【 連続テレビ小説「あまちゃん」】140回のネタバレです。
あらすじ
アキ(能年玲奈)は町を歩いてまわり、あらためて震災の被害の大きさに息をのむ。それでも潜り続ける北の海女たち。その笑顔の裏に隠された心の傷に気づき、心を痛めたアキは、浜辺に放置されている漁網を見つけ、復興のミサンガを作ることを思いつく。
140回ネタバレ
海
回想
ユイ「私は いいや。」
アキ「いいって?」
ユイ「だから もう 表舞台に立つのは いいって意味。」
回想終了
<何が ユイちゃんを 変えてしまったのか。 アキは 自分の目で確かめたかった。 震災から 4か月がたっても 港には 船が 一艘もなく 閑散としていました>
回想
ユイ「ミス北鉄とか 潮騒のメモリーズとか 歌ったり 踊ったり 潜ったり それは 私にとって 今 できる事じゃないし やるべき事でもないからさ。」
回想終了
畑野トンネル
大吉「足元さ 気を付けろ。」
アキ「うん。」
<この中に ユイちゃんは 車両ごと 閉じ込められたんだ>
回想
大吉「見るな…。 ユイちゃん 見ては駄目だ。」
ユイ「もう遅い。」
回想終了
<言葉を失いました。 あの日 ユイちゃんが見た景色は こんなもんじゃなかったはず>
<それも含めて アキは ユイが負った心の傷の深さを 思わずには いられませんでした>
灯台
<ユイちゃんだけじゃない。 夏ばっぱも 海女クラブの皆さんも 勉さんも 大吉さんも 菅原さんも… みんな みんな 多くのものを失い それでも笑ってるんだ>
浜
アキ「痛(いて)っ!」
夏「どうした? アキ。」
アキ「夏ばっぱ これ何?」
夏「あ? ああ 網だ。」
袖が浜漁協 仮事務所
アキ「花巻さん これで ミサンガ作るべ!」
花巻「あ?」
アキ「復興祈願のミサンガ 作べ!」
長内「底引き網で ミサンガ?」
アキ「んだ。 ミサンガの材料が高くて 買えねえって 観光協会の栗原さん 言ってたべ? んだから…。」
かつ枝「アキ それは 駄目だ。」
アキ「なすて? よぐ見だら きれいだし ただ捨てるには もったいねえべ。」
花巻「違う。 捨てるに捨てられず 置いてあるのだ。」
磯野「海ん中にも岩に絡まった網が いっぺえ あるんだど。」
アキ「もったいねえな…。」
長内「アキちゃん 底引き網には 漁師の魂が宿ってんだ。 神聖なもんなんだ。」
夏「だったら なおさら ほっとく手は ねえべ。」
かつ枝「夏ばっぱ!」
夏「網で作るから 意味があるんだ。 手首さ巻いた ミサンガ見る度によ『ああ 一日も早ぐ 漁さ出るべ』って気になるべ。 それが 復興のシンボルだ。 しかも 売り上げで 新しい網が買える。 ヘヘヘッ 一石二鳥だ!」
美寿々「金 取んのか?」
夏「当たりめえだ。 転んでも タダじゃ起きねえ 北三陸だぞ!」
かつ枝「よし! アハハハッ!」
長内「さすが 夏ばっぱだ!」
弥生「これ 一つ試しに作ってみっぺ。」
美寿々「これ 何センチだ? 生臭(なまぐせ)えな まだ これ。」
夏「早ぐしろ!」
スナック・梨明日
勉「お願いします。」
弥生「はい。」
ヒロシ「うわっ!」
弥生「ヘヘヘッ…。」
ヒロシ「ちょ ちょ…。」
一同「お~!」
大吉「いいねえ! 復興祈願 海女のミサンガ パート2 いぐねえ?」
(拍手)
アキ「…っていうか 何で ストーブさんの手さ結んだの?」
弥生「ごめん。 何か 一番 幸薄い顔してたから。」
一同「ああ~。」
北三陸駅
アキ「こんにちは! 帰ってきた海女のアキちゃんです。 この度 北三陸市と北鉄が協力して…。 ごめん 止めて。」
ヒロシ「何 何?」
アキ「おら一人じゃ 物足りねえべ。 やっぱり ユイちゃんも…。」
ユイ「私は いいの。 アキちゃん 芸能人なんだから 自信持って。」
アキ「…分がった。」
アキ「この度 北三陸市と北鉄が協力して 復興祈願 海女のミサンガを作りました! こっちが 新バージョンです!」
