2020年11月11日放送の【 連続テレビ小説「エール」】108話のネタバレです。
連続テレビ小説「エール」はNHKで放送しているドラマです。
現在は(2022年2月現在)NHKオンデマンドでも視聴可能です。
テレビまたはNHKオンデマンドが見れない方やこのドラマに興味のある方はこの記事をご覧になってください。
あらすじ
母校・福島信夫小学校の校歌のお披露目会の後、鉄男(中村蒼)は校長先生から頼まれて後輩に向けて講演をする。その話を息子から聞いた三上典男(泉澤祐希)が、鉄男を訪ねて喜多一にやって来る。会いに行こうか行くまいか迷う典男の背中を、「もう一生会えないかもしれないよ」と息子が押したのだ。裕一(窪田正孝)と一緒に、藤堂先生のお墓に校歌を作った報告をして戻ってきた鉄男。典男を見て…。
108話ネタバレ
エール (108)「ふるさとに響く歌」
福島 藤堂の墓
裕一「2人で 福島信夫小学校の校歌作りました。 少しだけ 母校に恩返しできたと思います。」
鉄男「もしかしたら 校歌の話 先生が 引き合わせてくれたのかもしんねえな。」
裕一「あ~ そうかも。 フフッ。」
鉄男「先生 ありがとうございます。 こっちは みんな 元気でやってます。」
喜多一
玄関
裕一「ただいま~。」
まさ「お帰りなさい。 お客様 いらしてるわよ。 鉄男さんに。」
鉄男「えっ?」
居間
裕一「あっ… どうも。 えっと…。」
鉄男「典男? 典男か?」
典男「兄ちゃん…。」
典男「せがれが… これ 見してくれて。 校長先生に聞いたら『湯の町エレジー』だの『暁に祈る』なんか書いてる 有名な作詞家先生だって。 全然知らねがった 俺 こういうの詳しくねえがら。」
鉄男「あれから ずっと… 福島いたのか?」
典男「いや… 盛岡さ いた。」
鉄男「盛岡?」
典男「うん…。 できるだけ 遠くさ 行きたくて。 親父が 怖がった。 暴れるし… 母ちゃん 兄ちゃん 殴るし。」
回想
善治「もっと稼いでこ!」
典男「ある時 気が付いた。 兄ちゃんは 俺の分まで殴られてる。 俺のために いっぺえ我慢してるって。 んだから… 俺なんか消えた方がいいって。」
鉄男「それで… 出てったのか?」
典男「うん。 汽車で盛岡まで行って 無賃乗車で とっ捕まったんだけど 通りすがりの夫婦が助けてくれて。 その人たちは 盛岡で床屋やってて それから ず~っと そこで 手伝いしながら 技術 身につけて…。」
回想
「手伝うってか。」
「偉えな 典男。」
典男「独立するって話になって こっちに戻ってきた。」
鉄男「床屋さんになったのか?」
典男「うん。 もうすぐ 10年になる。」
鉄男「うまくいってんのか?」
典男「まあ… そこそこ。」
鉄男「家族は?」
典男「かみさんと せがれが2人。」
鉄男「そうか… 幸せでよかった。」
典男「悪いな… 兄ちゃん 悪い。 明男が… 講演 聞いた うちのせがれが言ってた。 兄ちゃんは うんと苦労したって。」
鉄男「おめえが 謝っことじゃねえ。」
典男「俺は勝手に 家 飛び出して 優しいおじさんたちに よくしてもらって 俺だけが いい思いして。 んだけど… 兄ちゃんは 兄ちゃんは…。」
鉄男「典男。 生きててくれて… ありがとな。 俺も あのあと… 家 出たんだ。 母ちゃんに… 自分の人生 生きろって言われた。」
典男「そのあとは?」
鉄男「一度も会ってねえ。」
典男「俺も 福島 戻ってから 一度… あのうち 見に行ったんだ。 んだけど… はあ もう取り壊されてて。 父ちゃんも母ちゃんも 行方 分かんねえって。」
鉄男「そうか…。」
典男「うん。 俺… 今でも時々 母ちゃんの夢 見んだ。」
鉄男「俺もだ。 俺は… 母ちゃん一人に全部しょわせて あの家 捨てた。 本当は… 俺が 母ちゃん 守ってやんなきゃなんねがったけど 何にもしてやれねがった。」
まさ「そんなこと… ないと思う。 お母様は きっと あなたたちが立派になって 喜んでると思う。 私もね 昔は… 子どものそばさ いたい って思ってたけど そうじゃないのよね。 どこにいても… 元気で 自分の道 生きててくれたら 母親にとって それが一番の幸せ。 大丈夫! あなたたちは 十分に親孝行してっから 胸張って 生きてっていいの!」
鉄男「ありがとうございます。」
その日は 喜多一に典男の家族を招いて にぎやかな ひとときを過ごしました。
典男「うわ~ うまそうだな! フフフ。」
まさ「はい。」
浩二「ただいま~!」
まさ「あっ お帰り!」
