ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「あまちゃん」35回「おらのじっちゃん、大暴れ」

【 連続テレビ小説「あまちゃん」】35回のネタバレです。

あらすじ

アキ(能年玲奈)とユイ(橋本愛)の地元テレビへの出演を、春子(小泉今日子)は頑として許さない。しかし、二人のやる気に負けて、期限つきで許す。早速、テレビカメラがアキとユイの生活に密着。二人だけでなく、夏(宮本信子)や忠兵衛(蟹江敬三)をはじめ、まわりの人々も取材され、みんな舞い上がる。そして、天野家に思わぬ訪問者がやってきて…。

35回ネタバレ

観光協会

菅原「こちらが 岩手こっちゃこいテレビのディレクター…。」

池田「池田です。」

功「県議会議員の足立です。」

池田「よろしくお願いします。」

功「これは 妻のよしえ。」

よしえ「よろしくお願いします。」

功「…で あの 天野です。 教え子で。」

池田「『5時だべ! わんこチャンネル』という 30分番組の中の『アイドルさ会いさ来い』というコーナーで 地方限定のアイドルの卵といいますか。」

春子「アイドル?」

池田「いや… 地域社会に貢献する 県内の女子高生を紹介しています。 お二人に関しては ウニ丼販売の様子と オフを取材しつつ 関係者の声を織り交ぜ 北鉄や商店街 つりがね洞など 名所を紹介させて…。」

よしえ「スタイリストさんは?」

池田「え?」

よしえ「スタイリスト。」

菅原「奥様は 元女子プロでしたので…。」

功「女子アナだよ。」

池田「海女さんのスタイルと 学校の制服以外は 基本 ご自前でお願いします。 飾らない姿を撮りたいので。」

よしえ「そうですか。 そういう事でしたら。」

春子「自宅にも カメラ入るんですね。」

池田「ええ 差し支えなければ。」

春子「危ない輩が 家や漁協に 押しかけたりしないかしら。 場所が特定できないように 全体に モザイクをかけるとか。」

大吉「いやいや 漁協さ モザイクをかけたら せっかくのい海が見えなくなるべ。」

春子「学校にも カメラ入るんですね。 危ない輩が 窓ガラス割りに来たりしないかしら。」

池田「学校には 許可を取ってありますので。」

春子「海女の衣装は露出が多いんで 下に タイツでも はかせないと 危ない輩が…。」

池田「危ない輩は この時間 テレビを見ません!」

春子「はあ!?」

池田「…失礼。 でも お母さん そんなに過敏にならなくても うちのターゲットは…。」

春子「アキ 本当に大丈夫なの? どうしても出たいの? テレビに出るという事は 危ない輩に 素顔をさらすって事なのよ。 無言電話に ピンポンダッシュ 盗聴 盗撮 ストーカー行為 黒塗りのワンボックスカー。 危ない輩の危ない攻撃に 四六時中 苦しめられて 一生 日陰を歩く覚悟が あんたたちに できてるの?」

大吉「もう ちょっと やめてあげて アキちゃん 泣いてるから!」

アキ「うっ う~…。」

功「考え過ぎだよ 天野。 一回ぐらい テレビ出たぐらいで そんな被害に遭う訳ないだろ。」

よしえ「あの 心配なのは分かりますけど こんな田舎ですし…。」

菅原「それに ほら マネージャーも復活した事だから。」

アキ「ストーブさん…。」

栗原「もう吹っ切れたのよね。」

功「ああ… 全然 吹っ切れてないみたいだね。」

春子「あの… 私が心配なのは アキより むしろ ユイちゃんなんです。 アキは平気よ。 田舎が好きで 田舎のためなら 何でも やる子だから。でも ユイちゃんは違う。 いずれは ここを去るでしょ? その時に 大人たちが 快く 送り出してくれると思う?」

大吉「ちょっと 春ちゃん やめてけろ。」

春子「あんたのおかげで 北鉄も観光協会も繁盛してるの。 田舎に利用されてるの! 分かるでしょ?『めんこい めんこい』って あおられて 乗せられて 背中押されて 都会に行ったら つらい思いする 絶対!」

