【 連続テレビ小説「あまちゃん」】10回のネタバレです。
あらすじ
正宗(尾美としのり)は、東京では見たことがない娘アキ(能年玲奈)のはつらつとした姿を見て、独りで東京に戻る。アキは笑顔で見送るが、海女修業ができる時間が残り少ないことに焦っていた。春子(小泉今日子)との約束は夏休みの終わりまで。いまだに息を1分間止めることができず、夏(宮本信子)から素もぐりの許可が下りないのだ。海女になる前に2学期になってしまう。焦るアキの様子を盗撮する怪しい男が…。
10回ネタバレ
浜
アキ「あ いらっしゃいませ! どうぞ どうぞ こちらに!」
黒川「アキ。」
<初めて見る 娘の ハツラツとした姿に アキのパパは 驚きを隠せませんでした>
夏「アキ! 早くバケツ洗って 持ってこい。」
アキ「あ はい!」
黒川「初めて見た あいつ あんなふうに笑うんだな。」
春子「万が一 東京行かないで ここで暮らしてたら 私も あんなふうに 笑ってたのかな。」
春子のイメージ
春子「いらっしゃいませ! どうぞ どうぞ もっと 近くで。」
夏「そうですか! ハハハ!」
春子「いや 無理無理! 絶対 無理だわ。」
黒川「だろうね。」
春子「私にできない事を アキが 代わりに やってくれてんのかな。 だとしたら 何か複雑。」
アキ「ウニあります いらっしゃいませ! こっちですよ!」
春子「駄目だよ 行っちゃ。」
黒川「でも せっかく来たんだし ウニ食べたいし。」
春子「今 パパの顔見たら いつもの 暗いアキに戻っちゃう。 今日は 遠くから見るだけ。」
黒川「うん。」
アキ「皆さん 海女漁が 行われているのは 世界中で日本と韓国だけなんです。」
観光客「ほう!」
<屈託のない 笑顔を振りまくアキを 遠くから見守る人間が 実は もう一人いました>
アキ「つまり 北の海女は 世界で一番 北にいる 海女さんなんです。」
観光客「へえ~! すごいね。」
「そうなんだ。」
喫茶店・リアス
春子「あら いらっしゃい!」
ヒロシ「あ 娘さん頑張ってますね。」
春子「フフフ!」
ヒロシ「変わってますね。 高校生なのに 海女さんに なりたいなんて。」
春子「う~ん でもまあ それも 夏休みの間だけ。」
ヒロシ「ああ そうなんだ。」
春子「うん。 はい どうぞ。 先生 お元気?」
ヒロシ「『先生』?」
春子「私ね 足立先生の教え子なの。」
ヒロシ「あ 親父は まあ 体は元気です。」
春子「体はって?」
ヒロシ「すいません もう何年も まともに 口きいてねえから。」
春子「いらっしゃいませ!」
ヒロシ「え?」
春子「7時半から スナックなの お酒 注文してもらっていい?」
ヒロシ「じゃあ ビール。」
春子「はい ビールね。 東京のホテルに 就職したんでしょう? 何で 辞めちゃったの?」
ヒロシ「…。」
春子「あ ごめん。 言いたくないなら いいよ 別に。 そんなに 興味あった訳じゃないし。」
ヒロシ「何か 何すかね。 ハハ!」
春子「東京 合わなかった?」
ヒロシ「…つうか 俺に合う場所なんか この国にあんのかなと 思いますね。北三陸も 好きじゃないし 盛岡行っても ピンと こなかったし。東京行ったら なんとかなるかと 思ったら どうにもなんねえし。」
春子「分かる。」
ヒロシ「え?」
春子「田舎が嫌で 飛び出した奴って 東京行っても 駄目よね。 逆にさ 田舎が好きな人っていうのは 東京に行ったら 行ったで案外 うまく やっていけんのよ。 きっと。 結局 場所じゃなくて 人なんじゃないかなって思う 最近。 フフ!」
漁協前
アキ「おはようございます!」
黒川「アキ!」
アキ「パパ。」
黒川「お別れを 言いに来たよ。 元気でな パパ 東京帰るから。」
アキ「まだ いたんだ?」
黒川「うん まだいた。 名残惜しくてさ ぶらぶらしてた。」
アキ「まめぶ食べた?」
黒川「まめぶ? あの甘いんだか しょっぱいんだか ハッキリしないスープ?」
アキ「そこが いいんだよ。 分かってないな。」
黒川「そうなんだ。 似合うな それ。」
アキ「へへ!」
黒川「潜って ウニ取るのか?」
アキ「ばあちゃんが 危ないから まだ駄目って。」
黒川「そうか。」
アキ「パパ そろそろ行かなきゃ。」
黒川「パパいなくて 寂しくないのか?」
アキ「ママがいるから 平気。」
黒川「ふ~ん。 ママと 2人で 何しゃべるんだ?」
アキ「パパの事。」
黒川「嘘! どんな事?」
アキ「大体 悪口。 多分 手紙に書いてあるよ。」
黒川「そうか。 ど~れ じゃあ 手紙 読みに帰るか! また来るわ。」
アキ「また来るの?」
黒川「いや 分かんないけど。」
