【 連続テレビ小説「あまちゃん」】75回のネタバレです。
あらすじ
思いがけず社長の太巻(古田新太)に出会ったアキ(能年玲奈)は、人気グループ「アメ横女学園」のセンター・有馬めぐ(足立梨花)のシャドウ(代役)に抜てきされる。帰宅後、上京する際に春子(小泉今日子)から手紙を渡されていたことを思い出し、読み始めるアキ。そこには思いがけない母の過去がつづられていた。25年前、アイドルを目指してオーディション番組に出場した若き日の春子(有村架純)は…。
75回ネタバレ
東京EDOシアター
奈落
アキ「じぇじぇじぇ!」
荒巻「誰? おはよう!」
<ユイちゃん 事件でがす。 正式なメンバーですら なかなか 会ってもらえない太巻さんと なぜか今 奈落に2人きり>
荒巻「ねえ ガール!」
アキ「はい!」
荒巻「♬『果てしなく』と♬『果てしなく』どっちがいいと思う?」
アキ「はい?」
荒巻「だから… ♬『果てしなく』っていうのと♬『果てしなく』っていうのと どっちが好き?」
<試されてる。 これは テストなのか? おらのアイドルとしての ポ ポ… ポテンシャルを 試しているのか? 教えてけろ ユイちゃん!>
荒巻「どっちでもいいか。 ハハッ!」
アキ「♬『果てしなく』…が いいと思います。」
荒巻「…。」
アキ「♬『果てしなく』…が いいと思います!」
荒巻「…。」
<やべえ 怒ってる>
めぐ「おはようございま~す!」
アキ「じぇじぇ!」
<め… めんこい! 顔ちっちぇ! そして 脚が長え!>
荒巻「マメりん。」
めぐ「はい。」
荒巻「Bメロの振り 今日から変えるから。」
めぐ「はい。」
<まめりん?>
荒巻」♬『果てしなく』にする。」
めぐ「はい。」
♬『果てしなく ラララ 貪欲! 貪欲!』
荒巻「そう そう そう。 貪欲 もうちょっと 肘伸ばしてね。」
めぐ「はい。♬『果てしなく ラララ 貪欲! 貪欲!』」
荒巻「そう そう そう! みんなに伝えておいて。」
めぐ「はい!」
荒巻「僕 初めて?」
アキ「あっ いや 直接は…。 なまり過ぎる海女の…。」
荒巻「ああ ネットで見た! そうだ そうだ。『潮騒のメモリー』歌ってた。」
アキ「はい!」
荒巻「東京に来てたんだ。 もう一人の子は?」
アキ「あ… ユイちゃんは家庭の事情で ちょっと遅れてて。」
めぐ「太巻さん 戻ってもいいですか?」
荒巻「ごめん ごめん。 知ってるよね? 有馬(ありま)めぐ。 通称 マメりん。 アメ女のセンター。」
アキ「じぇじぇ!」
<この子が センター? 道理で めんこい>
荒巻「誰のシャドウ やってるの?」
アキ「あっ いや まだ…。」
荒巻「決まってないのか? じゃあ マメりんのシャドウやるといいよ。 いいよね?」
<びっくりし過ぎて『じぇ!』すら出ませんでした>
めぐ「失礼します。」
荒巻「はい。 じゃあ 頭から やるよ。 はい 右手 人さし指 立てて… 頭の上。 ♬『暦の上ではディセンバー』…ってやるの。 いい?」
休憩所
しおり「太巻さんって もともと ダンサーだったらしいよ。」
喜屋武「はっ マジ? 知らんかった。」
真奈「ZOOのメンバー やったとやろ?」
アユミ「それ EXILEの人じゃって。」
しおり「トシちゃんのバックで 踊ってたんだって。」
喜屋武「トシちゃんって あの トシちゃん?」
しおり「そう 田原トシちゃん!」
社長室
荒巻「シュパ~ン! ダ~ン! 振り向いて…。 キックして パパン! ダッダッダッ!」
休憩所
しおり「だから 今でも 振り先なんだって。」
アキ「振り先?」
アユミ「えっ 何なん? 振り先って。」
しおり「歌詞が先にあって それに合わせて メロディーをつけるのが…。 詞先 メロディーが先にあって それに合う 歌詞を書くのが… 曲先。」
