」

天野家

春子「駄目よ。」

<この時 母の脳裏に ある古い記憶が蘇りました>

回想

1989(平成元年)

<東京で夢破れた母は 故郷へ帰るため タクシーで上野に向かいました>

夏「(鼻歌)」

(電話の呼び鈴)

夏「は~い! はい! 天野でございます!」

電話・春子『私!』

夏「どちら様ですか?」

春子「春子ですけど。」

夏「あ~ そうですか。 どういったご用件で?」

春子「そろそろ帰ろうかなと思って。」

夏「なすて?」

春子「『なすて』って。 まあ こっちで5年頑張ったし 年号も平成になったし。」

電話・夏『なすて?』

春子「だから 私も23だし そっちで役場さでも勤めて お見合いでもしようかなみたいな。」

電話・夏『なすて?』

春子「だから 一人じゃ寂しいかなと 思って。 ねえ 帰っていいでしょ?」

回想終了

春子「駄目よ。 駄目。 まだ駄目よ アキ。 頑張りなさい!」

まごころ第2女子寮

アキ「なすて?」

天野家

春子「『なすて?』って 分かんないけど ここで帰ってきたら後悔する。」

まごころ第2女子寮

電話・アキ『おら 後悔なんかしねえ。」

春子「あんたがしなくても 私がする。」

まごころ第2女子寮

アキ「ママ。」

電話・春子『だから反対したんだよ。』

天野家

春子「反対したじゃん ママ。『甘くないよ』って。」

まごころ第2女子寮

アキ「分かってるよ。」

電話・春子『自身あったんでしょ いけると思ったんでしょ? だったら中途半端なところで 諦めちゃ駄目じゃん!」

回想

春子「そんなの分かってるよ。」

夏「いいや 分かってねえ。 おめえさん 大騒ぎして 周りさ迷惑かけて 出てったんだ。 おらや 海女クラブや 漁協や 観光協会や 北鉄や みんなの善意 踏みにじって つば吐いて出てったんだぞ!」

春子「あんたが 突き放したからだべ!」

回想終了

天野家

春子「今 帰ってきたら ママと一緒だよ。 腫れ物扱いだよ。 雑に慰められて 陰で噂されて。 ジロジロ見られて それでいいの?」

まごころ第2女子寮

アキ「…やんだ。」

天野家

春子「消したい過去を 引きずって 生きるって しんどいんだよ! あんた それでもいいの?」

まごころ第2女子寮

アキ「やんだ!」

天野家

春子「アイドルになるんじゃなかったの!?」

春子「もしもし? もしもし! もしもし!」

夏「うるせえな 何時だと思ってんだ。」

春子「ごめん。」

夏「どした。 春子。」

春子「ううん 何でもない。」

回想

夏「アイドルさなるっていうがら 親子の縁切ったんだぞ。 娘でもねえ アイドルでもねえ。 おめえ どこの誰だ?」

春子「もういい。」

電話・夏『たかが5年で気が済むなら 最初から行くな。 何だ? 役場さ勤めて見合いだ? この 恥知らず!』

夏「一人じゃ寂しいって? のぼせんな バカこの! おめえなんぞ とっくに 親でもなければ子でもねえ。」

電話・夏『町で会っても知らんぷりだ…。』

春子「もうたくさん!」

喫茶・リアス

吉田「春子さん。 春子さん。」

大吉「春子!」

春子「え?」

大吉「何してんだ?」

春子「コップ磨いてんのよ。」

大吉「いや コップじゃねえべ よく見ろ。」

(コップを磨く音)

吉田「琥珀の春子さんですね。」

(爆笑)

春子「お風呂ないって言ってたよね。」

ヒロシ「はい 寮にはなかったです。」

春子「汗かくでしょ? だって毎日 レッスンとかしてるんでしょ?」

ヒロシ「銭湯は高いから 劇場のシャワー 使ってるって言ってました。」

春子「劇場のシャワー?」

弥生「何の話だ?」

菅原「東京で アキちゃんと 会ってきたんだと。」

春子「ねえ 御飯? ちゃんと食べてんのかしら?」

ヒロシ「それは心配なさそうです。 近くに 安部ちゃんもいるし あと種市君も。」

春子「種市。」

磯野「種市?」

ヒロシ「あ! あいつ南部もぐりやめて 板前になってました。」

一同「じぇじぇじぇ!」

ヒロシ「アメ横の一等地に アメ女の劇場があるんですけど その裏のすし屋で修業してます。 あ 鈴鹿ひろ美も常連だって。」

大吉「それなら安心だ。 アキちゃんは おめでた弁護士の付き人だもんな。」

春子「クビになったのよ! 事務所。」

一同「じぇじぇじぇ!」

春子「ゆうべ 電話があって あの子 泣いてたの。」

弥生「春ちゃん。」

春子「どうしよう。」

大吉「心配ねえって春子!」

吉田「んだ いざとなったら 帰ってくりゃいいんだ。」

菅原「んだんだ! ユイちゃんと2人で 潮騒のメモリーズ復活だ。」

弥生「んだ んだ んだ! 海女カフェでバイトして 夏は 海さ潜って!」

吉田「んだ んだ んだ んだ! んだ んだ んだ! 土日は ウニ丼売って。」

春子「駄目よ そんなの! あの子に そんな しみったれた事 させたくないの。 あの子が帰ってくると時は 駅前に黒山の人だかり サイン会 握手会 コンサートは 市民ホールで ど~んって!」

