【 連続テレビ小説「あまちゃん」】154回のネタバレです。
あらすじ
アキ(能年玲奈)や春子(小泉今日子)が見守る中、会場に鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の歌声が響き渡る。かつて鈴鹿の替え玉としてこの曲を歌った春子は、過去の記憶と複雑な思いがよみがえる。一方、コンサートに来ると言っていた忠兵衛(蟹江敬三)の姿が見えず、心配した夏(宮本信子)は、正宗(尾美としのり)と一緒に探すが…。
154回ネタバレ
海女カフェ
鈴鹿♬『来てよ その川 乗り越えて 三代前から マーメイド 親譲りの マーメイド マーメイド』
美寿々「何つった? 今。」
かつ枝「『三代前から マーメイド』だど。」
美寿々「三代前?」
かつ枝「夏ばっぱの事だべ。 あの野郎 さでは 最初っから決めてたな。」
鈴鹿♬『嫌いよ』
(拍手と歓声)
黒川「もう始まっちゃいました?」
大吉「おう マサ 来たのかい?」
菅原「残念~! たった今 本編は終わってしまいました。」
黒川「え~!」
吉田「ご心配なく アンコールもありますから。 ま 民話の読み聞かせですけどね。」
黒川「歌~! 歌が聴きたかった~!」
大吉「あ~ 最高だったな!『潮騒のメモリー』。」
吉田「さすが ブランクを感じさせない 歌声でしたね!」
黒川「春子さんがでしょ? 春子さんが歌ったんでしょ?」
菅原「ちょっと ちょっと! 何 言ってんの この人は! 今日は 鈴鹿ひろ美のリサイタルだよ。」
吉田「んだ んだ! なんぼ声だけでも 鈴鹿ひろ美と 春子さんの 違(ちげ)えぐれえ分かるべ! バカにすんな!」
黒川「よかったですよね。」
大吉「ああ 最高だった。」
黒川「やっぱり 春子さんだ。」
大吉「おいマサ いい加減にしろ しつこいぞ マサ。」
観客「アンコール アンコール アンコール!」
(歓声)
荒巻「大した人だよ。」
春子「ホントだよね! よりによって 私の地元でさ。」
荒巻「しかも 東北の復興支援だよ。 うまくいったから よかったようなものの 脇汗すごいよ。 押さえてないと あふれちゃうよ。」
鈴鹿「今日は いかがでしたか? 皆さん 楽しんで頂けましたか?」
観客「最高! 最高だ~!」
春子「わざとだったりして。」
荒巻「わざと? え?『わざと』って何? わざとで うまくは 歌えないでしょう。」
鈴鹿「今回の 東北チャリティーツアーは どうしても この北三陸から 始めたかったんです。」
春子「今日じゃなくて 今までがよ。」
荒巻「え?」
鈴鹿「事務所の代表が こちらの出身で。」
観客「お~!」
荒巻「わざと下手に? どうして?」
鈴鹿「彼女とは 若い頃からの腐れ縁で その娘さん そうです この海女カフェをつくった いらっしゃい! 天野アキちゃん!」
かつ枝「アキ!」
(拍手と歓声)
鈴鹿「北鉄の ミス ユイちゃん!」
(拍手と歓声)
鈴鹿「アキちゃんとは 映画でも共演したし おばあちゃんの夏さんには…。」
かつ枝「あ 夏ばっぱ さっきまで ここで聴いてたぞ! 最高だって!」
春子「言ってましたよね 確か 歌手志望じゃなかったって。」
鈴鹿「アイドルと呼ばれていた当時も 実は 歌が苦手で…。」
観客「え~!」
鈴鹿「歌番組も 何度か出ただけ。」
春子「でも 駆け出しのアイドルだったから 断れなくて。」
荒巻「しかたなく わざと下手に 最初から?」
鈴鹿「人前で歌うなんて もっての外。 はい。」
春子「な訳ないよね! やだやだ 知りたくない! ていうか 考えたくない!」
荒巻「おいおい おいおい。」
春子「でも 万が一 そうだとしたら?」
鈴鹿「だから 初めてなんです。 初めて自分の意志で ステージに立って歌を。 ず~っと 封印していた歌を 歌いたい。 皆さんに 笑顔を届けたいと思って 来ました。」
(拍手と歓声)
春子「プロだわ!」
(拍手と歓声)
鈴鹿「そう思わせてくれた 天野家の皆さん そして 北三陸の皆さん 本当に ありがとうございました。」
(拍手と歓声)
アキ<果たして本当に 猛練習の成果なのか たまたま大当たりか あるいは もともと歌える人だったのか 真相は 本人にしか 分かりません。 とにかく チャリティーリサイタルは大盛況>
鈴鹿「お名前 何というんですか?」
アキ<終演後は 急きょ サイン会が行われました>
ヒロシ「どうも ありがとうございました。」
「こんにちは。」
「こんにちは。」
黒川「お母さん!」
夏「ああ! 正宗さん。」
黒川「どうかしました?」
夏「恥ずかしい。 忠兵衛さん 見当たらなくて。」
黒川「え?」
夏「いやいや 必ず行くって言うから 待ってたのに。」
回想
黒川「お父さんは どこ行くんです?」
忠兵衛「どこって おめえ また漁さでるのよ。」
黒川「何で今日?」
忠兵衛「今日 船が出るからよ。」
黒川「だけど 明日は 海開き 北鉄の開通式。 今日は その前夜祭ですよね。」
