ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「あまちゃん」32回「おらのじっちゃん、大暴れ」

【 連続テレビ小説「あまちゃん」】32回のネタバレです。

あらすじ

アキ(能年玲奈)の祖父・忠兵衛(蟹江敬三)が遠洋漁業から1年ぶりに帰ってきた。世界中を航海して独特な世界観を持つ忠兵衛。アキは、そんな忠兵衛に夢中だ。しかも、夏(宮本信子)とはまるで恋人同士のように仲が良い。一方、春子(小泉今日子)は、相変わらず正宗(尾美としのり)と離婚問題でもめている。そんなある日、観光協会にアキとユイ(橋本愛)を怪しい男が訪ねてきて…。

32回ネタバレ

天野家

忠兵衛「さあ 起きろ 起きろ 起きろ~!」

<今日から 天野家は 4人家族は 4人家族です。 しかも ユイちゃんが お泊りしたので 朝御飯は 5人で食べます>

一同「頂きま~す!」

アキ「あっ おじいちゃんに お線香…。 あっ いいのか。」

夏「アハハハハッ。」

かつ枝「あ~ 終わった 終わった。」

<もとい 6 7 8 9 10… 11人で食べます>

一同「頂きま~す!」

かつ枝「春ちゃん どうぞ お構いなく。」

弥生「んだ。 家さ帰ってから また食うんだから。」

美寿々「あら 夏さん よく見たら おしゃれなの着て!」

夏「おとうさんのお土産。」

弥生「お~!」

忠兵衛「スペインのマドリードさ 1週間寄ったんだ。 あっ おめえらには ねえぞ。 まさか いるとは思わねがったから。」

春子「はいはい。」

ユイ「スペインで何してたんですか?」

忠兵衛「何って… バカンスだべ。」

かつ枝「ずっとな 海の上さ いたら しんどいべ。 だから 3か月に1回 近くの港さ 船 止めて 休暇取るのだ。」

アキ「じゃあ おじいちゃん いろんな国に行った事あるの?」

忠兵衛「インド タイ フランス ノルウェー カナダ アメリ…。『おじいちゃん』って呼ぶのか?」

アキ「え?」

忠兵衛「俺の事 おじいちゃんって呼ぶのか?」

春子「孫なんだから 当たり前でしょ。」

アキ「駄目か?」

忠兵衛「駄目じゃねえが つい この間 家出したと思ったら もう孫か…。」

夏「24年も前だ。」

忠兵衛「24年じゃ あれだよなあ。 ほとんど 海の上さ いたからな。 せめて もうちっと小さかったら だっこして 顔なめだりするんだけどな!」

あhる子「やめてよ!」

アキ「なめでも いいよ。」

忠兵衛「おっ!」

春子「やめてよ! 汚い 汚い! 汚い! もう!」

大吉「さあさあ 今日も 100個売りさばくべ!」

花巻「何だよ のんびり 飯も食ってらんねえ。」

大吉「ユイちゃんとアキちゃんも 早く着替えろ。」

<アキとユイちゃんが 一生懸命 ウニ丼を売っている間 おとうさんと私は つかの間の休暇を満喫しました>

喫茶リアス

アキ「こんにちは! おじいちゃんは?」

忠兵衛「おう ここだ。」

アキ「ばっぱ 今日は 2人で どこさ行ってきたの?」

夏「どこって… 定番のデートコースだべっちゃ。」

忠兵衛「ブティック今野で服買ってや 千春食堂で飯食ってや それから え~ たつや?」

吉田「DVD借りてきたんだとさ。」

夏「何だっけ? ほら『グラン・ブルー』?」

忠兵衛「おう。」

吉田「海が好きなんですね。」

アキ「アキも見たい!」

夏「駄目だ! 2人で見るんだから。 ガキは寝ろ!」

忠兵衛「いつの間にか 映画館潰れてしまったもんなあ。」

アキ「じぇ! 映画館なんて どこにあったの?」

ヒロシ「ブティック今野の1本奥。 随分 昔ですよね。」

吉田「30年前の話だね 勉さん。」

忠兵衛「町で アキのポスター見たど 海女さんの! 人気あんだな~!」

ヒロシ「観光協会の あの これ 僕が デザインしたんですけど…。」

忠兵衛「へえ~!」

夏「アハハハッ!」

忠兵衛「夏ちゃんも ポスターのモデルやってたべ。」

