ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「あまちゃん」63回「おら、アイドルになりてぇ!」

【 連続テレビ小説「あまちゃん」】63回のネタバレです。

あらすじ

アキ(能年玲奈)は、ユイ(橋本愛)を励まそうと、海女たちのイベント「海女~ソニック」を企画した。春子(小泉今日子)に、ユイと一緒に出演する許可をもらいたいが、なかなか話を切り出せない。その頃、春子は80年代の青春映画「潮騒のメモリー」のビデオを観て、涙を流していた。その様子を見たアキもこっそり「潮騒のメモリー」を観る。アキは、主演で主題歌も歌う女優・鈴鹿ひろみ(薬師丸ひろ子)にすっかり夢中になる。

63回ネタバレ

足立家

<部屋に籠もるユイを 外に連れ出すため アキは ある企画を提案しました>

海女カフェ

夏「ふぇす? 何だ ふぇすって。」

アキ「みんなで歌ったり 踊ったり 潜ったり ウニ取ったりする 海女のフェスティバルだ。」

花巻「海女~ソニック。 海女のさまーふぇす 海女~ソニック。」

アキ「それいいよ 花巻さん!」

花巻「うん?」

アキ「海女~ソニック いぐねえ?」

弥生「そしたら おら『ヨイトマケの唄』歌うべ。♬『父ちゃんのためなら エンヤコラ』

アキ「でも ママが…。」

かつ枝「何『ママが』って。」

アキ「『いい? 芸能界とか アイドルとか チャラチャラしたの ママ 絶対 許さないからね! 返事は!? 聞こえない!』。」

(笑い声)

春子「アハハッ 何してんの? えっ 何?」

かつ枝「め… 珍しいね。」

春子「うん。 たまには ランチとか いいかなと思って…。」

かつ枝「いらっしゃ~い。 アハハハッ…。」

春子「何?」

かつ枝「いやいや いやいや 珍しい 珍しい。」

春子「ああ そう。 何か変じゃん。」

夏「いつにする?」

アキ「え?」

夏「海女フェス。 木曜日でいいか?」

アキ「うん…。」

夏「おらに任せろ。 春子!」

春子「うん?」

夏「アキ 木曜日 借りるど。」

春子「どうぞ。」

夏「おお~。 ハッハッハッ。」

夏「よし 筋は通したど。」

アキ「じぇじぇ! 今ので?」

夏「ああ。」

アキ「いやいや いやいや 今ので いい訳ない!」

観光協会

アキ「海女~ソニックだ。」

ヒロシ「ホントに いいのか? アキちゃん。」

アキ「うん ユイちゃんのためだ。 一遍だけ やる事にした。」

菅原「お~ 潮騒のメモリーズ復活か!」

アキ「いや そんな大げさなもんでなく 海女~ソニックの間だけ ひっそりと 期間限定で…。」

池田「派手にやんなきゃ しょうがないでしょう! 生で 特番 組みましょう。」

アキ「そういう訳なんで ストーブさん ユイちゃんを 海女カフェに 呼んで下さい。」

ヒロシ「よく お母さん 許してくれたね。」

アキ「…。」

栗原「えっ まだ話してねえの?」

アキ「それが 家さ帰ってすぐ 相談しようと思ったんですが…。」

回想

アキ「ただいま~!」

春子「…お帰り。」

アキ「ママ ちょっといい?」

春子「…何? 何よ。 早く言いなさいよ。」

アキ「いや 後でいい。」

春子「あっ そう。 御飯 炊いておいたからさ 何か適当に食べて。」

喫茶・リアス

吉田「あ~ やっぱり 春子さん 泣いちゃった?」

アキ「はい。 泣いでた。 涙 ポロポロ流してた。」

大吉「あの 北の冷血女と呼ばれた 春ちゃんが!?」

菅原「速い車さ乗っけられでも 急に スピンかけられでも 泣かなかった春子さんが!?」

吉田「泣ぐよね『潮騒のメモリー』見だら。」

大吉「泣ぐ泣ぐ 泣ぐに決まってる。」

菅原「俺らの世代は みんな泣く。」

ヒロシ「吉田さんが貸した ビデオなんでしょ?」

吉田「そう。 随分前に テレビで放送したやつ。」

<『潮騒のメモリー』は 1986年の制作された青春映画。 今や 実力派女優として知られる 鈴鹿ひろ美のデビュー作です>

アキ「ねえねえ 吉田さん どんな映画?」

吉田「それ 俺に聞いちゃう?」

<残念ながら 著作権の関係で 映像を お見せする事は できません。 代わりに アニメーションと 副駅長 吉田さんの たどたどしい解説で お楽しみ下さい>

吉田「舞台は… 新潟だか 鳥取だかに浮かぶ 架空の島 鈴鹿島。」

吉田『貧しい漁村の りょ… 漁師かか 工員だかの娘として生まれた 少女 ひろみは もっと貧しい村の青年 新一だか 新吉だかと出会います。 ひろみ 17歳だか 18歳の夏でした。』

