ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「あまちゃん」73回「おら、奈落に落ちる」

【 連続テレビ小説「あまちゃん」】73回のネタバレです。

あらすじ

ユイ(橋本愛)の父・功(平泉成)が病に倒れたため、独りで東京にきたアキ(能年玲奈)。マネージャーの水口(松田龍平)に事務所が所有する劇場を案内されると、衝撃の事実が! 「GMT47」のメンバーはまだ5人だけで、人気グループ「アメ横女学園(アメ女)」のシャドウ(代役)に過ぎないというのだ。さらに、久しぶりに実家に帰ってみると、どうも父・正宗(尾美としのり)の様子がおかしい…。

73回ネタバレ

上野

1984年(昭和59年)夏

アキ<おらのママこと 天野春子さんは 上野駅に降り立ちました。 上野は 東京の東の玄関。 しかし 東北新幹線は まだ乗り入れてなくて 大宮がらは 各駅停車を使ったそうです>

春子「すいません。 あの 写真 撮ってもらえますか?」

通行人「ああ いいよ。 はい チーズ!」

(シャッター音)

<それから 25年後…>

2009年(平成21年)夏

アキ「あっ すいません!」

通行人「はい 何ですか?」

アキ「ここ 押してけろ。 プリーズ!」

通行人「あっ 写真ですね。」

アキ「はい!」

通行人「はい チーズ!」

(シャッター音)

<おらこと 天野アキも 上野に降り立ちました>

(シャッター音)

<北三陸から 上野へ行ぐには 宮古(みやこ)まで北鉄(きたてつ)を使い 釜石(かまいし)までは山田線 盛(さかり)までは南三陸リアス線。 面倒くせえ。 大船渡(おおふなと)線 気仙沼(けせんぬま)線 石巻(いしのまき)線 仙石(せんせき)線を乗り継いで 仙台。 そっから 新幹線で わざわざ やって来たのです>

東京EDOシアター前

アキ「もしもし!」

水口「もしもし 着いた?」

アキ「あっ はい 着きました。」

水口「あっ いた いた いた。 後ろ向いて。 後ろ。」

アキ「後ろ!」

水口「上だよ 上。」

アキ「あっ はい!」

水口「こっち 回って。 こっちから入れるから。」

東京EDOシアター

アキ「はい!」

水口「アキちゃん! やっと来れたね。」

アキ「はい!」

水口「疲れたでしょ? 御飯 食べようか。 荷物 持つよ。」

アキ「ありがとうございます。」

水口「何がいいかな? おなか減ってる? つうか ユイちゃんは?」

アキ「えっ メール見てないですか?」

水口「じぇ! じぇ! じぇじぇ…。 ユイちゃん来れないの? マジかよ…。」

回想

(物音)