小野寺「じゃあ振り先って事は…。」
しおり「振りが先なの。 詞も曲もないのに振る考えて それに合う 詞と曲をつけていくんだって。」
一同「じぇじぇじぇ!」
社長室
荒巻「♬『2次元から3次元 2次元から3次元 ズキュ~ン!」
廊下
真奈「すごかね…。」
アキ「無音なんだ。」
しおり「音楽もないのにさ よく あんなに踊れるよな。」
伊東「毎度 無頼鮨(ずし)です! 特上10人前 お待ちしました。」
警備員「御苦労さま。」
一同「おいしそう!」
伊東「本日は 本マグロ 中トロ!」
アキ「三陸のウニ入っております。」
荒巻「ああ こっち こっち! みんな すし届いたよ!」
一同「は~い!」
荒巻「さあ 上に上がって食べよう。」
(歓声)
真奈「太巻さん来ると 必ず おすし取るの。」
しおり「もちろん 食べれるのは 正規メンバーだけだよ。」
アユミ「ねえ コンビニ行こう。」
しおり「肉まん買ってきて。」
スナック・梨明日
春子「そうよ そうそう。 そのアイドルよ。 …っていうかさ ほかに どのアイドルがあるのよ。 だから これから 1年間レッスンして…。 …っていうかさ もうさ この話 今度でもいいかな。 今 仕込みで バタバタしてんだわ。」
東京
黒川「仕込みと娘と どっちが大事なの 君は!? アイドルなんて 君… そんな地に足の着いてない。」
スナック・梨明日
春子「あ~ もう やった やった。 そういうのね さんざん 先週やりました。」
東京
黒川「先週って… 知らないよ。 何も聞かされてないんだよ こっちは。」
スナック・梨明日
春子「あの もう ふんぎりついてるんで お構いなく。」
東京
黒川「ざっくりしてるな~ いきなり訪ねてきたんだぞ。」
スナック・梨明日
春子「あっ ていうかさ 何で追い返したの?」
東京
黒川「お… 追い返しては いない。 それは ともかく 平気なのか 芸能界なんて…。 だまされてるんじゃないのか?」
スナック・梨明日
春子「大丈夫よ。 社長が太巻だから。」
東京
黒川「太巻? …って 太巻!?」
スナック・梨明日
春子「へえ~ 知ってんだ。」
東京
黒川「知ってるも何も… それ駄目だろ!」
まごころ第2女子寮
アキ「うん うん…。 だから おらのダンスが 太巻さんに認められたんだ!♬『果てしなく』ってやつ!」
天野家
夏「はあ~ いがったなあ! センターっつうのは 真ん中の事だべ。」
まごころ第2女子寮
アキ「違うよ 夏ばっぱ。 シャドウっつうのは 補欠みでえなもんだ。 センターの人が けがで休んだ時だけ 代わりに踊るの。」
天野家
夏「あ~ そうかい そうかい。」
アキ☎『ほんとに分かってる? ばっぱ。」
夏「元気で何よりだ。」
まごころ第2女子寮
アキ「まあな。 みんな変わりねえか?」
天野家
夏「ねえ。 弥生の差し歯が取れたぐれえだ。 ハッハッハッハッ!」
まごころ第2女子寮
アキ「じぇじぇ!」
天野家
弥生「聞いてけろ アキ! まだ 誰にも教えてない 穴場があってよ 行ったら ウニが ゴロゴロいてよ!『じぇ!』って言った途端に 差し歯が飛んでよ。」
まごころ第2女子寮
弥生☎『気が付いたら 海の底だ。 なんぼ捜しても見つからねえ。 20万の損害だ。 ハッハッハッハッ!』
アキ「あっ そうだ。 ワカメと のり送ってけろ。 みそ汁さ入れっから。」
アキ「ごめん ごめん うるせかったべ?」
小野寺「東北のなまり懐かしい。」
アキ「宮城と岩手は やっぱ違うか?」
小野寺「北の方だから 結構似てる。『じぇじぇ!』とか言わねえけど。」
アキ「そうか。 まあ おらのなまりは 自己流だけどな。」
