ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「あまちゃん」1回「おら、この海が好きだ!」

【 連続テレビ小説「あまちゃん」】1回のネタバレです。

あらすじ

2008年夏、高校生の天野アキ(能年玲奈)は、母・春子(小泉今日子)の故郷・岩手県北三陸市を初めて訪れる。春子は、高校生のときに家出して上京したきりだったが、「母危篤」の知らせを受け、24年ぶりに娘を連れて故郷に戻ってきたのだ。東京育ちのアキには、風景や人々の言葉など、すべてが新鮮に映る。最も衝撃を受けたのは、さっそうと海に潜る海女の姿だったが、それは危篤のはずの祖母・天野夏(宮本信子)だった…。

1回ネタバレ

岩手県北三陸市

1984年(昭和59年)

市長「本日は この記念すべき日を 迎える事が できた事に 感極まる思いであります。 北三陸鉄道リアス線の開通は 住民にとって 明治以来の悲願でございました。」

(歓声)

春子「すいません。 どいて下さい。 すいません 通して下さい。 通して下さい! すいません! 通してもらって いいですか!? どいて下さい。 どいて下さい! 通して下さい!」

大吉「あっ 春ちゃん!」

春子「もう どいていよ! 邪魔!」

(歓声)

アナウンス「申し訳ないです! すいません!」

<1984年 北三陸鉄道が開通した その日 娘は 町を出ていきました。 ちまたでは 当時 こんな歌が 流行っておりました>

♬『時間の国のアリス』

♬『涙のリクエスト』

♬『俺ら こんな村  いやだ 東京へ出るだ』

大吉「出発進行~!」

(ホイッスル)

2008年(平成20年)

<それから ちょうど 24年後 2008年 夏>

天野春子「アキ? 行くよ。」

<春子は この町へ帰ってきました。 一人娘のアキを連れて>

(キツネの鳴き声)

アキ「あっ…。」

大吉「春ちゃん! お帰り~!」

春子「アキ 行くよ!」

アキ「あっ うん!」

大吉「段差! 段差 気ぃ付けろ 春ちゃん! お~い 鈴木のばっぱ! これ 誰だど 思う?」

鈴木「いや分がんね。」

大吉「春ちゃん! 袖が浜の春ちゃん!」

春子「ご無沙汰してます。」

鈴木「あら~ 夏さんどごの! 何だや きれいになって~!」

春子「いえいえ…。」

鈴木「これこれ 斎藤のじい様 誰だが分がっか?」

斎藤「うんにゃ 分がんねえ。」

春子「袖の春子です。」

斎藤「ありゃ 夏さんどごの!」

大久保「これ 駅長さん 誰だが分がっか?」

大吉「分がんねえ!」

(笑い声)

大吉「懐かしいべ? ヘッヘッヘッヘッ…。」

<春子を 24年ぶりに呼び戻したのは 大吉が送った こんなメールでした>

<それから 大吉は 矢継ぎ早に こんなメールを送り続けました。 その数76通>

<そして 春子は 24年ぶりに帰ってきました>

菅原「うん? あれ? 一緒にいるの あれ 誰だべ?」

大吉「こっち こっち! こっち こっち!」

春子「…っていうか ここ 病院じゃないよね。」

大吉「まあまあ… 観光協会さ 顔ださねば 角が立つから。 ささささ…。」

<東京から北三陸へ行くには 新幹線とバスを利用するのが 一般的です。>

<北三陸鉄道を使う場合 仙台で仙石線に乗り換え 石巻線 気仙沼線を乗り継ぎ 気仙沼で大船渡線に乗り換え 盛で 南三陸リアス線に乗り換え 釜石で山田線に乗り換え 宮古で 北三陸リアス線 通称 北鉄に乗り換えて…。 要するに すごく面倒くだい。 だからこそ わざわざ来た人に 地元の人は 決まって こう言います>

