【 連続テレビ小説「あまちゃん」】65回のネタバレです。
あらすじ
ユイ(橋本愛)とのステージを大成功させたアキ(能年玲奈)だが、観客のいる前で春子(小泉今日子)に頬を打たれる。家に戻り、約束を破ったことをとがめる春子に、アキは猛反発! 「アイドルになりたい」と宣言する。驚く一同を残して家を飛び出したアキは、ユイ(橋本愛)に本心を伝える。そんな折、アキとユイのステージを撮影した動画を見た水口(松田龍平)が、アキに電話してくる。その電話の内容は…。
65回ネタバレ
海女カフェ
アキ「♬『好きよ』じぇ!」
<何で ここに!? 今日は リアスの当番の日なのに…。 アキは パニックに陥っていました>
リポーター「袖が浜 海女カフェから お送りしました 今日の『わんこチャンネル』そろそろ お時間となりました。 こちら 8月15日まで 1時と4時の2ステージ 毎日 ユイちゃん アキちゃんに 会えるそうです。 それでは 明日も この時間に お会いしましょう!」
池田「はい カット~! 中継以上です!」
アキの頬を叩く春子
(どよめき)
春子「立ちなさいよ アキ! あんた どういうつもり!?」
ユイ「違うんです!」
春子「違わない! 約束は約束です。 お座敷列車で最後にするって あんた 言ったよね。何 はしゃいでんの!?」
大吉「やめろ! 落ち着け 春ちゃん!」
池田「お… お母さん 落ち着いて。 とりあえず お客さん外に出して。」
春子「嫌なんです! 自分の大事な娘が こういう男性の… ギラギラした 好奇な目に さらされるのが!」
ヒビキ「別に そんな目で見てねえし。」
春子「うるさい! 眼鏡は黙ってろ!」
ヒビキ「眼鏡じゃねえし! 眼鏡取ったら 眼鏡じゃねえし!」
大吉「春ちゃん 春ちゃん! ちょっと 中さ入って!」
春子「黙ってて! 3年生になったら 進路の事 将来の事 ちゃんと真面目に考えるって 言いましたよね 先生!」
磯野「はっ はい! いや あの~ たまたま… 今日は たまたまです!」
アキ「ただぐ事ねえべ。」
春子「え?」
アキ「なにも いぎなり ただぐ事ねえべ。 みんなの前なのに…。 おらには おらの考えがあんだ。 たたく事ねえべ。」
夏「確かに 今のは やりすぎだ! ここは アキの職場だぞ。 そこさ乗り込んで 訳も聞かずに 手 上げるとは いくら 親でも やりすぎだ!」
春子「すいません。 金輪際 ちやほやしないでもらって いいですか? 普通の娘なんです。 何なんですか? アキは ここで ごく普通の高校生活も 送れないんですか!?」
観客「うるせえ ばばあ! 引っ込め!」
(罵声)
春子「ばばあっつったな ばばあって! 誰だよ ばばあっつったの。」
磯野「おめ… おめえだべ この野郎!」
(騒ぐ声)
天野家
春子「大げさな… ちょっと当たっただけじゃん。」
磯野「いや いや いや! なかなかの闘魂注入でしたよ。」
長内「よく 顎 外れねがったな。」
春子「たたいた事は… 悪かった。 ごめん。 でも ママ 絶対に許さないからね。 あんな チャラチャラしたの。」
アキ「ただのチャラチャラじゃねえ。 おらなりの考えがあって チャラチャラしてだのだ。」
春子「どんな考えよ 言ってごらんなさいよ。」
ユイ「私を家から出そうと思って…。 そうだよね? 水口さんの件で 私が ふさぎ込んでたから…。」
春子「ユイちゃん黙ってて アキに聞いてんの。」
アキ「もともと ユイちゃんが デビューして 売れで 帰ってきて 凱旋公演やるために造った ステージだけど…。」
ユイ「『家から出なきゃ デビューできないよ』って…。」
アキ「ユイちゃんに 早く元気になってほしくて。」
春子「それだけ?」
アキ「えっ?」
春子「だったら ユイちゃん一人で いいじゃない。 あんたまで 一緒になって 歌う必要なかったじゃない。」
アキ「それだけじゃ… ねえ。」
一同「ん? 何 何?」
春子「言いなさい 怒んないから。」
アキ「おらも 歌うの好ぎだから。 歌って『わ~ わ~』言われんの 気持いいがら。 最初は ただ 海女の恰好して 電車さ乗って 弁当売ってた頃は 何が おもしれえのか 分がんねがった。」
アキ「何もしてねえのに 写真バシャバシャ撮られて…。 だけど お座敷列車で ユイちゃんと歌って とにかく楽しがった。」
回想
♬『来てよ その火を 飛び越えて 砂に書いた アイ ミス ユー』
回想終了
アキ「あん時の お客さんの笑顔や 声援が 忘れられねくて ありがとう ありがとうって…。 来た時よりも 確実に元気になって帰っていく お客さんの顔が忘れられねくて…。 それは でも 海女やってる時がら 感じてた事だ。」
アキ「潜って ウニ取って ウニむいで お客さんに喜んでもらう。 んだ。 サービス業だ! 海女も アイドルの 一生懸命サービスして お客さんに喜んでもらうのは 一緒だって おら 気付いたんだ。」
春子「…で?」
アキ「『…で』?」