<出発前夜 ユイちゃんの父ちゃんが 倒れました>

ユイ「ごめんね アキちゃん。」

アキ「そしたら おらも行ぐの やめるか。」

ユイ「駄目! それは駄目! アキちゃんは行って! 大丈夫。 必ず すぐ行くから。 ね?」

回想終了

水口「会社の人間に言っちゃったんだよ。 今日 岩手から GMTのセンター候補が来るって。」

アキ「センターって!」

水口「ユイちゃんだよ! ユイちゃんに決まってるでしょ!」

アキ「すいません。」

水口「ごめん 君に言っても しかたないけど。」

アキ「本人は来たがってたんですけど…。」

水口「こっちもだよ! 君に言っても しかたないけど。」

<『君に言っても しかたない』という言葉を 水口さんは この日 23回 口にしました>

水口「ついてきて。」

<おらも 23回 申し訳ねえ気持ちになりました>

水口「本社は 渋谷にあるんだけど アメ横女学園関連のスタッフは ここに 常駐してます。 これから お世話になる人たちだから ちゃんと大きな声で挨拶して。」

アキ「おはようごぜえます! 天野アキです!」

水口「河島さんは アメ横のチーフマネージャー。」

河島「どうも。 あれ? 2人じゃなかったっけ?」

水口「ええ。 ちょっと事情があって また後日。」

河島「ああ そう。 かわいい方?」

水口「いえ なまってる方です。」

河島「…期待してるよ。」

水口「こっち。」

アキ「あの… 太巻さんは?」

水口「ここには めったに 顔出さないの。 ここが 社長の部屋。」

警備員「かわいい方?」

水口「なまってる方。」

水口「名札 帰る時 必ず裏返して。」

アキ「じぇじぇ! こんなに!?」

水口「この辺は 人気だから  さすがに知ってるでしょ? ファンは この8人を アメ女八賢伝(はっけんでん)って呼んでる。 …で こっから上が レギュラー。 リザーブ ビヨンド ビンテージ。 まあ OBだよね。 で ここが GMT。」

2人「おはようございます!」

水口「おはよう。」

アキ「…。」

水口「何やってんの? 挨拶しなよ 先輩なんだから。」

アキ「ああ…。 どうも お… おばんです。」

水口「2人は アメ女の新メンバーで…。」

アリサ「アメ横女学園 出席番号36番! 片思い星からの転校生 両想いになると死んじゃうの! み~なのアリサこと 高幡(たかはた)アリサ 13歳で~す! よろしくぴょん!」

アキ「13歳!?」

りな「はい はい はい はい! アメ女の『あ』は?」

2人「愛してるの『あ』。」

りな「アメ女の『め』は?」

水口「メロンの『め』。」

りな「アメ女の『じょ』は?」

水口「情緒不安定の『じょ』。」

りな「よくできました! あっ ところで 私は誰だっけ?」

水口「成田りな!」

りな「上から読んでも…。」

水口「成田りな!」

りな「下から読んでも…。」

水口「成田りな!」

りな「成田りな 出席番号37番 15歳! う~ わおっ!」

2人「失礼しま~す!」

<帰りたい。 本気で そう思いました。 東京に着いて まだ2時間ですが 年下の先輩から 洗礼を受け 既に心が折れそうなアキです>

水口「ああ 天野にも面白い自己紹介 考えてもらうからね。」

アキ「じぇじぇ!」

水口「劇場 行こっか。」

水口「去年 オープンした アメ女専用の劇場です。 平日は 7時半から 土日は2ステージ アメ女のショーを ここで やってます。 グッズ関係は 隣のアイドルカフェ太巻で 販売してます。」

アキ「すげええ…。 写真 撮ってもいいですか? ユイちゃんに送ってやっぺ!」

(シャッター音)