<何かと不安だらけですかが とりあえず 飯と寝る部屋と なまってるルームメイトは 確保できました>
アキ「♬『果てしなく ラララ 貪欲! 貪欲!』あっ!」
小野寺「大丈夫か?」
回想
春子「あの… これ 後で読んでね。」
回想終了
アキ「危ねえ 危ねえ 忘れるとこだった。」
春子✉『アキへ 今ごろ あなたは 宮古から仙台に向かう 途中でしょうか。 あるいは もう 新幹線に乗ったかしら』。
アキ「ごめん ママ。 とっくに東京。 だいぶ落ち着いてる。」
春子✉『二度にわたって 手を上げてしまったこと さすがに申し訳なかったと 多少 思わなくもないです。 その頃から… いえ もっと前 あんたが アイドルとやらに 憧れ始めた頃から いつか この話をしなくちゃと 思っていました。 これは ママの 誰にも話していない 数年間の話です』。」
回想
<1984年(昭和59年)夏 おらのママこと 天野春子さんは 上野に降り立ちました>
<素人参加型のオーディション番組『君でもスターだよ!』に 出場するためです>
(拍手)
司会者「はい! 7組のチャレンジャーは東北ブロックから 岩手県北三陸の高校生 天野春子君です!」
アシスタント「歌は松田聖子さんの『風立ちぬ』。」
♬『風立ちぬ 今は秋 今日から私は 心の旅人』
<いける。 ママは手応えを感じたそうです。 歌いだしのリズムも高音の伸びも 申し分ない>
♬『すみれ ひまわり フリージア』
チャンピオン♬『Wind is blowing from the Aegean 女は海 好きな男の腕の中でも』
<チャンピオンの歌を聴いた時 ママは勝利を確信しました。 唯一 不安な事があるとすれば 審査員長のヘッドホンのコードは 拭けてる>
チャンピオン♬『Wind is blowing from the Aegean 女は恋』
司会者「お待ちかねの結果発表! スイッチ オン!」
♬~(ドラムロール)
司会者「62対38で チャレンジャー 天野春子君の勝利!」
(拍手)
春子「やった!」
アシスタント「チャピオン無念! 9週で敗退です!」
<結果は圧勝。 ママは見事 第135代目チャンピオンの栄冠に 輝きました>
司会者「さあ 新チャンピオンの天野春子君 来週も勝ち抜けるのか!? …と言いたいところですが ここで悲しいお知らせがあります。」
春子「え?」
司会者「実は『君でもスターだよ!』は 本日の放送をもって 終了となります。 7年間ありがとうございました!」
春子「ええっ!?」
アシスタント「来週から この時間は『ものまね 君でもスターだよ!』と題しまして 装いも新たに スタート致します。」
<突如 告げられた 番組の打ち切り。 ママは天国から一転 奈落の底へと突き落とされました>
春子「私って どうなるんですか?」
プロデューサー「まあ 幻のチャンピオンってとこだよね。」
春子「え~ あの 困るんです! 困ります ホントに! あの…。」
プロデューサー「ものまね できる? 伊代ちゃんとか。」
春子「ものまね ちょっと できないんです。」
プロデューサー「だよね。 フフフッ。」
荒巻「ちょっと待って下さいよ。」
プロデューサー「しつこいな…。 ねえ ものまね できないの?」
荒巻「こう見えて 僕 トシちゃんのバックで 踊ってるんです。」
プロデューサー「知らねえよ ものまね番組だよ? ものまね できなかったら クビ。」
荒巻「ああ…。 ものまね ものまね…。 あっ ごめんなさい。 すいません。」
春子「ありがとうございます。」
荒巻「ものまね…。 ものまねなんか できないよ。」
春子✉『その人が ママの運命を 変える事になるとは その時は 思いもしませんでした』。