ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「エール」111話「恋のメロディ」ネタバレ

2020年11月16日放送の【 連続テレビ小説「エール」】111話のネタバレです。

連続テレビ小説「エール」はNHKで放送しているドラマです。

現在は(2022年2月現在)NHKオンデマンドでも視聴可能です。

テレビまたはNHKオンデマンドが見れない方やこのドラマに興味のある方はこの記事をご覧になってください。

あらすじ

昭和27年4月。伝説的ラジオドラマとして語り継がれることになる池田(北村有起哉)の作品「君の名は」の放送がはじまる。何度もすれ違う真知子と春樹に、日本中が熱狂することになるこの作品。当初、池田の想定は全くそうではなく、三家族を並行して描く画期的な社会派ドラマをめざしていたのだった。状況に対応してギリギリに仕上がる池田の台本に裕一(窪田正孝)が曲をつけたこのドラマは大人気となる。

111話ネタバレ

エール (111)「恋のメロディ」

NHK

真知子「『君の名は?』と尋ねし人あり。 我は答えず 七年たちぬ。 ふるさとの小川のほとりに立ちて その人を思えども 都は遠く 佐渡は真冬なり。」

「池田二郎作 連続放送劇『君の名は』。」

昭和27年に始まる『君の名は』。 伝説的ラジオドラマとして 語り継がれる作品です。

「東京の中央部を襲った炎の波を 逃れ逃れて 真知子は 数奇屋橋の橋畔で ある人に命を救われたのだ。」

物語は戦争末期 東京大空襲から始まります。

真知子「どこかのお方か存じませんけれど 何度も何度も 危険なところを助けて下すって ありがとうございました。」

春樹「さあ お父様やお母様たちが 待っていらっしゃるでしょう。 お帰りなさい。」

真知子「ええ… さようなら。」

春樹「あっ… 君! だけど 今 別れたら いつ また会えるかしれないね。」

真知子「そうですね。」

春樹「ねえ 君… 僕たち…。」

このあと 何度も何度も擦れ違う2人に日本中は熱狂することになるのですが 実は 当初 作者の池田に そんなつもりはなく…。

半年前

池田「いくぞ。 せ~の… えい! どこだ? …佐渡!」

裕一「東京!」

重森「志摩半島です。」

池田「いいバランスだ~。 よし 今回のドラマは ここに住む3つの家族が主人公だ。」

重森「三家族同時にですか?」

池田「そうだよ! やっと CIEの口出しがなくなって 自由に ドラマ作れるんだよ。 なっ? 生まれも育ちも違う この三者三様の家族… なっ? ありのままの戦後を描くんだよ。」

