ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「あまちゃん」94回「おらのママに歴史あり 2」

【 連続テレビ小説「あまちゃん」】94回のネタバレです。

あらすじ

目標を見失って悩む、帰省中のアキ(能年玲奈)。水口(松田龍平)は東京へ戻るように説得するが、アキは作業小屋にこもったまま出てこない。そこにユイ(橋本愛)が来て、アキに八つ当たりしたことをわび、応援する気持ちを伝える。アキは、ユイの励ましを得て、もう一度、東京で頑張る決心をする。町の人に見送られ、北三陸を去るアキに、春子(小泉今日子)が手紙を渡す。そこには、母の驚くべき秘密が書かれていて…。

94回ネタバレ

天野家
作業場

水口「みんな君の帰りを待ってる。 だから 一緒に帰ろう。」

作業場に立て籠もるアキ

水口「えっ? 何だよ。 もう少しだったのに…。」

忠兵衛「お茶っこでも 飲んでったらいいべ。」

水口「いや 11時の 新幹線に乗らないと。 劇場のオープンに間に合わないから。」

忠兵衛「そうか。 おい アキ! 水口さん帰るってよ!」

アキ「…。」

忠兵衛「やっぱり ユイちゃんじゃねえと 駄目みてえだな。」

水口「え?」

(ノック)

ユイ「アキちゃん!」

水口「え?」

ユイ「アキちゃん。」

水口「え? ユイちゃんなの。 眉毛どうした?」

(犬のほえる声)

ユイ「こないだ ごめんなさい 海女カフェで。」

アキ「お互いさまだ。」

ユイ「アキちゃんに あたっても しかたないって事は 分かってるんだけど。 アキちゃんに あたるしかなかったの。 やってらんなかったの。」

アキ「それも お互いさまだ。 アイドルも奈落も わがまま女優の付き人も ユイちゃんのためと 思わねえど 我慢できねっていうか。 ユイちゃんのせいにしねえと やってらんねっていうか。 それなのに『冷めた』とか言われて。」

回想

ユイ「諦めた訳じゃなくて 冷めたの完全に。 だって ダサいじゃん。」

回想終了

アキ「ダサいとが言われて 何か目的見失ったっていうか。 もち… もちが。」

ユイ「モチベーション?」

アキ「んだ『あれれ? おら 何のためにやってんだっけ?』…て 考えちまったんだ。」

ユイ「ごめんなさい。」

1階

春子「要するにさ 今の自分を 正当化するために 過去の自分を 否定するしかないのよ。 ユイちゃんの眉毛が どっか行っちゃったのも きっとそうよ。 芸能界に憧れてた 過去の自分を否定しないと 乗り越えられなかったのよ。」

(猫の鳴き声)

春子「私の場合はね それが 夏さんだったんだけどね。」

夏「ああ? 何で おらが出てくんだ。」

春子「どんなに つらい事も 全部親のせいにして 乗り越えてきたって話。 夏さんが 突き放してくれた おかげで。」

夏「はあ! おめえさん方 随分 複雑に出来てんだな。」

春子「はあ?」

夏「誰かのせいにしたり 自分を正当化しねえと 右にも左にも曲がれね。 おら もっとシンプルだ。 海のそばさ生まれたから潜る。 それだけだ。」

春子「立派 立派! 夏さんは ご立派ですわよ。」

夏「おう。」

作業場

ユイ「海女さんは?」

アキ「はい?」

ユイ「アキちゃんは 誰のために 潜ってたの? 私のため?」

アキ「いや。 いや おらのためだ。 自分のために潜るんだ。」

ユイ「じゃあ 自分のために 歌ったり踊ったりできない?」

アキ「どうかな?」

ユイ「私のためじゃなくて 自分のためにやってみなよ。 できる?」

アキ「いや どうかな。」

ユイ「やってみなよ。 私 見てるから。」

アキ「ユイちゃん。」

ユイ「冷めたんじゃくて 諦めた。 そのかわり ちゃんと見てるから やって駄目なら また帰ってきなよ。」

アキ「うん!」

ユイ「サインして。」

ユイ「あるんだ。 フフフ!」

アキ「へへ!」

ユイ「ありがとう。 大事にする。」

1階

水口「正直2人とも ブレークするのは無理だって 初めから思ってました。 で どっちかって言ったら ユイちゃんだろうって。」

夏「とうとう 本音が出たな水口。」

水口「でも 今回 改めて自分の中で アキちゃんが アキちゃんの存在が こう クローズアップされてる事に 気が付きました。 はい。 何だろう? 何か こう かわいいですよね。」

