【 連続テレビ小説「あまちゃん」】2回のネタバレです。
あらすじ
アキ(能年玲奈)は、目の前でウニを取る海女が祖母・夏(宮本信子)であることを知る。夏が危篤という知らせは、幼なじみの大吉(杉本哲太)が春子(小泉今日子)を町に呼び戻すためについたウソだった。町おこしに燃える北三陸駅の駅長・大吉は「引退宣言した夏に代わって、海女になってくれ」と春子に頼む。24年ぶりに顔を合わせた夏と春子はぎくしゃくしたまま。口論の末、春子はアキを連れて東京に帰ろうとするが…。
2回ネタバレ
天野家
春子「ホントは 元気なんでしょう? バレバレだよ 大吉さん。」
大吉「いづがら?」
<24年ぶりに 春子とアキを呼び戻したのは 大吉が送った こんなメールでした。>
<しかし 病気と聞かされていた ばあちゃんは ピンピンしていた>
夏「うに、食べるか? ほれ~!」
アキ「かっけえ~!」
アキ「うわっ! 何これ!? イガイガ動いてる! 何で ウニ取ってんの?」
夏「仕事だからね 決まってっけど。」
アキ「仕事? あっ おばちゃん もしかして あれ?」
夏「んだ?」
アキ「ウニ取りばばあ!」
夏「海女だ!」
アキ「海女? …って 何?」
美寿々「やっぱりここにいたのか」
かつ枝「夏ばっぱ、海開きは明日だよ」
アキ「夏ばっぱ? えっ おばあちゃん?」
夏「わらし 待ってろ。 さあ ほれ。 大丈夫だ。 食え。 食え。」
かつ枝「どうだ、うまいか?」
弥生「この味っこがわかれば 酒飲みの証拠だ。」
アキ「うまっ! うまっ! 超うまっ!」
夏「ほれほれほれ どんどん食え ほら。」
アキ「うまっ!」
(笑い声)
天野家
大吉「ごめん 春ちゃん! だますつもりは ねがったんだ!」
春子「だまされてませんけど。 そもそも 大吉さんが 何で 私のアドレス知ってるのかが 疑問なんですけど。」
大吉「漁協の安部ちゃんから聞いだ。」
春子「漁協の安部ちゃんにも 教えてませんけど?」
大吉「まだまだ おめえら 同級生だべ?」
安部「合いやいや 同級生っていっても 春ちゃんは 学園のマドンナで 私なんか 校庭の片隅で ひっそりと干からびている せみの死骸ですもの。」
春子「アドレスの件は いいや。 変えるから! それよりさ このメール!」
大吉「うん? 何 何?」
春子「『お母さん倒れた!』。『今 救急車 呼んだよ』。『意識が無いYO!』。 まあ 文章は いいや! このさ 顔文字。 どういう意味なの? これ。 泣いてんの? 笑ってんの? どういう気持ちなの? これ。」
大吉「じぇ!」
春子「…じぇ?」
海
アキ「うま~っ。」
かつ枝「じぇ この わらしさ 1人で ウニ7個も!」
アキ「『じぇ』って 何ですか?」
かつ枝「じぇ?」
アキ「おばちゃんたち さっきから『じぇ じぇ!』って言ってるから 何だろうと思って…。」
美寿々「袖が浜の なまりだ。 この辺では 昔から びっくりした時『じぇ!』って 言うのさ。」
アキ「へえ~。 すごく びっくりした時は?」
一同「じぇ! じぇ!」
アキ「ものすごく びっくりした時は?」
一同「じぇ! じぇ! じぇ!」
アキ「増えるんだ。」
(笑い声)
アキ「あっ ウニ もう一個いいですか?」
夏「4千円」
かつ枝「夏ばっぱ この わらし 春ちゃんの娘だよ。」
夏「…春子の?」
弥生「んだ。 あんたの孫っしゃ。」
夏「3000円。」
アキ「じぇじぇじぇ!」
天野家
春子「へえ~ だから 後半『jjj』って jが増えてる訳ね。」
大吉「びっくりした?」
春子「しねえよ! 大体 嘘だって分かってたし! とりあえず こんな 見え透いた嘘までついて 私を呼び戻した理由を 教えて下さい!」
安部「その前に! 大事な話が…。 ねっ?」
大吉「ああ 分かってる。」
春子「…何よ?」
大吉「実は 俺たち… 離婚したんだじゃ。」
