ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「あまちゃん」39回「おらのママに歴史あり」

【 連続テレビ小説「あまちゃん」】39回のネタバレです。

あらすじ

春子(小泉今日子)は、アイドル歌手にあこがれ、芸能界を目指していた。しかし、同時に春子には、町の人から海女の後継者として大きな期待が集まっていた。夏(宮本信子)とけんかをする日が続き、夢と周囲の期待のはざまで思い悩んだ春子はついに家を出る。アキ(能年玲奈)は、当時の母と祖母の葛藤、そしてその後の母の人生について知って驚く。そんな時、祖父・忠兵衛(蟹江敬三)が、意外なことを宣言する。

39回ネタバレ

天野家

春子「いくよ。」

カセットテープ「天野春子 高校2年生 17歳です。 聴いて下さい。『初恋』。」

春子「恥ずかしい…。」

♬~(『初恋』)

春子「すごい音だよね。 これね ここで録ったの。」

アキ「どうやって?」

春子「8トラのカラオケの機械を 漁協で借りて 持ち込んで。 ホントは 聖子ちゃんの曲が 歌いたかったんだけど カセットに入ってなかったのよ。」

回想

♬~(『初恋』)

春子「♬『五月雨』」

夏「おい 春子! 塩ラーメンと みそラーメン どっちにする?」

春子「もう入ってこないでよ 買ってに!」

夏「あ~ ごめん ごめん。」

春子「見えないの これ ねえ! 録音中!」

夏「あ~ はいはい 分かった 分かった。」

春子「もう!」

夏「おい! 塩と みそ どっちだ?」

春子「塩!」

夏「塩! 塩!」

春子「もう!」

夏「塩!」

スナック・梨明日

♬~(『初恋』)

春子♬『五月雨は緑色 悲しくさせたよ 一人の午後は』

菅原「懐かしいな…。 これ聴くの 何年ぶりだべ。」

大吉「おら しょっちゅう 聴いてる。」

菅原「えっ 今でも?」

ヒロシ「テープ伸びないですか?」

大吉「冷蔵庫で冷やしてる。」

吉田「駅長はな 春子さんから このテープを受け取ったのは 自分だけだと勘違いして すっかり 舞い上がっちゃったんだよ。」

菅原「デモテープの意味が 分がんねかったんですよね。」

吉田「モジモジしてる感じですもんね。『でも…』みたいな。」

大吉「しかも 中身が『初恋』だべ。 俺に ほれてると思うべ。」

吉田「そう思い込んで 24年間 駅長は独身を貫いてんだ。」

黒川「あれ? でも 奥さん いましたよね。」

回想

安部「私なんか 校庭の片隅で ひっそりと干からびている せみの死骸ですもの。」

回想終了

大吉「俺の話は どうでもいいべ。 とにかく 春ちゃんがテープ送って しばらく たって たまたま 漁協で会ったんだよ。」

回想

1984年(昭和59年)

