ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「あまちゃん」29回「おら、先輩が好きだ!」

【 連続テレビ小説「あまちゃん」】29回のネタバレです。

あらすじ

アキ(能年玲奈)が潜水土木科への編入を宣言すると、町の大人たちは海女のアイドルがいなくなると大反対。母・春子(小泉今日子)もアキの将来が気にかかり高校を訪れる。しかし、アキの決心は固く、大人たちは週末に海女の格好をして列車で弁当を売るという約束で、しぶしぶ納得する。いよいよ念願の潜水土木科での学園生活がスタート。種市先輩(福士蒼汰)とさらに近づけるはずが、男子ばかりの異様な雰囲気に…。

29回ネタバレ

天野家

かつ枝「アキが南部もぐりやるってか? アキ おめえ 本気で言ってんのか?」

長内「普通科から潜水土木さ 編入するんのか?」

美寿々「おめえ 南部もぐりやりてえのか?」

アキ「やりでえ!」

観光協会

アキ「ねえ 何で 観光協会の許可が 必要なんですか?」

ヒロシ「アキちゃんが観光協会の未来を 背負ってるからだよ。」

大吉「北鉄の未来もな。」

菅原「今や 町おこしのシンボルだすけなあ。 そのアキちゃんが よりによって この南部もぐりって。」

吉田「そんなに 本格的に潜らなくても いいんじゃないか?」

栗原「んだ。 浅瀬で ピッチャ ピッチャ やってれば いいんじゃない?」

大吉「海女は? 海女は もう飽ぎだか?」

アキ「そういう訳じゃねえけど 海女は夏しか潜れねえべ。 しかも 海女の恰好して 北鉄さ乗って ウニ丼 売ったり 撮影会したり 何だか違うんでねえかって。」

大吉「そのおかげで 観光客が増えてるんだよ。」

アキ「だけど ジロジロ見られて 小っ恥ずかしい。」

吉田「そんな事 言ったら ユイちゃんの立場どうなる?」

ヒビキ「彼女は平気ですよ プロ意識が高いですから。」

アキ「おらだって 海女としての誇りもある! プロ意識もある!」

春子「アキ…。」

夏「要するに ウニ丼は売りだぐねえと。」

アキ「いやいや 車内販売は好きだ。 ただ 海女の恰好は やんだ。 南部もぐりに恰好じゃ 駄目ですか?」

想像

アキ「ありがとうございます! ありがとうございます!」

「アキちゃ~ん!」

アキ「ありがとうございます!」

想像終了

一同「いや いや いや…。」

かつ枝「顔も見えねえんじゃ売れねえべ。」

大吉「全然 うまそうじゃねえ。」

栗原「でも 海女は嫌なんだべ?」

菅原「いっその事 交ぜてみたら? 首から下が海女さんで 上が南部もぐり。」

想像

アキ「ウニ丼です! ありがとうございます! ありがとうございます!」

想像終了

一同「いや いや いや…。」

夏「ふだん着じゃ駄目かね。」

ヒビキ「肌の露出減は 収入源に直結しますよ 皆さん。 このコスチュームはね もう言っちゃうけど これ着ると 3割増しで かわいく見えるんです! 誰でも!」

吉田「言っちゃったよ…。」

ヒビキ「けど 君さ 普通じゃん! 普通の子が普通の恰好したら 意外と普通だなって バレちゃうじゃん! わざわざ 7時間も 8時間もかけてさ 地味な女子の 地味な私服 見るために来る? 来ないよ! こんな寂れた 老人とヤンキーと キツネしかいない過疎の町にさ!」

威嚇する夏たち

ヒビキ「言い過ぎました!」

ヒロシ「気にすんな アキちゃん。 ヒビキさんは 君のために思って…。」

アキ「…で おらは 潜水土木さ 編入していいの? 駄目なの?」

吉田「全然 気にしてねえ。」

大吉「北鉄としては 週末に海女の恰好で 列車さ乗ってくれさえすれば 応援するべ。」

春子「ちょっと大吉さん。」

アキ「乗る 乗る! そしたら 南部もぐり やっていいんだね。」

春子「ちょっと 勝手に決めないでよね。 普通科やめるっていう事は 進学しないで 潜水士になるっていう事だよね。」

アキ「そこまで考えてねえけど…。」

春子「ちゃんと考えなきゃ駄目! 自分の将来なんだから! あんたたちもさ 二言目には『町おこし 町おこし』って 人の娘 何だと思ってんの!?」

春子「アキは 観光や 町おこしのために 海女やってる訳じゃないんです。 自分のために 自分が潜りたくて 潜ってるのよ。 ねっ そうよね!? 考えて ちゃんと! イジリさんも! 本人の前で露出とか そういうの やめてくれる? ホントに。」

