ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「あまちゃん」119回「おらのばっぱ、恋の珍道中」

【 連続テレビ小説「あまちゃん」】119回のネタバレです。

あらすじ

芸能人として人気が少しずつ高まってきたアキ(能年玲奈)に対し、GMTは伸び悩んでいた。太巻(古田新太)は巻き返しのため、映画の製作を企画する。そのころ、アキは番組出演直前に水口(松田龍平)から思いがけないことを言われ、動揺のあまり、生放送でおかしな発言をしてしまう。番組を見ていた春子(小泉今日子)は驚くものの、放送後の反響は上々。一方、太巻は鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)に映画の出演を依頼するが…。

119回ネタバレ

黒川家

水口「アキちゃん もう出るよ。」

<2010年9月。 ようやぐ 天野アキの人気に 火が付きました。 …と言っても まだまだ ネット上の話です。 海女さん時代の動画 お座敷列車や 海女カフェの映像から 最近の GMT時代の動画や『見つけて こわそう』の名場面など それが きっかけで テレビ出演のオファーも増えました>

テレビ・アキ『じぇじぇじぇ!』。

<一方 上野方面には 暗雲が立ち込めていました。>

東京EDOシアター

河島「え~ GMTのセカンドシングル『地元サンバ』の初動ですが 関東地区が7位 関西地区が6位 配信の方は順調に伸びまして 初登場4位となっております。」

(拍手)

荒巻「拍手要らない。 時間もったいないから。 どうして 1位 取れなかったんだろう?」

ベロニカ「自分のせいかもしれないネ。 自分が センター取るの早すぎた感は 否めないよネ。」

河島「そんな事ない ベロニカ! …っていうか メンバーが 企画会議に出ちゃいけない。 マニアックな方向へ振り過ぎた感は 否めないよネ。」

河島「ベロニカ そんな事ないけど ちょっと とりあえず 一回 外 出ようか。 なっ? お疲れ。 すいません。」

荒巻「ブラジル人なのに 全然 陽気じゃねえな。 まあいいや 河島君 資料配って。」

河島「はい。」

荒巻「ここに来て GMTおよび 本体のアメ女 含めて 過渡期に来ているなというか 伸び悩み感は 否めないよネ。 そういう時は 新しい事に チャレンジしようという事で…。 太巻 映画撮ります。」

一同「映画?」

荒巻「つきましては 企画を募集します。」

テレビ局
控室

(ノック)

黒川「はい!」

「あっ 失礼します! 間もなく 始まりますので スタジオに ご移動 願います。」

<アキが仕事中 お父さんは 普通に タクシーの運転手として 街を流しています>

廊下

「マイク お願いします。」

水口「あっ 僕がやります。」

「あっ では お願いします。」

水口「一回 中 入ろうか。」

アキ「あっ はい。」

控室

水口「アキちゃん 彼氏できた?」

「間もなく 本番で~す!」

『パークスタジオ』撮影スタジオ

司会者「改めまして 本日のゲスト 教育テレビ『見つけて こわそう』で 話題沸騰のご当地アイドル 天野アキさんです。」

(拍手)

司会者「アキちゃんは 北三陸で 高校生の時に海女さんとして 海に潜っていたという事で 今日は そのコスチュームで ご登場 願いました。 アキちゃん どうですか? 久しぶりなんですよね これ。」

