2020年10月30日放送の【 連続テレビ小説「エール」】100話のネタバレです。
連続テレビ小説「エール」はNHKで放送しているドラマです。
現在は(2022年2月現在)NHKオンデマンドでも視聴可能です。
テレビまたはNHKオンデマンドが見れない方やこのドラマに興味のある方はこの記事をご覧になってください。
あらすじ
久志(山崎育三郎)が歌った「夜更けの街」に裕一(窪田正孝)は心揺さぶられて、完成した「栄冠は君に輝く」はやはり久志に歌ってほしいと強く願う。大会本部の大倉(片桐仁)は、愛国歌謡の印象が強い久志の起用に難色を示すが、裕一は「他のどの歌手よりも彼が向いている」と頭を下げて必死にお願いする。断るつもりで古山家を訪れた久志だったが、音(二階堂ふみ)からその話を聞いて心を動かされる。
100話ネタバレ
エール (100)「栄冠は君に輝く」
闇市
裕一「あっ… やあ 久志。 ねえ… これ 見てほしい。 さっき 大会本部から 誰か歌手を推薦してほしいって言われた。 君の名前を伝えた。」
久志「何で勝手に そんなことしてんだよ。」
裕一「僕は君に歌ってほしいから。『夜更けの街』聴いた時ね 改めて思ったんだよ。 やっぱ この曲は 久志の歌声で完成させたい。 まあ とにかく 一度 譜面見て。」
久志「はあ… 本当にしつこいね!」
裕一「ハハハハ… だよね。 自分でも そう思う。 んっ。 また来るから。」
古山家
華の部屋
華「フォアボール。」
音「華。」
華「ファウル・ティップ。 ふ~ん…。」
音「何 読んでるの?」
華「黙って入ってこないでよ!」
音「声 かけたよ!」
華「お母さん 今日 レッスンじゃなかったの?」
音「レッスンは明日。 それ 何? 野球のお勉強? ねえ この間 一緒にいた男の子って…。」
華「出かけてくる。」
音「どこ行くの? その子に会いに行くの?」
華「そんなわけないでしょ。 散歩。」
音「あっ… あっ でも 華…。」
玄関前
華「もしかして 久志おじちゃん?」
音「華 出かけるなら上着…。 久志さん。」
居間
音「裕一さん もうすぐ帰ってくると思うんで 少し待ってて下さい。」
久志「あっ いや… これ… 返しに来ただけだから。」
音「歌わないってことですか?」
久志「ああ。」
音「どうして?」
久志「(ため息)同情されたくない。」
音「同情?」
久志「別に僕じゃなくてもいいでしょ。」
音「裕一さん がっかりするだろうな。」
久志「歌手は ほかにも いっぱいいる。」
それ… 大会本部の大倉さんも 同じこと言ってました。」
久志「えっ?」
回想
大倉「佐藤久志ですか…。」
裕一「僕が推薦するなら彼しかいません。」
大倉「う~ん… 上司が何と言うか…。 先生を擁立するだけで 精いっぱいでして…。 ほかにも 優れた歌唱力の方は たくさんいます。 別の方で 心当たりはないですか?」
裕一「すいません。 それでも僕は 佐藤久志を推薦したいです。 叙情性のある彼の歌声は この曲にぴったりなんです。 ほかの どの歌手よりも 彼が向いていると思います。」
大倉「あ~… ですが…。」
裕一「彼が もし… 彼が もし 戦時歌謡の歌い手としか 捉えられていないのならば なおさらです。 彼は 皆さんが思う以上に いろんな引き出しを持った歌い手です。 大倉さん どうか… どうか お願いします。」
大倉「いや… 先生 ちょっと あの…。 あっ… 先生 やめて下さい。」
裕一「お願いします。」
音「裕一さん 必死に お願いしてた。 最後は 大倉さんも根負けして 上司の方を説得して下さるって。 羨ましかった…。 裕一さんは 久志さんのことを 歌手として 心底 信頼している。 同情なんかじゃありません。 裕一さんは 久志さんの歌が好きなんです。」
(戸の開閉音)
裕一「ただいま。」
音「お帰りなさい。」
裕一「ただいま。 久志? えっ… 来てくれたんだ。 これ… 楽譜… よ… 読んでくれた?」
久志「ああ。」
裕一「どうだった?」
久志「いい曲だと思う。」
裕一「はあ~ よかった。 それじゃあ…。」
久志「でも… 今の僕には歌えない。」
裕一「『夜更けの街』だって歌えたじゃないか。」
久志「あれは… 歌詞が自分と重なったから。 でも この曲は…。 こんな希望にあふれた曲… 歌う自分が想像できない。」
裕一「久志… 甲子園 行こう。 今から行こう 甲子園!」
台所
華「えっ? また 甲子園 行ったの?」
音「うん。 夜行列車で行くって さっき 出ていった。」
華「ふ~ん。」
音「お父さんって ああ見えて 野球に縁があるのよね。『大阪タイガースの歌』も早稲田大学の応援歌も お父さんが作ったし。」
華「えっ 早稲田? もしかして『紺碧の空』?」
音「そう。 よく知ってるわね。」
華「たまたま。」
音「フフフ…。」
甲子園
裕一「作詞した多田さん 16歳の時 試合中の けがで足を切断して 甲子園の夢を失ったそうだ。 もう二度と野球ができないという 葛藤の日々を乗り越えて 多田さんは あの詞を書いた。」
裕一「自分にできることは 未来ある若者を応援することだって。 絶望を経験した彼だからこそ あの詞を生み出せたんだと思う。 多田さんと同じように… 君も絶望を知ってる。 その原因を作ったのは… 僕だ。 戦時歌謡に 君を誘った。 久志… 苦しめてしまって… 本当に申し訳なかった。」
裕一「僕も… 僕も どん底まで落ちた。 でも… どん底まで落ちた僕たちにしか 伝えられないものがあるって信じてる。 戦争が終わって… また このグラウンドで 試合ができる時代になった! 選手も お客さんも… みんな 楽しみに待ってる! 僕たちも… 多田さんの思い 形にして 未来ある若者に 一緒に エール送ろうよ! 勝った人にも 負け人にも 頑張ったね… 頑張ろうね… 一生懸命な姿 見せてくれて ありがとうって!」
裕一「久志…。 君なら歌える。 お前じゃなきゃ駄目なんだよ!」
久志「♬『雲は湧き 光あふれて 天高く 純白の球 今日ぞ飛ぶ 若人よ いざ まなじりは歓呼に応え いさぎよし ほほえむ希望 あゝ 栄冠は君に輝く 風をうち 大地をけりて 悔ゆるなき 白熱の力ぞ技ぞ 若人よ いざ 一球に 一打にかけて 青春の 賛歌をつゞれ あゝ 栄冠は君に輝く』。」
喫茶店 バンブー
ラジオ『ピッチャー… 投げた! 打ちました!』。(歓声)
田中「すごか試合なっとうばい!」
長屋
ラジオ『ランナー 3塁 千載一遇のチャンスの場面。 ランナー 走っています!』。
ラーメン屋
♬『空を切る 球のいのちに』
ラジオ『なおも続く攻撃…』。
♬『かようもの 美しく匂える健康 若人よ いざ 緑濃き 櫚梠の葉かざす 感激をまぶたに描け』
♬『あゝ 栄冠は君に輝く』