ヒビキ「…ヒビキです。」

春子「アキは 観光協会や 北鉄のオモチャじゃないの! そういうね 大人の事情に 振り回されるくらいだったら 海女なんか辞めさせますから!」

夏「辞めさせて どうすんだ!」

春子「あ?」

夏「南部もぐり やらせるつもりか?」

春子「いや それは…。 そうなっても いいと思ってますよ。 さらし者に されるくらいだったらね!」

アキ「ホント!?」

春子「いや… え? えっと…。 明日 ほら 学校に行って ちゃんと 先生と話すから! ねっ ねっ? だから 今日は お邪魔しました。 失礼します~。」

一同「春ちゃん!」

学校
潜水土木科実習室

磯野「まあ 潜水土木科といっても そればっかり 勉強する訳では ねえんです。 普通科の生徒のように 国語だの数学だの ありますから。 ただ 女子は いねえです。」

春子「一人も?」

磯野「ゼロです! もう7~8年 男子校状態ですう!男臭いでしょ!?」

春子「いいの? アキ。 平気なの?」

磯野「潜水士の資格も取ろうと思えば 取れますし 何しろ 女子は珍しいですからね! 学校にとっても 明るいニュースだっぺ!」

春子「そういうの ホント 結構なんですよ ニュースとか。 やめて もう ホントに。 だまされないんだから。」

磯野「すいません…。」

種市「失礼します。 磯野先生 実習始めていいですか?」

磯野「ああ すぐ行ぐ。」

種市「おっす。」

磯野「3年の種市君。 こちら 天野…。 黒川?」

春子「天野アキの母です。」

種市「初めまして。」

春子「初めまして。」

種市「じぇじぇ! おめえ ホントに 潜水土木科さ入るのか?」

アキ「はい!」

春子「『はい』って まだ決めた訳じゃ…。」

種市「すげえな。 いい度胸だ。 頑張れよ。」

磯野「じゃあ お母さん 見学していかれます? ちょうど 実習始まりますから!」

春子「よく あんな冷静に作業できるよね。 怖くないのかな?」

<その真剣な横顔を見て アキが 南部もぐりに興味を持った 本当の理由が 分かったような気しました>

春子「…種市君だっけ?」

アキ「えっ?」

春子「うん? さっきの。 感じのいい子。 あの子が 一番器用だね。」

アキ「分かるの?」

春子「だって あの赤い服の子でしょ? 潜水土木も変わったね~。 ママの頃はさ ごっつい熊みたいな 男子ばっかでさ。 あんな シュッとした男の子 いなかったもんね。」

種市「へえ~ そんなんですか。」

アキ「先輩…。」

種市「そろそろ 先生上がってくるんで どうぞ。」

磯野「いかがですか? お母さん! このように 我が潜水土木科はですね 確かな技術指導と 精神的な鍛練を目的とし…。 足つった! イテテテテッ! 助けて! 助けて! 早く おもりさ取って!」

校庭

アキ「懐かしい?」

春子「う~ん…。 あんまり いい思い出ないけどね。」

アキ「でも モテたんでしょ?」

春子「えっ? 誰に聞いたの?」

アキ「ユイちゃんのお父さん。」

春子「足立先生か…。 大した事ないけどね。」

アキ「スケバンだったって言ってた。」

春子「それも 大した事ないよ。」

アキ「夜な夜な 包丁持って 泣いてる子ども脅かして 回ったりした?」

春子「なまはげ? …っていうか あんたさ スケバンの意味 分かってないでしょ。」

アキ「うん。 だって 見た事ないもん。」

春子「あ…。」

アキ「どうしたの? ママ。」

回想

1982年(昭和57年)

