ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「あまちゃん」112回「おらのハート、再点火」

【 連続テレビ小説「あまちゃん」】112回のネタバレです。

あらすじ

アキ(能年玲奈)はGMTを辞めたことへの後悔から、春子(小泉今日子)とぶつかるが、水口(松田龍平)のとりなしで、前向きに仕事に挑戦することに。一方、北三陸にいるユイ(橋本愛)は夏休みに夏(宮本信子)とともに東京に遊びに行く計画を練っていた。アキは幼児番組のアシスタントとして人気が出始め、CMの出演依頼が来る。しかし、契約は恋愛禁止が条件。ないしょで種市(福士蒼汰)とつきあい始めていたアキは…。

112回ネタバレ

黒川家

春子「ズルじゃないわよ!」

アキ「(泣き声)」

黒川「春子さん。」

<ママに いや社長に はたかれました>

春子「なりふり構わず 取ってきた仕事です これ。 ね! 専業主婦が ない知恵絞って頭下げて これがママの全力! 精いっぱい! 誰にも迷惑なんか かけてません!」

水口「ちょっと落ち着きましょう。」

春子「『何の努力もしねえで ドラマだのバラエティーだの出だら 天狗になっちまう』? は~? 天狗になれたら 大したもんなんだよ!」

黒川「やめましょう 春子さん。」

アキ「やりだぐねえ!」

春子「やるの!」

黒川「やめなさい!」

<楽しげなタイトルバックを 挟んでもなお 事態は 何も解決していませんでした。 ただ一つだけ>

(やかんの笛の音)

<お湯が沸きました>

黒川「ごめん 自分で思ってたより 1.5倍くらい 大きな声が出た。 ごめん うん ごめん発声ミス。 僕は 個人タクシーの運転手だし 芸能界の事は分からない。 みのもんたを 赤坂まで 乗せた事があるくらいだ。]

黒川「あと おネエのメークさん。 何だっけ あの よく テレビに出てる『どんだけ~』の人。 おかっぱの『どんだけ~』の ガタイのいい『どんだけ~』の いい匂いの『どんだけ~』の人。 知らないか。」

春子「知ってるわよ。 知ってて黙ってんの。」

(やかんの笛の音)

黒川「とにかく 僕は素人だから 意見はしない。 でも この家で 久しぶりに 3人そろってるのに ギスギスしてほしくないんだ。」

(やかんの笛の音)

春子「お湯 沸いてますけど。」

黒川「うん そう お湯が沸いてるのに 誰も止めに行けないような 空気にしてほしくない。」

春子「お湯 沸いてますけど。」

黒川「沸かした人が止めればいいんだね。 はいはい。」

春子「何なんのよ? まだ根に持ってんの?」

アキ「何が?」

春子「ママのせいで 事務所 クビに なったと思ってんでしょ? みんなと同じステージ 立ちたかったのに ママが台なしにしたって 言いたいんでしょ?」

春子「謝ったら 許してくれるの? ごめんなさい。 おわびに 仕事取ってきました。 どうか ママの顔を立てて お願いします。 …って 頭下げたら 機嫌直してくれんの?」

アキ「頭なんか ぜってえ下げねえくせに。」

春子「当たり前よ! あんたのために 頭下げても あんたには 頭なんか下げません! 大体さ 何で行かせたのよ! 水口君も。」

水口「いや いい刺激になるかなと 思って。」

春子「そんなポジティブな子じゃないのよ アキは。 地味で暗くて…。」

黒川「春子さん。」

春子「あんなの 一時(いっとき)のもんだよ。 若気の至りだよ。 毎年さ かわいい子 30人か40人か集めて 才能なのに 舞台に上げてさ その中から10年後 何人残ってるとと思う? せいぜい1人か2人だよ。 だったら 最初から1人で やった方がいいじゃないのよ。」