ユイ「ご心配ねぐ。」

春子「え?」

ユイ「おらも田舎を利用してっから。 ご心配ねぐ。」

アキ「何か開き直って キャラ変えるそうです。」

ユイ「あっ なまってない方がよければ 戻しますが…。」

池田「いや… いいんじゃない?」

ユイ「こう見えで おら 自分の事 分がってっから。 温かく見守ってけろじゃ。」

菅原「何だろう… 何か すごく新鮮。」

大吉「んだな! ただ なまってるだけなのに 癒されるな…。」

アキ「いがったな ユイちゃん。」

功「どうする? 天野。」

春子「どうするって?」

功「うちは応援しようと思う。」

春子「じゃあ… うちも 今回は許します。」

アキ「やった~!」

春子「ただし 条件があります! 大吉さん 期限決めましょう。」

大吉「期限?」

春子「この子たちが 町おこしに協力する期限です。 それ決めないと 延々やらされそうで怖いから。」

功「まあ そうだね。 確かに切りがないからなあ。」

春子「いつまで?」

大吉「できれば… あと3年。」

春子「はあ!?」

一同「えっ!?」

功「いやいや それはないよ 大吉君。 ユイ 二十歳過ぎてるよ。」

菅原「おらも 3年は さすがに ずうずうしいと思う。」

大吉「いやいや あと3年 黒字出さねば 北鉄は廃線に追い込まれっから。」

春子「それは 自分でなんとかしなさい。 駅長でしょ!?」

大吉「はい。」

春子「じゃあ 来年の3月までにしましょ。」

大吉 菅原「え~?」

春子「高2に間は協力を惜しみません。 でも どんなに人気が出ても どんなに観光客が押し寄せても 3月で辞めさせます。 分かった!?」

大吉「分がった!」

春子「うん。」

<こうして アキとユイは 情報番組に出る事になり カメラが 2人の生活に 密着し始めました>

天野家

弥生「随分 小せえな。」

かつ枝「ホントに テレビか?」

池田「最近は もう このサイズですよ。」

美寿々「あんた 一人?」

池田「ええ。 …っていうか 皆さん ふだんどおりが よかったんですけど。」

花巻「ふだんどおりだべ。」

池田「いや メークが…。」

弥生「ふだんどおりだよな。」

かつ枝「んだ。 ふだんより 薄いぐれえだ。」

池田「じゃあ あの… カメラ回していきますんで ふだんどおり作業して下さい。 よ~い スタート。 カット! すいません あの… ふだんどおりで。 リラックスして お願いします。 お願いしますよ いいですか? いきますよ。 よ~い スタート。」

池田「いや カット カット! あの… ふだんどおりです。」

テレビ

福田萌「5時だべ! わんこチャンネル。」

吉田「ま… 間もなく ミス北鉄のユイちゃんと 海女のアキちゃんを乗せた列車が 到着しま~す!」

(歓声)

ナレーション「ご覧ください! この人気! 2人が ウニ丼を車内販売を始めてから 売り上げが 5倍に伸びたそうです」

ユイ「ウニ丼 いかがですか~?」

ナレーション「アキちゃんの おばあちゃんで ウニ丼の生みの親でもある 夏ばっぱこと 天野 夏さんに お話を伺ってきました」

夏「天野 夏でがす。」

忠兵衛「天野 忠兵衛でがす。」

漁協

かつ枝「お~ 出てきた! 色男!」

忠兵衛「黙って聞げ! 色男しゃべっから!」

忠兵衛『はい。 北三陸はですね リアス式海岸の優れた漁場で 海の幸に恵まれて…。』

長内「色男 目が泳いどる!」

(笑い声)

忠兵衛『えっ? 質問なんでしたっけ?』

(笑い声)

かつ枝「何だべ これ~!」

忠兵衛『ああ! それは かあちゃんさ聞いて下さい。』

夏『まんず 最初は… やがましい わらしが 来たと思いました。 【海女さんになりでえ】なんて 今どき 珍しい娘っ子で 何べんも流されて 溺れで それでも諦めなかったのは 立派だと思いました。』

テレビ

ナレーション『そうなんです! アキちゃんは 現役の海女さんで 夏の間は 海に潜って ウニを取っているんです! 観光協会のホームページにアップされた その動画が なんと 100万回以上再生され 人気爆発! 現在 アキちゃんは 北三陸高校の潜水土木科で 南部もぐりを習得中です』