春子「さっき言ったよね『自分なりの考えがあって チャラチャラしてるんだ』って。 何よ? どんな考えよ。」
アキ「おら アイドルになりでえ! アイドルになりでえ! 歌って 踊って 潜って ウニ取って 上がって 食わせる! そんな アイドルになりでえ!」
頬を叩く春子
大吉「春ちゃん!」
ヒロシ「春子さん!」
ユイ「おばさん。」
春子「おばさんじゃない! いつ どんな時も 私は 誰のおばさんでも ありません。」
アキ「(泣き声)」
春子「泣くな!」
アキ「たたくから 泣くんだべ! 一日2回も!」
春子「たたかれるような事 言うからでしょう。」
アキ「何が!?」
春子「だって… バカじゃん! 歌って 踊って 潜って ウニ取って食わせる アイドル!?」
アキ「歌って 踊って 潜って ウニ取って 上がって食わせるだ!」
春子「同じよ!」
アキ「同じじゃねえ! 海から上がんねえと 息 続かねえべ。 潜りっ放しじゃ それこそ バカだ!」
アキ「(泣き声)」
春子「泣くな! この子ね バカでしょ? バカなんですよ。 将来の事 真剣に考えろっつってんのに!」
アキ「考えたべ。」
春子「考えた結果が バカすぎるっつってんのよ! ねえ 先生?」
磯野「ええ ヘヘヘッ。 潜水土木科の担任としては やはり 南部もぐり的な要素も 入れてほしかったですね。」
春子「…え?」
磯野「あの~ 歌って 潜って え~ 足場組んで 2人1組で作業するアイドル…。 あ~!」
春子「待ちなさい アキ!」
アキ「バカって言う方が バカだ! バカ!」
ユイ「アキちゃん!?」
アキ「ママなんか嫌い。 大っ嫌い!」
灯台
天野家
春子「嫌な予感してたのよ。 吉田君に借りた 映画のビデオ。」
大吉「『潮騒のメモリー』な。」
春子「私が寝てから 毎晩見てたの ここで。 夜中の 2時 3時まで 時々はさ こう… 巻き戻して セリフ復唱したりしながら。」
夏「おらも見た。」
一同「じぇじぇ!」
夏「『鈴鹿ひろ美みてえに なりでえ』って言ってた。」
かつ枝「ああ… 海女カフェでも しゃべってたもんな。『鈴鹿ひろ美が すげえ』って。」
春子「マジで?」
長内「鈴鹿ひろ美って あれか? 国鉄のポスターの。」
かつ枝「ああ んだ んだ。 今 BSの時代劇で 静(しずか)御前やってるべ。」
長内「うん。」
春子「だから いつか『女優になりたい』とか 言いだすんじゃないかと 思ってたけど あそこまで バカだとはね。」
海女カフェ
アキ「うん!」
ユイ「本気なの? アキちゃん。」
アキ「うん!」
ユイ「アイドルになりたいって ホントの思ってるの?」
アキ「分がんねえ。 売り言葉に 買い言葉みでえな気もするし 実は 随分前がら 考えてた気もする。」
ユイ「嘘 嘘… 私のせいかな。」
アキ「分がんねえ。 お座敷列車とか 海女カフェとか楽しかったし。 おらは ただ 人が集まる場所で 歌ったり 踊ったり 潜ったりして 周りの人が元気になれば それでいい。」
アキ「うん。 それが アイドルだっていうなら そうだし 海女さんだっていうんなら そうなんだべ。 ヘヘッ まあ アイドルなんか なれる訳ねえけどな。」
ユイ「そんな事ないよ。
アキ「え?」
ユイ「なれるよ。 …っていうか もう なってる。」
アキ「おらが?」
ユイ「うん。 そもそも アイドルの定義って 曖昧じゃん? 自称アイドルなんて ごまんと いる訳だし。 でも うちら 違うと思う。 今日のイベントだって 結局 200人近く 集まったじゃん。 東京でも通用するって。」
アキ「ごめん。」
ユイ「何?」
アキ「東京には行ぎだぐねえんだ。 ごめん。 いい思い出 一つもねえし 学校も嫌いだし 友達もいねえし 東京って聞くだけで 足が震える。」
ユイ「ユイと一緒でも?」
(携帯の着信)
東京EDOシアター
水口「アキちゃん? 今日のイベント見たよ。 海女~ソニック。」
海女カフェ
アキ「じぇ! な… 何で?」
東京EDOシアター
水口「誰かが 動画サイトに アップしてたよ。 音とか割れちゃってるけど 勢いだけは伝わった。 …っていうか 勢いしか伝わらなかったけど 大切なのは勢いだからね。 今 ちょうど 太巻さんが見てる。」
海女カフェ
アキ「…。」
東京EDOシアター
水口「あれ あれ? どうした? 絶句? じぇ… じぇっ句? フフフッ。」
海女カフェ
アキ「すいません。」
ユイ「誰?」
アキ「あ… えっと 水口さん。」
ユイ「何 何?」
アキ「もしもし?」
東京EDOシアター
荒巻「もしもし 初めまして。 太巻ですけど 君どっち? ユイちゃん?」
海女カフェ
アキ「あ… アキです。」
東京EDOシアター
荒巻「あっ そう。 夏休みだよね 今。 東京 出てこれる?」
海女カフェ
アキ「…。」
東京EDOシアター
荒巻「もしもし いつ出てこれる?」
海女カフェ
ユイ「代わろうか? アキちゃん!? 貸して!」
アキ「やんだ!」
ユイ「貸して! もしもし はい そうです。 ユイです。」
<初めて 母親に反発した夜 東京から 誘いの電話がありました>