春子「気持ち悪いぞ 水口。」

水口「だから 東京帰ったら ちゃんと本気で あの 戦略練って 売り出そうと思ってます。」

夏「時間いいのか?」

水口「よくないです。 ああもう お土産も買いたいし。 あ お邪魔しました。」

夏「気を付けて。」

水口「あ…。 お邪魔しました。」

道中

ユイ「アキちゃん!」

アキ「何 聞こえないよ! ちょっと待って ユイちゃん!」

天野家
1階

アキ「夏ばっぱ!」

夏「あ?」

アキ「おら やっぱり東京さ行ぐ!」

夏「そうか せいぜい頑張れや。」

アキ「あれ? ママは。」

夏「え?」

2階

春子「あ~ 面倒くせえ!(舌打ち)」

北鉄

(発車のベル)

アキ「すいません すいません!」

<1月10日 天野アキは 再び東京さ向かいました>

回想

菅原「アキちゃん やっぱり行ってしまうのか!」

大吉「春ちゃんの事は おらさ 任せろ! 悪いようにはしねえ。 今度来る頃には…。」

磯野♬『俺は海の底』

大吉「うるせえ 南部ダイバー!」

磯野♬『南部のライダー』

吉田「『ライダー』つっちゃった! 南部ライダーか? このバカたれ!」

ユイ「これは アキちゃんに。 私が作ったの。」

アキ「ありがとう!」

回想終了

アキ「ママ?」

手紙・春子『こないだの続きです』。

<いきなり本題?>

手紙・春子『この手紙を書こうと思ったのは アキのひと言が きっかけでした』。

回想

アキ「ちょっと疑ってたんだ ママと太巻(ふとまき)社長の間に 何かあって それで おら 芽が出ねえんじゃねえかって。」

回想終了

手紙・春子『事実として正確に 知っておいてほしいから 包み隠さず 全て書きます』。

手紙・春子『昭和59年夏 アイドルを夢みて ママは開通したばかりのい 北鉄(きたてつ)に 乗って上京しました。』

回想

1985年(昭和60年)

手紙・春子『そのころ親身になってくれてたのが マスターの甲斐(かい)さんと まだ 駆け出しのスカウトマンだった 荒巻太一さん。 1980年代半ば アイドルは 試行錯誤の時代でした』。

♬『熱い太陽を抱きしめて 夢だけを追い続け』

♬『セーラー服を脱がさないで』

♬『マットが紅(あか)い薔薇(ばら)に染まる瞬間 リングは』

甲斐「女子プロか…。 春ちゃん プロレスやれば? 女子プロ。」

春子「いらっしゃいませ、。」

甲斐「無視か。」

荒巻「春ちゃん 悪い ちょっと 来てくれるかな!」

春子「え?」

荒巻「甲斐さん ごめん 1時間だけ春ちゃん貸して。 ちょっと はいはいはい 早く!」

春子「何 何?」

荒巻「時間がない!」

(移動中のタクシーの中)

春子「鈴鹿(すずか)ひろ美(み)?」

荒巻「知らない? 知らないか。 まだ デビュー前なんだけどね。 今うちが 社運を懸けて 売り出そうとしている 清純派アイドル。」

春子「かわいい。」

荒巻「年は 君よりも 1つ2つ上じゃないかな。 主演映画が 正月に公開される。 間違いなく ブレークする子だ。 そうだ 運転手さん カセットテープ かけれます? これ 流してほしいんですけど。」

荒巻「で 今日はは その映画の主題歌の レコーディングなんだけど。 ちょっと 問題がね。」

手紙・春子『カーステレオから流れてきたのは【潮騒のメモリー】のイントロ。 そう アキが お座敷列車で歌った あの【潮騒のメモリー】でした』。

(カーステレオ・鈴鹿の音程の外れた歌)

♬『来てよ その火を 飛び越えて』

荒巻「そう 彼女音痴なんだ。」

春子「こういう歌かと思いました。」

荒巻「そうだね。 逆に誰も こんなふうに 歌えないのよね。」

(音程の大きく外れた歌)

♬『北へ帰るの 誰にも会わずに』

荒巻「ちょっと 止めて 具合悪くなる こっちかけて。」

黒川「はい。」

荒巻「すいません。 で もう時間ないんで 誰か 歌える女の子探してきてって 上司に言われて。 君の事思い出した訳。」

春子「私?」

荒巻「歌ってくれないかな? 鈴鹿ひろ美の代わりに。」

春子「え… いや~。」

(カーステレオ・荒巻)

♬『砂に書いた アイ ミス ユー』

荒巻「あ これ俺が歌ってます。 あと30分あるから 繰り返し聴いて覚えて。」

春子「覚えてって 私の声が レコードになるんですか?」

荒巻「そう。」

春子「鈴鹿ひろ美の名前で?」

荒巻「頼むよ。」

手紙・春子『断れなかった。 ううん 断る理由がなかったと 言うべきかしら』。

荒巻「すいません お待たせしました!」

「OK よし いこう!」

荒巻「中 入って。」

回想終了

手紙・春子『ママはその日 マイクの前に立ちました。 鈴鹿ひろ美の影武者として』。

(警笛)

アキ「じぇ! じぇ じぇじぇじぇじぇ!」

回想

♬~(『潮騒のメモリー』)

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