【 連続テレビ小説「あまちゃん」】82回のネタバレです。
あらすじ
アキ(能年玲奈)は、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の付き人になり、ドラマの撮影現場に同行。鈴鹿の自由奔放な性格に振り回され、右往左往する。一方、父・功(平泉成)の病に加え、母・よしえ(八木亜希子)の失踪のために東京へ行けないユイ(橋本愛)は、気持ちがすさみ、別人のように変わり果ててしまう。そのことを、種市(福士蒼汰)から聞いたアキは…。
82回ネタバレ
まごころ第2女子寮
アキ「もしもし ユイちゃん 元気? 元気ないのは 分がってるんだけど。」
<病気で倒れたお父さんが やっと退院できると思ったら 今度は お母さんが蒸発。 次々に不幸が襲いかかり 1か月ご ついに ユイちゃんは>
北三陸駅
吉田「おい 君たち 空き缶は ちゃんと クズかごに!」
ユイ「あ? んだよ。」
<壊れました>
喫茶・リアス
(ドアが開く音)
一同「じぇじぇじぇ!」
大吉「春ちゃんが ブティック今野の 服を着る日が 來るとはなあ!」
今野「な! 着る人が着たら ハイカラなんだよ!」
春子「そう?」
美寿々「似合うべ。 とても同じ服には見えねえ。」
春子「ホント?」
弥生「ま おらのメリハリボディーには かなわねえべな。 春ちゃん 春ちゃん これも着てみて。 ほれ!」
春子「これは ちょっとハードル高くない?」
美寿々「いいぞ いいぞ! ファッションショーだ!」
勉「春コレ! 春コレ!」
春子「ちょっと 待ってて! 待ってて! 待っててよ!」
大吉「いやいやいや! やっと これで春ちゃんが 俺らのレベルさ 降りてきた!」
今野「よし! ハハハ! おう どうした? 吉田君。」
吉田「(すすり泣き)」
今野「え?」
吉田「(すすり泣き)」
大吉「泣いてんのか?」
吉田「おらたちの ユイちゃんが! 北鉄の ユイちゃんが! 俺らのレベルさ 落ちてしまった~。(泣き声)」
春子「お待たせ!」
今野「吉田君?」
吉田「(泣き声)」
春子「誰も見てねえよ。」
スーパー
<潮騒のメモリーズの かわいい方 足立ユイの生活は 荒れる一方でした。 改造車を乗り回し 小太りの愛犬家と 腕を組み 歩く姿が スーパーや ショッピングモールで 連日 目撃されました>
磯野「ユイちゃん…。 なぜだ ユイちゃん。」
病院
<当然 家には帰らず お父さんの世話も ストーブさん任せ>
ヒロシ「あ? あれ。」
功「ハハハ。 手すりを持たないでね 少しだけ階段が 上れたんだ。 でも かあさんには ないしょだぞ。 びっくりさせたいから。」
ヒロシ「ハハ!」
<変わり果てた ユイちゃんの姿は 瞬く間に ネットの掲示板に 流出しました>
観光協会
栗原「『これが あの北鉄のユイちゃん やばくね?』だって。」
大吉「やばいから騒いでんだよ! 削除できないの これ。」
菅原「書き込みも多いよ。 ほら『コンビニの前に 座り込んで 通りかかった中学生を恐喝』。」
大吉「あ~ あ~!」
吉田「『夜中に バールのような物で 自動販売機をこじあけ』。」
菅原「いや これは 嘘だべ!」
吉田「『バールのような物で コンビニ店員を脅し』。」
大吉「やめてけろ!」
吉田「バールでは ないですよ 駅長。 …のような物ですから。」
栗原「『バールのような物』って バールしかなくない?」
吉田「あるだろう 孫の手とかよう。」
一同「…。」
(戸が開く音)