無頼鮨
種市「じゃあ 弥生さんや かつ枝さんが作ってんのか これ。」
天野家
アキ「いや 先輩さ送ったのは おらが作った。
無頼鮨
種市「あ… いがった。 弥生さんや かつ枝さんの 願い込められても… 困るからな。」
天野家
電話・種市『ありがとう。』
無頼鮨
種市「元気か?」
天野家
アキ「うん。 北鉄は一駅しか動いてねえし 漁船も出てねえけど みんな元気だ。」
無頼鮨
種市「『みんな』でなくて 天野の事 聞いてんだけど。」
天野家
アキ「ああ ごめん。」
無頼鮨
電話・アキ『あっ 磯野先生から 連絡ねがった?』
種市「いっそんから?」
天野家
アキ「潜水土木科の後輩と一緒に 海底調査やってんだ。 帰ってきて 手伝えって。」
無頼鮨
種市「んでも もう何年も潜ってねえし 板前になるって決めたからな。 うん お盆に帰るって いっそんさ伝えてけろ。」
天野家
アキ「お盆か… 早ぐ会いでえな。」
無頼鮨
種市「うん 自分もだ。」
天野家
アキ「また 電話してけろ。」
無頼鮨
種市「うん。 じゃあな。」
天野家
夏「電気代も電話代も もったいないべ。」
アキ「ばっぱ…。」
夏「よ~し 晩飯でも作るか。」
アキ「夏ばっぱは怖ぐねえの?」
夏「怖い? 何が?」
アキ「海だ。 津波 見たんだべ?」
夏「見たよ 高台からな。」
アキ「潜りだぐねえとか思わねえの?」
夏「潜らなければ どうやって生きていくんだ?」
アキ「リアスもあるし ミサンガ作れば 小遣い稼ぎになるべ。」
夏「それじゃあ張り合いねえな。」
アキ「もともとが忙しすぎるんだよ 夏ばっぱ。 もう 67だべ? 四捨五入したら 100歳だべ!」
夏「どこで 四捨五入してんだ。」
アキ「また 体 壊したら 大変だべ。 今度は ママいねえし みんな 自分の事に精いっぱいだ。 ウニ いねえし せめて潜るのは やめたらどうだ?」
夏「…。」
アキ「おら 見ちまったんだ。 流された船とか 車とか ひん曲がった線路とか…。 あんな光景 見たら 普通 逃げ出したくなるべ。」
夏「いいか アキ。 海が荒れて 大騒ぎしたのは 今度が初めてじゃねえ。 50年前の チリ地震の時も 大変な騒ぎだった。 まさか 生きてるうちに もう一回 怖い目に遭うとは 思わねがった。」
夏「でも… だからって 海は怖(こえ)えって決めつけて 潜るの やめて よそで暮らすべなんて おら そんな気には なんねえ。 みんなも そうだ。 例えば 漁協のかつ枝と組合長な…。 一人息子が 19の時に 波に のまれてよ。 その 遺影だの 遺品だの 全部流されて…。」
袖が浜漁協 仮事務所
磯野「痛い 痛い 痛い 痛い…!」
かつ枝「な な な… 何!?」
磯野「体毛も一緒に 編みこんでしまいました!」
かつ枝「バカだなあ!」
(笑い声)
天野家
夏「それでも ここで笑ってる。 笑って暮らしてる かつ枝と長内さんにさ おめえ『ここに いたら 危ねえよ』だの『海から離れて暮らせ』だの 言えるか?」
夏「おら 言えねえよ。 おらだって もし ここ離れたら 忠兵衛さん どこに帰ってくるんだ? 高原のログハウスか? それとも 世田谷のマンションか?」
アキ「似合わねえな。」
夏「フフッ だから ここで待ってるしかねんだ。 忠兵衛さんと 引き合わせてくれた海が おらたち家族の おまんま食わせてくれた海が 1回や2回 へそ曲げたぐらいで よそで暮らすべなんて おら はなっから そんな気持ちで生きてねえど。」
アキ「うん。」
(笑い声)
かつ枝「いるか~?」
夏「あららら…。 噂をすれば 北三陸のベストカップル!」
かつ枝「何? 誰と誰?」
アキ「組合長と眼鏡会計ばばあだ!」
かつ枝「何!? この野郎!」
磯野「天野 天野! ほれ ほれ ミサンガ! これ 種市さ送ってやれ!」
アキ「ありがとう。」