ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「あまちゃん」9回「おら、東京さ帰りたくねぇ」

【 連続テレビ小説「あまちゃん」】9回のネタバレです。

あらすじ

アキ(能年玲奈)は、先輩海女であるかつ枝(木野花)、美寿々(美保純)、安部(片桐はいり)らの複雑な過去を知る。一方、離婚したい春子(小泉今日子)と、別れる気の全くない正宗(尾美としのり)の話はかみあわないまま。若いころから、ひそかに春子に思いを寄せている大吉(杉本哲太)を巻き込んでの大騒動になる。どうしても東京に妻と娘を連れ戻したい正宗だったが、生き生きと海女修業をするアキの姿を見て…。

9回ネタバレ

<アキが また 海に飛び込みました。 またか。 この娘は よっぽど 服着たまんま泳ぐのが 好きなんだなあと 思われるかもしれませんが 好きで飛び込んだ訳では ないのです。 父親が訪れてきたのです>

漁協

長内「あ~ うめえ!」

美寿々「ほい。」

長内「お~!」

アキ「遅くまで つきあってもらって ごめんなさい。」

美寿々「気にすんな! 夏ばっぱから 聞いでっから。」

かつ枝「どっちみち 一杯やって 帰るつもりだったからな。」

ヒロシ「鍵 ここ置いておきます。」

長内「お疲れ! 足立も ビール飲むが?」

ヒロシ「自分 いいっす…。」

長内「あっ そう。 あっ アキちゃん 彼ね 監視小屋で バイトやっとる足立君。」

アキ「ユイちゃんのお兄ちゃんだべ。」

長内「あっ そう。」

アキ「…っていうか 先週溺れた時 サイレン鳴らしてもらったし。」

かつ枝「ああ んだんだ。 命の恩人だ。」

ヒロシ「今日も 海さ落ちたよね。」

アキ「え?」

ヒロシ「あっ 監視小屋から 見でたんですが スイスイ泳いでたから サイレン鳴らしませんでした。」

天野家

春子「何で来たの?」

黒川「あっ 車で…。」

夏「あらら 遠いところ わざわざ。」

春子「わざわざ 車で 何しに来たのっていう意味。 分かるよね? それぐらい普通。」

黒川「だから 君が 急に いなくなるから…。」

春子「急じゃないでしょ? 予感はあったでしょ 絶対。」

黒川「あったけど? 枕が臭いとか パジャマが臭いとか…。 でも 離婚を予感させるほど 重大なペナルティーじゃないし。 その辺も 手紙に書いてあるのかな?」

春子「ごめんなさいね 何か。 こう イラッとくるでしょ? あの… 離婚届に判子押して 送ったので そちらのタイミングで 役所に 提出してもらっていいですか?」

大吉「うん? 判子って どっちのよ。」

春子「どっちのって 天野だよ 天野。 旧姓の。」

大吉「あ~ 駄目だ。 それ 無効。」

春子「何でよ。」

大吉「いや 離婚届を書いてる時点では まだ夫婦だから 夫の姓のい判子でねえと 駄目なんだば。」

春子「何で? だって天野に戻るんだから 別に 天野で いいじゃんね。」

安部「そう思って 私も 安部の判子押したら 突っ返されたの。」

春子「嘘!?」

大吉「春ちゃんの場合 天野でなくて 黒川でねえと。」

春子「そんなの 離婚した事ないから 知らないし…。」

漁協

アキ「じぇ! じぇじぇじぇじぇ! 大吉さんと安部さんって 夫婦だったの!?」

美寿々「うん ほんだよ。 しかも 一緒に暮らした事ないんだよ。」

アキ「じぇじぇじぇ! どういう事?」

かつ枝「式 挙げで アパート探して 半年後に空ぐがらって 契約したんだけんど 5か月で別れだんだよ。」

美寿々「組合長と かつ枝さんも 夫婦だったんだよ。」

アキ「じぇじぇじぇ! じぇじぇじぇじぇ!」

長内「『だった』って まだ一緒に暮らしてっけどな。」

かつ枝「んだ。 ハハハッ。」

天野家

夏「要するに もともと 夫婦仲うまくいってねえとこに 大吉が『夏ばっぱ 倒れたど』って 嘘のメールさ送ったっつう訳だ。 ほんで これ幸いと マンション飛び出し そのままっつう訳だ。」

