2020年10月9日放送の【 連続テレビ小説「エール」】85話のネタバレです。
連続テレビ小説「エール」はNHKで放送しているドラマです。
現在は(2022年2月現在)NHKオンデマンドでも視聴可能です。
テレビまたはNHKオンデマンドが見れない方やこのドラマに興味のある方はこの記事をご覧になってください。
あらすじ
報国音楽協会に呼び出された裕一(窪田正孝)は、戦地の慰問を依頼される。裕一の帰宅を待っていた鉄男(中村蒼)は、前線は思っている以上に危ないので慰問には行くなと忠告する。裕一は皆が命がけで戦っているなら、自分は自分のできることで協力したいと聞く耳を持たない。そして1か月後、裕一に慰問に出発するよう命令が下る。5日後には出発するという話を聞いた音(二階堂ふみ)に、裕一は…。
85話ネタバレ
エール (85)「歌の力」
報国音楽協会
裕一「い… 慰問ですか?」
山崎「はい。 軍から 先生に是非ということです。 いずれ出発のご連絡をさせて頂きますので お待ち下さい。」
古山家
裕一の仕事場
裕一「僕も 自分にできることを 精いっぱい やらなくちゃ…。」
別日
鉄男「報国音楽協会 行ってきたんだべ?」
裕一「うん。」
鉄男「もしかして 戦地での慰問の依頼か?」
裕一「話って そのこと?」
鉄男「もし行くつもりなら… やめとけ。」
裕一「うん? 何で?」
鉄男「日本は今 負け続けてる 前線は思ってる以上に危ねえ。」
裕一「いや… 戦況が悪いなら より一層 慰問が必要だよ。」
鉄男「音楽で戦況は変えらんねえだろ。」
裕一「そんなことない。 歌で 戦う人たちを鼓舞できる。 大将が書いてくれた『暁に祈る』だって 兵士たちの心に響いたから ヒットしたんだ。 歌は力になる!」
鉄男「俺は… 歌が戦うための道具になんのは嫌だ。」
裕一「んっ! みんな 命懸けで戦ってるんだ! 僕にできることがあるなら 何でも協力したい。」
一か月後
居間
(電話の呼び鈴)
音「はい 古山でございます。」
山崎☎『報国音楽協会の山崎と申します。 古山裕一先生は ご在宅でしょうか?
音「はい。」
玄関
裕一「行ってくる。」
音「行ってらっしゃい。」
報国音楽協会
山崎「5日後 出発です。 緊急の場合もあるので 東京を離れないよう お願いします。」
裕一「はい。」
山崎「小山田先生より ご伝言を預かっています。『この非常時に 音楽家として 国に忠誠を尽くし 命を懸けて戦う将兵に こちらも命をもって応えるのが国民の務めである。 前線でも貴殿の活躍に期待する』。」
古山家
裕一「ただいま。」
音「お帰りなさい。 どうしたんです? その荷物。」
裕一「少し いい? 慰問に行けと 命令が下った。」
音「どこへ?」
裕一「分からない。 機密事項だから 僕も知らされてない。」
音「ええ…。」
裕一「ただ 外地であることは間違いない。」
音「いつから?」
裕一「5日後。」
音「そんな急な…。 期間は?」
裕一「いや…。」
音「戦況… よくないんでしょ?」
裕一「みんな 頑張ってる。 僕だけ逃げるわけにはいかない。」
音「逃げてません。 曲を作ってるじゃない。 いっぱい作ってるじゃない!」
裕一「音。」
「古山さん 電報で~す。」
玄関
音「お世話さまです。」
報国音楽協会
浩二からの電報は まさが倒れた知らせでした。
山崎「お待たせしました。 軍の返答は ご母堂様は それほどのご重体ではないので 予定どおり出発してほしいとのことです。」
古山家
音「お帰りなさい。」
裕一「母さん そこまで悪くないみたい。」
音「はあ… よかった。」
裕一「だから… 予定どおりに出発になる。」
喫茶店 竹
保「はい どうぞ。」
裕一「お休みの日に 本当にすみません。」
保「僕だって たまには コーヒーいれたいんだよ。 大豆だけどね。」
裕一「うん! いや 大豆でも 保さんがいれると おいしいです。」
保「ありがとう。」
ラジオ「『大本営 陸軍部発表…』。」
保「歴史は繰り返す。」
裕一「うん?」
保「人類は生まれてから ず~っと戦ってる。 変な話 ギリシャ神話では 神々だって戦ってるんだから。 どうしてだろうね?」
裕一「いや… う~ん… 生きるための本能ですかね?」
保「さあ? 僕には分からないけど 早く戦争が終わって おいしいコーヒーがいれたい。 それだけが僕の望み。」
古山家
裕一の仕事場
台所
裕一「似合わない?」
音「フフフ…。」
裕一「フフッ。」
音「少し待ってて。 今 お芋 ふかしてるから。」
裕一「うん?」
音「お昼ごはん 持っていって。 そろそろかな?」
玄関前
裕一「じゃあ… 行ってくる。」
華「お父さん 帰ってくるよね?」
裕一「うん! 鉄砲も撃てないお父さんたちが 呼ばれた場所だから 危険はないよ。 安心して。 ねっ 華。」
華「うん。」
裕一「音… すまん。 行ってくる。」
音「あなたの音楽で 兵隊さんたちを勇気づけてきて下さい。」
裕一「ありがとう。 では… 行ってまいります。」
『音へ 音楽の夢を2人で たどるはずだったのに どうして こんなことになってしまったのかな』。
『音が 僕の才能を信じてくれたから 僕は音楽の道を諦めずに済みました』。
『音が 自分の夢を僕に預けてくれたから 華と出会うことができました』。
『2人で夢を交換しながら 生きていきたい。 その思いは今も変わっていません。 戦争が始まり 僕の曲は 急に売れるようになりました。 歌謡曲では邪魔した西洋音楽への未練が 戦時歌謡では吉とでました』。
音「どうしたの?」
裕一「✉『戦意高揚に 敵国の音楽の知識が 役に立つとは皮肉です』。」
音「わあ…。」
裕一「『福島行進曲』。」
『音と同じように 僕も 戦争が 一日も早く終わることを願っています。 けれど 多くの人が 家族を置いて戦地で戦っている今 僕にできることは お国のために命を懸けて戦う人を 音楽の力で応援することだと思います』。
『君との歌も 応援団の歌も 予科練の歌も 僕の曲作りは 人との触れ合いの中で 生まれてきました』。
華「ケーキ!」
保「そう。 うちで採れたかぼちゃ…。」
『だから 一度は戦場をこの目で見たい。 命を懸ける尊い人たちを 現地で応援したいのです』。
裕一「よかったね 華!」
保「うん。 よかった よかった。」
裕一「幸せそうな顔して…。」
『必ず生きて帰ります。 戦争が終わったら もう一度 夢の続きを始めましょう。 裕一』。
音「あなたを信じる。」