春子「…で?」
大吉「そこは『じぇ!』だろ!」
春子「だって 結婚した事も 知らなかったしさ。」
安部「じぇ!?」
春子「いつ?」
安部「18年前…。」
春子「結婚じゃなくて 離婚が。」
安部「だかr18年前。」
大吉「18年前に結婚して 半年で離婚したんだ。」
春子「…で?」
海
夏「♬『星より ひそかに』」
一同「♬『雨より やさしく』」
天野家
大吉「現在 袖が浜の海女さんは 夏さんをリーダーに かつ枝さん 弥生さん」
大吉「美寿々さん」
大吉「そして 安部ちゃんの5人。」
安部「その夏さんが 今年かぎりで 海女クラブの会長を辞めて 引退するど言いだしたの!」
大吉「今年で 65歳だべし 老体に むち打ってまで潜りたくないって。」
安部「それ聞いて かつ枝さん 弥生さん 美寿々さんまでが『夏さんが辞めるなら おらも辞める』って。 みんな 普通だったら とっくに引退なんだけど…。」
漁協
一同「♬『言っているいる』」
天野家
大吉「そうなると 来年から 最年少の安部ちゃんが 一人で潜る事になる。」
春子「…で? 何か問題でも?」
大吉「んだ! 大問題だべ! 最年少ったって 42だど!?」
安部「刻な後継者不足なんです!」
春子「その後継者問題と私と 何の関係が…。 …ってか 何してんの!? それ!」
大吉「春ちゃん 海女さんになってけろ!」
春子「はっ!?」
大吉「来年から 夏さんの代わりに 潜ってけろ!」
春子「大吉さん それ 本気で言ってんの?!」
大吉「何なら 今年からでも なっ?」
安部「んだんだ! ちょうど明日 海開きだし!」
春子「いやいや 無理無理! だって 私だって 42だもん! 同級生じゃん。」
安部「同級生っていっても 春子さんは学園のマドンナで 私なんか 机の中に入れたまんま 忘れられて干からびた コッペパンに生えた カビですもの。」
春子「カビって… どこまで卑屈なの。」
大吉「頼む! 北の海女は 町の大事な観光資源なんだ!」
<はい。 北の海女という言葉が 出たところで 海女について 解説しましょう。 北三陸地方の男性の多くは 遠洋漁業の漁師です。 一年の大半を 海の上で過ごします。>
<家長が留守の間 家を守り 生計を立てるのが 女の役目。 伝統的な海女漁は 今も各地で行われていますが その中で 日本のみならず 世界的に見ても 最北端に位置するため 袖の海女は 北の海女と呼ばれています>
漁協
アキ「この きれいな人 おばあちゃん?」
弥生「いや おらだ。」
かつ枝「おめえは こっちだ! それは おらだ。」
美寿々「いや~おらだ!」
弥生「おれだよ。」
かつ枝「んだべか?」
天野家
大吉「夏ばっぱが 海女クラブを作った頃 昭和50年か。」
安部「プロのカメラマンも来たりね。」
大吉「あのころが ピークだったね~!」
安部「んだ~!」
大吉「懐かしんでる場合でねえべ! 北の海女の伝統を ここで 絶やす訳には いかねえんだ!」
春子「えっ? 私 関係ないからね。」
大吉「あるべ! 海女と北鉄は 観光の二枚看板だべな!」
北三陸鉄道リアス線
夏「北三陸鉄道リアス線 通称 北鉄名物 ウニ丼は いかがですか?」
「あっ ウニ丼下さい。」
夏「ありがとうございます。」
天野家
大吉「夏ばっぱの 見事な潜りを見物したあとは 北鉄さ乗って リアスの限定30食 ウニ丼 食いながら 車窓の景色を眺めるのが 定番コースだべな。」
安部「その名物ウニ丼も 夏さん 今年いっぱいで やめるって言ってんの。」
春子「ちょっと待ってよ。 その観光の二枚看板の どっちも うちの母親が背負ってるって事?」
大吉「んだ。」
春子「背負わせないでよ。 64の ばあさんにさ~。」
大吉「あっ もちろん 海女と北鉄だけではねえ。 ほかにも名物あるさ。」
春子「例えば?」
安部「まめぶ。」