黒川「『寝耳に水』っていうか 僕は うまくいってると…。」

春子「嘘でしょう?」

黒川「もちろん 小さな衝突はあります。 どこの家庭も そうだよ。」

夏「よその家庭は どうでもいいべ。 おめえら 夫婦の話しろ。」

黒川「とりあえず…。 出てった理由 教えてくれないかな?」

春子「理由なんか ない。 逆に 一緒に暮らす意味が 見当たらない。」

黒川「随分な言われようだな…。」

夏「すいませんね。 うちは 普通の家庭じゃないもんで。 春子の父ちゃんは 遠洋の漁師ですから 一年のうち 340日は 母子家庭だったんです。」

黒川「ええ 聞いてますが。 だから 僕は 仕事より家族を優先して…。」

春子「それだ 理由…。」

黒川「え?」

春子「そりゃさ みんなで一緒に 暮らした方がいいに決まってるよ。 そんなの分かってるよ。 でも 今のアキにとって 果たして それが いい事なのかなって思ったの。」

漁協

かつ枝「美寿々なんか 駆け落ちしたんだよ!」

アキ「じぇじぇじぇ!」

美寿々「や~め~で~!」

長内「しかも 1回や 2回じゃねえど。」

かつ枝「最後はな 年下の彼氏ど 船さ乗って 韓国まで逃げだんだよな!」

美寿々「チェジュ島でなあ  海女やってたのを… あった! 見で! 若がった~!」

アキ「かっけえ~。 美寿々さん これ かっけえ~!」

天野家

春子「私たちさ 知らず知らず アキを追い込んでたのよ。 いい子に育ってほしいっていう 願望が強すぎて。 まあ それはね 私が あんまり いい子じゃなかったから って事なんだけど…。」

夏「悪い子だったんですよ。」

春子「黙っててって! 黙ってて。 じゃあさ 大体 いい子って何よ? 親に迷惑かけない子? 携帯電話に ロック掛けない子? テレビの電源消す時は 主電源まで切る子? いい子って何よ? 何なの!?」

黒川「え~っと…。」

大吉「えっ いや おら 独りもんだから分がんねえ。」

漁協

かつ枝「なっ 分がったが? みんな いろいろあんのよ。 いろいろあって 今日があんのよ。」

美寿々「アキちゃんのお母さんが 特別な訳でねえの。 みんな いろいろあって 最終的に ここさ帰ってくるの。 お互い分かってっから 黙って受け入れるの。」

アキ「うん…。」

天野家

アキ「ただいま!」

夏「お帰り。」

アキ「パパは?」

夏「大吉っつぁんが送ってった。」

アキ「ママ…。」

夏「ほら ちゃんと娘さ説明しろ。」

春子「…分かってるよ。 ちょっと待っててね。」

アキ「いいよ ママ。 分かるから 何となく。 いろいろあるよね。 おやすみ。」

スナック梨明日

黒川「たまたま 私が 春子さんを 客として乗せたんです。 それが出会いでした。 まだ個人じゃなくて 会社の車で走ってました。 世田谷から上野駅まで乗せました。 春子は 東京で いろいろあって 疲れて『もう田舎に帰るんだ』って 言ってました。」

大吉「上野って事は おめえ 東北本線さ乗って 帰ろうとしてたって事でねえが!」

今野「何すんだ おめえは。 今がら ちゃんと話すっから ちょっと待ってろ。」

大吉「ウーロン茶ロック!」

弥生「はいよ。 お客さんは?」

黒川「あっ ウーロンハイで。」

弥生「はいよ。」

回想

1989年(平成元年)

