ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「あまちゃん」130回「おらとママの潮騒のメモリー」

【 連続テレビ小説「あまちゃん」】130回のネタバレです。

あらすじ

映画「潮騒のメモリー」の撮影は、いよいよ最終日に。アキ(能年玲奈)は、母親役・鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)とのクライマックスシーンに臨む。アキはかつて、自分が北三陸を離れて上京する際、夏(宮本信子)と交わした言葉を思い出す。すると、鈴鹿が予想外の演技をしだして…!? そして、クランクアップを迎えたころ、春子(小泉今日子)が北三陸から戻る。春子はアキの恋愛問題で、水口(松田龍平)に激しく詰め寄る。

130回ネタバレ

スリーJプロダクション

<ママが北三陸から 帰ってきた日『潮騒のメモリー』最終日の 撮影が行われていました>

『潮騒のメモリー』撮影スタジオ

荒巻「よ~い! スタート!」

(カチンコの音)

アキ『母ちゃん!』。

鈴鹿『アキ!』。

アキ『母ちゃん』。

鈴鹿『来てくれだが?』。

アキ『うん。 でも すぐ行がねえと。 連絡船が出るんだ』。

鈴鹿『あの男ど 一緒に行ぐのか』。

アキ『おら 一人で生きていぐ』。

アキ『母ちゃんのように 強(つえ)え女になる』。

鈴鹿『そうか』。

アキ『母ちゃん』。『親孝行でぎなくて ごめんなさい』。

荒巻「あ…。」

助監督「カットかけますか?」

鈴鹿『ちょっと待でや』。

荒巻「続けろ。」

助監督「もう 使えないっすよ。」

荒巻「何で?」

助監督「鈴鹿さん 瀕死の設定だし まさか 出ると思ってないから 下 ジャージだし。」

荒巻「逃げろ 逃げろ!」

助監督「パンして パン。」

水口「芝居続けろ アキちゃん。」

助監督「パン!」

アキ『母ちゃん 寝てなきゃ駄目だ 母ちゃん!』。

助監督「やべ! やべ!」

荒巻「どうした?」

助監督「まさか 開けると思ってないから 美術部の備品しか 入ってないっす ペンキとか 刷毛(はけ)とか。」

荒巻「映すな。 逃げろ!」

鈴鹿『この先 つらい事があったら これで 涙拭ぎなさい』。

回想

夏「この先つれえ事があったら こいつで涙拭け。 そんで思い出せ。 寒い朝 浜さ出て潜った時の事。 あれより つれえ事は まず ねえから。」

アキ「夏ばっぱ!(泣き声)」

回想終了

鈴鹿『ああ 今でねえバガ! 東京さ行ってからだ』。

アキ『母ちゃん。 ごめん 母ちゃん』。

鈴鹿『アキ 達者でな』。

荒巻「はい カット!」

鈴鹿「お疲れ アキ! よかったよ。」

アキ「ずれえ! ずれえよ 鈴鹿さん!」

鈴鹿「ごめん ごめん あんたの顔見てたら 続けたくなっちゃった。」

アキ「(泣き声)」

鈴鹿「あ 駄目駄目駄目 拭いちゃ駄目! ペンキ付いちゃう!」

助監督「チェックしま~す!」

鈴鹿『この先 つらい事があったら』。

荒巻「ああ タオル見えちゃってる。」

水口「タオルから逃げると ジャージーが。」

荒巻「これ使えねえな。 鈴鹿さん もう一度 撮り直しません?」

鈴鹿「もう無理。 できません。」

荒巻「ですよねえ。」

鈴鹿「私の芝居なんか どうでもいいのよ。 彼女のリアクションさえ 撮れてれば。 ここ!」

鈴鹿『ああバカ! 今でねえ 東京さ行ってからだ』。

荒巻「ほんじゃOK!」

助監督「という事は ただいまのカットをもちまして 天野アキさん全編オールアップで~す!」

(拍手と歓声)

荒巻「お疲れさまでした!」

アキ「ありがとうございます。」

鈴鹿「お疲れさま!」

アキ「ありがとうございます。」

助監督「それでは 天野さんから ひと言!」

アキ「最初は迷惑…。 迷惑ばかり かけてしまって。 もう 監督 おっかねえし! 鈴鹿さん やがましいし 面倒くせえし。 ラブシーンやりたぐねえし こんな映画 誰が見るんだとか。」

水口「アキちゃん!」

アキ「でも よく考えたら おら 鈴鹿さんに憧れて この『潮騒のメモリー』が やりだぐて この世界さ入ったので んだから 私を選んでくれた 太巻さんは 大したもんだと思います。」

水口「アキちゃん。」

アキ「一度は ポンコツのガラクタ扱いされた おらを 拾ってくれで どうもありがとう。 それから鈴鹿さんは 何だべ? 面倒くせえ…。 面倒くせえところを直せば もっといい女優になれるど 思います。」