アキ「じゃあ 今度来る時まで 潜れるようになってる。」
黒川「うん。 頑張れ。」
アキ「うん 頑張る!」
黒川「ママの事 よろしく頼んだぞ!」
浜
<アキは 焦っていました。 8月に入っても 海女クラブの会長から 素潜りの許可が 下りないのです。 このままじゃ 夏休みが終わってしまう。 海女さんになる前に 2学期が始まってしまう>
(シャッター音)
(シャッター音)
(シャッター音)
ヒビキ「あ!」
アキ「何ですか? 何ですか?」
ヒビキ「ふん。」
アキ「ちょっと 何撮ったんですか?」
(犬のほえる声)」
アキ「あ! ちょっと! ちょっと!」
天野家
春子「何それ キモい! そいつ危ないじゃん!」
アキ「追いかけたんだけど 見失っちゃって。」
春子「追いかけたの? あんたバカ? そういうね 盗撮するような男が キレたら 一番怖いんだからね。」
アキ「ごめん。」
春子「警察 電話した方がいいね。 あんた 何か特徴覚えてる?」
夏「大げさだな 母ちゃんは。」
春子「何が?」
夏「昔から 海女のシーズンは カメラ小僧の シーズンでもあんのさ。 今に始まった事じゃねえ。」
アキ「そうなの?」
夏「んだ。 減るもんじゃなし 撮られてるうちが 華だぞ。」
春子「ちょっと 変な事 言わないでよ。 あんたら大人が ちゃんと 見張るって言うから 海女やらせてるんです。 約束が違う。」
夏「そんな悪い奴じゃねえって ちょっと しゃべったけど。」
春子「しゃべったの? 変質者としゃべったの?」
夏「ありゃ 変質者じゃねえ。 大事な客だ。」
春子「ふん あきれた。 田舎もんは 簡単に 人を信用しちゃうんだよね。」
夏「東京の人は 被害妄想が 強えからな。」
春子「被害妄想?」
夏「自分の娘が なんぼかわいいか 分からんが 他人を信用できなきゃ この町じゃ 暮らしていけね。 さあ 帰れ帰れ! さっさと 東京帰れ!」
春子「言われなくても 帰りますよ!」
夏「ああ 帰れ帰れ!」
春子「2学期が始まったら!」
夏「ふん!」
春子「ふん!」
<2学期 その言葉を聞くと アキは 切なくなりました>
浜
安部「これ逆だ!」
アキ「あ!」
<三陸の海の幸や 海女さんたちとの 楽しいおしゃべりとも あと2週間で お別れなんです>
安部「ああ! すげえな母ちゃん 娘も気になる。 紫外線も気になるで ロボコップみでえだ。」
アキ「ぷわ! 1分行ったべ? 美寿々さん!」
美寿々「46秒だ!」
アキ「嘘!」
かつ枝「ゆっくり数えろ! いざとなったら 助けに行くから。」
美寿々「1 2 3! 4! 5 6 7 8 9 10!」
(シャッター音)
春子「うん?」
ヒビキ「やべ!」
春子「ちょっと 何してんのよ あんた! ちょっと 待ちなさい! 待ちなさいって! ちょっと! 待ちなさいよ! 変態 変態!」
監視小屋
(ノック)
春子「変態!」
ヒロシ「すいません!」
春子「変態 変態 変態 変態!」
ヒロシ「え…。」
春子「変態!」
ヒロシ「え… え?」
春子「変態 変態!」
ヒロシ「すいません!」
浜
(サイレン)
春子「変態は?」
美寿々「ごめん! 春ちゃん 見失った。」
春子「安部ちゃん それは?」
安部「いざとなったら ぶつけてやっぺと思って。」
春子「…で? アキは?」
安部「え?」
美寿々「あ…。」
(サイレン)
美寿々「沖へ行っちまうど!」
春子「アキ!」
美寿々「アキちゃん! 沈んでねえか?」
春子「いや いないでしょう。」
美寿々「あ!」
春子「あれ? アキ アキ!」
アキ「ぷあ! 美寿々さん 何秒? あれ? うわ! あ! 足が着かない! しゃっこい しゃっこい! うわ! うわ! じぇじぇ!」
漁協
(ドライヤーの音)
夏「親が見張ってて 死にかけてりゃ 世話ねな。」
春子「あんたら大人が ちゃんと 見てないからでしょう。」
夏「ちゃんと見てたのに 誰かさんが サイレン鳴らしたんだべ。」
長内「まあまあ 夏さん たまたま 漁船が通りかかって 助かったんだぜ。 皆 一回は 経験する事だべ。」
春子「だからアキは 浜でごみ拾ったり タオル干したりしてなさい。 海 危ないんだから。」
夏「危ねえ目さ遭って 学ぶ事もある。 過保護にするばっかりが 親でねえど。」
アキ「あ! 美寿々さん 何秒だった?」
美寿々「あ ごめん! 1分43秒で 止めちゃった。」
アキ「…て事は?」
夏「合格だ。」
アキ「やった~!」
(歓声)
夏「ちょっと 見せろ!」
美寿々「見てみな! 証拠証拠。」
<ようやくアキは 新人海女として スタート地点に 立ったのです>
美寿々「自主トレも やれよ。」
アキ「頑張る!」