大吉「ごめんください。」

かつ枝「はい 御苦労さん。

春子「おっ 大吉っつぁん! 見て見て 見て見て…!」

大吉「何だ?」

春子「受かった!『君スタ』のテープ審査! 受かった!」

大吉「じぇじぇ!」

春子「ちょっと 見て見て…。『7月7日土曜日朝9時東京NYBSテレビスタジオに 集合して下さい』って!」

大吉「すんげえ! すんげえ! 夏ばっぱ 知ってんのか?」

春子「いや…。」

大吉「黙って 応募したのか?」

回想終了

天野家

春子「夏さんには 一切相談しなかったの。 まあ うすうす感づいてるとは 思うけどね。 いつか熱も冷めるって 思ってたんじゃないかな。」

回想

夏「くっだらねえ!」

春子「お願い! 二度とないチャンスだから 行かせて下さい!」

夏「駄目だ。 芸能界なんて おめえ 水物だ。 何の保証もねえし…。 第一 おめえ 土曜でねえか 学校どうすんだ?」

春子「もともと その日は 休む事になってます。 学校サボって 海女の手伝いするのはよぐても オーディションは駄目なのか!?」

夏「受かったら どうすんだ。 この町さ捨てて 東京で暮らすのか?」

春子「次の週も行ぐ。」

夏「…何?」

春子「10週勝ち抜かないと デビューできないの! 落ちたら その時点で終わりだけど 受かったら 次の週も行ぐ。」

夏「毎週土曜日さ 東京へ通うのか?」

春子「大丈夫だよ。 10週なんて無理だから。 もちろん 1週か 2週は勝ちたいけど 10週なんて無理。」

夏「だったら 行ぐな。」

春子「え?」

夏「途中で負けるって分かってて 大騒ぎして 東京さ行ぐのか? 恥ずかしい。 寝言語ってんでねえ! バカこの!」

春子「母ちゃん…。」

夏「何だ この!」

春子「母ちゃん!」

夏「本気だと思って 真面目に聞いたら… ええ!?『10週なんて無理』だ? 遊びさ行くのか。 違うべ! アイドル歌手になりたくて 行ぐんだべ! だったら なれ! 勝で! 負けた時の事 考えてるぐれえなら 最初から行ぐな! バカこの!」

春子「ごめんなさい!」

夏「『ごめんなさい』でねえ! 本気か遊びか聞いてんだ。 1回 2回勝って どうすんだ。 ゼロか 10しかねえ! どっちだ!? ゼロか! 10か!」

春子「…10です。」

夏「分かった。 ほんなら 行ってよし。」

春子「…ホントに?」

夏「組合長には おらが ちゃんと説得してやる。」

かつ枝「夏さ~ん!」

夏「はい。 はい はい はい。 あっ 組合長。」

長内「こちら 北三陸市の市長さん。 知ってるべ?」

回想終了

スナック・梨明日

黒川「えっ!? 市長が じきじきに来たんですか?」

長内「んだ。 それだけ春ちゃんが 期待されてたって事だ!」

弥生「じぇじぇ! いつの間に。」

回想

市長「明日 北三陸鉄道が開通すれば 観光客も増える。 東京からも人が来る。」

長内「新聞やテレビの取材も来る! ちょうど 海開きで 袖が浜の海女も注目される! こんなチャンス めったにねえべ!」

弥生「おめえしか いねえんだ! 春子 頼む!」

かつ枝「袖が浜の未来のためだ! 頼む! 潜ってけろ!」

夏「あとは おらが話して聞かせっから 悪いようにはしねえがら。」

回想終了

天野家

春子「手のひら返したのよ 夏さん。 ひどいでしょ? さっき 説得するって言ったのに 全然 話 違うじゃんって。 内心 もう腹が立って しかたがなかったの。」

アキ「それで 話し合ったの?」

回想

夏「明日も早(はえ)え そろそろ寝るべ。」

春子「ちょっと 母ちゃん? 母ちゃん。 やっぱり 海女やりだぐね。 東京さ行ぎでえ。」

回想終了

春子「いっつも そう。 最終的には自分で決めろって 突き放すのよ。 …っていうか もう 出ていけって事だと思ったよね そん時は。」

回想

春子「もう どいてよ!」

大吉「ああ すいません!」

弥生「春子 なして乗ってんだ? 春子! なして乗ってんの?」

大吉「出発進行~!」

弥生「春子! 春子! 春子! 春子!」

(ホイッスル)

