ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「エール」78話「不協和音」ネタバレ

2020年9月30日放送の【 連続テレビ小説「エール」】78話のネタバレです。

連続テレビ小説「エール」はNHKで放送しているドラマです。

現在は(2022年1月現在)NHKオンデマンドでも視聴可能です。

テレビまたはNHKオンデマンドが見れない方やこのドラマに興味のある方はこの記事をご覧になってください。

あらすじ

ある日、裕一を訪ねて、豊橋の関内家で馬具づくりの修行をしている五郎(岡部大)が突然現れる。職人頭の岩城(吉原光夫)に一人前と認められたら、梅(森七菜)と結婚することになっている五郎だったが、岩城の試験に落ちてばかりですっかり自信をなくしてしまったのだ。あとを追って来た梅(森七菜)が、すごい剣幕で五郎に迫る。一方、音は、音楽挺身隊に参加すべきかどうか、迷っていたのだが…。

78話ネタバレ

エール (78)「不協和音」

古山家
玄関

裕一「はいはい… はい…。 わっ 五郎ちゃん! 久しぶり!」

五郎「先生…。」

裕一「何だ 何だ? うわうわ…。 うん?」

五郎「会いたかった…。」

裕一「えっ? 何だよ 何だよ…。」

五郎「先生…。」

裕一「ちょちょ ちょちょ…。」

五郎「先生…。」

裕一「何だよ! 何だよ!」

五郎「先生…。」

裕一「ちょっと! や… やめて!」

裕一の仕事場

音「どうぞ。」

五郎「すいません。」

音「ごゆっくり。」

裕一「…で? どうしたの?」

五郎「先生…。」

裕一「うん。」

五郎「僕は もう駄目かもしれません。」

裕一「何が駄目なの?」

五郎「梅ちゃんの実家で ずっと修行を続けてきたけど…。」

裕一「はい。」

五郎「岩城さんの試験に落ちてばっかりで。」

裕一「いや… でも…。」

五郎「彼女と結婚する見通しが 全然立たないんです!」

裕一「五郎君 五郎君…。 五郎君の腕はいいって 前 音のお母さん 言ってたよ。 うん? な… 何でだろう?」

(戸をたたく音)

裕一「うん?」

玄関

音「はいはい… はいはい…。」

梅「五郎さん いるでしょう?」

音「あっ ちょっと…。 梅!」

裕一の仕事場

梅「どこに…。 あっ… 」

裕一「どうも。 梅ちゃん。」

梅「やっぱり ここにいた! どういうこと うん? 何?」

居間

梅「ねえ 五郎さん… この際だから はっきり言いん。」

五郎「えっ?」

梅「私と結婚したくなくなったんでしょう?」

五郎「はあ!?」

梅「だから わざと試験に落ちるようなことを…。」

五郎「そんなわけ…。」

梅「引っ込みがつかんくなったから 裕一さんに相談しに来たんでしょう!?」

五郎「違うっつうの!」

梅「じゃあ どうして!? ふだんは何の問題もなく仕事ができとる。 ちゃんと納品できる品質のものが 作れとる。 なのに… 試験になると全然で。 もう正直に言って 私のことが嫌いになったんなら。」

五郎「違うよ! おっかねえんだ。」

回想

岩城「始め。」

五郎「はい!」

五郎「次こそは受からなきゃって… 焦れば焦るほど手が震えて 思うように動かなくなって。」

五郎「あれ? いてっ!」

五郎「自分でも情けねえと思うけど…。」

裕一「いや… う~ん… わ… 分かるな~。 僕も すごく緊張する方だから とても ひと事とは思えないね! うん。」

音「本番に弱い人っているよね。」

裕一「ねっ ここにいたよ…。」

梅「ちょっと! 駄目な人間みたいな言い方せんでよ…。」

音「かばった…。」

裕一「ねえ 五郎君… そういつ時さ 頭ん中でね 好きな音楽 流してみるといいかも。」

五郎「好きな音楽?」

裕一「そう。 僕もね 緊張して うまく言葉が出なくなった時 いっつも頭ん中で 好きな歌 歌ってた。 そうすると 自然と 不思議と心が落ち着くの。」

五郎「分かりました。」

裕一「やってみて。」

五郎「やってみます!」

裕一「頑張って!」

五郎「頑張るよ! 約束する! 次は絶対合格する!」

梅「分かった。」

台所

梅「ごめんね 巻き込んじゃって。」

音「よかったね~ 仲直りできて。 今日は泊まってきんね。」

梅「うん。」

音「最近は配給される食糧も減って 大したもん作れんけど…。」

華「吟伯母ちゃん 来たよ。」

吟「ありがとう。 梅~。」

梅「久しぶり。」

吟「何事かと思ったじゃん!急に豊橋から出てきたっていうから。」

梅「お騒がせしました。」

音「いいでしょう。 3人で会うのも久しぶりだし。」

吟「まあね。 ちょうどよかったわ。 お魚 持ってきたの。」

音「わあ… ありがとう! すごい…。」

吟「ちょっと何ぃ!? それ もったいない! 今は 何でもかんでも貴重なんだから。 じゃがいもも皮に栄養あるんだから 皮ごと煮れば おいしいのに! ちゃんと家事やっとるの?」

