ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「あまちゃん」98回「おら、悲しみがとまらねぇ」

【 連続テレビ小説「あまちゃん」】98回のネタバレです。

あらすじ

アキ(能年玲奈)は、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)に、春子(小泉今日子)が歌手になりたかったことを話す。すると、鈴鹿から、アキは春子の夢を託されているのではと指摘され、プレッシャーを感じる。種市(福士蒼汰)は、立ち直ったものの以前とは風貌の全く違うユイ(橋本愛)の写真を見てショックを受けていた。アキの所属するGMTの人気はいまだ伸び悩んでいたが、そんなとき、水口(松田龍平)から重大発表が…。

98回ネタバレ

まごころ第2女子寮

アキ「♬『来てよ その火を 飛び越えて 砂に書いた アイ ミス ユー』あっ! ごめんなさい。」

♬~(『潮騒のメモリー』)

めぐ「何? この歌 誰?」

アキ「鈴鹿ひろ美の『潮騒のメモリー』でがす。」

<本当は『天野春子の』だけどな>

めぐ「ふ~ん この人 歌も出してんだ。 あっ 天野さん 今日から 2階で寝ていいよ。」

アキ「じぇじぇ!」

めぐ「当分 彼んち泊まるから。」

アキ「あ… 有馬さん! 余計な お世話だけども 奈落にも 一応 門限はあるし 恋愛御法度だ。」

めぐ「バレなきゃいいんでしょ?」

<すげえ…。 この子 おらの事 敵とも ライバルとも 思ってねえんだな>

めぐ「じゃあね。」

(ドアの開閉音)

アキ「…じぇ~。」

天野家

大吉「お代わり!」

春子「はいはい はいはい。」

夏「大吉さん あんた 最近 ちょっと太ったね。」

大吉「いや~ バレた? 一日5食だもんで。」

夏「5食!?」

大吉「朝 朝 昼 晩 晩だ。 家で 朝飯食って ここで 2度目の朝御飯だ。 正直 全然 腹減ってねえ。」

忠兵衛「バカだな おめえ! ここで食うのの なして 家で食うんだよ!」

大吉「食わねえと 母ちゃんに悪いし 角が立つべ。」

夏「忠兵衛さんも ちょっと太ったね。」

忠兵衛「バレたか? 食っちゃ寝 食っちゃ寝だからよ。」

夏「今年の検診は どこも悪くねがったんだから もう そろそろ 漁さ出てもらわねえと困りますよ。」

忠兵衛「やんだ! 行がねえ! おら 絶対 行かねえど!」

<この3日後 おじいちゃんは漁さ出ました。 今度は 南半球だそうです>

春子「お母さんさ ねえ あん時さ 私に 何て言ったか覚えてる?」

夏「えっ あん時?」

春子「私が 上野から電話した時。」

回想

1989年(平成元年)

回想終了

夏「いつの話だ?」

春子「20年前。」

夏「覚えてる訳ねえべ。」

春子「そうだよね。 アキにさ聞かれちゃったのよ 電話で。『ママ 何で 一回 上野まで行ったのに また 世田谷に戻ったの?』って。」

回想

春子「世田谷まで。」

黒川「いや お客さん さっき 世田谷から乗りましたよね。」

春子「え?」

回想終了

春子「上野でね 電話ボックスに入ったのは 覚えてる訳。 …っていう事はさ 夏さんに何か言われて『やっぱ帰るの やめた』って なった訳じゃん。」

夏「そんな昔の事 どうでもいいべ。」

大吉「いや よくねえぞ 夏ばっぱ。」

夏「え?」

大吉「その電話の中見次第じゃ 春ちゃん 20年前 帰ってきたかもしんねえ そしたら あのタクシー野郎でねぐ おらと一緒になったかもしんねえ。 一日3食で済んだかもしんねえ!」

夏「おめえさん 安部(あんべ)ちゃんと婚約してたべ。」

大吉「じぇじぇ! んだった。 朝 昼 晩 まめぶ生活だった!」

夏「ハハハッ!」

春子「何 しゃべったんだろうね。」

テレビ・司会者『それでは 最後に 番組を ご覧の皆さんに…』。

テレビ局
『岩手こっちゃこいテレビ』撮影スタジオ

テレビ・司会者「ひと言 お願いします。」

鈴鹿「岩手こっちゃこいテレビを ご覧の皆さん ご機嫌いかがですか? 女優の鈴鹿ひろ美です。 映画『猫に育てられた犬』実はを元にした 感動的なストーリーです。」

鈴鹿「今回は 主人公の母親を演じた訳ですが フフッ 演技じゃなくて 泣いちゃいました。 猫の気持ちも 犬の気持ちも 分かるんです。 だから 1度目は 猫の気持ちで見て頂いて 2度目は 犬の気持ちで 3度目は 人間の気持ちで 見てほしいなって。」