大吉「春ちゃん 東京さ行ぐのか? どうしても行くのか?」

春子「こんな ド田舎さ もう いたぐね。」

大吉「母ちゃんの後継いで 海女になんのが そんなに嫌か? これかr 地方の時代だべ。 北鉄も通って この町も ますます活性化するべ。 もったいねえべ。」

春子「うるせえ。 一人で生きていくって決めたんだ。 どいて。」

大吉「春ちゃん…。」

回想終了

スナック・梨明日

大吉「あん時 あそこで引きさがらずに 連れて帰ってれば こったら しょうもねえ男に つかまんねえで済んだのに!」

黒川「駅長 また ウーロンハイ飲んでます。」

大吉「今夜は確信犯だ! この野郎! おい! 表出ろ この野郎! おい!」

ヒロシ「すいません 何か 結局絡んじゃって…。」

黒川「いや 僕も初めて聞く 話ばかりだったんで。」

ヒロシ「あ… そうなんだ。」

黒川「家内は 自分の事 話したがらないんですよ。」

大吉「『家内』って 何だ! この野郎 バカ野郎 お前! おい こっち来い! この野郎 バカ野郎 おい!」

天野家

春子「見送りにも来てくれなかったしさ。 結局 夏さんが あの時 どんな気持ちだったのか いまだに分かんない。 応援する気持ちがあったのか それとも この町に残ってほしかったのか。」

アキ「どっちもじゃない?」

春子「どっちも?」

アキ「うん。 もちろん 寂しいって思う気持ちも あっただろうけど 頑張れって気持ちもあったんだよ。」

春子「どうして そう思うの?」

アキ「分がんねえ。」

春子「都合悪くなると なまるよね あんた。」

アキ「だって ママが東京行かなかったら パパと知り合ってないし 私も生まれてなかったし…。 えっ? 生まれない方が よかった?」

春子「何 言ってんの?」

アキ「私が生まれたから アイドル諦めたの?」

春子「そんな訳ないでしょ バカな事 言わないのい。」

アキ「じゃあ 何で諦めたの?」

春子「ああ…。 まあ いろいろあったのよね。 でも あの… 全然 アキのせいじゃないからね。 だって あんた産んだの 25の時だもん。 …つうか 親って ホントに難しい!」

アキ「えっ 何で?」

春子「だって アキが『海女やりたい』って 言いだした時やさ『南部もぐり やりたい』って 言いだした時にさ いまひとつ こう… 強く出れないのよ ママね。 だって アイドルになりたかったんだよ。 なれると思って 高校やめて 勝手に東京行っちゃったんだよ。 あ~ もう 何か いっぱい しゃべったら おなかすいちゃった! フフッ。」

アキ「アハハハッ。」

忠兵衛「それはねえべ 夏ちゃん!」

アキ「あれ どうしたの?」

忠兵衛「アキ いいとさ来た。 ここさ座れ。」

アキ「えっ 何 何?」

春子「おなかすいた。 何か作ってよ。」

忠兵衛「あ~ いいから 春子も。」

夏「ラーメンでも作るべ。」

春子「ああ ラーメンいいね。 何 何?」

忠兵衛「アキ おじいちゃんな… 漁師やめるじゃ。」

アキ「じぇじぇ!」

忠兵衛「日曜の船さ乗って 沖さ出る予定だったけどな。 やめた。」

春子「えっ どういう事?」

忠兵衛「もう年だべ。 無理して 船さ乗んなくても いいかと思って…。 夏ちゃんもい心配みてえだし アキもいるし 春子もな。 だから 陸(おか)で 第2の人生 楽しむかってな。」

春子「そっか。 そうなんだ。」

忠兵衛「明日 漁協さ行って 引退宣言してくるじゃ。 ついでに 仕事紹介してもらうべと思って。」

春子「長い間 御苦労さまでした。 ビール飲む?」

忠兵衛「おお もうらべ!」

春子「よし。」

アキ「えっ? じゃあ じいちゃん ここで 一緒に暮らすのか?」

忠兵衛「当たり前だ おめえ! ここは おらのうちだど。」

アキ「やった~! ばっぱ いがったね!」

夏「ヘヘヘヘッ まあな。」

忠兵衛「アキ ほら 飲むか?」

アキ「飲めないよ。」

夏「定期健診の結果 あまり よくねがったみたいだ。」

春子「えっ…。」

忠兵衛「あっ 漬物あったべ。 持ってこい。」

夏「あ~ はいはい はいはい。」

<一度は死んだと思い込んでいた 父 忠兵衛。 幸い元気に暮らしていますが 67歳のおじいちゃんなのです>

忠兵衛「あっ 春子も来い。」

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