忠兵衛「だから 今日なんだ。 地震もあったし 心細いかと思って 帰(けえ)ってきたのによ みんな忙しくて おらなんか ほったらかしだ! 頭さ来たがら 誰にも会わねえで行くわ。 はっ ざまあ見ろだ~!」
黒川「お父さん お父さん あの1分だけ お時間いいですか?」
忠兵衛「何だよ?」
黒川「1分です。 僕たち やり直す事にしました。 お騒がせしました!」
忠兵衛「そうか!」
黒川「はい。 あ 時間余っちゃった。」
忠兵衛「正宗君も 苦労するなあ! 春子は俺のDNAと 夏さんのDNAのブレンドだからよ。 一筋縄じゃいかねえもんな。」
黒川「はい。」
忠兵衛「油断すんなよ! 人生を航海に例えると 1回目より 2回目の方が 危険を伴うからよ。」
黒川「はい!」
忠兵衛「行くべ!」
黒川「はい! あ お持ちします!」
回想終了
黒川「一緒に捜しましょうか? ねえ お母さん。」
夏「あ 浜の方かも分かんねえな。 行くべ 行くべ!」
浜
鈴鹿♬『置いていくのね さよならも言わずに 再び会うための 約束もしないで 北へ行くのね ここも北なのに 寒さこらえて 波止場で待つわ』
夏<私と正宗さんが 忠兵衛さんを捜している そのころ>
海女カフェ
今野「春ちゃん こっち こっち! これ これ どうだべ?」
春子「あ~ どうかな! ま いいんじゃない? 鈴鹿さんの年 考えると ちょっと派手だけどね。」
今野「いやいや 鈴鹿ひろ美のは こっちだ。」
春子「安部ちゃん 丈 大丈夫なの? 安部ちゃん 結構 背高いよね?」
安部「おらは 文欽高島田。 フフ!」
春子「じゃ これ誰が着んのよ?」
今野「春ちゃんだ!」
春子「私!?」
大吉「ほら おらたちと 鈴鹿ひろ美さんが 合同で披露宴やる事になってるべ。 それで せっかく 春ちゃんと 正宗さんもいるし 2組も3組も一緒だべっつって 急きょ おらが 発注かけたんだ!」
春子「え!」
弥生「衣装代 まけっからよ。」
春子「いや いや いや 無理だ。」
大吉「マサのタキシードもあるんだ。」
春子「いや いや いや! 無理 無理 無理 無理 無理!」
安部「え~!」
大吉「頼むじゃ 春ちゃん 縁起物だべ!」
かつ枝「着ろって! 夏ばっぱ 喜ぶ顔 見たくねえのか!」
春子「今更 こんなの着ても 喜ばないってば!」
夏「あ~!」
弥生「夏ばっぱ 具合でも悪いのか?」
かつ枝「どうした?」
夏「あ~ 忠兵衛さん 行っちまった。 沖さ 行っちまった。 黙って行っちまった。」
一同「じぇじぇじぇ!」
黒川「ごめん。 誰にも会わずに 行くって。」
夏「やっと 帰ってきたと思ったら よりによって 海開きの前の日に 北鉄も まだ走ってねえのに。」
春子「夏さん…。」
黒川「引き止めるべきでした。 すいません!」
夏「いやいやいや! 行ぐなって言っても やっぱし行ぐ。 行けって言っても行く。 あ~ ああ! 何してんだ おめえたち?」
一同「いや いや いや!」
かつ枝「ほらほら いつもの 管巻け 管巻け。 いつものな! あんでもねえ こんでもねえって。」
夏「管巻くか!」
黒川「お母さん ホントにすいませんでした。」
アキ「ママ お座敷列車の練習するから 見で!」
ユイ「え? 何かあったんですか?」
春子「アキ。」
アキ「何?」
春子「ママの花嫁姿見たい?」
アキ「え?」
安部「見たくない?」
今野「見たい?」
アキ「見でえ!」
(歓声)
アキ「見でえ!」
春子「ユイちゃん 見たくないもんね!」
ユイ「見でえ!」
(笑い声)
菅原「え~ それでは お待たせしました! 新郎新婦たちの入場です!」
(拍手と歓声)
アキ<という訳で ママたちも急きょ 結婚式を 挙げる事になりました>
(拍手と歓声)
アキ<バージンロードを歩く 6人の中年。 みんな何となく 半笑いでした。 おらも こんなに面白(おもしれ)え結婚式は そうそう ねえと思う。 でも 時間もったいねえし この人たちを ご存じねえ方には さっぱり面白ぐねえだろうから ざっとダイジェストで お見せしますね。 新婦さんは 北三陸市には いねえので 勉さんに お願いしました>
勉「病める時も 健やかなる時も 永遠の愛を誓いますか。」
大吉「(泣き声)」
アキ<大吉っつぁんは うれしいのか悔しいのか 基本 泣きっ放し 安部ちゃんは謝りっ放し>
大吉「誓います!」
春子「安部ちゃんでしょ 向こう 向こう!」
安部「すみません。」
アキ<この町の人じゃない 鈴鹿さん 太巻さん夫妻も 何だか うれしそう。 一方 パパとママと 夏ばっぱは。 どんな顔していいか 分がらねえようです>
勉「それでは 誓いの口づけを…。」
春子「ないから ないから! ないから ないから!」
(拍手)
春子「ないない ないよ!」
勉「じゃあ 指輪の交換です。」
(指輪が落ちる音)
一同「あ~!」
(拍手)
アキ<とりあえず『おめでとう!』しか言えねえ>