モニター

鈴鹿『犬に育てられた猫』。

鈴鹿「うん? あ… じゃない。 フフッ。『猫に育てられた猫』。『人に育てられた』。」

AD「カット!」

鈴鹿「天野さ~ん。」

アキ「はい!」

廊下

鈴鹿「何よ あの司会者! まだ5分も残ってるのに『最後に ひと言』って どういう事!? あんな つまんない映画の宣伝 5分もできません!」

アキ「えっ!? つまんないんですか?」

鈴鹿「最悪よ! 猫の気持ちも 犬の気持ちも 分かんない! 猫アレルギーだもん! 実はを元にすりゃ ヒットすると思ったら 大間違いよ! 現実なんて退屈!」

無頼鮨

鈴鹿「(ため息)あ~あ… もう最近 母親役ばっかりだよ。」

アキ「やりだぐねえのか?」

鈴鹿「だって つまんないじゃん ドラマの中の母親ってさ。 肝っ玉か 良妻賢母で ちょっと病気がち? 2パターンしかない訳。 それって 男の勝手な願望じゃない。 開店前のすし屋で 飲んだくれてる お母さんとか 絶対 出てこない訳でしょ? ねえ 大将!」

梅頭「そうかもしれないです。 アキちゃん! お刺身。」

アキ「あ…。」

鈴鹿「ねえ 天野さんのお母さんって どんな人?」

アキ「じぇ!」

鈴鹿「肝っ玉? 病弱? どっちのパターン?」

<い… 言えねえ。 あんたの影武者で『潮騒のメモリー』歌ってたなんて>

鈴鹿「ねえ どんな人?」

アキ「…。」

鈴鹿「ごめん。 聞いちゃ まずかった?」

アキ「歌が…! 歌がうめえ お母さんです。」

鈴鹿「へえ~ そうなの!」

アキ「はい! 歌がうめくて かっけえ母ちゃんです。 今は 地元で スナックやってます。」

鈴鹿「海女さんじゃないのね。」

アキ「海女は 祖母です。 母は 海女になるのが嫌で 東京さ出て か… 歌手を目指してた時期もあります。」

鈴鹿「ああ そうなの。 じゃあ あ母さんに 夢を託されて 来たのね。」

アキ「え?」

鈴鹿「フフッ そうでしょ? 自分の果たせなかった夢を 娘に かなえてほしいのよ お母さん。 頑張んなきゃね!」

アキ「は… はい。」

<そうか 考えもしねかったが 確かに そうだ。 そしたら なして 最初は あんなに反対したんだ?>

回想

アキ「おら アイドルになりでえ! 歌って 踊って 潜って ウニ取って 上がって 食わせる そんな アイドルになりでえ!」

回想終了

<痛(いで)がったあ…。 だが 無理もねえ この世界で やっていく難しさを 誰よりも知ってんだもんな…。 そんな ママの期待を 背負ってるとしたら…>

アキ「重でえ…。」

種市「天野?」

<あんなに 歌がうまくて 器量がよかった ママですら 通用しねがったのに… おらなんか>

種市「天野。 無視すんなよ 天野!」

アキ「無視じゃねえ。 聞こえたけど 聞こえねえふりしただけだ。」

種市「いや だから それが無視だべ。」

アキ「何すか 先輩 手短に お願いします!」

種市「ユイに会ってきたんだべ?」

アキ「そっちも重でえ…。」

種市「重でえ?」

アキ「いや うん 元気だった。 スナック手伝ってた。」

種市「えっ スナッグ!? ユイが?」

アキ「写真 見るか?」

種市「え…。」

種市「うわっ ダセえ! ダセえ!」

アキ「ダセえぐれえ 我慢しろ! ようやく立ち直ったんだぞ。」

種市「そうか…。 そうだよな。」

スナック・梨明日

吉田「先生 ガールズバーって知ってる?」

磯野「あ~ 東京で はやってるっぽいね。」

ユイ「何それ 知らない。」

吉田「カウンターの向こうに ガールズがいて 一緒にお酒飲んだり しゃべったり カラオケ歌ったりするんですって。」

磯野「すっごく楽しいんですって。」

弥生「それ スナックだべ。」

美寿々「んだ スナックだ。」

春子「スナックと何が違う訳?」

吉田「何も言えねえ。」

まごころ第2女子寮

安部「お帰り!」

アキ「ただいま!」

しおり「遅い!」

アキ「じぇじぇ! また反省会ですか?」

しおり「『また』とか言うなよ! 奈落にいる限り 日々 反省だよ。 じゃあ まず 昨日の反省会…。」