裕一「うん…。」

重森「三家族だと 役者は3倍です。」

池田「うん。」

重森「スケジュールも複雑になるし 予算も桁違いになります。」

池田「だから 面白いんじゃないか。」

裕一「舞台それぞれの音楽も必要になりますね。」

池田「もちろんだよ! 佐渡には佐渡の 志摩には志摩の 東京には東京の音楽がある!」

裕一「面白い!」

池田「さすが古山だ!」

重森「僕は真面目な話をしているんです。」

池田「(舌打ち)新しいことを すぐ否定する。 NHKの悪い癖だぞ。 こら。」

重森「楽団の人は 対応できるんですか?」

裕一「いざとなったら 僕が ハモンドルガンだけでやります。」

2人「ハモンド…?」

裕一「あれ 実は いろんな音 出せるんですよ。 例えばなんですけど…。(ハモンドオルガンの音)」

池田「おっ おっ おっ おっ… アハハ!」

重森「えっ?」

池田「へえ! おっ!」

重森「すごいな…。」

裕一「面白くないですか?」

池田「ああ!」

重森「うん!」

池田「よし 決定だ!」

重森「えっ 決定?」

池田「骨太な社会派ドラマを作るぞ!」

こうして 三家族を並行して描く 画期的なドラマとして放送を開始した

…はずだったのですが。

池田「(ため息)」

重森「ロッパさんは 体の調子が悪いって あれほど言ったのに…。」

古山家

裕一「そうですか。 はい 分かりました。 すぐに行きます。 はい。」

音「どうしたんです?」

裕一「夏川さんとロッパさんが 病気で倒れたって。 入院したらしい。 池田さんが 今 大急ぎで 台本書き直してる。」

音「放送まで あと4時間。」

裕一「あの人なら なんとかするから。 行ってきます!」

音「行ってらっしゃい。 気を付けて。」

裕一「あっ 華 お帰り。」

音「お帰りなさい。」

華「疲れた…。 はあ…。」

このころ 華は 看護学校で実習の毎日でした。

NHK

裕一「池田さん どうですか?」

池田「話しかけるな。 今 いいとこなんだよ。 あっ… 前半の原稿だ。 春日部さんにも見せて。 何 笑ってんの?」

裕一「フフッ… 何でもない。 すみません。」

池田「こんな時に。」

裕一「すみません。」

池田「この野郎が…。」

裕一「春日部さん 前半部分 出来ました。」

春日部「おお…。 子どもたちの話を広げたのか…。 うまいな。」

裕一「いや~ 子どもが好きなんでしょうね。」

春日部「その割には家族を持たず 女は お盛んだけどな。 はあ?『音もなく ひらく玄関の音 ぬき足 さし足 しのび足』。 音もしてないのに 音って何だよ。」

裕一「いや~ これも大変ですよ。」

裕一 春日部「『惚れ薬を瓶から 出す音』。」

春日部「どうやって表現するんだよ これ。 何だよ 全くさ~! こういう時に… はあ~ だから 池田の仕事は嫌なんだよな~。」

裕一「惚れ薬だったら… 例えば ポンッて こう 栓が開いたあとに…。♬『(オルガンの音)』」

春日部「あるかも… うん あるかも!」

裕一「本当ですか?」

春日部「いや だったら あの さっきの音は?」

裕一「う~ん…。 春日部さん 扉が開く音を 風で表現してもらって…。」

春日部「あ~ 風?」

裕一「僕 低い音で 大きく…。」

春日部「いやいや あのさ でもさ ぬき足だぞ? 小さくだろ。」

裕一「いや 人って警戒してる時 足音 大きく感じません?」

春日部「あっ…。」

裕一「例えば 春日部さんが 飲み過ぎて 深夜 奥さんを起こさないように帰ってくる時。」

(きしみ音)

春日部「あ~ これ ちょっとのきしみが 大きく聞こえんだよね!」

裕一「いや~ でも 新しいものって ほら 無理難題から始まるじゃないですか。」

(秒針の音)

春日部「よいしょ…。」

池田「よし…。 遅くなった。 すまん。」

裕一「いいえ。 まだ1時間ありますから 大丈夫です。」

重森「お… おた… おた…。」

池田「どうしたんだよ?」

重森「子どもが…。」

池田「はあ!? おたふく!?」

(秒針の音)

(ドアが開く音)

重森「ほかの子どもたちの手配は… つきません。」

池田「どうすんだよ? あ~ もう!」

重森「このままじゃ 放送に穴があいちゃう 責任持って辞めます。」

池田「バカ野郎 お前のクビなんか どうでもいいんだよ! 放送を楽しみにしている人たちを 裏切るんだぞ!? そこを感じろよ!」

春日部「おい! どうすんだよ? あと30分だぞ!」

裕一「池田さん。」

池田「とりあえず あの~… スケジュールが確実で 体が丈夫なやつ 誰だよ?」

重森「春樹と真知子です。」

池田「しかたないな。 2人に絞って 話 進める。」

重森「えっ? それで半年 もちますか? 時系列でいったら 2人は もうすぐ会っちゃいます。 偶然会った2人が再会するとなったら 来週から先 困るのは目に見えてます。 今日はは休止にして 立ち直る手だてを…。」