夏「あ~!」

アキ「ばっぱが!?」

夏「この人にとっちゃ 昨日の事さ。 何しろ 年に10日しか 岡にいねえんだもん。」

ヒロシ「結婚して 何年ですか?」

夏「44年でがす。」

ヒロシ「念に10日… まだ 440日しか 一緒に暮らしてねえんだ。」

夏「んだ。 まだ1年半でがす。」

ヒロシ「アキ おらと ばっぱのなれ初め 知ってっか?」

アキ「ばっぱが おっぱい丸出しで 海女やってたら じいちゃん 漁協さ どなり込んだんだべ。」

回想

忠兵衛「組合長 出てこい!」

「何が悲しくて 嫁ごの乳さ 見せ物にせねば なんねえってよ。」

一同「んだ んだ んだ!」

忠兵衛「おらんだ 年中 漁さ出てらんだど。 見てえったって 見れねんだど! なして 観光客さ 見せねばなんねえのよ!」

回想終了

夏「それは 結婚さ踏み切った エピソードだべ。」

忠兵衛「大体 何で そんなの知ってんだ?」

夏「おらと忠さんはな 海ん中で出会ったんだ。」

アキ「海ん中…。」

忠兵衛「高校出て すぐ 海さ潜って ウニ取ってる 夏ちゃん見つけで『こりゃあ ヘルメットかぶってる 場合じゃねえべ』って外して 声かけたんだ。」

夏「そのあと この人 すぐ マグロ船さ乗って 行っちゃうんだもん。 だまされたようなもんだ。」

忠兵衛「やっぱり男は広い海さ出ねえとな。」

夏「結納だの 結婚式だの この人いなかったんだよ。」

アキ「じぇじぇじぇ!」

夏「戸籍上の やり取りだけで おら 旦那もいない うちさ 嫁いできたんだ。」

アキ「へえ~ 何か いいな~。」

ヒロシ「いいかな…。 年に10日だよ?」

アキ「その分 いつまでも新鮮なんだよ。 おじいちゃん おばあちゃんになっても 恋人同士みたいに 仲いいのは 海のおかげだべ。 パパとママが 今 別々に暮らしてるのも そういう事なのかな…。」

東京

黒川「ああ こっちは変わりないよ。 この間さ インターネットで『北三陸』って入力したら アキの写真が出てきたんだよ。 全然 知らなかった。 すごい人気だね。」

春子「…っていうかさ ネットで娘の画像見て ニヤニヤしてんでしょ? 情けない。」

黒川「えっ? してないよ。」

春子「分かるわよ それくらい。 見なくても。 ねえ ほかの楽しみないの?」

黒川「いや あるけど。 誕生日もうすぐ。」

春子「うん 壇上美? 誰の? ああ アキの? それが どうしたの?」

黒川「いやいや いやいや…。」

春子「来ないでよ! やめてよ…。 何しに来んのよ。」

黒川「親だから決まってるだろ。 電話もメールも我慢してんだよ! せめて 誕生日ぐらい… え? お父さんって…。 えっ!? あっ 生きてたの? あっ よかったね! じゃあ 御挨拶に…。」

春子「いや 何で来んのよ! やめてよ。 あんたさ 気を許すと すぐ こっち来ようとするよね。 やめてよ! もう別れたんだから。」

黒川「まだ 紙の上では夫婦だろ?」

春子「紙の上でしか もう夫婦じゃないのよ。」

黒川「うっ う~…。」

春子「泣くな!」

春子「…泣いてない!」

(クラクション)

天野家
居間

春子「この際だから 言っておきますけどね アキ 潜水士の資格取って 地元で就職するって。 あんたの出る幕なんか ないから。」

(携帯の切れる音)

作業場

忠兵衛「なるほどなあ。 春子も気が強えからな。」

アキ「そんな絶交のタイミングで 大吉さんから メールが来たの。『夏ばっぱが倒れた』って…。」

忠兵衛「何? いつだ!」

アキ「いや 嘘だったんですけど…。」

忠兵衛「何だよ 大吉の野郎 びっくりさせやがってよ。」

アキ「…で ママ すっかり だまされて。 いや だまされては ねえか。 ママも こっちゃ帰る きっかけ欲しくて 大吉さんは ママの事 好きだし おらも 学校で煮詰まってたし…。 そういう ことわざあるよね? 何か こう… ちょうど いがったねっていう。 何とかに何とかみたいな。」