<なすて? なすて 水口さんにバレたんだべ>

回想

アキ「先輩!」

種市「何だ 天野。」

アキ「お… おらと つきあってけろ!」

回想終了

<あの時水口さんは すし屋の中さ いだはず>

回想

アキ「おら 先輩が好きだ。」

<ひょっとして… 知ってて 泳がせだな! チクショー! 大人って 怖(こえ)え!>

水口「CMの契約期間が 1年間だから その間は 恋愛禁止だって。」

春子「彼氏とか 恋人とか いると まずいんだって。」

水口「しょうがないですよね。 キャッチコピーが『受験が恋人』ですもんね。 『受験が恋人』ですもんね。 『受験が恋人』ですもんね。」

回想終了

司会者「アキちゃん? ねえ アキちゃん。」

アキ「あっ はい!」

司会者「最近 どうですか? お仕事は。」

アキ「今は 恋人が お仕事です。」

スリーJプロダクション

テレビ・司会者『アキちゃん?』。」

テレビ・アキ『今は 恋人が お仕事です』。

テレビ・司会者『え… アキちゃん それは どういう意味なのかな?』。

『パークスタジオ』撮影スタジオ

アキ「あっ 間違えた! お仕事は 恋人です。」

スリーJプロダクション

春子「…バカ。」

『パークスタジオ』撮影スタジオ

アキ「あれれ?」

純喫茶・アイドル

水口「仕事が恋人でしょ。」

アキ「すいません。」

水口「これ。 これ見て ピンと来たんです。『男ができると 顔つきが変わる』って 昔 太巻さんから教わった。 口元が緩んだり 目の瞳孔が開いたり 焦点が合わなくなったりね。」

甲斐「そう そう そう 顎の割れている女は…。」

水口「覚えてるよね! ここで 予備校のCMの面接したの。」

回想

萩尾「そういうった スキャンダル等が出ますと 契約破棄になりかねないんで。」

春子「いないもんね 彼氏とか。 全然 大丈夫です。」

回想終了

アキ「う~…。」

水口「いちいち泣かない。」

アキ「だって だって たたかれるもの。」

水口「知るか。 …で 相手は誰? いつ知り合って いつから つきあってるの? 言えないか。 じゃあ 一つだけ教えて。 板前? 板前じゃない?」

水口「…板前かよ。」

無頼鮨

梅頭「いや 私じゃないですって!」

種市「お待たせ致しました。」

河島「こちらを ご覧ください。」

鈴鹿「太秦(うずまさ)? あ? 太巻?」

河島「太巻映画祭です。」

荒巻「まあ… ちょっと恥ずかしいんですが。」

河島「我が オフィスハートフルの全面出資で 気鋭の映画監督9人の 新作映画を製作します。 中ほど 星印がついてるのは 既に決定している企画です。」

荒巻「条件はですね うちのタレントを主演に使って 純然たる アイドル映画である。 それだけです。」

鈴鹿「土足で踏み荒らすわね。」

荒巻「CDや DVDが 売れなくなってきている。 もはや ピークは過ぎています。 アメ女も GMTも 余命1年か 2年。 そのあと ソロとして 誰が生き残れるのか 逆算して 戦略を立てないと」

鈴鹿「フフフッ。」

荒巻「…とはいえ 確実に コケるでしょう。」

鈴鹿「いつになく 弱気ね。」

荒巻「いえ むしろ 強気です。 引き際も 自分らしさを 貫き通したいだけですから。」

鈴鹿「あれ? 1 2 3 4 5 6… 10本あるわね。 この『潮騒のメモリー』って あの『潮騒のメモリー』じゃないわよね。」

荒巻「あの『潮騒のメモリー』です。」

鈴鹿「監督の 荒巻さんというのは?」

河島「荒巻さんです。」

鈴鹿「…じゃないわよね。」

荒巻「私です。」

鈴鹿「『(交渉中)』って…。」

荒巻 河島「交渉中です。」

鈴鹿「じぇじぇじぇ!」

<鈴鹿さんの口から 渾身の『じぇじぇじぇ』が 飛び出たところで お忘れの方のためにも 映画の概要を>

<『潮騒のメモリー』は 1986年に公開された 鈴鹿ひろ美のデビュー作です。 舞台は 宮城県沖に浮かぶ 架空の島 鈴鹿島。 貧しい漁村に生まれた 少女 ひろみと 漁師の新助 2人の若者の悲恋を描いた 名作です。 特に 語りぐさにもなった名場面>