安部「まめぶ食べる?」

アキ「はい! 有馬さんは 今日も無断外泊か?」

喜屋武「連絡も来ないよ。」

真奈「どうせ 夜遊びやろうもん。 やれ 麻布(あざぶ)のクラブ…。」

安部「だんご いくつ?」

アキ「3つ! 小野寺(おのでら)ちゃんは?」

喜屋武「起こした方がいいかね?」

しおり「寝かしておこう 受験も近いしな。 昨日も言ったけど 年末のファンミーティングの成果が 全然 生かされてないと 思うんだよ!」

安部「七味入れますか?」

アキ「入れる 入れる!」

安部「じゃあ ストップって言って下さい。」

しおり「国民投票の結果で 満足しちゃってるっていうかさ 特に真奈とか 小野寺ちゃんもだけど アメ女と掛け持ちで やってる子はさ 自分が GMTなのか アメ女なのか…!」

アキ「ストップ!」

安部「どんぞ。」

アキ「頂きま~す。」

しおり「はっきりしてほしいっていうかさ その辺 どう考えてんの?」

真奈「もともと 佐賀なのか博多なのかも はっきりせんとばってん。」

しおり「佐賀だろ!? 佐賀のがばいキャラでいくんだろ! そもそも『がばい』って何だよ! どういう意味!?」

真奈「そいも はっきりせんとばってん。『すごい』とも違うし『やばい』とも違うし…。」

喜屋武「うちも で~じ まめぶ食べたい!」

安部「だんご いくつ?」

喜屋武「4つ 七味もね。」

安部「じゃ ストップって言って下さい。」

東京EDOシアター

河島「シングル 少なくとも ビジュアル面は…。」

水口「河島さん 河島さん!」

河島「うるせえな 何だよ。」

水口「これ 地下のゴミ箱で 見つけたんですけど 何だと思います?」

河島「ゴミだろ!」

水口「ゴミになる前ですよ! 見て!」

河島「うん? 歌の歌詞か? 社長の字?」

水口「読んで!」

河島「『地元に帰ろう 地元で会おう あなたの故郷 私の地元。 地元 地元 地元』。」

水口「GMTの曲ですよね。 ですよね!『地元 地元』言ってますもんね。」

河島「捨ててあんだから ゴミだろ。」

まごころ第2女子寮

しおり「チャンスだと思うんだよな。 アメ女の元センターが GMTにいる訳じゃん? …って事は 今 イベントをやれば ファンが確実に集まる訳じゃん!」

小野寺「マスコミも取材も来るかもな。」

アキ「あっ 小野寺ちゃん。」

小野寺「何か 面白そうな話してるがら…。」

しおり「どうした? 喜屋武ちゃん。」

喜屋武「な… 何もないよ。」

真奈「でも 路上は ちょっと厳しか。」

しおり「うん もうちょっと 派手にやりたいよな! 公園とか デパートとか…。」

安部「デパート!?」

アキ「何? 安部ちゃん。」

安部「4月に 上野のデパートで 岩手物産展やるから 手伝ってけろって頼まれたんだ!」

アキ「えっ 誰に?」

安部「観光協会の菅原さん。 北三陸からは まめぶ汁と… あっ 夏ばっぱのウニ丼も 出品するって!」

アキ「じぇじぇ! 東京で ウニ丼 食えんのか?」

安部「ばっぱは来ねえけどな。 レシピは おらが知ってっから。 ウニは冷凍さ。」

アキ「じゃあ 物産展 手伝うっていうのは どうだべ? 手伝う代わりに 1曲歌って。 いぐねえ? リーダー。」

しおり「1曲って 持ち歌ないじゃん。」

アキ「そうか いつまでも『ディセンバー』って訳にもな…。」

(ドアの開閉音)

しおり「それなんだよな 何て言うかさ アメ女と…。」

真奈「水口さん。」

小野寺「どうした? 慌てて。」

水口「重大発表がある。」

アキ「え?」

水口「落ち着いて 聞いて。 ついに…。」

喜屋武「ストップ!」

安部「えっ?」

水口「まだ 何も言ってないぞ。」

喜屋武「うちの まめぶが… 真っ赤になってる~。」

安部「やだ ストップって言わねえがら…。」

しおり「…で? 何?」

水口「太巻(ふとまき)さんが GMTのデビュー曲 作ってる。」

一同「じぇじぇじぇじぇじぇ!」

モバイルバージョンを終了