ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「あまちゃん」127回「おらとママの潮騒のメモリー」

【 連続テレビ小説「あまちゃん」】127回のネタバレです。

あらすじ

いよいよ映画『潮騒のメモリー』の撮影が始まった。アキ(能年玲奈)は思うように演技ができず、母親役の鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)に叱られる。鈴鹿は、アキが役になりきるために、一緒に暮らすことを提案。早速、鈴鹿がアキの自宅に転がり込み、鈴鹿・アキ・正宗(尾美としのり)の奇妙な共同生活が始まる。北三陸では春子(小泉今日子)の心配をよそに、すっかり元気になった夏(宮本信子)が暇を持て余して…。

127回ネタバレ

『潮騒のメモリー』撮影現場

<映画『潮騒のメモリー ~母娘(おやこ)の島』 いよいよ 撮影開始です。 まずは オープニング 日の出のカットから>

助監督「それでは 段取りの前に ご紹介します。 鈴鹿ひろ美役 鈴鹿ひろ美さんです!」

鈴鹿「鈴鹿です。 どうぞ よろしく。」

一同「よろしくお願いしま~す!」

(拍手)

助監督「そして 鈴鹿アキ役の…。」

アキ「天野…。」

鈴鹿「私は この作品に なみなみならぬ 思い入れがあります。 思い起こせば 25年前 右も左も分からない少女が この作品に出会い…。」

20分後

鈴鹿「それは 私の女優人生とも リンクする訳です。 いかにして 少女が 国民的女優に成長したか…。」

荒巻「あの~ 鈴鹿さん 鈴鹿さん。 日の出が… 朝日が出てしまうんで もう そろそろ船にですね。」

鈴鹿「正直 シナリオにも 不満が残っています。 例えば シーン12。 皆さん 台本持ってますか?」

荒巻「は~い シーン12。」

鈴鹿「そのシーンのダイアローグが いささか 冗漫で 説明的なのは…。 まあ もちろん プロですから やりますが…。 にしても…。」

荒巻「あ~! はあ~!」

鈴鹿「続いて シーン15。」

荒巻「シーン15です。」

<ここで改めて『潮騒のメモリー』のあらすじを 紙芝居で紹介します。 太平洋に浮かぶ 架空の離島 鈴鹿島。 伝説の海女 ひろ美が 数年ぶりに帰ってくる。 夫と共に島に残した 一人娘のアキは 17歳になっていだ。 母と娘 感動の再会。 ひろ美のおっと 新助は 既に山火事で 命を落どしたどいう。>

<更ぬ 数々の不幸が 2人に襲いかかる。 夫の残した借金 村人の噂話 執拗な嫌がらせ 60年に一度の巨大台風 120年に一度の大飢饉 4年に一度の盆踊り 鈴鹿山の大噴火 突然現れる イカ釣り船の漁師トシヤ そして 母 ひろ美の体をむしばむ はやり病。 アキは母の病気の治療のため 単身 東京へ向かうのだった>

<映画というのは 頭から順番に 撮影する訳ではありません。 2日目だというのに 今日は いぎなり クライマックスの撮影です>

「監督 お願いします。」

荒巻「用意… スタート!」

(カチンコの音)

アキ『母ちゃん!』。

鈴鹿『アキ…』。」

アキ『母ちゃん…』。

鈴鹿『来てくれたのか』。」

アキ『うん』。

アキ『でも すぐ行がねえと 連絡船が出るんだ』。

鈴鹿『あの男と一緒に行ぐのか?』。

アキ『おら 一人で生きていく。 母ちゃんのように強(つえ)え女になる』。

鈴鹿『そうか…』。

アキ『母ちゃん 親孝行できなくて ごめんなさい』。

荒巻「う~ん… おっ… けぃ。」

鈴鹿「駄目ね。 もう一回やりましょう。」

荒巻「鈴鹿さん 監督がOK出してるんですから。」

鈴鹿「そんな 考え考え出た OKじゃ駄目よ。 もう一回。」

アキ「すいません。」

鈴鹿「ねえ アキ オーディションの時の事 覚えてる?」

回想

アキ『母ちゃん 親孝行できなくて ごめんなさい!』。

回想終了

アキ「はい。 1次審査の時ですよね。」

鈴鹿「そう。 あれが よかったの。 逆に言えば 2次 最終 今日の本番って 下がってる訳。 分かる?」

アキ「はい。」

荒巻「じゃあ もうワンテイクいきますか。」

「はい。 じゃあ もう一本 いきます。」

一同「はい。」

<それに関しては 思い当たる節がありました。 だって あん時は…>

回想

大吉「ばっぱ! 夏ばっぱ! 夏さん!