菅原「遠いところ わざわざ。」

春子「新幹線でも よかったんですけど この子 三陸初めてだから。」

保「あ~ んだの。 あっ 海 きれいだったべ?」

アキ「はい!」

春子「山側だったからね。 あんまり見えなかったね。」

<そして 会話が途切れます。 口下手だからでは ありません。 景色以外 取り立てて 話題がないのです>

大吉「春ちゃん こいつ 高校の同級生の菅原。」

保「いや いいですよ 先輩。 多分 あの… 覚えてねえから。」

大吉「春ちゃんの事 ずっと好きだった 菅原…。」

保「や~め~でってば! 覚えてねえもんね。 ねえ?」

春子「ああ… ああ。」

保「ほら 覚えてねえべな。」

春子「そろそろ ねっ? あの… 母が入院してて。」

しおり「えっ リアスのママが!?」

春子「はい。」

しおり「いづ? どこの病院さ?」

大吉「あっ いやいや… また改めて寄っから! さっ 行くべ!」

道中

大吉「見てみろ。 人っ子一人歩いてねえべ。 車 ビュンビュン走ってんのによ。 これが モータリゼーションの実情よ。」

アキ「モ… モータリ?」

大吉「モータリゼーション 車があれば 電車など要らねえって考え方な。 ほれ あそこに ジーンズショップあったべ?」

春子「うん。」

大吉「潰れで カラオケボックスになって それも潰れで 100円ショップになって潰れだ。 100円ショップが潰れだら 町は おしまいだじゃ。」

大吉の しみったれた 話を聞きながら アキは 初めて会う おばあちゃんの事を 考えていました

春子「そっち行ったら 病院 遠くなるでしょ?」

大吉「うん…。 病院の前に袖が浜の漁協に…。」

春子「漁協には 用ないですから。」

アキ「うわ…。」

大吉「すげえべ? これが 北リアス海岸よ。」

<春子の生まれた 袖が浜地区は 海沿いの集落です。 北三陸駅から 僅か数kmですが 言葉も文化も 大きく違います。 この辺りでは『袖の女は気性が荒くて おっかねえ』といわれています>

漁協

大吉「お~い! 春ちゃん 帰ってきたど~!」

弥生「おまえ、春子か!?」

春子「はい…。」

弥生「こりゃ、驚いた! すっかり、大人になって」

かつ枝「そりゃ、そうだ  20年前に出たっきりだもの」

弥生「崖下の集落の、かつ枝さん おまえがドブに落ちた時 助けてあげたでしょう」

春子「弥生さんも かつ枝さんも お変わりなく。」

かつ枝「何も変わんねえだ。」

安部「食ってみっが?」

アキ「まめぶって 何ですか?」

安部「黒砂糖とクルミを入れた団子を 人参、豆腐、ごぼう、しめじを しょう油で味付けして煮たものだ」

長内「この辺りだば まめぶ食わねば年が越せねえんだ。」

大吉「ささっ そこさ座って 食え。」

大吉「最初は そういう反応だよね。 甘さと しょっぱさが 口の中で 緊急会議を開くよね。 結論としては…? 微妙だよね~! うん。 でも だんだん好きなる! だんだん好きなれ~!」

アキ「あっ おいしい。」

大吉「ほれ 好きになった! ハッハッハッ!」

美寿々「夏のとこの孫だそうだな そんなら、急いで家に帰って ばあちゃんに顔をみせなさい」

アキ「え… えっ?」

春子「いや… おばあちゃん 病気なんですよ。」

かつ枝「またまた、バカを言うな 風邪ひとつ 引いたことないのに」

春子「いやいや… 危篤なんですよ。」

長内「じぇじぇじぇ! 夏ばっぱが!?」

春子「はい。」

大吉「いやいや いやいや! 危篤ってほどの危篤でもねえ! 軽い危篤だ1 うん よし 行くべ アキちゃん!」

天野家

春子「うちじゃん。」

大吉「懐かしいべ?」

アキ「ママの実家? ママ ここで生まれたの?」

大吉「さっ 行くべ! こっちや こっちや。 気ぃ付けてな。」

大吉「あっ あれ~? もしや あれが? 一時帰宅ってやつかな?」

春子「嘘なんでしょう?」

アキ「え…。」

春子「ホントは 元気なんでしょう? バレバレだよ 大吉さん。」

大吉「いづがら?」

春子「漁港に寄った辺りから。 もっと言うと 観光協会辺りから。 もっと言うと メールの時点で 怪しいと思ってました。」

大吉「じぇじぇ そったら前がらが。」

春子「問題は… 鍋 火にかけたまま どこに行ったかって事。 お昼御飯の支度しようと 思ってて 鍋で お湯沸かして みそ汁 作ろうと思ったけど ちょうど ワカメ切らしてて…。『しょうがない。 これは 取りに行ってるか』って事だね。 これは。」

大吉「どうだべ~? ハッハッハッ…。」

春子「海だね!」

アキ「海?」

春子「アキ 海見てきな。」

アキ「海って 道 分かんないし…。 うお~!」

春子「(ため息)」

アキ「うん? うん!?」

<はい! やっと出ました!>

夏「しゃっこい しゃっこい」

<これが私。 天野 夏でございます>

夏「うに、食べうか? ほれ~!」

<春子の母 アキにとっては 祖母である 夏さんは 現役の海女さんなのでした>

アキ「かっけえ~!」

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