ヒロシ「遅くなりました。」
栗原「お… おはよう!」
菅原「アハハハハ! 駄目だ ごましきれない。」
吉田「ああ~ ああ~!」
<方や 潮騒のメモリーズの なまってる方 天野アキは 女優 鈴鹿ひろ美さんの 付き人として テレビ局のスタジオにいます>
テレビ局
『静御前』撮影スタジオ
『頼朝(よりとも)様のお告げじゃ! 男の子が産まれたら 由比ヶ浜に捨てろと!』。
鈴鹿『返して! 清常(きよつね)様 その子を返して!』。
『え~い!』。
鈴鹿『お許し下さい! 義経(よしつね)様』。
監督「カット! OK!」
鈴鹿「天野さ~ん!」
アキ「はい!」
廊下
鈴鹿「飯押しなら 飯押しって言ってよ。 あ~ 腹減った 腹減った!」
アキ「すいません。」
鈴鹿「私ね 夜9時以降は 何も食べないようにしてるの。 だから9時までに 死ぬほど食べるの。 食い意地張ってるの 覚えておいてね。」
アキ「はいはい。」
鈴鹿「大体 静御前(しずかごぜん)って嫌いなのよね。 辛気くさいし 感情移入できないでしょ? あ!」
アキ「はい。」
鈴鹿「どうぞ!」
AD「ありがとうございます。 鈴鹿御前様より ワッフルの差し入れ 頂きました!」
一同「ありがとうございます。」
鈴鹿「『鈴鹿御前』って 誰だよ。」
(笑い声)
鈴鹿「あ ワッフル いくらだった?」
アキ「あ 1万円ちょっと。」
鈴鹿「領収書は?」
アキ「え? ああ 忘れた。」
鈴鹿「何やってんのよ! 領収書は 絶対もらわなきゃ 駄目! 私たち 高額納税者にとって 領収書は 命の源なのよ! 領収書 領収書 領収書!」
アキ「はい!」
<付き人になってみて 分かったのですが 鈴鹿さんは ふだんは ごく普通の 年相応の 庶民的な あ もう言っちゃいます おばちゃんです>
控室
鈴鹿「ねえ これ 文字 大きく したいんだけど どうやんの?」
アキ「あ やります。」
<服装は すごく地味っていうか 黒しか着ません>
鈴鹿「ダサいと思ってんの?」
アキ「いや そんな事ねえです。 さっき おすぎさんが 同じの着て 廊下歩いてましたけど 全然違いました。」
鈴鹿「それ どっち褒めてんの?」
アキ「あ…。 え~と 鈴鹿さんです。」
鈴鹿「ねえ GMT(テー)ってさ。」
<Tを『テー』て言うし>
鈴鹿「CD(デー) 出してんの?」
<Dを『デー』と言うし>
鈴鹿「『とぅ~す』って何? はやってんの?」
<知らない事いっぱいあるし>
鈴鹿「9時以降は 何にも食べないの。」
<同じ話を何度もするし>
鈴鹿「やだ! おみそ汁に お砂糖いれちゃった。 甘い!」
<こんな感じなのに 一たび カメラの前に立つと>
『静御前』撮影スタジオ
鈴鹿『なまじ 生き長らえて悩むより 一緒に連れていって下さい』。
<完璧です こんなの見せられたら 多少の無知や わがままなんか 気にならない>
<夜7時以降は 奈落でレッスン>
東京EDOシアター
奈落
♬『男子禁制 選手宣誓 毎日会いたい 下町アイドル We are GMT6!! You are GMT6!!』
しおり「OK!」
種市「どうも! 無頼鮨です。」
アキ「あ 先輩!」
種市「鈴鹿さんから GMT6の皆さんにって。」
(歓声)
喜屋武「いいの? アーキー!」
(歓声)
小野寺「写メ撮っていいか?」
しおり「いいよ 撮んな。」
種市「天野 鈴鹿さん 無頼鮨で 待ってるって。」
アキ「あ 分がった!」
無頼鮨
<レッスンが終わったら 反省会です>
