【 連続テレビ小説「あまちゃん」】91回のネタバレです。
あらすじ
北三陸に帰省中のアキ(能年玲奈)は、ユイ(橋本愛)に呼び出される。かつて、地元アイドルとしてステージに立った思い出の海女カフェで、二人は本音をぶつけ合う。ユイはアイドルを目指し、上京を夢見ていたが、父・功(平泉成)の病と母・よしえ(八木亜希子)の失踪により北三陸に留まらざるを得なくなり、すっかり投げやりになっていた。アキに冷たい言葉をぶつけるユイ。アキはこれまで秘めてきた思いを伝えるが…。
91回ネタバレ
北三陸駅
<おら 4か月ぶりに 北三陸に帰ってきました>
アキ「ただいま~!」
<初めてのドラマ出演では NGを連発し 憧れの鈴鹿(すずか)さんがら見放され…>
『おめでた弁護士』撮影スタジオ
鈴鹿「女優は駄目。 向いてない。」
東京EDOシアター
荒巻『公約どおり解雇と致します』。
<人気投票では GMTの最下位>
荒巻『天野アキ』。
<繰り上げ当選で 解雇は免れたものの…>
アキ「次は必ず…。」
荒巻「次なんか ないよ! 君を必要とする人間は ここには いない。」
海女カフェ
<でも 地元のみんなは 温かく迎えてくれました。 ただ一人を除いて…>
<これは どういうつもりだ? 夜中に わざわざ呼び出して>
アキ「あの…。」
<爪が渇くまで待てって事か?>
回想
♬『激しく 来てよ その火を 飛び越えて 砂に書いた アイ ミス ユー』
回想終了
ユイ「懐かしい?」
アキ「え? あ… んだな。 4か月しか たってねえのに もっと長く行ってた気もする。」
ユイ「ここで イベントやったよね。 何だっけ?」
アキ「海女~ソニックだ。」
ユイ「そうそう テレビで生中継もされたよね。」
アキ「んだ んだ! 楽しがったよね!」
ユイ「全然。 楽しくなかった 私は 全然。 あんなの 消したい過去。」
アキ「…。」
ユイ「忙しくて 帰ってこれないって 聞いたけど。」
アキ「ああ 何か 暇になっちゃって…。 一人で正月迎えんのも寂しいし。 お父さん 退院したんでしょ?」
ユイ「うん? ああ そうみたいだね。」
スナック・梨明日
菅原「はい それでは 死の淵から 見事 生還した 足立先生から 新年のご挨拶ば。」
(拍手)
功「え~ ご心配をおかけして 何か すいません。」
ヒロシ「軽いな。」
(笑い声)
功「ピンと来ないんだよ。 意識なかったからさ。」
回想
(物音)
回想終了
ヒロシ「危なかったんだぞ。 もし ユイがリビングに 下りてこなかったら 今頃…。」
功「まっ もう大丈夫。」
春子「あ~ よかった。」
功「まあ とにかく皆さんね 健康には くれぐれも気を付けて え~…。」
吉田「乾杯!」
一同「乾杯!」
(笑い声)
海女カフェ
ユイ「家 帰ってないの 最近。 友達んちとか泊まり歩いてるから。」
アキ「じゃあ 来れば? 東京おいでよ。 みんな待ってるよ。」
ユイ「『みんな』って誰?」
アキ「水口さんとか太巻さんとか あと メンバーも会いでえって!」
ユイ「フフッ… めんばー。」
アキ「沖縄の子は 駅で会ったべ? あと 宮城の子も…。」
ユイ「もういいわ! もういい やめた。 行かない やりたくない。」
アキ「え?」
ユイ「もう アイドルとか どうでもいい。 関わりたくない。」
アキ「大丈夫だよ。 みんな 性格いい子だし ユイちゃんの事 センターに ふさわしいって言ってるよ。」
ユイ「諦めた訳じゃなくて 冷めたの 完全に。 だって ダサいじゃん。」
アキ「ダサい?」
ユイ「ダサいよ あんなの。 オタク相手に 生足出して 媚(こび)売って 真ん中に立って それが何なの?『暦の上ではディセンバー』? だから 何?『絶滅危惧種 下町アイドル』? 知らねえよ。 その下でしょ? 要するに。」
ユイ「ダサいアメ女の ダサい妹分が GMTな訳でしょ。 ウケる。 今となっては あんなものに 夢中になってた自分が 恥ずかしいっていうか もう 汚点だよね。 昔の自分を知ってる人に会うのが 本当に嫌。 ミス北鉄とか ホント無理。 勘弁してほしい。」
アキ「そりゃ ねえべ。」
ユイ「せいぜい頑張ってよ。 応援してますんで。」
アキ「そりゃ ねえべよ ユイちゃん あんまりだ! ずっと待ってたんだぞ ユイちゃんの事。 必ず行ぐって すぐ行ぐって言うから 待ってたんだぞ!」
回想
ユイ「アキちゃんは行って! 大丈夫。 すぐ よくなるから。 必ず すぐ行くから。 ねっ?」
アキ「これ!」
ユイ「すぐ行くからね!」
回想終了
アキ「その言葉だけを ずっと信じてたんだぞ。 それなのに何だよ! 冷めたって やめたって。 おら 何のために 東京で 奈落で 風呂もねえ合宿所で…。」
ユイ「知らねえし。」
アキ「ダサい? そんなの知ってるよ! やる前から ダサいと思ってた! ユイちゃんが アイドルになるって 言いだした時から!」