水口「お疲れさまでした!」

モニター・アキ『最後に一つだけ ここさ いねえけど おらのママにも ママには 随分 ブス ブス言われたけど それを言って許されるのは ママだけなので』。

春子「アキ…。」

アキ「大したもんだと思います。」

水口「もうお疲れさまでした!」

アキ「ありがとうございました。」

水口「ありがとうございました。 お疲れさまです!」

<こうして 1か月半に及ぶ撮影は 無事終了しました>

水口「太巻さん! 今回は 本当に お世話になりました!」

荒巻「お疲れさん! 打ち上げ 来れんだろ?」

水口「はい。 あの 俺 ホントに 不義理をしてしまいました。」

荒巻「うん うん うん。 まあ あとは打ち上げで。」

水口「実は 社長が挨拶したいって 来てるんですけど。」

春子「天野です。 この度は 娘が 大変お世話になりまして。 なんと お礼を言っていいのか 分からないので 言いませんけど。」

荒巻「うん そうね。 とりあえず 打ち上げで。」

春子「そうね まだ ギャラの話も してないんでしょう?」

荒巻「それも打ち上げでね。」

アキ「ママ!」

春子「ああ! 打ち上げ楽しみにしてます。」

荒巻「ウフフフフ! 打ち上げ行きたくねえ!」

アキ「いつ帰ってきた?」

春子「朝一の新幹線で。」

アキ「夏ばっぱは?」

春子「もう だいぶ元気。 歩く時は つえついてるけど 今日から ウニ丼復活だって。」

アキ「じぇじぇじぇ!」

春子「で… もう帰れんの?」

アキ「それが鈴鹿さんと おすし 食べに行く約束しちゃって。」

春子「おすし?」

回想

春子「アキ 何? 彼氏いんの? 彼氏いんの? 誰 誰 誰?」

ユイ「痛い 痛い! 春子さん 荒っぽい!」

春子「ねえ! もしかして板前?」

ユイ「『板前』? ああ 板前 板前!」

回想終了

アキ「え? 駄目?」

春子「ううん 全然。 そうか! じゃ 行ってらっしゃいな。 はい 着替えてらっしゃいな。」

(笑い声)

春子「水口君 ちょっと来て!」

水口「はい。 何すか?」

無頼鮨

水口「という訳で お母さんにバレたっぽい。」

種市「じぇじぇ!」

梅頭「種!」

種市「え? あ すいません!」

梅頭「ようやく板場の修業に 入ったんだよね。 これ初めてのお造り。」

梅頭「あれ?」

水口「いや~ さすが元スケバン 追い込み方 半端なかった。」

回想

春子「いいから! はいはい えっと! ちょっと 眼鏡外してみてくれる?」

水口「え?」

春子「いいから。 あんたがついてて どういう事よ!」

水口「すいません。」

春子「ねえ! 分かってるよね? 来年の夏まで 恋愛禁止っていう条件で 予備校のCM受けたよね! ねえ 水口! ねえ水口! 水口! 水口! こら水口!」

水口「でも…。」

春子「『でも』じゃねえんだよ!」

水口「でも 2人はプラトニックです!」

春子「『プラトニック』って? 神に誓って じっちゃんの名に懸けて プラトニックですから。」

春子「『じっちゃん』って誰だよ!『じっちゃん』って誰だよ!」」

水口「あ! あっ!」

回想終了

水口「という訳で 来年まで プラトニックで頼むわ。」

種市「自分(ずぶん) キスしちゃいましたけど。」

水口「聞いてねえよ。」

梅頭「よそ見すんな 種!」

種市「あ…。」

水口「調子乗ってんじゃねえぞ! この野郎 種!」

種市「はい。」

梅頭「種 種 言われてんだ種 この野郎!」

種市「すいません!」

水口「種! 手動かせ! この野郎!」

種市「すいません!」

<おらの大事な先輩が『種! 種!』と ひどい扱いを受けている頃 鈴鹿さんと2人だけで ささやかな打ち上げを やってました>

鈴鹿「ありがとう。」

アキ「今日は おらに おごらしてけろ。」

鈴鹿「そんな 悪いわよ 天野さん。」

アキ「いいがら いいがら。 大将! 適当に握ってけろ。」

梅頭「はいよ!」

鈴鹿「天野さん よく逃げ出さなかったわね。 ご立派!」

アキ「だって 鈴鹿さん 家まで 押しかけてくんだもの。 逃げるに 逃げらんねえべ。」

鈴鹿「そうね ハハハハ!」

アキ「とにかく必死でした。 才能が ねえがら。」

回想

鈴鹿「話し相手としては面白いし いてもらえると助かる。 でも 女優は駄目。 向いてない。」

回想終了

アキ「あの言葉 案外おらの中では 重くて 鈴鹿さんに認めてもらうには 鈴鹿さんと共演するしかねえって 思って オーディション受けました。 で… どうですか? 女優として 天野アキは。」

鈴鹿「駄目ね やっぱり向いてない。」

アキ「そうですか。」

鈴鹿「ごめんね 嘘言っても しかたないから。」

アキ「ですよね。 今日だって 結局 助けてもらって。」

鈴鹿「そうね。 まあ 確かによかったけど でも あれは 鈴鹿アキじゃなくて 天野アキだったもんね。天野アキがよかったのよ。」

アキ「え?」

鈴鹿「今 日本で天野アキを やらせたら あんたの右に出る女優は いません。 だから続けなさい。 向いてないけど… 向いてないけど 続けるっていうのも 才能よ。」

アキ「母ちゃん。」

鈴鹿「母ちゃんじゃないわよ! もう終わったんだから。」

アキ「すいません! うれしい。 おら やっていがった。」

種市「お話し中すいません。 自分 初めてのお造りです。」

鈴鹿「はあ!」

アキ「わあ~!」

種市「どうぞ!」

梅頭「サービスです! どうぞ。」

鈴鹿「頂きましょう!」

アキ「うん! うん! うめえ!」

鈴鹿「フフフ!」

種市「いがったあ! ありがとうございます。」

レコーディングスタジオ

<その年の暮れ 主題歌の レコーディングが行われました>

河島「じゃ 音出ます!」

♬~(『潮騒のメモリー』)

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