種市「我が潜水土木科にとっては 8年ぶりの女子生徒ですんで。」

磯野「そうね うん。」

種市「期待も注目度も高く…。」

磯野「そうそう。」

種市「本人も やる気満々で 実習の励んでおります。」

磯野「やってる やってる!。」

池田「アキちゃんとユイちゃん どっちがタイプですか?」

種市「あっ いや 自分は…。」

磯野「俺 ユイちゃん断然ユイちゃん! 断然ユイちゃん!」

ナレーション「そのユイちゃんは 初代ミス北鉄に選ばれた 正統派美少女」

大吉「おかげさまで 北鉄も 20年びりの黒字に回復しました。」

吉田「平日は 市民の足として…。」

大吉「吉田君 あれ言わなきゃ あれ。」

吉田「ええ あの…。 土日… 土日は 臨時便を出しておりますので 皆さん お誘い合わせの上…。」

池田「はい じゃあ スタジオ戻るよ。 キュー。」

福田「はい! という訳で 今日は なんと 北鉄のユイちゃん 海女のアキちゃんが スタジオに来て下さいました。 どうぞ~。」

漁協

かつ枝「夏ちゃん!」

(拍手)

テレビ

福田「ようこそ いらっしゃいました。 はあ~ かわいいですね。」

アキ「はい。 これは 絣半纏といって 北の海女の伝統的な衣装です。」

福田「アキちゃんは夏は海女さんとして 海に潜ってるんだよね。」

アキ「はい!」

福田「ユイちゃんは?」

ユイ「私は泳ぎません。」

福田「正直でいい。 じゃあ 今日は ウニ殻を アキちゃんに 割ってもらいましょう。 こちら 地元北三陸のウニ ご用意致しました。 お願いします。」

アキ「えっ じぇじぇ!」

福田「えっ? 今の何ですか?」

アキ「いや 生ぎでると思わなくて…。」

ユイ「北三陸地方では びっくりした時に『じぇじぇ』って言うんです。」

福田「え~ 嘘でしょ? あっ もう あまり時間も ないようです。 最後に 地元北三陸のP.R. お願いします。」

ユイ「はい。 北三陸は 景色もきれいで 豊富な海の幸と あと 琥珀が自慢です。」

喫茶店・リアス

勉「ありがとう!」

春子「びっくりした~。」

漁協

ユイ『北鉄さ乗って 夏ばっぱのウニ丼さ 食いに来てけろ。』

一同「あ~!」

テレビ

福田「アキちゃん。」

アキ「はい。 えっと まめぶ食べに…。」

ニュースキャスター「番組の途中ですが…。」

一同「えっ!?」

春子「うん?」

一同「えっ!?」

かつ枝「なんだよ!」

今野「これで終わり?」

スタジオ

池田「いやいや… 申し訳ない。 ニュース入っちゃった。 今日は終わり。」

<いろいろありましたが 2人のテレビ出演の宣伝効果は すさまじく 次の週末は 過去最高の人出かと思いきや…>

北三陸駅

大吉「おかしいな~。 何で客来ねえんだ?」

春子「誰も見てなかったんじゃないの?」

ヒビキ「どうやら 逆効果だったようですね。」

春子「あっ カルキ。」

ヒビキ「ヒビキです。 この間のテレビ出演で インターネットのファンは 離れていった可能性があります。」

大吉「そんな!」

ヒビキ「その証拠に 動画のカウンターが 伸び悩んでる。 オタクは食いつくのも早いですけど 離れるのも早いですから。」

菅原「先輩! 先輩 大変だよ!」

大吉「あ?」

ヒロシ「国道のバイパス付近で 3km渋滞だそうです。」

大吉「何? どういう事?」

菅原「岩手のローカル番組だったから みんな ほら 電車でねぐ 車や バスで来んでねえかな?」

大吉「くっそ 許すまじ モータリゼーション。」

吉田「駅長 観光客120人を乗せたバスが 渋滞に巻き込まれたので 電車の発車を 5分 10分 遅らせてくれって!」

大吉「何!?」

吉田「どうします? 待ちます?」

大吉「待ってやろうじゃねえか。」

吉田「了解しました!」

大吉「第三セクター なめんなよ! これから 100人以上 人が来る。 気合い入れて売るように。」

<結局 この日も大繁盛で クタクタに疲れて 家に帰りました>

道中

アキ「パパ!?」

天野家

忠兵衛「まあまあ…。」

黒川「ありがとうございます。 あ~ すいません。 頂きます。 う~ん! うまい! 初めてです! いや~ びっくりしました! ハハハッ うまいですね!」

忠兵衛「お~ アキ! お帰り!」

アキ「パパ 何やってるの?」

黒川「何って… 会いに来たんだよ。」

アキ「えっ 何で?」

黒川「だって お前 明日 誕生日だろ。」

アキ「じぇじぇじぇ!」

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