アキ「おらも行ぐ!」

春子「アキ!」

アキ「夏ばっぱのそばに いでえ。 おらも帰る!」

回想終了

「スタンバイ中で~す。」

水口「要するに おばあちゃんの容体を 心配してたから 素直に言えたんだね。」

アキ「でも もう だいぶ よくなったがら。」

天野家

春子「何してんの?」

夏「何って おめえ 内職だ。 エビの殻むき。」

春子「もう やめてよ~。」

夏「寝てばっかりで退屈だ。 指先は動くんだから。」

春子「駄目!」

夏「あ~ もう 暇だ 暇だ 暇だ! 何でもいいがら 仕事けろ~!」

春子「駄目~!」

夏「いつまで いるんだ? 春子さんよ。」

無頼鮨

<そのあと 何度も チャレンジしたのですが 結局 この日は うまくいかず…>

鈴鹿「はあ!? おばあちゃん元気だと 芝居できないって事?」

アキ「…すいません。」

鈴鹿「ホントよ あんた。 NG連発したあげく 後日にしましょうってさ 普通だったら クビよ チェンジ! チェンジよ!」

<撮影が終わると反省会 連日です。 でも 実は それほどつらくありません>

鈴鹿「壁があるのよね 何か カメラの前に立つと…。」

アキ「そうがなあ…。」

鈴鹿「今は ないわよ。 今の方が いい表情してんじゃない。 何で現場で それが出ないかな。 うん? 分かった。 一緒に暮らしましょう!」

アキ「え?」

鈴鹿「私生活でも 母と子になりましょう! 壁 取っ払いましょう。 何だったら 今日から一緒に住む?」

アキ「い… いいのが?」

鈴鹿「もちろんよ! ねえねえ よくない? 水口君!」

水口「はあ…。」

スナック・梨明日

春子「…はあ!? ちょっと待ってよ 何それ どういう事!?」

黒川家

黒川「だから うちで一緒に暮らすんだって 親子合宿。」

スナック・梨明日

春子「うちで!?」

黒川家

鈴鹿「あの 空気洗浄機ございませんか?(せきこみ) ちょっと ハウスダストが…。」

黒川「あっ はいはい。 アキ。 ママ。」

アキ「ごめん ママ。 てっきり 鈴鹿さんのうちさ お呼ばれだと思って OKしちゃったんだ。」

鈴鹿「私の部屋に? 呼ばない 呼ばない? 絶対 教えない。」

アキ「ごめん。 撮影の間だけだから。 …で ママは いつ帰ってくるの?」

スナック・梨明日

春子「え? じゃあ もう少し こっちに いようかな。 今 帰ったら ママが 2人になっちゃうもんね。」

菅原 吉田「おい おい…。」

春子「違うの 違うの。 鈴鹿ひろ美が うちに泊まるんだって。」

3人「じぇじぇじぇ!」

春子「だから 帰るわよ そのうち! いつって… おばあちゃんが 大丈夫だなって思ったら。 はい はい はい。 は~い じゃあね。(ため息)」

一同「…。」

春子「何よ。」

3人「いや いや いや…。」

ユイ「帰ってほしくないみたいですよ 春子さんに。」

大吉「ちょ… ユイちゃん! いやいや おらじゃなくて こいつらが…。」

菅原「いやいや 先輩だべ!」

吉田「駅長 素直になった方がいいべ。」

大吉「ウーロン茶ロック 焼酎1滴。」

春子「はい。」

吉田「やっぱり 機嫌がいいんですよ。『出発進行!』の声が 弾んでるもんね。 フフフッ。『独身最高!』って聞こえるもんね。」

菅原「それは さすがに嘘だべ。」

春子「帰るわよ。 夏さんが…。」

勉「もう大丈夫なんだべ?」

