ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「あまちゃん」6回「おら、この海が好きだ!」

【 連続テレビ小説「あまちゃん」】6回のネタバレです。

あらすじ

自分の殻を打ち破ろうと、自ら海に飛び込んだアキ(能年玲奈)。警報を聞いて駆けつけた春子(小泉今日子)や夏(宮本信子)を前に「海女になりたい」と宣言する。夏や町の人々は大喜びするが、春子は反対。春子とアキは親子水入らずで話し、そこで春子は自分の過去を初めて娘に語る。かつて、周囲の期待を受けながら海女になることを拒み、家出同然で上京した春子。アキが初めて示した熱意を前に、春子が出した答えとは…。

6回ネタバレ

<アキは自分で 自分の殻を 壊そうとしていました。 誰かに背中を 押されるのではなく 自分で>

回想

アキ「すいません! 降ります! 降ります! 降ります!」

「ねえ そう思わない?」

「何が?」

「だから アキって子 何考えてるか 分からないよねって。」

「…ていうか 地味だし 暗いのよ あの子 そう思わない?」

アキ「私 アキなんだけど…。」

「アキは 誘わなくていいよね。」

「そういえばさ アキって子 いなかったっけ?」

アキ「ええ~?」

アキ「あの… 私アキなんですけど。」

回想終了

アキ「あ… あ!」

アキ「あ ヘヘヘ! あ~!」

大吉「アキちゃん!」

春子「アキ!」

アキ「おばあちゃん! 私 海女さん やりたい!」

夏「はあ?」

大吉「アキちゃん。」

アキ「海女さん やってもいい?」

夏「おっかさ 聞いてみろ?」

アキ「ねえママ! 私 海女さんになりたい!」

<この日を境に アキは すっかり 生まれ変わりました。 地味で暗くて パッとしない自分を 海の底に 置いてきたのです>

漁協

弥生「はあ~ アキちゃん! 海女やるってが!」

夏「弥生ちゃん 店はよ?」

弥生「スナックやってる場合じゃねえべ! なあ。」

かつ枝「んだんだ! 電話かかってきて 鍵じぇって締めて タクシーじぇっと 止めて じぇっ飛んできたべ!」

(笑い声)

弥生「よぐ決心したな!」

アキ「うん!」

かつ枝「娘でなく まさが 孫が継ぐとはな? 夏ばっぱ!」

春子「あの~! あの~! ちょっと 聞いて下さい!」

かつ枝「うん? いたのが? 春ちゃん。」

春子「まだやるって 決まった訳じゃ ないですから。」

アキ「やるよ 私もう決めたもん。」

一同「んだんだ!」

春子「ちょっと待って 黙って。 とりあえず 2人で 話させて もらっても いいですか?」

天野家

春子「ホントに あんたは どうして 私の 嫌いなもんばっかり 好きになるんだろうね。 本気なの?」

春子「甘くないんだよ ホントに。 だから24年間 誰もやってないの。 水は冷たいし 溺れたりもするし。」

アキ「分かってる!」

春子「分かってないよ。」

アキ「分かってないよ。 だって やってみなきゃ 分かんないじゃん。 だから やるの。」

春子「いい事なんか 一つもないよ。」

アキ「それも やってみなきゃ 分かんない!」

春子「参ったな どうしよ。 ママが 小さかった頃ね 今のアキなんかより もっともっと ちっちゃかった頃 おばあちゃんに くっついて しょっちゅう 浜に出てたの。」

春子「海 見てるとさ 不安になるのよ。 お母さん このまま 顔 出さないんじゃないかって。 流されて 死んじゃったんじゃないかって。 お母さんが 海から顔出すと ほっとするの。」

回想

春子「お母さん!」

回想終了

春子「でも またすぐに 潜っちゃうでしょう。 また すごく不安になって。 その繰り返し。 それがね ママの 一番古い記憶。」

アキ「お父さんは?」

春子「遠洋漁業の漁師ってね 一年のうち 家にいるのは 10日くらいで すぐまた 漁に行っちゃうの。 ま この辺りは みんな そうだったし そういうもんなのかなって 思ってたけど やっぱり 寂しくってね。」