アキ「分かってるよ 分かってるけど…。」

春子「『けど』何よ。」

アキ「もし 辞めずに残ってだらって 考えてしまうんだ。 もし GMTさ残ってたら。

水口「だったら ユイちゃん どうなるの?」

アキ「ユイちゃん?」

水口「もし お父さんが倒れてなかったら あのタイミングで ユイちゃんと一緒に 東京に来てたら 2人でアイドルになれてたかな。」

回想

ユイ「すぐ行くからね! すぐ行くからね!」

回想終了

アキ「当たりめえだべ!」

水口「でも 実際なってないでしょ今 2人とも。 あれから もうすぐ1年になるよ。『もし』とか『誰のせい』とか 言ってたら 1年なんか あっという間に 過ぎちゃうんだよ。 ズルとかインチキとか アキちゃんも俺も そんな事 言える身分じゃないんだ。 せっぱ詰まってんだ。」

春子「もう1年か 早いね。」

回想

春子「みんなに好かれたね こっちに来て。 みんなに好かれた! あんたじゃなくて みんなが変わったんだよ! 自信持ちなさい。 それはね 案外すごい事なんだからね。」

回想終了

アキ「早(はえ)えな。」

黒川「本当 早いよなあ。」

春子「悪かったわよ。」

アキ「え?」

春子「すいませんでした。」

アキ「ちょっと くすぐってえ!」

春子「へへ! タレントの頭たたくなんて 最低だね。」

アキ「おらも ごめん。 社長さ向かって ズルだのインチキだのって ママでねがったら またクビになるとこだった。」

春子「アキ。」

(タイマーのアラーム)