大吉「春ちゃん。」

春子「ああ 大吉っつぁん。」

大吉「最近 帰りが遅えって 夏おばちゃん 愚痴こぼしてたぞ。」

春子「関係ないじゃん。」

「誰だよ こいつ。」

春子「ただの幼なじみ。 行こう。」

大吉「春ちゃん スカート長すぎんでねか?」

「うるせえな。 しゃべえ事 言ってんじゃねえよ!」

「3年だからって 手 出さねえと思うなよ!」

大吉「ただの幼なじみなんかじゃねえ!」

大吉「春ちゃん おら 北鉄さ 就職決まったんだ。」

春子「北鉄?」

大吉「北三陸鉄道リアス線。 北鉄が走れば 町も変わる。 もう 過疎の町なんて言わせねえ。 おらも 春ちゃんが 高校を卒業する頃には 車掌か 運転士だ。 そしたら 乗せてやるからな。 待ってろ。」

回想終了

春子「懐かしい…。」

アキ「え?」

春子「もう一度 ここ通るとは 思わなかったよ。 あんたの おかげだね。 ありがとね。 フフフッ…。」

アキ「ねえ ママ!」

春子「うん?」

アキ「おら やっぱり 南部もぐり やりでえ。」

春子「好きにしなさい。 どっちにしろ スケバンより ましだから。」

アキ「やった~! ありがとう ママ!」

アキ「やった~!」

春子「…っていうか 置き去り?」

スナック・梨明日

大吉「ホントに 南部もぐり やらせんのか?」

春子「言いだしたら聞かないし どっちみち あと1年ちょっとで 卒業だしね。」

菅原「まあ 俺たちは 土日に電車さ 乗ってくれればいいもんな。」

大吉「んだ。 海女さんの恰好でな。」

春子「まだ言ってんの?」

大吉「ごめん。 でも ホントに問い合わせが 後 絶たねえんだ。」

菅原「頼む 春ちゃん。 この町のためだと思って。」

春子「町おこし 町おこしって 言うけどさ そんなに 観光客を呼ぶ事が大事?」

大吉「いや そりゃ 大事だべ。 なあ 観光協会。」

菅原「ああ。 この北三陸は これといった 産業がない。 だから 観光収入でもってる町だもの。」

大吉「んだ んだ。 寂れてる場合でねえ。」

春子「変わっちゃったね 大吉っつぁん。」

大吉「え?」

春子「私がね 田舎を嫌いなのは 寂れてるからじゃなくて 寂れてる事を気にしてるからなの。」

大吉「うん? 気にしてる?」

春子「2人は まあ 仕事だからね。 なんとかしなきゃいけないと 思ってるのかもしれないけど そんなに 卑屈にならなくても よくない? 海女や 鉄道以外にも いいとこ あるでしょ。 う~ん 白樺とかさ まめぶとかさ 巽公園から眺める景色とかさ…。 琥珀とかさ。 そういう つまんないもんでも…。」

勉「つまんない?」

春子「地元の人が愛すれば 外から来た人間にも よく見えるもんよ。 そういうね 根本的なところを 忘れないでもらいたいね。」

学校

<潜水土木科に編入して アキの生活も また変わりました。 朝は 今までどおり ユイと待ち合わせ 登校しますが 学校に着いたら 別々です>

磯野「え~ 本日から 正式に このクラスの仲間になった 天野アキだ!」

アキ「天野アキです。 よろしぐお願いします!」

磯野「はい よろしく!」

(拍手)

<種市先輩とは 学年が違いますが 進路も決まったので 後輩の指導に 当たってくれています>

磯野「仲良くなるのは後回し! まずは 今日も歌うど!」

アキ「歌う?」

磯野「『南部ダイバー』。」

アキ「『南部ダイバー』?」

磯野「南部もぐりの精神をうたった いわば 応援歌だ! よいしょ~! よし! 今日も 誰が一番 でっけえ声が出るか 競争だ!」

一同「おう!」

磯野「元気よく まいろう!『南部ダイバー』! あっ それ。」

一同♬『白い鴎か 波しぶき』

磯野「もっと来い! もっと来い! もっと来いよ!」

一同♬『若い血潮が 踊るのさ カップかぶれば 魚の仲間』

<えらい所に来てしまった。 正直 アキは ドン引きでした>

一同♬『俺は海の底 南部のダイバー』

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