梅「やっとるよ!」

吟「どうせ 今も お母さん任せなんでしょう。 貸しん。 ほら。」

居間 夕食後

裕一「いや~ お魚おいしかったね。」

五郎「はい! 今 あんないい魚 なかなか手に入らないですよ。」

裕一「うん…。」

梅「やっぱり軍人さんのうちは いろいろと優遇されとるんだね。」

吟「変な言い方しんでよ。 軍人は お国を守るために命を張っとるの。 それに民間には分からん苦労だって いっぱいあるのよ。」

裕一「あっ お義兄さん お元気ですか?」

吟「転属決まって いよいよ 前線に行くことになったって。」

音「そっか… 寂しくなるね。」

裕一「そっか…。」

吟「最初から その覚悟で結婚しとるからね。 あ~ 豊橋の方は? どう? お母さん 元気?」

梅「うん 元気だけど…。 最近 特高に 目 つけられとる。」

裕一「特高!?」

梅「キリスト教の中でも うちの宗派は監視の対象みたい。 協会にも行けんし 集会も禁じられとる。」

吟「大丈夫なの?」

梅「目立つことしんかったら 大丈夫だと思うけど…。 毎日のように監視されとると やっぱり疲れるわ。」

音「監視なんて…。 何も悪いことしとらんのにね。」

裕一「ねっ。」

梅「文学だってそうだよ。 言論統制も厳しくなって 小説書いとるってだけで 監視の対象になる。」

裕一「梅ちゃんも?」

梅「私は書くよ。 今は出版できんくても ちょうど東京に出てきたし 信頼できる編集者さんに見てもらうために 原稿持ってきた。」

裕一「そっか。」

音「何でもかんでも統制されて 不自由な世の中ね。」

裕一「本当だね。」

吟「お国を批判する人は 裁かれてもしかたないと思うけど。」

梅「それ言いだしたら… 文学も芸術も死ぬことになる。 表現の自由は侵されていいものじゃない。」

五郎「僕も そう思います。」

吟「今は 国民が一丸となって お国のために戦わんといかん時代なの。」

音「うん…。 でも 人が心で思うことって 止めれないんじゃないかな? 一致団結とか 一丸となってとか 言うけど 人は みんな それぞれ違う考えがあって 当たり前っていうか…。」

吟「やっぱり あんたは のんきよね。 いい年して 世の中のことが何も分かっとらん。」

梅「そうかな? 私は 音お姉ちゃんの言っとること分かるけど。」

吟「だから…。(ため息)もういいわ。」

裕一の仕事場

(ノックとドアの開閉音)

五郎「失礼します」

裕一「あっ… ありがとう。」

五郎「遅くまで大変ですね。」

裕一「うん。」

五郎「懐かしいな…。」

裕一「うん?」

五郎「作曲の道は諦めましたけど 今でも音楽は よく聴くんです。」

裕一「フフッ。」

五郎「先生のレコードも全部買ってます。」

裕一「うれしいな~ ありがとう。」

五郎「今は 戦意高揚の曲しか 作らせてもらえないんですかね?」

裕一「うん?」

五郎「書きたいものが書けなくなるって 大変ですよね。」

裕一「まあ… でも 僕はね 求められるものには 全力で応えたいなって思ってる。 まあ… 仕事が頂けることは 本当にね ありがたいことだからさ。」

音「ほっ ほっ ほっ…。」

梅「おはよう。」

音「おはよう!」

梅「何しとるの?」

音「うん? お芋作ってるの。 梅も やりんよ。」

梅「やだよ~。」

音「体 動かすと気持ちいいよ!」

五郎「おはようございます。」

音「おはよう! よく寝られた?」

五郎「はい。 ぐっすり。 あっ 僕 手伝います。」

音「あっ 本当に? じゃあ そこにあるから。」

五郎「はい! よし…。」

音「どれ…。」

五郎「よいしょ。」

音「おお… 頼もしい! 五郎君 農業にも向いてそうだね。」

五郎「ありがとうございます。」

梅「やめてよ うちの大事な跡取りなんだから。」

裕一「おはよう。」

音「おはよう。」

裕一「ああ… みんな 早いね。」

梅「よし! 五郎さん 私も手伝う。 んっ。」

音「えっ? さっき やらんって。」

裕一「ハハハハ…。」

梅「1 2?」

五郎「そうそうそう…。」

梅「1 2!」

居間

華「梅ちゃん。」

梅「うん?」

華「これ おばあちゃんにあげて。」

梅「わっ 華ちゃん作ったの?」

華「うん。」

梅「かわいい~。 おばあちゃん 喜ぶよ。」

華「本当?」

梅「うん。」

音「今度は お母さんと一緒においでん。」

梅「そうだね。」

裕一「華~ 学校 遅れるよ。」

華「は~い! 梅ちゃん またね。」

梅「またね。」

音「行ってらっしゃい。 気を付けてね。」

華「行ってきま~す。」

音「それ 出版社にもっていく原稿?」

梅「うん。 大事なものだから 慎重に扱わんと。 よし…。 よし!」

梅「何? これ。 音楽挺身隊? こんなのあるんだ。」

音「行かんけどね。 柄じゃないし。」

梅「えっ? でも ここ入ったら 歌えるんでしょう?」

音「いや… でも ほら こういうのは向いとらんから。」

梅「ふ~ん… その程度なんだ。」

音「えっ?」

梅「お姉ちゃんの歌に対する気持ち。 こんな時まで大好きな歌ができるって 幸せなことじゃん。 戦争がもっと激しくなったら できんくなるかもしれん。 なのに 何でやらんの? 庭仕事やっとるだけでいいの? まあ… 私が口出すことでもないけど。」

玄関

五郎「お世話になりました。 今度は いい報告持ってきます。」

裕一「待ってます。」

音「気を付けてね。」

梅「またね。」

裕一「うん。」

裕一「久しぶりに 梅ちゃんと五郎君 会えてよかったね。 じゃあ 仕事 行ってくるかな。」

音「ねえ 裕一さん。」

裕一「うん? うん?」

音「私… やってみようかな。」

裕一「何を?」

音「音楽挺身隊。」

裕一「えっ?」

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