鈴鹿「飛び越えてこい!」

「うう…。」

鈴鹿「新助 私が好きなら その蛇を飛び越えてこい!」

荒巻「蛇のシーンは カットします。」

鈴鹿「ああ そうね。 その方が いいわね。 …っていうか ねえ ホントに やんの?」

荒巻「権利は取れそうなんです。 あとは 主演女優次第です。」

鈴鹿「いや… 無理 無理 無理。 お断りします。」

河島「そこを なんとか!」

荒巻「鈴鹿さんのデビュー作であると同時に 私の原点でもあるんです。 お願いします。」

鈴鹿「できません。 そんな 17才の海女の役なんて…。 無理よね 隊長! 何よ…。 見えないでしょ 17歳には。 どんな技術を 駆使しても。」

荒巻「はい。 …っていうか 主演じゃねえっす。」

鈴鹿「え?」

荒巻「一番最初に申しましたが うちの所属タレントを主演に使った 純前たる アイドル映画だと。」

鈴鹿「あ… そうよね。 アハハハッ 分かってますよ! どうせ 母親役でしょ?」

荒巻「ずうずうしいな。」

河島「ずうずうしいですね。」

鈴鹿「うるさいな!」

梅頭「ずうずうしいですよ。」

荒巻「主演は 彼女を考えております。」

河島「おいで。 座って ご挨拶して。」

小野寺「はい。 失礼します。 以前 ここで お会いしました GMTの小野寺薫子 宮城県出身の16歳です。」

鈴鹿「あ~ なるほど。 宮城が舞台だもんね。」

小野寺「はい! 宮城と言えば?」

荒巻 河島♬『ずんだ ずんだー!』

鈴鹿「結構です。」

小野寺「おいしい お米と。」

鈴鹿「ずんだ…。 結構です。」

河島「リメークと申しましても そのまま やる訳では ございません。 設定だけ踏襲して ストーリーは大幅に…。」

鈴鹿「ラストシーンは?」

河島「はい?」

鈴鹿「エンディングですよ。 主題歌が流れるでしょう。 今回 誰が歌うんですか?」

河島「今回は?」

<そうです『潮騒のメモリー』のラストシーン 荒れ狂う海と 夕日を背に立つ 主人公 ひろみ。 そこで流れる主題歌は 涙なくして聴けません>

回想

ヘッドホン♬『砂に書いた』

アキ「(泣き声)」

ヘッドホン♬『アイ ミス ユー』

アキ「(泣き声)」

<それを歌っていたのは 誰あろう この人>

春子♬『北へ帰るの 誰にも会わずに 低気圧に乗って 北へ向かうわ』

回想終了

スリーJプロダクション

アキ「…。」

春子「何よ。」

アキ「何でもねえ。」

<どうすべ やっぱ ママに言うべきなのか>

水口「ただいま帰りました。」

春子「お疲れ~。 ねえ すごい反響じゃない『パークスタジオ』。

水口「あっ そうすか。」

春子「見て『恋人が お仕事です』って。 勝手に動画作って アップしてる 奴がいる。」

『ですか? この声援』。

アキ『恋人が お仕事です』。

(笑い声)

水口「暇な奴が いるもんですね。」

<言えねえ。 彼氏がいるなんて 恋人が板前なんて 口が裂けても言えねえべ>

無頼鮨

鈴鹿「…分かりました。 やりましょう! ただし 一つだけ 条件を出させて。」

荒巻「何でしょう?」

鈴鹿「ヒロインは オーディションで決めましょう。」

河島「え?」

小野寺「わ… 私は?」

鈴鹿「あなたも受けなさい。 私が立ち会って 決めます。」

小野寺「…はい。」

鈴鹿「ごめんなさいね。 私が関わる以上 コケるなんて ごめんですから。」

河島「社長。」

荒巻「…いいでしょう。」

スリーJプロダクション

(携帯の着信)

アキ「じぇ!」

春子「誰から?」

アキ「う… うん。 ちょっと。」

春子「出なさいよ。 どこ行くの?」

アキ「う… う~ん トイレ。」

春子「さっき行ったばっかりじゃない。」

<母親とマネージャーに にらまれながら 彼氏がらの電話に出ま~す>

アキ「もしも~し 天野です。」

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