黒川「ああ すいません!」

春子「ねえ 食べるの?」

黒川「だって 出来ちゃったから。」

水口「…で どうすんですか? これ。」

春子「無理にやんなくてもいいよ アキ。 でも どれか できそうなのを 一個だけ選んで。 ママができるのは ここまで。 ここから先は 自分で切り開いていくのよ。」

アキ「これかな。」

春子「『見つけて こわそう』?」

水口「あ それ僕です。 子ども向けの教育番組。 大した仕事じゃないんですけど 交ぜときました。」

黒川「うん いいかもしんない。 最近の幼児番組は アバンギャルドだもんね。 アキには ぴったりだ。」

春子「やりたいの?」

<その選択は 結果的に大当たりでした>

『見つけて こわそう』撮影スタジオ

(アキ さかなクン)『見つけて こわそう』。

さかなクン「ギョギョ! さかなクンです! そして アシスタントの…。」

アキ「じぇじぇ! 岩手県北三陸が生んだアイドル 海女のアキちゃんです!」

さかなクン「今の『じぇじぇ!』は何?」

アキ「びっくりした時の言葉です。」

さかなクン「ギョギョ! そうなんだ。 ところでアキちゃん 今日は 何を壊すの?」

アキ「今日は 要らねぐなった ずでんしゃを壊します。」

さかなクン「自転車だね?」

アキ「そんだ ずてんしゃだよ!」

さかなクン「ギョギョ なまってる。」

<『見つけて こわそう』は 身近な物を見つけては壊す事で 物の大切さを 逆説的に教える新番組>

アキ「要らない物ないかな?」

<その斬新な設定が受け『子どもが物のありがたみを知る きっかけになった』。『コップや お皿を割らなくなった』という声が 続々寄せられました>

喫茶・リアス

テレビ・アキ『う~ん 自転車ないから 今日は この壺でいいや!』。

テレビ・さかなクン『ギョギョいいの?』。

ユイ「受ける。 これアキちゃんのキャラに ピッタリだよね。」

夏「ヘヘヘ!」

テレビ・アキ『本当に要らない壺か おじいちゃんに聞いてみよう』。

テレビ・さかなクン『うん』。

テレビ・アキ『おじいちゃん この壺 壊してもいいかな?』。

テレビ・おじいちゃん『うん 壊してよいぞ』。」

テレビ・アキ『ありがとう』。

弥生「うわ~ 疲れた 麦茶けろ!」」

かつ枝「おらも~!」

夏「勝手に飲め ほれ。 ユイちゃん 今度おらと 東京さ行がねえか?」

ユイ「え?」

夏「お盆休みによ 2人して 東京さ遊びに行くべ。」

かつ枝「じぇじぇ! 本気か? 夏ばっぱ。」

夏「んだ! 7月には いっぺえ稼いだし『ちょっくら 羽伸ばしてえなあ』と思ってさあ。」

弥生「んでも 夏ばっぱ 東京さなど 行った事ねえべ?」

夏「だから ユイちゃんに ガイドしてもらうべって。」

ユイ「いいけど 私も行った事ないよ。」

一同「じぇじぇ!」

勉「修学旅行は?」

ユイ「けがして行けなかった。 お風呂で転んで 骨折したの。」

花巻「ジャイアント馬場だな。」

ユイ「え?」

吉田「アレ? ご存じない? ジャイアント馬場って 風呂場でけがして 巨人から プロレスに転向したんです。」

栗原「プロレスできんなら プロ野球も できそうなもんですけどね。」

吉田「なあ。」

花巻「ま 分かる奴だけ 別ればいい。」

美寿々「それにしたって 夏ばっぱ。 どういう心境の変化だ?」

夏「何にも。 春子とは今まで 絶縁状態だったから 行く気がしねがったがら。 今は アキもいるし。」

大吉「んだら 俺が行くべ!」

夏「いやいや いやいや! それには及ばねえよ 駅長さん。」

大吉「気にすんな 疲れたら 俺が おんぶしてやっからよ。」

栗原「空気を読めよ。」

大吉「え?」

栗原「空気を読めよ。」

<そうです これは夏ばっぱの 粋な計らいだったのです。 東京さ憧れてだユイちゃんと サラっと連れ出すための>

(テレビ・壺の割れる音)

大吉「見ろ! 壺が粉々になったど!」

テレビ・アキ『よ~し じゃあ お待ちかね 逆回転だ!』。

テレビ・アキ『じぇじぇじぇ!』。

テレビ・さかなクン『ギョギョギョ!』。

純喫茶・アイドル

甲斐「え? ええ~?」

アキ「じぇじぇじぇ! 夏ばっぱと ユイちゃんが?」

北三陸駅

ユイ「そう 東京行くって。 お兄ちゃんも1週間くらいなら お父さんと2人でも 大丈夫だって。」

純喫茶・アイドル

アキ「じゃ来んのか? ついにユイちゃん 東京さ来んのか?」

北三陸駅

ユイ「うん! 行く。」

純喫茶・アイドル

アキ「やった~!」

春子「うるさい!」

甲斐「失礼しました。」

アキ「ねえ ママ! 夏ばっぱとユイちゃん 東京さ来るって。」

春子「聞こえてたから。 あの こちらね CMプランナーの 萩尾さん。」

アキ「『しーえむ』?」

水口「『見つけて こわそう』見て 連絡下さったんだ。」

萩尾「神業ゼミナールという 予備校の イメージキャラクター 募集してまして。 クライアントも アキちゃんに興味示してるんで 是非。」

春子「はい。」

アキ「じぇじぇじぇ!」

(盆を落とす音)

甲斐「失礼しました~。」

春子「何よ。」

<ユイちゃんで思い出した。 おら 大問題を抱えでたんだ>

回想

アキ「先輩!」

種市「何だ 天野。」

アキ「お… おらと つきあってけろ!」

回想終了

アキ「種市先輩さ 告白してしまったんだ。 そして>

回想

種市「分がった。 よし つきあうべ。」

アキ「やんだ!」

回想終了

<自分がら告(こく)って 自分がら断ってしまった。 それなのに>

回想

種市「自分は 天野の事が好きだ。」

アキ「い いや いや! だって先輩は おらじゃなくて…。」

種市「ユイとは もう何でもない。 もう別れた。 返事は いつでもいい。 じっくり考えてけろ。」

アキ「やっぱ つきあってけろ先輩!」

種市「じっくり考えたか?」

回想終了

<結局どうなったんだ? おら 先輩と つぎあうのか? つぎあわねえのか?>

春子「問題ないよね アキ。」

アキ「へ?」

春子「今の話 聞いてたでしょ?」

アキ「はい。 全然聞いてないです。」

水口「CMの契約期間が1年間だから その間は 恋愛禁止だって。」

春子「うん 彼氏とか恋人とかいると まずいんだって。」

水口「しょうがないですよね。 キャッチコピーが『受験が恋人』ですもんね。」

萩尾「ええ。 そういったスキャンダル等が 出ますと 契約破棄になりかねないんで。」

<『じぇ!』も出ませんでした>

春子「でも いないもんね 彼氏とか。 全然大丈夫です。」

萩尾「よかったです。」

水口「じゃ 引き続き 恋愛御法度って事で。」

<うわ~ どうすべえ!>

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