アキ「こんな立派な舞台 立てるって 知ったら ユイちゃん ぶったまげるべ。」

水口「立てないよ。」

アキ「え?」

水口「立てるのはアメ女の正規メンバーだけ。 当たり前じゃん そんなに甘くないよ。 みんな 最低1年は レッスン積んでんだから。」

アキ「…すいません。」

「OK! じゃあ おっていきましょう! はい 指 立てて。」

アキ「じゃあ GMTは?」

水口「シャドウだね。」

アキ「シャドウ?」

水口「代役の事。 正規メンバーが けがや 急な体調不良 あるいは テレビの仕事で休んだ時に 代わりに 踊ってもらうから。 振りは覚えてもらいます。」

アキ「じゃあ 誰かが けがしないと 出れないんですか?」

水口「だからって 靴に画鋲(がびょう)とか 入れないでね。」

奈落

<あ… あれ? 何だか イメージしてたのと 随分 違う>

アキ「ここは?」

水口「レッスンルーム。 うちら 奈落って呼んでるけど。」

アキ「ならく?」

水口「ステージの真下だから。」

しおり「おざ~す。」

アキ「じぇ!」

水口「あれ? お前ら 2人だけ?」

しおり「喜屋武(きゃん)ちゃんと 小野寺(おのでら)ちゃんは買い出しで~す。」

真奈(まな)「宮下(みやした)さんは バイトに行きんしゃったよ。」

水口「前に話した 岩手の潮騒のメモリーズ。」

アキ「北三陸市から来ました 天野アキでがす。」

しおり「えっ かわいい方は?」

水口「来ない。」

しおり「え~ 何それ! センターどうするんすか?」

水口「うるせえな。 ほら 早く自己紹介。」

しおり「海はないけど 夢はある。 埼玉在住アイドル ノーオーシャンの元気印 入間(いるま)しおりです。 今日も東武東上線に乗って 元気い~っぱい。」

水口「元気にやれよ こら。」

しおり「フフフッ すいません。 あっ こっちが 福岡の…。」

真奈「(せきこみ)福岡天神… ゴホンッ! ああ… すいません。 親不孝ドールズの 柚子胡椒(ゆずこしょう)担当 遠藤(えんどう)真奈ばい。」

アキ「よろしぐ。 えっ GMTって 5人しか いないんですか?」

しおり「何かね いろいろ 難航してるみたい。 親に連れ戻されたりとか。」

真奈「47人は ちょっと無理ばいね。」

しおり「岩手って どこ? 東北だっけ?」

真奈「新潟の上じゃなかと?」

しおり「何が有名? イタコ? 恐山?」

真奈「きりたんぽじゃなかと?」

しおり「伊達政宗? 違う。 分かった なまはげ!」

アキ「海女さん。」

一同「…。」

アキ「あ・・ あれ? 水口さんは!?」

真奈「とっくにくさ出ていきんさったよ。」

アキ「え? 皆さん うちらの事 何て聞いてました?」

しおり「かわいい方は 華があるから センター確定で…。 なまってる方 何か言ってたっけ?」

アキ「あっ もういいです。」

真奈「ばってん キャラは強烈やって!」

しおり「そう そう そう! 一般受けはしないけど マニアには たまらないやつだよね。」

アキ「一般受けはしない…。」

しおり「何て言うんだろう その…。」

喜屋武「ただいま! しおり 肉まんなかったけど…。」

しおり「夏だもんね お疲れ。 この子 喜屋武ちゃん 沖縄の子。」

喜屋武「ハイタイ!」

しおり「で この子が…。」

小野寺「はずめまして。」

アキ「じぇじぇ! なまってる! どこ? ねえ どこ?」

小野寺「仙台です。」

アキ「あっ! あの『ずんだずんだ』の子?」

回想

♬『ずんだ ずんだ ずんだ ずんだ ずんだ』

回想終了

小野寺「仙台牛タンガールズの小野寺 薫子(かおるこ)14歳でがす。」

アキ「じぇじぇ~。」

しおり「あと 徳島の子がいるんだけどさ 今日は バイトって。 あっ 泊まるとこ あんの?」

アキ「あっ 世田谷さ 実家があるんで。」

♬~

しおり「ごめん 始まったよ!」

<GMTは 今のところ アメ横女学園の妹分っていうか 二軍 扱いみたいです。 急に来るがもしんねえ 出番に備えて 奈落と呼ばれる場所で レッスンに励んでいます>

東京EDOシアター前

アキ「やっぱり 東京 好きじゃない。」

<そんなに甘ぐねえとは 思ってたけど こんなに甘ぐねえとは…。 ママ 夏ばっぱ おら やっていげるのかな。 ユイちゃん 早く来てよ>

病院

(メールの着信)

ヒロシ「電源切れよ。 ここ 病院だぞ。」

よしえ「2人とも 中 入って。」

黒川家

(呼び鈴)

黒川「は~い!」

<1年ぶりの東京 1年ぶりの実家>

アキ「アキだけど。」

(物音)

黒川「よっ。」

アキ「ごめん 急に…。」

黒川「ううん 全然平気 全然平気。 えっ 何?」

アキ「ママから聞いてない?」

黒川「聞いてない 聞いてない。 聞いた事… えっ 何?」

アキ「中 入っていい?」

黒川「いやいや いやいや…。」

アキ「どうしたの? 変だよ。」

黒川「誰が? パパが? 変な事なんか 何もねえよ。」

黒川「ジーザス…。」

<そして 駄目押し…>

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