黒川「上野って事は あれですか? ご旅行か 何かですか?」

春子「東北の方です。」

黒川「東北! いいですね~。 東北いいですよね。」

黒川『道が混んでて いろんな話をしました。 お互いの身の上話とか 世間話とか。 そして 上野駅で降ろしたんですが…。』

黒川「あれ?」

春子「世田谷まで。」

黒川「お客さん さっき 世田谷から 乗りましたよね?」

春子「えっ? あ…。」

回想終了

黒川『…という訳で 来た道を世田谷まで戻りました。』

大吉「この野郎 何で戻った!?(弥生にペットボトルで叩かれる)あっ…!」

黒川「それで 連絡先を交換して 相談に乗ったりしているうちに 交際に発展しまして…。」

大吉「もう許さね! 表さ出ろ お前! アタタタタッ!」

黒川「すいません。 僕 こう見えても 空手の黒帯なんです。」

大吉「ギブ ギブ ギブ!」

黒川「東京は タクシー強盗多いですからね。 自分の身は自分で守らないと。」

弥生「ほう…。」

大吉「ウーロン茶ロック!」

弥生「はいよ。」

大吉「くっそ~! 腹が チャッポンチャッポンって…。 それでも俺は 飲むしかねえのか。」

黒川「その時に結婚して その2年後に アキが生まれました。 なるべく 僕は 家族と一緒に 過ごせるように シフトを組んで 土日は仕事を休んで 平日も夜6時には切り上げて 寄り道せずに…。」

弥生「それが いぐなかったんでねえの?」

黒川「だから それが分からないんです。」

弥生「時間どおりに帰ってきたのが 不仲の原因じゃねえのって。」

黒川「家庭を顧みない父親よりは ましでしょ。」

弥生「ましだけど メリハリがねえべ。」

今野「んだんだ 面白くねえじゃえ。」

黒川「うん? な… 何?」

弥生「ガキの頃よ おらの父ちゃん イカ釣り船さ乗ったのよ。 半年に一遍しか帰ってこないの。 …で 帰ってきた時は 母ちゃん そりゃ うれしそうな顔してんのよ。 でも まあ 1週間だな。 そのうち『邪魔だ 邪魔だ~。 顔も見だぐねえ』って けんかばっかりしてんのよ。」

弥生「アハハハッ! 分がる? 時には 距離を置ぐのも 長続きの秘訣だよ。 年がら年中 一緒にいだら 会話も無くなっぺよ。」

今野「まあ 中にはなあ 大吉っつぁんみたいに 一緒に住む前に別れるのも いっけどな。」

大吉「何だと この野郎! やるぞ~!」

今野「お~ 何だ 何だ? おい!」

弥生「大吉 大吉!」

大吉「(いびき)」

弥生「何だ ウーロン茶で 酔っ払いやがって 安上りだなあ!」

黒川「やっぱり!」

弥生「何だ?」

黒川「これ ウーロン茶。 こっちが ウーロンハイ。 何か この店 ウーロンハイ薄いなと思ってたら おかあさん 間違えて出してる。」

今野「ありゃりゃりゃ つう事は?」

黒川「この人 ずっと ウーロンハイ飲んでた。」

弥生「じぇじぇじぇ!」

大吉『(寝言)Ghostbusters…。』

(たたく音)

大吉「痛い 痛い 痛い!」

<黒川さんは ビジネスホテルに泊まって 翌朝 再び 袖が浜に向かいました>

アキ「お客さん どうぞ! もっと近くで ご覧下さ~い!」

アキ「あっ いらっしゃいませ! どうぞ どうぞ こちらに。」

黒川「アキ…。」

<初めて見る 娘のハツラツとした姿に アキのパパは 驚きを隠せませんでした。 学校でも家でも見せた事のない 明るい表情 明るい声 笑い声>

アキ「お客さんたち 東京がら?」

客「そうだよ。 江戸っ子だよ。」

2人「じぇじぇじぇ!」

アキ「私も東京!」

(足音)

客「でも 地元の顔のような気が するけどね。」

アキ「ホント!?」

客「うん。」

アキ「やった~! 地元の顔だべ?」

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