春子「でね 小学校の高学年になると ママも 強制的に潜らされた。」

回想

春子「やだ!」

夏「袖の女子のくせに 行け!」

回想終了

春子「嫌で嫌で しょうがなかったけど おばあちゃんには 逆らえなかった。」

アキ「何で?」

春子「怖かったのよ。 今より全然。 そうだよねえ!」

春子「ふん! 出たよ 得意の寝たふり。 都合悪くなると いっつも そうなんだかから。 高校卒業したら 海女やるんだろうなって 周りも思ってたし 自分でも半分くらい 諦めてた。 でも そんな悠長な事 言ってられなくなっちゃったんだよね。」

アキ「え?」

春子「高3の夏 海開きの前の日 組合長が 市長を連れて 訪ねてきたの。」

回想

1984(昭和59年)

長内「こちら 北三陸市の 市長さん 知ってるべ?」

市長「明日 北三陸鉄道が 開通すれば 観光客も増える。 東京からも 人が来る。」

春子「東京。」

市長「んだ。 北鉄は 東京さつながってんだ。」

長内「新聞やテレビの取材も来る。 ちょうど 海開きで 袖が浜の海女も 注目される。 こんなチャンス めったにねえべ!」

春子「でも まだ高校生だし。」

かつ枝「高校生だから ニュースに なんだよ。」

弥生「おめえしかいねえんだ。 春子! 頼む! ほれ。」

かつ枝「んだ 袖が浜の未来のためだ。 頼む!」

長内「頼む!」

かつ枝「潜ってけろ!」

回想終了

アキ「で?」

春子「『で』って 何?」

アキ「ママ潜ったの? 海女さんになったの?」

春子「なってたら 東京行ってないし あんたも 生まれてないよ。」

回想

「めでたく 開通の日を 迎える事ができました。」

(歓声)

春子「どいて!」

(歓声)

弥生「春子! なすて乗ってんだ? 春子! なすて乗ってんだ?」

大吉「出発進行!」

弥生「春子!」

(ホイッスル)

弥生「春子だよね! 今の 春子だよね?」

回想終了

アキ「それから 一回も帰ってないの?」

春子「24年間 一度も。」

アキ「そっかあ。 知らなかった。 ママに 歴史ありだな。」

春子「何それ。 フフ! まあ 聞かれたとしても しゃべんなかったけどね。」

アキ「それで 東京で パパと結婚したんだ。」

春子「こういう家庭で 育ったでしょう。 だから 自分が結婚する時は 家庭を大事にしてくれる人が いいなって 思ってたの。 漁師とか 船乗りとかじゃなくて ちゃんと陸にいて ちゃんと毎日 帰ってきてくれる お父さん。」

春子「まあ ホントに 毎日帰ってくると 何か疲れる。 煮詰まる。『あ~あ こんなつもりじゃなかったのなあ』みたいなねえ。 そうね 結婚も一緒だ。 あんたが言うとおりさ 何事も やってみなきゃ 分かんない 確かに。 うん!」

アキ「フフフ!」

春子「やね 何の話 してたのか 分かんなくなっちゃった。」

アキ「海女さんに…。」

春子「ああ 海女さんか? うん やりたいの? やりたいんでしょ? じゃ やればいいじゃん。」

アキ「え?」

春子「ちょうど 夏休みだしさ。 おやんなさいよ。」

アキ「ホント?」

春子「夏休みの間だけね。 約束して アキ。 2学期になったら ちゃんと 学校に行って 勉強頑張って ちゃんと 高校卒業するって。」

アキ「する 約束する!」

春子「よし。」

アキ「やった~! おばあちゃん! やっていいって! 潜っていいって! おばあちゃん。 おばあちゃん?」

アキ「わあ~!」

(かしわ手)

夏「よし 行くど。」

アキ「うん!」

監視小屋

(ノック)

ヒロシ「あ どうも。」

春子「はい。 ありがとうね 娘 助けてくれて。 あ 溺れてた訳じゃ なかったみたいなんだけどさ。」

ヒロシ「娘?」

春子「うん。 海女さんになっちゃった。」

漁協前

♬『雨よりやさしく あの娘はいつも歌ってる 言っているいる お待ちなさい』

監視小屋

春子「じゃ!」

大吉「はい みんな集まって! はい 固まった! コンパクトになって。」

大吉「はい! あれ 安部ちゃん悪い。 もうちょっと 低くなって。 後ろも写っちゃう。 ごめんね ごめん。 美寿々さんと アキちゃん もうちょっと 固まって! OK OK OK! はい まめぶ!」

(シャッター音)

<こうして 24年ぶりに 16歳の 新人海女が誕生しました>

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