ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「あまちゃん」128回「おらとママの潮騒のメモリー」

【 連続テレビ小説「あまちゃん」】128回のネタバレです。

あらすじ

映画の撮影が順調に進むアキ(能年玲奈)に難題が立ちはだかる。ラブシーンの撮影が待っていたのだ。相手役のTOSHIYA(勝地涼)は、アキの苦手なタイプで、キスシーンの撮影を目前に困惑。種市(福士蒼汰)も気が気でない。実は、アキと種市はつきあい始めたものの、まだキスしたことがないのだ。種市は、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)とともに、差し入れを口実に撮影現場に乗り込むが…。

128回ネタバレ

テレビ局
『潮騒のメモリー』撮影スタジオ

<『潮騒のメモリー』。 今日は 最も難易度の高いシーンの撮影。 すなわち… ラブシーンです>

回想

種市「キ キ… キスシーンがあんのか?」

アキ「分がんね。 明日 現場行ってみねえと。」

種市「じゃあ キスしねえ可能性も ゼロでは ねえんだな。」

アキ「うん。 台本には『貪るような接吻』って書いてある。」

種市「あるじゃねえか 確実に! しかも 貪られるのか!?」

アキ「ごめん 先輩 仕事だから…。」

種市「仕事じゃ しょうがねえな…。」

アキ「しょうがねえのか。」

種市「いや しょうがなくねえ! 自分とも まだ してねえのに…。」

アキ「してもいいよ。」

種市「い… 今か?」

アキ「おら 先輩好ぎだし 練習も兼ねて。」

種市♬『白い鴎か』

アキ「時間ねえがら早ぐ!」

種市「あ…。」

アキ「見せ物(もん)じゃねえです!」

回想終了

<問題のシーンは 映画中盤の山場です 素潜りの練習をしていたアキは 沖に流され たまたま通りかかった イカ釣り船の漁師 トシヤの助けられる。 廃屋となった網小屋で 夜をい明かす2人。 以前から アキを思い続けていたトシヤは たき火の前で愛の告白をする>

助監督「トシヤ役のTOSHIYAさんから 栄養ドリンクの差し入れ頂きました!」

一同「ありがとうございま~す!」

TOSHIYA「ち~っす! ち~っす! あっ TOSHIYAっす。」

アキ「よろしぐお願いします。」

<TOSHIYAさんは ZOO STREET BOYSという ダンスチームのメンバーで 若者の間では すごい人気で…>

TOSHIYA「俺さ 映画とか見ないしさ 芝居とか興味ないんだけど まあ 1日だけ スケジュール空いたから 出る事にしたんだよね。」

<前髪が個性的で 腰さ 鎖ジャラジャラぶら下げて ムキムキで…>

TOSHIYA「まあ ダンスも演技も 同じ表現だからさ。」

<すいません。 言っちゃいますけど 苦手なタイプです! 何か クネクネしてて いけ好かないダンス野郎です!>

TOSHIYA「うわ~ 超やべえじゃん! このセット!」

(拍手)

TOSHIYA「スタッフ すごいよ! じゃあ ちょっと撮ってよ。」

マネージャー「はい撮るわよ。」

<前髪クネ男(お)と呼ぶ事にしました>

TOSHIYA「これ ちょっと つぶやいちゃっていい? まずい? ちょっとさ ファンクラブのメルマガに…。 駄目っすか~。 超やべえわな これ!」

<こいつと キスすんのか…>

無頼鮨

梅頭「そうそう… いい手つきだ。 ああ 目つきもいいぞ。 いいよ うん。 よし もういいよ。」

種市「…。」

梅頭「もういいよ。 どうした。 種! どうした!? 種! どうした?」

種市「すいません。」

梅頭「すいません。 ランチは 12時から…。 あっ どうも。」

鈴鹿「お茶だけ下さる?」

梅頭「はい。 撮影 お休みですか?」

鈴鹿「そうなのよ。 台本読んでたんだけど 居ても立ってもいられなくて。」

梅頭「え?」

鈴鹿「気になるじゃない。 大事な娘のラブシーンだもん。 ねえ?」

梅頭「あ~ そういう事か。」

鈴鹿「差し入れ 持っていっちゃおうかしら。」

種市「持っていきましょう。 持っていきましょう!」

テレビ局
『潮騒のメモリー』撮影スタジオ

アキ『飛び越えてこい。 おらの事が好ぎなら この火 飛び越えてこい!』。

TOSHIYA『アキちゃん…』。『アキ!』。

助監督「はい カット!」

(カチンコの音)