裕一「浩二だ。 お帰り~!」
浩二「誰か来てんの?」
裕一「うん!」
典男「あっ!」
浩二「ありゃ… 何で?」
裕一「えっ? 知り合いなの?」
浩二「いつも散髪してもらってる床屋のご主人。」
裕一「え~! ハハハハハ!」
まさ「召し上がれ。」
多美子「はい 明男。 食べ。」
裕一「あ~ よかったね。」
鉄男「酒 好きか?」
明男「うん 好きだ。」
裕一「う~ん このイワシ おいしいね!」
まさ「それ 三上さんから頂いたのよ~。」
明男「あっ 兄ちゃんも イワシ 好きだったよな?」
鉄男「よく覚えてんな。」
裕一「へえ~!」
典男「あっ 俺の分 やるよ!」
鉄男「ううん。 いいから いいから いいから。」
典男「子どもの時は いっつも 兄ちゃんの分 分けてくれたろ。」
鉄男「いや 気持ちだけ受け取っとくよ。」
典男「遠慮すんなよ。」
明男「じゃあ 俺 食べる!」
鉄男「あ~ そうだ そうだ。 明男 食え食え…。 いっぱい いっぱい食べて。」
典男「いいのか?」
鉄男「いや 俺が いっぱい食ったって しょうがねえだろ。」
裕一「浩二も食うか?」
浩二「いや いいって。」
裕一「一個くらい あげるよ。」
浩二「いいって。」
裕一「一個でいいんだよ。」
浩二「要らねえって! 兄ちゃんが食えよ。」
庭
鉄男「よいしょ~! アハハ。」
明男「うわ~!」
典男「アハハ!」
鉄男「おじちゃんの勝ち~。」
典男「あ~あ。」
明男「あ~。」
鉄男「もっと強い腰…。」
典男「武男 おめえ さっきから何書いてんだ?」
武男「ないしょ!」
典男「何だ ないしょって。」
浩二「ないしょだもんな。」
武男「うん。」
浩二「アハハハ…。」
まさ「ねえ 甘いもん食べる? 鉄男さんの東京土産。」
明男「食べる!
鉄男「あ~。」
明男「ねえ 鉄男おじちゃん 東京って どんなとこ?」
鉄男「んだな… ひと言じゃいえねえけど 面白えとこだ。」
明男「今度 遊びに行っていい?」
鉄男「もちろん! いろんなとこ連れてってやる。」
明男「約束ね!」
鉄男「おう 約束 約束。」
(笑い声)
武男「あっ 今 何時?」
浩二「あ~ 6時過ぎ。」
明男「あ~あ『さくらんぼ大将』終わっちったよ。」
まさ「えっ?『さくらんぼ大将』聞いてくれてんの?」
明男「♬『さくらんぼ 隠れん坊 さくらんぼ 紅い頬ぺた さくらんぼ大将』」
鉄男「その歌 このおじさん 作ったんだ。」
明男「え~!?」
多美子「えっ そうだったんですか! 家族で欠かさず聞いてんです。」
裕一「ありがとうございます。」
典男「僕も大好きです。」
裕一「え~!」
典男「孤児だった六郎太が 街さ出て いろんな人に出会ってくでしょう。 自分と ちっと重ねたりして…。」
裕一「あ~ そうですか。 フフッ。」
明男「ねえ 六郎太が どうなっか知ってんの?」
裕一「もちろん知ってるよ。 でも ないしょ~。」
武男「え~ 教えて!」
明男『ねえ 教えて 教えて!」
裕一「え~? じゃあ じゃあ じゃあ 特別だよ? 最後は… みんなで一緒に幸せになる!」
明男「え~? もっと詳しく…。」
裕一「え~? 駄目だよ~。」
コロンブスレコード
鉄男「自分の過去を引きずりながらも…。」
東京に戻った鉄男は 映画の主題歌を書き上げました。
「分かりました。 優しさと力強さが 共存した感じですか?」
鉄男「そうなんですよ!」
その後も『東京だョおっ母さん』などの 家族をテーマにしたヒット曲を 世に残すことになるのです。
古山家
(電話の呼び鈴)
音「はいはい はいはい…。 はい 古山でございます。」
喜多一
裕一「あ~ もしもし 音? 僕。」
音「☎『裕一さん?』」
裕一「ごめん。 あんねえ しばらく帰れそうにないんだ。 浩二に頼まれてね こっちの農業会の仕事 引き受けることになったの。」
古山家
音「しばらくって いつまで?」
裕一「☎『ちょっと まだ分かんないな。 ねえ そっち変わりない? 華 どうしてる?」
音「元気ですよ。 全然 相手してくれないけど。 お義母さんたちは?」
喜多一
裕一「フフッ 元気してるよ。」
浩二「兄ちゃん もう行くよ。 早く!」
裕一「はい。 ごめん。 じゃあ行かなきゃいけないからさ また連絡すんね。」
古山家
音「ちょ… 裕一さん!」
音「ねえ… ねえ 華。 私たちも福島行かない? 華も 久しぶりに おばあちゃんに会いたいでしょ?」
華「行けないよ。 学校あるんだから。」
音「ん~…。(ため息)つまんないわ…。 う~ん。(腰の骨を鳴らす音)あっ…。」