忠兵衛「『猫に小判』か?」

アキ「違う。 もっと こう… Tシャツに ジーパンみでえな。」

忠兵衛「『破鍋に綴蓋』か?」

アキ「違う! もっと こう… なる前に洗顔みでえな。」

忠兵衛「ビールに枝豆か。」

アキ「あっ 渡りに船だ! うん。 そんな訳で 東京か 北三陸か悩んだ末 夏から ずっと 居座ってる状態なんです。」

忠兵衛「ふ~ん そうかい。」

アキ「ごめんね 説明が下手で。」

忠兵衛「う~ん まあ… 半分も分かんねがったが ここが好きなのは よ~ぐ分かった。」

アキ「好きだ! 東京より 全然好きだ! 海も人も 電車も ウニも まめぶも 全部大好きだ!」

忠兵衛「おらも好きだ。」

アキ「だったら 何で船さ乗るの? 何で 年に10日しか帰ってこねえの?」

忠兵衛「う~ん なしてだべなあ。」

アキ「生ぎでいぐため?」

忠兵衛「それもある。 海が好きなのもある。 だが あえて言うなら… ここが いい所だっていうのを 確認するためだな。」

忠兵衛「ほら 夏さんは 北三陸から 一歩も出た事ねえべ だから おらが代わりに 世界中を旅して回ってよ いろんな国の いろんな町を この目で見て回ってよ んでも やっぱ ここが 一番いいぞって教えてやってんだ。」

アキ「東京よりも?」

忠兵衛「北三陸も東京も おらに言わせれば 日本だ。」

アキ「かっけえ~!」

忠兵衛「…あ?」

アキ「ウフフッ。」

<人とは違う時間が おじいちゃんの中には 流れている。 世界を旅する男は スケールが違うんだ。 アキは すっかり おじいちゃんに 夢中になりました>

北三陸駅

大吉「アキちゃん ユイちゃん! 今日 放課後 空いてる?」

ユイ「はい。 私は大丈夫ですけど…。」

アキ「おらは潜水の実習があるから。」

大吉「じゃあ 4時ごろ 観光協会さ来てけろ。 ケーキ用意して待ってっから。」

学校
実習プール

種市「もっと 空気抜け。 天野。 浮かんできてるぞ。」

磯野「平行移動! 待機しながら平行移動!」

アキ「『分かってます』。」

磯野「浮かんできてるって!」

アキ「『分がってるって うっせえな』。」

磯野「何? 今 何つった。 おめえ!」

アキ「『一度に いろんた事 言われても 無理です』。」

磯野「この野郎 はあ…。」

忠兵衛「焦るな! ゆっくり 空気抜け!」

種市「誰ですか?」

アキ「『おじいちゃん?』」

忠兵衛「浮かんできたら バルブを少しずつ緩めろ。」

磯野「おじいちゃん?」

種市「おじいちゃん?」

磯野「天野 ちょっと上がって… あっ ピッって鳴っちゃった。 ちょっと…。」

忠兵衛「あんた 何?」

磯野「いや 先生です。」

忠兵衛「先生!? アキが お世話になっていおります。」

磯野「いやいや… こちらこそ。 ごめん ちょっと上がってきて。 ドキドキしてる 先生 今。」

準備室

磯野「へえ~ 昭和34年って事は 卒業生第1号ですね!」

忠兵衛「まあな。 おらの頃は あんな立派なプールなど なかったべ。」

種市「なして 土木関係さ 進まねがったですか?」

忠兵衛「家が代々 遠洋の 漁師だったからな。 それに…。」

アキ「ここが 一番いい所だっていうのを 確認するために 世界を回ってるんです。」

忠兵衛「にいちゃんは 土木関係か?」

種市「はい。 自分は卒業して すぐ東京さ行って 羽田空港の滑走路拡張工事をやります。」

忠兵衛「お~ 立派なもんだ! 頑張れよ。」

種市「はい!」

忠兵衛「歌うか『南部ダイバー』。」

♬『白い鴎か 波しぶき』

磯野「大先輩だよ 大先輩!」

種市「歌え 歌え お前ら!」

♬『若い血潮が躍るのさ カップかぶれば 魚の仲間』

観光協会

ユイ「アキちゃん。」

菅原「やっと来た。 あの この子が例の…。」

池田「海女のアキちゃんだ。 思ったより 普通な感じですね。」

大吉「まあまあ 座って 座って。 ほれ ケーキだ。」

<何か 裏がある。 直感的に アキは そう思いました。 甘そうな 見るからに高そうなケーキ 紅茶。 大人たちの薄ら笑い。 そして 目の前にいる 薄いサングラスの男性。 その薄いサングラスの奥の目>

吉田「こちら 岩手こっちゃこいテレビの…。」

池田「ディレクターの池田と申します。 よろしく。」

<嫌な予感がします>

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