荒巻「本番は その顔しないよね。」

アキ「え?」

荒巻「『おじいちゃん 入れ歯臭い』みたいな顔になってるから。」

アキ「すいません。」

荒巻「はい。」

助監督「はい 間もなく テスト入りま~す!」

一同「はい!」

TOSHIYA「監督! テストは思いっきり行っちゃって いいっすか? その方が彼女も 気持ち作りやすいと思うんで。 何か 硬いから。」

荒巻「任せるわ。」

TOSHIYA「OK じゃあ 行っちゃいま~す!」

<テストがら すんのが? …という事は 最低2回。 NG出したら それ以上。 先輩とも した事ねえのに なすて 前髪クネ男ど>

助監督「鈴鹿ひろ美さんから 巻きずしと 卵焼きの差し入れ頂きました~!」

TOSHIYA「サンキューで~す!」

(拍手)

アキ「じぇじぇ!」

鈴鹿「ごめんね今日は見学だから。」

アキ「いや 鈴鹿さんは いいけど…。」

種市「俺の事は気にすんな。」

水口「いや 気にするよ。 来ちゃ駄目だろ。」

種市「頑張れよ 天野。 応援してっから。 分がってる。 仕事だから しょうがねえ。」

水口「駄目だって。」

種市「切ってきます 太巻き。」

助監督「テスト行きま~す!」

アキ『飛び越えてこい。 おらの事が好ぎなら この火 飛び越えてこい!』。

回想

アキ「天野 行きます! その火を飛び越えます!」

種市「落ち着け!」

アキ「飛びます!」

種市「駄目だ やめろ 來るな!」

回想終了

アキ『おらの事が好ぎなら この火 飛び越えてこい!』。

種市「天野…。」

回想

アキ「先輩~!」

種市「天野~!」

回想終了

TOSHIYA『アキ!』。

種市「天野!」

種市「天野!」

荒巻「カット!」

(カチンコの音)

鈴鹿「どうしたの?」

種市「あ… おすし切りました。」

鈴鹿「ありがとう。」

荒巻「飯後 本番!」

一同「はい!」

種市「天野…。」

アキ「でも 本番は…。」

種市「分がってる。 仕事だもんな。 応援する。」

アキ「帰ってけろ!」

種市「え…。」

水口「帰れよ!」

鈴鹿「帰りなさい。 ありがとう。」

洗面所

<あ~あ こんな事なら もったいつけるんじゃなかった。 チャンスは なんぼでもあったのに>

回想

アキ「ちょっと!」

(おなかが鳴る音)

回想終了

<天野アキ 19歳。 デビュー作で 早くも 壁にぶつかっていました>

喫茶・リアス

(笑い声)

(携帯の着信)

ユイ「もしもし。」

電話・アキ「助けてけろ ユイちゃん 代わってけろ!』

テレビ局
洗面所

アキ「好きでもねえ 今日 初めて 会った人と キ キ… キスしなくちゃなんねえんだ。 できねえべ! なんぼ イケメンでも できるか!?」

喫茶・リアス

弥生「折り返し電話しま~す。」

今野「え?」

弥生「今は 隣さ旦那いるがら やんだ~。 フフフッ。」

今野「うわっ 危ねえ!」

吉田「弥生さん気持ち悪いですよ。」

ユイ「ごめん ごめん。『電話代わってけろ』って 意味じゃないよね。 うん ちょっと ボケてみた。 フフッ。 …で 何?」

テレビ局
洗面所

アキ「だから 好きでもねえ人と…。」

喫茶・リアス

ユイ「好きでもない人と キスしたくないって事は 好きな人がいるって事か。」

(琥珀が落ちる音)