ユイ「何どうしたの? 春子さん。」

春子「ちょうどよかった 私出るから 代わりに入ってくれない? これ レジの鍵ね 売り上げは この金庫に 2日に一遍は銀行に行って! これ通帳ね。 これが印鑑。 で これからは 夏になって ビールが増えるから 少しずつ増やしてね ビール。」

吉田「ちょっと出るには 伝達事項が多いな。」

春子「毎月第3火曜日は ガスの点検ね。 うん 以上かな。 はい 大吉さん車出して!」

大吉「何? おい! 何 何?」

海女カフェ

大吉「えれえこった! えれえこった!」

長内「うるせえぞ大吉! ランチ営業中だ!」

かつ枝「ラテアート制作中。」

大吉「泡で イルカの絵なんぞ描いてる 場合じゃねえって! 春子が 東京さ行ぐって!」

一同「じぇじぇじぇ!」

大吉「足りねえ!『じぇ!』が全然足りねえ! 3つじゃ足りねえ!」

かつ枝「そりゃ おめえと立場も違うし 多少の温度差はあるべ!」

長内「花巻ちゃんなんか見ろ! スルーだ。」

花巻「あ~! ジョージ・クルーニーなんか 描けねえよ!」

美寿々「プロポーズの返事は?」

大吉「今聞いたら間違いなく。」

かつ枝「情けない! ついでこい!」

大吉「どこに?」

美寿々「かつねえさん!」

天野家

(鈴の音)

春子「お世話になりました。」

夏「お構いもしませんで。」

春子「ホントにいいの? 一人で寂しくないの?」

夏「おらが? 寂しいってか? のぼせんな。」

春子「はいはい。」

夏「どいつもこいつも 勝手な事言って 一人には慣れてる。 出たり入ったりするから 寂しくなるんだべ。」

春子「確かに。 思ったより長居しちゃったしね。」

夏「なすてまた 急に気が変わった?」

春子「思い出したのよ 夏さんに言われた事。」

夏「はあ?」

春子「『娘でも アイドルにもなってねえのに 帰ってくんな』って。」

夏「言ったがな?」

春子「いろいろ ありがとうございました!」

夏「あ~ やかましい! 聞きたくねえ 聞きたくねえ! お昼にすっぺ!」

かつ枝「お~い! 待て春子!」

美寿々「春ちゃん!」

春子「何 何? 何 何?」

大吉「ど… どうしても行くのか 春子!」

春子「ごめんね 大吉さん。 私さ やっぱり アキのそばに いてあげたいの。 あの子の事 応援してあげたいんだ。 自分が見れなかった景色 あの子に 見せてあげたいんだ。」

大吉「行がせねえ!」

春子「どいてよ! 何言ってんの?」

大吉「行がせねえ! おら今日は 列車出さねえど! 同じ過ち 犯してたまるか ぜってえ発車しねえ! 運休だ!」

かつ枝「よし よく言った!」

春子「そんな言われてもさ 私にも…。」

かつ枝「待て待て春子 早まるな。」

美寿々「おい! 夏ばっぱ! なんとかしてけろ! 夏ばっぱ!」

大吉「運休だ!」

美寿々「夏ばっぱ? あら? じぇ! じぇじぇ!」

大吉「運休だ!」

美寿々「夏ばっぱ!」

かつ枝「また海か?」

無頼鮨

鈴鹿「何なのよ重大なペナルティーって。」

水口「いや それは ちょっと。」

鈴鹿「事務所 クビになったからって 付き人まで 辞めなくてもいいのに。」

水口「私も続けるように 説得したんですけど。」

鈴鹿「辞めたいの?」

アキ「すいません! お世話になりました。」

鈴鹿「あ~ おなか すいた!」

種市「お待たせ致しました!」

鈴鹿「もう最後だからドンドン食べちゃって。」

アキ「はい 頂きます!」

種市「帰んのか?」

アキ「うん こっちさ残る理由もねえし。」

鈴鹿「北三陸か。 休み取って行こうかしら。」

アキ「いいとこですよ。 海もきれいで 温泉もあるし。」

(戸が開く音)

種市「いらっしゃいませ! じぇ! ああ! 自分(ずぶん)やります!」

春子「あ あ ありがとう!」

アキ「ホテルは 取らなくていいです おらのうちさ 泊まって下さい。 海近いがら。 7月から9月は 海女のシーズンで 海さ入ってます。 ウニ1個500円ですけど 鈴鹿さんなら 300円で。」

春子「アキ!」

(鹿威しの音)

アキ「じぇじぇじぇじぇじぇ!」

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