【 連続テレビ小説「あまちゃん」】23回のネタバレです。
あらすじ
かつて春子(小泉今日子)が過ごし、そのままの状態で残っている部屋で、母の若き日に思いをはせるアキ(能年玲奈)。思い出の品々を通じて、母と娘は心を通わせる。アキはいまだにウニが獲(と)れないことに悩んでいたが、スランプ脱出の秘けつを春子から聞き、奮起する。そして海女たちの真剣勝負の漁、「本気獲り」への参加を願い出る。気合い十分のアキだったが、ヒロシ(小池徹平)からの突然の愛の告白で混乱してしまい…。
23回ネタバレ
天野家
隠し部屋
(ドアの開く音)
春子「何してんの?」
アキ「ママ…。 ごめんなさい ママ。 眠れなくて 家の中を探検してたら 偶然 見つけて…。 何て言うか アキの秘密基地的な。」
春子「ちょっと どいて。 あっ 吉川晃司だよ これ。 アハハッ!」
アキ「え…?」
春子「懐かしい この髪型。 …っていうか この肩幅 ウケる。」
春子「あ~ 聖子ちゃん『SI LHOET TE』 これね 3枚目のアルバムだよ。」
春子「出た~! 安全地帯だよ これ。」
春子「これ 誰だろう? ジャガー横田だ。 何で 私 こんなの持ってたんだろう? 何だ 私 変わってるな アハハッ。」
春子「これ 交換日記だ。 誰と やってたんだろう? 菅原だって…。 やだ… 観光協会の菅原さんだよ! しかも これ 3日で 終わってるんですけど アハハハッ。」
春子「変でしょ? この部屋。 もともとはね ママのおじいちゃんが お金を管理するために 使ってたんだけど それを ママがね 勝手に自分の部屋にしちゃったの。 聖子ちゃんね。」
春子「ヘヘッ。 あっ ちょっと どいて どいて。 うわ~ このテレビ懐かしいな~! しかし ホント 昔のまんま 何で こんなに残してんだろうね。」
アキ「いつか帰ってくると 思ったんじゃない?」
春子「私が? 何それ 気持悪い。 アハハッ。」
アキ「ねえ ママ。」
春子「うわ! いや 何か… この部屋で ママって呼ばれると 変な感じするわ。 ママになる前のママもいるんです。 …っていうか いるっていうか いたんです。 この部屋に いた時には あんたのママになるなんて 思いもしなかったんだから…。」
アキ「そっか…。 18歳っていったら アキと 2コ違いだもんね。 パパとも知り合ってなかった…。」
春子「ホント パパとか ホントやめて マジで。 ホントに。 イテテテテッ! 何だ? ゲームだ。 これ 私のじゃないな。 安部ちゃんのだよ。 借りて 借りっ放しで 返してなかったんだわ…。 返さなきゃね。 今 何時?」
アキ「えっ これから行くの?」
春子「まさか。 ちょっとさ 散歩行こうよ 散歩。 はい 行こう 行こう。」
灯台
春子♬『Thanks, Thanks, Thanks, Thanks,』
アキ「ここって…。」
春子「ママの秘密基地。 おばあちゃんと けんかして 飛び出した時とかに よく来てたんだ。」
アキ「へえ~。」
春子「悪い子だったからね あんたと違ってさ。 ほっ ほっ ほっ!」
回想
1981(昭和56年)
回想終了
アキ「『東京 原宿 表参道』。 すげえ。 これ 全部 ママが書いたの?」
春子「そう。」
アキ『愛羅武… 勇』? 勇って誰・」
春子「『愛羅武勇(アイラブユー)』って読むの。」
アキ「へえ~。 これは?」
春子「うん? これはね…。 何?『舞 蹴 蛇』? マイケルジャクソン。 ハハッ どうかしてるよね。 田舎 大っ嫌いだったからね。」
アキ「『海 死ね ウニ死ね』。 ホントだ。」
春子「あんたと正反対だね。」
アキ「うん。 …っていうか ユイちゃんみたい。」
春子「へえ~ あの子 そうなんだ。」
アキ「うん。 卒業したら 東京行くんだって。」
春子「ふ~ん そっか まあ そんな感じだね。 あんたは?」
アキ「えっ?」
春子「東京 戻りたいとか思わないの?」
アキ「うん。 今んとこ平気。」
春子「よかった…。」
アキ「えっ?」
春子「えっ?」
アキ「『よかった』って どういう意味?」
春子「知らないし…。 言ってないし『よかった』なんて 何 言ってんの?」
アキ「待ってよ 春ちゃん!」
春子「はっ!? 春ちゃん!?」
アキ「だって… ママって呼んじゃ いけないんでしょ?」
春子「アハハッ バ~カ。」
アキ「ウフフッ。 春ちゃ~ん!」
春子「やめてよ! 生意気!」
アキ「アハハハッ!」
天野家
春子「あ~ そうだ。 いい事 教えてあげようか。 昔ね おばあちゃんに 潜り教わってる時に言われたの。 長~く 深く潜るために 必要なものって何だと思う?」
アキ「何? 何 何!?」
春子「ヒントは呼吸に関する事。」
アキ「呼吸? あっ 分かった エラ。 エラ呼吸。」
春子「エラのある人間は いません。 人間の体の中で 一番酸素を使うのは 脳みそなんだって。」
アキ「へえ~。」
春子「脳みそを使えば使うほど 考えれば考えるほど 酸素を必要とするんだってよ。」