ユイ「そういう事だよね 違うの?」

テレビ局
洗面所

アキ「実は おら つ つ つきあってる人が…。」

喫茶・リアス

ユイ「種市先輩でしょ。」

テレビ局
洗面所

アキ「じぇじぇ! 知ってたのか!?」

喫茶・リアス

ユイ「何となくね。 フフフッ やっと話してくれたね。 …っていうか そんな事で いちいち 泣きながら 電話してこないでよ!」

テレビ局
洗面所

アキ「ごめん…。」

喫茶・リアス

ユイ「…なんてね。 終わったら 優しくしてもらいなよ。 じゃあね。」

テレビ局
洗面所

アキ「うん。 ユイちゃん ありがとう。(ため息)」

鈴鹿「私も ファーストキスは現場だったな。」

アキ「じぇじぇ! って事は…。」

鈴鹿「『潮騒のメモリー』つまり この場面。 嫌で嫌で しかたなかったけど 現場のマネージャーが説得してくれたの。」

回想

荒巻「女優を 続けていくって事はね 好きでもない人を好きになったり 好きな人を傷つけたり 接吻したり 接吻じゃ済まなかったり それを ずっと続けていくって事なんだ。 もし 耐えられないんだったら 今 やめてしまった方がいい。」

荒巻「だって 不自然だろ。 いくら仕事だからって ファンのためだって 自分に嘘つき続ける仕事なんて 普通じゃないよ。 好きな人を裏切って 評価されるなんて おかしいよ。」

廊下

アキ「それで?」

鈴鹿「やめる事にしたの。」

アキ「じぇ! 女優を?」

鈴鹿「ううん。 正直に生きるのをやめたの。 嘘の世界で 誰かを好きになったり 誰かの母親になったり…。 この本に書いてあるとおりに 生きる事にしたの。」

鈴鹿「私にとって 嘘か本当かなんて どっちでもいい。 見てくれる お客さんが 本当だと思ってくれたら。 そのかわり 嘘は上手につかないと バレちゃうからね。」

アキ「…はい。」

『潮騒のメモリー』撮影スタジオ

荒巻「…っていう訳だからさ ここに来ての それは ないんじゃないかな。」

TOSHIYA「TOSHIYAは やっぱ キスするイメージないんすよね。」

荒巻「おいおい…。」

水口「キスシーンやりたくないとか 前髪野郎が言いだした。」

アキ「じぇ。」

マネージャー「ZOO STREET BOYSは女子高生のファンが多いんです。」

荒巻「知らねえよ。」

TOSHIYA「ZOOファンは純粋な子が多いんで…。」

水口「女だろ? どうせ。 嫉妬深い女とつきあってると 男でも キスNGとか言いだすんだよ。」

荒巻「大体 台本読んでんのか?」

TOSHIYA「読みましたよ。」

荒巻「台本のト書きに 何て書いてあったか言ってみろ。」

TOSHIYA「「おどるよな接吻」。」

荒巻「踊るじゃねえよ 貪るだよ。 感じ勉強しろ バ~カ。」

マネージャー「TOSHIYAは俳優ではなくて パフォーマーですから。」

TOSHIYA「ちっす。」

荒巻「パフォーマーだと?」

アキ「でも テストの時は がっついてきましたよね。」

TOSHIYA「はあ? いや『テストは』って 言ったじゃん。『本番で やるよ』って 言ってないじゃん。 お前がさ 心開かないから ちょっと ふざけただけじゃん。 超怒ってるよ。 超プンプン顔だな。 TOSHIYAさ 笑顔与えられなかった事ある? ないじゃん。 異例だよね。」

無頼鮨

梅頭「えっ じゃあ してないの?」

水口「はい。 カメラの角度とかで なんとか ごまかして撮りました。」

無頼鮨前

アキ「先輩。」

種市「おう お疲れ。」

アキ「卵焼き うめがったです。」

種市「そうか。」

<2010年 秋 現時点で一番好ぎな男性に 無事ファーストキスを 届ける事ができました>

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