春子「もう大丈夫なのよ。 娘と2人だと 行が詰まるんだろうね。 今日だってさ 海女クラブの皆さんを呼んじゃって。」

天野家

花巻「これ 鈴! 琴! 手でねくて 箸で食え!」

2人「は~い。」

美寿々「でも 春ちゃん帰ってきて ばっぱ さみしぐねえな。」

夏「どうだかな。」

長内「へそ曲がりだな うれしいくせに!」

かつ枝「おらとこなんか もう 夫婦2人で この先 どうなるんだか。」

弥生「子どもいたって同じだ。 困った時しか 頼ってこねえもの。」

花巻「これ かつえ! いろりで小便垂れんな!」

弥生「かつ枝さんじゃねえ 猫だ 猫!」

(笑い声)

かつ枝「分がってても ギョッとするわ!」

(笑い声)

夏「忠兵衛さんも春子も それがら アキも 帰ってくるのは構わねえけど いずれ出ていくかと思うと 頼りたくても頼れねえのさ。」

長内「あ~!」

夏「何だや…。」

スナック・梨明日

春子「東京帰ろうと思ったら アキは鈴鹿さんに べったりだし もう どうすりゃいいのよって 感じ。」

菅原「こっちさ ずっと いたらいいべ。」

大吉「菅原!」

春子「アキがさ 初めて 自分の手でつかんだ仕事じゃん。 主役だしさ 私がいたら 何か難癖つけてさ 混ぜっ返すしさ ステージママとか言われるしさ。 夏さんは夏さんで『おめ え いつまで いるんだ』って そればっかりだしさ。」

栗原「行ったり来たりすれば いいんじゃないですか?」

吉田「んだ んだ! 実際 そう遠くねえし。」

大吉「遠い近いの問題じゃねえべ。」

春子「え?」

大吉「気持ちの問題だべ 春ちゃん。 なんぼ 北三陸と東京が近くなっても おらと 春ちゃんの気持ちの距離は 変わんねえど。」

吉田「今 誰も駅長の話してませんから。」

春子「1滴で?」

大吉「おら マサと 男の約束を交わしたんだ! だから もう惑わすな! 帰れ 春子! ダイヤの乱れは心の乱れだ!」

吉田「駅長? 駅長 寝てまっだ。」

黒川家

(ジューサーミキサーの音)

鈴鹿「あら おはよう! 起こしちゃった?」

アキ「何してんだ?」

鈴鹿「朝御飯よ。 ちゃんと食べないと 調子出ないからさ。」

アキ「じぇじぇ。」

鈴鹿「撮影あるなしに 関わらず この時間に起きますから。 起きたら 1時間のウオーキングして 熱いお風呂につかって ジュース飲みますから。 はい 飲んで! 鈴鹿スペシャルですから。 喉にもいいのよ。 びっくりするぐらい声が出るから。 ほい ほい! ほい ほい!」

アキ「うわ~っ!」

鈴鹿「うわ~っ! ねっ? 出るでしょ。 行きましょう お父さん 起こしてきて。」

アキ「だまされだ…。」

『潮騒のメモリー』撮影現場

荒巻「はい 本番!」

「本番!」

荒巻「用意 スタート!」

<今日は この間 撮れなかった オープニングの撮影です>

(汽笛)

アキ「うわ~。」

<すごい 映画みでえだ。 いや 映画なんですが 鈴鹿さんがいるだけで 目の前の風景が映画になるのです>

アキ「かっけえ!」

荒巻「はい カット!」

(カチンコの音)

荒巻「『かっけえ』じゃないだろ。『お帰り 母ちゃん』だろ。」

アキ「あっ 回ってたんですか?」

荒巻「あ~! 太陽出ちゃったよ~。」

<『潮騒のメモリー』撮影快調です!>

荒巻「まだ ワンカットも撮ってないよ。」

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