アキ「…つう事は 脳みそを使わなければ 長く潜れるって事か。 何だ だったら 得意中の得意だっぺ。 脳みそ 使わなきゃいいんだべ。 楽勝だべ! ハハハッ。」
春子「…。」
朝食
夏「春子さん 朝御飯ですけど!」
夏「先に食うべ。 頂きま~す!」
アキ「頂きます。」
夏「何だよ。」
アキ「私 本気獲りさ行ぎでえ。 船さ乗って 沖さ行っでみでえ。」
夏「なして?」
アキ「安部ちゃん 明日で終わりなんでしょ? 思い残す事なく 引退できるように 安部ちゃんが いなくても ウニ取れるってとこ 見せてやりでえんだ。 駄目?」
夏「駄目だ。」
アキ「なして?」
夏「本気だからに決まってっぺ。」
アキ「そっか…。」
夏「それでも行きてえのなら 勝手にしろ。」
アキ「えっ いいの!?」
夏「来んなっつっても来るんだべ。」
アキ「うん。」
漁協
長内「そりゃあ駄目だ。」
アキ「なして!?」
かつ枝「あのなあ アキ いつもの実演と違って 本気獲りには 漁業権が必要なんだ。」
アキ「…漁業権?」
安部「海さ潜って 漁していいよっていう権利。」
かつ枝「その漁業権は 一家で一人にしか 認められてねえんだ。」
アキ「えっ 何で?」
長内「乱獲防止だ。 ウニも大事な資源だからよ。 なんぼでも 取っていいって事になると いねぐなるべ。」
かつ枝「つまり アキちゃんが行くって事は 夏ばっぱ 行げなぐなるって事なんだよ。」
アキ「じぇじぇ…。」
夏「おはよう~。」
長内「お~ 夏さん 今 ちょうど アキから 話 聞いたとこだ。」
夏「あ~ そういう訳で 今年は 天野家からは アキが エントリーしますんで。」
安部「夏ばっぱ いいの?」
夏「何が?」
安部「だって アキちゃんは まだ…。」
<9月30日は 海女の口開けといって 北の海女にとって 最も重要な日です。 7月1日の海開きから 3か月間 観光海女として サービスに徹してきた海女が この日だけは 自分と家族のために 漁をしてよいのです>
北鉄
ヒロシ「そっか。 じゃあ 頑張んなきゃだね。 俺も ビデオカメラ持って 応援行くから。」
アキ「やめでよ! ただでさえ プレッシャーで押しつぶされそうなのに。」
ヒロシ「仕事だよ! アキちゃんとユイ 撮影するのは。」
アキ「そっか。」
ヒロシ「巻き込んじゃって ごめんね。」
アキ「え?」
ヒロシ「俺が 君のビデオを ホームページに アップしたばっかりに 大騒ぎになって…。」
アキ「いやいや お構いなく。 お客さん増えて みんな 喜んでますから。」
ヒロシ「そっか…。」
アキ「ストーブさん 電車 出ちゃうんで。 急ぎに用事じゃなかったら また 日を改めて…。」
ヒロシ「心配なんだ! アキちゃんの事が!」
アキ「いや だから お構いなく。 自分でも分かってるし ちやほらされんのは 今のうちだけだって。 女子高生の海女なんて珍しいから 一時的に騒がれてるだけだし。」
ヒロシ「そんな事ないよ!」
アキ「え?」
ヒロシ「ごめん。 自分で まいた種なんだけど 君の人気が出て うれしい反面 何か その… 君が遠くへ 行ってしまったような気がして。」
アキ「どこにも行きませんよ。 学校と浜の往復ですよ。」
ヒロシ「いや 実際の距離の話じゃなくて 気持ちの距離…。」
アキ「気持ちの… 何?」
ヒロシ「…っていうかさ お母さんから 何も聞いてない?」
回想
ヒロシ「アキちゃんの事を 好きなったの 俺が 1番っすから! 俺が ファン第1号っすから!」
回想終了
ヒロシ「普通 何となく 伝えると 思うんだけどな…。」
アキ「何なんですか?」
ヒロシ「好きなんだ!」
アキ「じぇじぇ! ママが?」
ヒロシ「違う! アキちゃんの事が好きなんだ!」
ヒロシ「ごめん。 お母さんには 反対されたんだけど 我慢できなくて…。 とりあえず 気持ちだけ伝えたくて。 答えは すぐじゃんくて いいんだ。 じっくり考えてからで…。」
アキ「やばい。」
ヒロシ「えっ?」
アキ「うわっ やばい! やばい やばい!」
ヒロシ「何? どうした?」
アキ「脳が! 脳みそ使っちゃ駄目なんです! 考えちゃ駄目なんです! 酸素使っちゃ駄目なんです!」
ヒロシ「アキちゃん!」
アキ「じぇ! じぇ! じぇじぇ! 聞こえない!」
ヒロシ「落ち着いて アキちゃん! アキちゃん!」
アキ「本気獲りなんです 明日! あ~ もう 最悪! 何してくれてんのよ ストーブ! うわ~!」
吉田「残念でしたね。 フフフ…。」
天野家
<その夜 アキは眠れませんでした。 無理もありません。 初めて異性から 告白されたのですから>
アキ「ウニが1匹 ウニが2匹 ウニが3匹…。」
回想
ヒロシ「好きなんだ!」
回想終了
<しかも 相手は よりによって 親友の兄>
アキ「ウニが1匹 ウニが2匹 ウニが3匹…。」
回想
ヒロシ「アキちゃんの事が好きなんだ!」
回想終了
アキ「駄目だ…。 考えちゃ駄目だ。」