池田「駄目だよ~! 駄目! 穴は 絶対あけられないよ!」

重森「じゃあ どうするんですか!?」

池田「会いに行くけど… 会わない。」

一同「えっ?」

池田「擦れ違う。」

裕一「えっ?」

池田「いやいや… あの 2人とも 会いに行くんだけど 何か知らないけど 会えない! 切ないだろう?」

重森「いや 一度はいいんですけど そのあと どうするんですか?」

池田「いやいや もう そのころには ほかの連中も元気になって戻ってくるよ。」

重森「ロ… ロッパさんは しばらく時間がかかります。 それに… 途中で 三家族の話に戻すのも 難しいかと…。」

裕一「う~ん…。」

池田「じゃあ いいよ もう決めたよ! もう何度も何度も擦れ違う! もう会わない恋愛ドラマ! 画期的だろうが。 よし どいて! いや~ 画期的だよ。 ありえる? ありうるんだよ それが。 画期的だよ…。」

重森「男と女が出会わない恋愛ドラマなんて…。」

重森は…。

重森「怒られる…。」

間違っていました。

真知子と春樹に絞ったストーリーは 空前の大人気となりました。

真知子「自由倶楽部の 編集部でいらっしゃいますか? そちらに 後宮春樹さんという方が 勤めていると思うのですが…。」

(風の音)

春樹「もしもし? 何ですって? 雑音が入って よく分からないのですがね…。」

ラジオドラマの放送中に 異例の映画化。 こちらも大ヒット。 岸 恵子の真知子巻きをする女性で 街は あふれ返りました。

ラジオの放送がある木曜日の夜8時半には 銭湯に女性客がいなくなるという 逸話まで生まれました。

真知子「すみません。 こちらに後宮さんという方が 働いていると思うのですけど。 えっ? たった今?」

「真知子は 春樹の姿を追った。」

真知子「後宮さん… 後宮さん!」

古山家

ラジオ「『その日の神田は 江戸一帯の名だたる大祭りの一つ 日本三大祭り 神田祭の日であった』。」

音「ああ…。」

華「また擦れ違うの?」

音「ちょっと待って 今いいところなんだから。」

NHK

当初 一年の予定だった『君の名は』は 更に もう一年続くことが決定しました。

池田「何か いいのかな? しかたなく やったことが ここまでウケちまって。」

裕一「ご苦労さまです。」

池田「おっ ご苦労さん。」

裕一「楽しくないですか?」

池田「まあ ここまでの人気だ…。 つまらないっつったら 罰が当たる。」

裕一「池田さん 僕 昔は 自分の理想の音楽 目指してました。 でも 今は 音楽に身を委ねてます。」

池田「ほえ~ ハハッ。 あ~ 結局 人に新鮮な喜びを与えんのは 神様の仕業ってわけか。 じゃあ 一体 俺たちは何なんだ?」

裕一「フフフフ…。」

池田「何なんだってんだ! ハハハハ。 あっ ちょっと これ 読んでみて。」

裕一「『忘却とは忘れ去ることなり。 忘れ得ずして忘却を誓う心の哀しさよ』。」

池田「次から 毎回 冒頭に入れようと思ってな。 どう思う?」

裕一「いや… グッと来ます!」

池田「よっしゃ~。 ただの擦れ違いのメロドラマだって 言うやつがいてさ 癪だからよ… それで ちょっと格調高くなるだろう。」

裕一「そんなこと気にしないで下さい。 池田さんは ちゃんと すばらしい作品を作ってます。」

池田「俺の作品じゃないよ。 俺たちの作品だろ。 えっ?」

裕一「…はい!」

池田「おう。 あっ そうだ… ちょっと いいもんがあんだよ。」

裕一「えっ?」

古山家

音「万鶴屋(ばんかくや)の特選かすてら」

裕一「池田さんから 番組延長のご褒美だって。」

音「あと一年も聞けるなんて うれしい。」

裕一「えっ そんなに?」

音「だって 面白いですも~ん! 頂きます。」

真知子と春樹の切ない恋の物語は 昭和29年4月 全98回まで続きました。

この間 裕一が『君の名は』のために 作った曲は 500曲にも及びました。

病院

華「今日は寒くなりそうなので 毛布を持ってきました。」

チエ「あら 華さんは気配りが利いて優しいね~。 うちにも こんな孫が欲しかった。」

そうこうしている間に 華は無事に看護婦になりました。

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