鈴鹿「ちゃんと見てた? 赤ん坊を 取り上げられる時にさ 着物の裾なんか 気にしてられないでしょ! だから直さなかったのよ。」
アキ「はい。」
鈴鹿「全身で芝居してるんです こっちは。 なのに あの監督 アップばっかり ねらって ちゃんちゃら おかしい! 清常役のさ 何つったっけ名前? あの大根役者 大根でいいか 何の深みもないのよね。」
<9時過ぎると 鈴鹿さんは攻撃的になります>
鈴鹿「いいのよ反論して 思った事は 何でも言いなさい。」
アキ「いいのか?」
鈴鹿「どうぞ。 足 崩しなさい」
アキ「鈴鹿さんて あれですよね。」
鈴鹿「な~に?」
アキ「根っから お芝居が 好ぎなんだなあと思って。 お芝居の話してる時は 生き生きしてるもんね。 つ~か お芝居の話しか しねもんね。」
鈴鹿「何よそれ まるで私が ほかに取り柄のない 面白みのない 人間みたいじゃない?」
アキ「面白みは ねえべ。」
鈴鹿「あるわよ。」
アキ「いや ねえべ!」
鈴鹿「あります! こう見えて 多趣味なんです。」
アキ「またまた!」
鈴鹿「本当よ! セーター編んだり お菓子作ったり クッキー焼いたり。」
アキ「いや 鈴鹿さんは 芝居だけやってりゃ いいど思う。 趣味どか 面白みどか 要らねえと思う。」
鈴鹿「ごちそうさま!」
アキ「え?」
鈴鹿「タクシー来てる?」
種市「あ はい!」
アキ「ごめんなさい。 何か 失礼な事 言いましたか?」
鈴鹿「ウフフ! 失礼な事しか 言ってないよ。」
アキ「すいません 一つ聞いていいですか?」
鈴鹿「何?」
アキ「何で おらなんだべ?」
鈴鹿「うん?」
アキ「何で おらに 優しくしてくれんだべ?」
鈴鹿「昔の私みたいだからよ。 じゃあね。」
道中
種市「やっぱ 天野すげえな!」
アキ「何が?」
種市「有名な女優相手に 全然引かねえ。 あの押しの強さは 東北人には ねえべ。」
アキ「インチキ東北人だもんな。」
種市「なまりで ごまけてたけど 後半 ため口だったもんな。」
アキ「嘘! ハハハ!」
種市「正月帰んのか?」
アキ「正月? いや こないだ来たばっかりだし。」
種市「もう11月だぞ。」
アキ「じぇじぇ!」
種市「アッという間に『暦の上ではディセンバー』だぞ。」
アキ「じぇじぇじぇ! いつの間に。」
種市「こっちは 季節感ねえもんな。 田舎さいたら 本気獲りだの 稲刈りだの 初雪だの。」
アキ「んだな 寒いもんな。」
種市「いや みんな元気かな? 吉田さんだの 駅長だの。」
アキ「海女クラブの かつ枝さんとか 弥生さんとか まだ ミサンガ 編んでんのかな? 先輩は 実家で年越しすんですか?」
種市「んだな。 転職の報告もしてねえし ユイの事も気になるし。」
アキ「そっか。」
種市「地元の友達とか 後輩から よぐねえ噂(うわさ)聞くんだ。 悪い仲間と つるんで 夜遊びしてるとか 暴走族の車さ乗ってるの 見たとか 高校やめて 男と同棲してるとか。 まあ どこまでホントか 分がんねえけどな。 でも 高校やめたのは 本当っぽい。」
アキ「…。」
種市「どうする? 気になるんなら 一緒に帰るべ。」
アキ「いや だったら なおさら帰れねえ。」
種市「なすて?」
アキ「そういう姿 ユイちゃんは おらに 見られだぐねえはずだから。 おらも 見だぐねえし。 つれえけど 聞かなかった事にする。」
種市「いいのか? 励まして 立ち直らせるてやるのが 親友でねえのか?」
アキ「親友にも 緊張感は必要だ。 ユイちゃんには 常におらの先を 走っててもらいでえんだ。」