アキ「のっけから イライラするなあ!」

吉田「こんなもんでしょう!? いきなり説明しろって 言われたらさ!」

大吉「新潟と鳥取は だいぶ違うど。」

勉「正しくは 松島だね。」

菅原「宮城じゃねえかよ。」

吉田「本当か? 勉さん。 間違いねえか それ。 ファイナル勉さんか?」

勉「うん。 確か ひろみの母ちゃんが 海女さんなんだ。」

吉田「んだ!」

吉田『ひろみの母 律子は 海女でした。 夫の先立たれ 女手一つで ひろみを育てた 律子の夢 それは 由緒正しき 本土の名家 合田財閥に ひろみを嫁がせる事。』

大吉「いいぞ 吉田。 その調子だ!」

律子『いけないよ ひろみ。 お前は 合田様の お嫁さんになるんだ!』。

ひろみ『いや 私は 新一さんだか 新吉さんだかが好きなの!』。

菅原「もう どっちかに決めて。」

ひろみ「新吉さんも きっと 私と同じ気持ちよ!』。

大吉「んだ んだ んだ んだ それで 例の名場面『その火を飛び越えてこい!』に なる訳だな。」

吉田「う~ん…。」

大吉「えっ 違うの?」

勉「その前に 新助さんが熱病にかかるんだ。」

菅原「新助じゃねえかよ!」

吉田「間違いねえか? ファイナル勉さん?」

勉「ファイナル勉さん。 でもって 熱病の新助を ひろみが背負って 本土の病院に 連れていこうとして…。」

吉田「船が難破するんだ!」

菅原「アキちゃん 大丈夫か? ここまでは ついてきてるか?」

アキ「うん なんとか!」

大吉「さあ きた きた! 無人島に流れ着いたら ひろみと新助は…!」

吉田「んだ!」

大吉「たき火を挟んで!」

吉田「んだ んだ!」

大吉「『新助 その火を飛び越えてこい!』。」

吉田「う~ん…。」

大吉「な… 何だよ。 何で そこで テンション下がっちゃうんだよ。」

吉田「そんな場面は ないからです。」

大吉「ない!?」

菅原「ないって どういう事よ?」

吉田「二十数年ぶりに見返して 何が びっくりしたって たき火を飛び越える場面が なかったんです。」

2人「じぇじぇじぇ!」

アキ「ないの!?」

吉田「ないんです。」

アキ「ファイナル勉さん?」

勉「ファイナル勉さん。 おめえら みんな 三島由紀夫の『潮騒』と 記憶が ごっちゃになってんだな。」

大吉「いや いや いや いや…。 だって 歌の歌詞は『来てよ その火を 飛び越えて』だべ。」

吉田「一応 飛び越えるシーンは あるには あるんだけど…。」

菅原「何を飛び越えるの?」

ひろみ『飛び越えてこい!』。

新助『うう…』。

ひろみ『新助 私が好きなら その蛇を飛び越えてこい!』。

アキ「蛇!?」

大吉 菅原「じぇじぇじぇ!」

吉田「蛇なんです。」

大吉「蛇か~!」

菅原「何か 盛り上がりに欠けるね。」

吉田「監督も そう思ったんでしょうね。 クライマックスに取って付けたように…。」

ひろみ『新助 その火を飛び越えてこい!』。

新助『無理だ!』。

アキ「泣げる映画なんですよね。」

吉田「泣げる。 見れば 間違いなく泣げる。」

アキ「ホントがなあ?」

吉田「こんなもんですよ。 1980年代のアイドル映画なんて!」

アキ「とりあえず帰って 見でみます。」

<映画『潮騒のメモリー』は 荒唐無稽なストーリーと 斬新な演出が話題となり 大ヒットを記録し 鈴鹿ひろ美は その年の名だたる映画賞を 総なめにしました。 特に ラストシーン。 荒れ狂う 海と夕日を背に立つ ひろみの姿は 大型新人の誕生を 予感させる名場面で…>