回想
ユイ「東京行って アイドルになるの。」
回想終了
アキ「ダサいから 聞こえねえふりしたんだぞ。 そしたら ユイちゃん もう一回 言ったんだぞ!」
回想
ユイ「アイドルになりた~い!」
回想終了
ユイ「『私のせいだ』って言いたいの?」
アキ「違う。」
ユイ「じゃあ 何!? アキちゃんは 何で やってたの!?」
アキ「楽しいがらに決まってるべ! ダサいけど 楽しいがら ユイちゃんと一緒だと 楽しいがら やってたんだべ! ダサいぐらい何だよ 我慢しろよ!」
ユイ「…。」
アキ「東京で おら 嫌というほど思い知らされた。 みんなが待ってたのは おらでねくて ユイちゃんだって。」
回想
水口「じぇじぇ! ユイちゃん来れないの?」
河島「かわいい方?」
水口「いえ なまってる方です。」
警備員「かわいい方?」
水口「なまってる方。」
しおり「かわいい方は?」
水口「来ない。」
回想終了
アキ「初日から その調子だった。 いくら おらだって 傷ついた。 逆だったら いがったのにって。」
ユイ「ハッ 逆?」
アキ「おらでねくて ユイちゃんが 東京さ来ればいがったのにって。 そしたら みんな喜ぶし ユイちゃんの夢も かなう…。」
ユイ「そんな事 軽々しく言わないでよ! 母さん蒸発して 病気の父さん 置いていける訳ないでしょう!?」
スナック・梨明日
功「うまい。」
(笑い声)
今野「そりゃ うめえべな。」
功「まさかね 自分が 要介護状態になるとはね。 まあ ホントに 家族には迷惑かけた。 特に ユイにはな。」
磯野「奥さんから まだ連絡ないんですか?」
功「駄目 駄目 先生! それ 私 まだ知らない事に なってるんだから! まっ 知ってんだけどね。」
一同「えっ!?」
功「言わないんですよ こいつが なかなか…。『母さん どうしたの?』って 聞いても『いや リフレッシュしに 温泉行ってる』とか『同窓会だ』とか そんなバカなって話ですよ。 それまで 毎日 来てたんだから。 いくら死にかけててもね 分かりますよ それぐらいは。 ハハハハハッ。」
ヒロシ「言えねえだろ バレてるって分かっててもさ。」
功「倒れる前からね その兆候が あったような気もするんだ。」
弥生「最期に ここさ来たんだべ?」
春子「そう。 お財布だけ持って 駅のとこに いたから…。」
回想
春子「足立さん!」
回想終了
春子「だから『中に 入って お茶でも どうぞ』って言って。」
功「そうか そうだったのか…。 バカだなあ…。 何もできなくても 全然いいのに バカだよ!」
ヒロシ「心配すんなよ 親父(おやじ)。 そのうち フラッと帰ってくるよ。」
春子「ねっ?」
功「ハハハハッ。」
海女カフェ
ユイ「退院したからって 安心できないの。 再発のおそれもあるし。 母さんも いないし 兄貴一人に任せる訳には いかないでしょ。 分かる? アキちゃんみたいに 気楽な身分じゃないの。 代わってほしいのは こっちだよ。」
回想
回想終了
アキ「お母さん 帰ってこないよ。」
ユイ「え?」
アキ「ごめん。」
ユイ「帰ってくるよ 必ず。」
アキ「ごめん。 だけど おらだって… おらだって 必死に ふんばって はい上がろうとしてんだ。 気楽な身分だなんて 言われだぐねえ!」
ユイ「40位の繰り上げ当選のくせに 自慢しないで!」
アキ「自慢じゃねえ! それが おらの現実だ! ダサいなんて そんなの 自分が 一番分がってる。 どんだけ不幸か知らねえが ここで過ごした思い出まで 否定されたら おら やってらんねえ!」
スナック・梨明日
磯野「結局 おらたちは どうしたいんでしょうかね。」
吉田「どうした? いっそん。 切ねえ顔して。」
磯野「ユイちゃんを おらたちは どうしたいんでしょうね。」
大吉「おい 変な事 言ったら ぶっ飛ばすぞ!」
磯野「だって 東京さ行ぐって言ったら 切なくなるし 行けなくなっても切なくなるし! なんとかしてあげたいけど おらたちには どうしてあげる事もできねえや。 ただ ここで 切なくなってるだけなんですよね。」
勉「分がる。 この距離は 永遠に縮まらねえんだ。」
磯野「おらたちにとって ユイちゃんって 結局 何なんでしょうね。」
大吉「アイドルだべ。」
吉田「んだ。 アイドルに決まってるっぺ?」
今野「ふ~ん アイドルか?」
磯野「アイドルなんでしょうね。」
北三陸駅
(足音)
春子「あっ ユイちゃん? 今 お父さん タクシー乗って帰ったよ。」
ユイ「…。」
春子「どうした? ユイちゃん。 中 入れば?」
ユイ「アキちゃんを傷つけちゃった…。」
春子「うん?」
ユイ「私 アキちゃん 傷つけちゃった…。」
春子「どうした? 大丈夫 大丈夫。 どうした? どうした?」