大吉「いや~ まめぶは違う。」
安部「なして? まめぶ うめえべ?」
大吉「それは うめえけど まめぶを推し過ぎるのは危険だ。 安部ちゃんが思ってるほど まめぶに将来性は ねえ。」
安部「え~?」
大吉「大体 甘いのか辛いのかも 分かんねえ おかずなのか おやつなのかも 分かんねえもの どんな顔して お客に出せばいい? それに まめぶは…!」
春子「もう やめてよ! 人んちの玄関先で『まめぶ まめぶ まめぶ』って! まめぶの将来なんか どうでもいいよ! 大体 何なの? 何しに来たの!?」
大吉「だから! 夏さあんの後を継げるのは 春ちゃんしか いねえってば!」
春子「嫌! 絶対に嫌! 私には 私の人生があんの。 生活があんの。」
大吉「春ちゃん…。 あんたら 親子の間に その… いろいろ いろいろ… いろいろ あったのは 知ってる。」
春子「いろいろ? いろいろ。 いろいろ あったよ!」
回想
1984年(昭和59年)
春子「もう どいてよ! 邪魔!」
大吉「春ちゃん 東京さ行ぐのが? どうしても行ぐのが?」
春子「こんなド田舎には、いたくない」
大吉「母ちゃんの後継いで 海女になんのが そんなに嫌が?」
回想終了
大吉「あれから 24年 絶縁状態だもんな…。」
春子「お父ちゃん死んだのも 知らされてなかったし。」
2人「えっ?」
(話し声)
アキ「ただいま~!」
春子「アキ どこ行ってたの?」
アキ「海!」
春子「海って?」
アキ「海 見に行けって言ったじゃん。」
春子「そうだけど…。」
アキ「あ~ 疲れた~!」
かつ枝「大したもんだど この わらしな! 一人で ウニ 8つも かっ食らって!」
(笑い声)
美寿々「さすが 夏ばっぱの孫だ!」
(笑い声)
弥生「どれ… 保育園さ 孫ば迎えに行かねばの。」
美寿々「おらも パートさ行かねばな! 今 何時だ?」
安部「おらも そろそろ…。」
大吉「安部ちゃん!」
安部「夏ばっぱ 明日の海開き よろしくね!」
夏「はいはい! お疲れさん。」
アキ「どうしたの?」
大吉「あっ アハハハハッ…。 言葉が見つからねえんだ 2人とも。 無理もねえ 24年ぶりの再会で!」
夏「鍋 火さ かけたまんまだった。」
春子「止めときました。」
夏「はっ…。」
アキ「超すげえの! おばあちゃん ザバ~ッて潜って 見えなくなったと思ったら ウニ いっぱい抱えて ザバ~ッて上がってくるの!」
春子「引退なさるそうで。 海女クラブの会長さん 長い間 御苦労さまでした。」
アキ「えっ そうなの?」
大吉「夏さん おらが 春ちゃん 呼んだんだ! 余計な お世話だとは 思ったけどね! まあ お互い 子どもじゃ あるめえし! 母一人 子一人なんだべ!? 昔の事は 水に流して…。」
夏「…3,000円。」
春子「えっ?」
夏「ウニ 1個500円。 8個で 4,000円。 家族割引で 3,000円。 この わらしの母親だべ。 早く払って下さい。」
アキ「おばあちゃん…。」
大吉「アッハッハッハッ! そりゃあ ねえべ 夏さん! 娘に向かって…。 心配して 飛んできたんだ。 東京から! なあ 春ちゃん!」
夏「それにしちゃあ 荷物が やたら 大ぎが。 悪いが おら まだまだ引退など しねえど。」
大吉「いやいや いやいや 言ったべ 夏さん『もう限界だ』って!」
夏「来年も再来年も潜る。 自分が食う分は 自分が稼ぐさ。 あんだの世話には なりません!」
春子「はあ…。 バッカバカしい! 勝手にして! アキ 帰るよ。」
アキ「…。」
春子「何してんの アキ! こんなとこに いたって しょうがないんだから! アキ! 東京 帰るよ!」
夏「頂きま~す!」
アキ「やだ…。 帰りたくない。」
春子「アキ…。」
<母親が怖くて 動けなかったのではありません。 アキは動かなかったのです。 自分の意志で>