天野家

アキ「(泣き声)」

夏「ただいま~! 御飯にすっぺ。」

(アキの泣き声)

夏「アキ どうした? 具合でも悪いのか?」

アキ「夏ばっぱ…。 おら 映画女優になりでえ!」

夏「何!?」

アキ「この人みでえに なりでえ!」

夏「水野明郎か?」

アキ「違う! この人だ!」

夏「鈴鹿ひろ美か?」

海女カフェ

アキ「んだ んだ。 すげえんだ。 ホントに泣けるんだってば!」

花巻「分がった 分がった。」

アキ「かっこいいんだって! 女優って すげえよな。 やっぱり こう… あの~。」

弥生「オーラか?」

アキ「オーラが違うべ。」

花巻「あれれ 弥生さん 今日は ボケねえのか?」

弥生「まあな。 黒酢飲んでっからな。」

長内「アハハハッ!」

花巻「黒酢って頭にも効くんだな。」

弥生「サプリメントを 毎朝飲んでっからな! ビタミン アミノ酸 グル… グル… グル… グルグル グルグル…! ドッカ~ン!」

花巻「自爆だ!」

長内アハハハハッ!」

ヒロシ「アキちゃん 例のもの 持ってきたけど。」

ヒロシ「せ~の よいしょ!」

アキ「オーライ オーライ!」

美寿々「夏ばっぱ また アキが おかしな事 始めたど!」

夏「え~?」

美寿々「ほら!」

夏「じぇじぇ! アキ どうしたんだ? こんな でけえもん持ち込んで!」

アキ「もっと もっと奥! もっと奥。」

長内「あ~!」

花巻「ベンチさ当たるな! これは もう 真ん中で割るしかねえな。」

ユイ「ちょっと 何?」

アキ「見で! ここで歌うべ! 一緒に歌うべ!」

ユイ「アキちゃん…。」

アキ「駄目?」

ユイ「駄目だよ。 デビューしてからって約束でしょ?」

アキ「部屋さ 籠もってたら デビューもできなくなるべ。」

回想

ユイ「デビューしたいんです! 東京行って アイドルになりたいんです!」

水口「それは 君次第でしょ。」

回想終了

アキ「ごめん。 でも 今の本音だ。 みんなを元気にするのが アイドルの仕事だとしたら 今のユイちゃんは 職場放棄だべ。」

夏「おらも そう思う。」

ユイ「夏ばっぱ…。」

夏「この間のお座敷列車が 北鉄や 町のためだとしたら 今度は 自分のためだ。 今度は 自分のために歌って 踊ればいい。」

かつ枝「おらも そう思う。」

ユイ「眼鏡会計ばばあ。」

かつ枝「東京が なんぼいいか知らねえが まずは地元で もっと もっと 人気者になってよ 北三陸も ユイちゃんも 有名になってよ プロデューサーだか 何だか知らねえが じきじきに頭下げてくるまで こっちから 東京さ行く事はねえ!」

回想

水口「君の覚悟っていうか 本気が見たいって もし 俺が 業界の人間で… 違うけどね。 そういう業界の そういう立場の人だったら 思うと思うけどね。」

回想終了

ユイ「でも…。」

ヒロシ「『でも…』じゃねえべ! みんな お前のために ここまで やってんだぞ! やれ! 歌えよ! つべこべ言わずによ! どうしても嫌だっつうなら これ 駅前まで戻せ!」

アキ「かっけえ!」

かつ枝「『眼鏡会計ばばあ』?」

回想

水口「普通に そこそこ かわいくて『アイドルになりたい』なんて 言ってる ちょっと痛い女の子と 何が違うのか。 知りたいと思うけどね。」

回想終了

ユイ「…分かった。 歌うよ。 歌おう アキちゃん!」

アキ「うん!」

夏「よし! そんだら 海女…。」

ヒロシ「ソニック!」

夏「ソニック! 盛り上げるべ! なっ!」

(拍手と歓声)

弥生「眼鏡会計ばばあ」って 何? ねえ 何? みんなで 私の事 眼鏡会計ばばあって呼んでたの? 何で 目 そらすの? ねえ 何で去っていくの?」

<ユイが復活! 海女~ソニックは 無事 開催される事になりました>

モバイルバージョンを終了