2020年10月29日放送の【 連続テレビ小説「エール」】99話のネタバレです。
連続テレビ小説「エール」はNHKで放送しているドラマです。
現在は(2022年2月現在)NHKオンデマンドでも視聴可能です。
テレビまたはNHKオンデマンドが見れない方やこのドラマに興味のある方はこの記事をご覧になってください。
あらすじ
完成した全国高校野球選手権大会の歌「栄冠は君に輝く」を、もう一度前を向くきっかけになるように、久志(山崎育三郎)に歌ってもらいたいと、裕一(窪田正孝)は、さっそく久志の家を訪れるが、久志は「もう昔とは違う」と一方的に裕一を突き放す。鉄男(中村蒼)も久志を訪ねるが、話を聞こうとしない。そんなある日の朝、藤丸(井上希美)が久志の姿が見えなくなったと古山家に探しに来るのだが…。
99話ネタバレ
エール (99)「栄冠は君に輝く」
長屋
藤丸「はあ… よかった。 何やってんのよ… 心配かけんじゃないよ!」
久志「心配してくれなんて頼んだ覚えないよ。」
藤丸「(すすり泣き)」
NHK
池田「じゃあ この… 3ページの少年のところ ちょっと セリフ加えようか。 何 ぼ~っとしてんだよ。」
裕一「はい? …はい すいません。」
池田「好きな女でも 出来たのか?」
裕一「いや… 僕は 妻一筋です。」
池田「ハハッ。 じゃあ 何だよ。」
裕一「幼なじみが… 生きる気力 なくしちゃって。 酒と博打に溺れる暮らし してるんです。」
池田「それが どうした?」
裕一「いや… どうしたらいいのかなと思って。」
池田「そんなの本人の問題だろう。」
裕一「いや 僕にも原因があるんですよ。 見てらんなくって。 とにかく立ち直ってほしんですけど。」
池田「立ち直るって何だよ?」
裕一「もう一度 歌を歌ってほしい。」
池田「歌? そいつ 歌手か?」
裕一「はい。」
池田「ちょっと待って。」
裕一「あっ いや あの…。」
池田「幼なじみの歌手…。」
裕一「いやいや いやいや…。」
池田「佐藤久志か?『露営の歌』だよな? まあ 確かに いい歌手ではあるよな。 そうか…。」
裕一「池田さん 説得して下さい。」
池田「はあ?」
長屋
(戸をたたく音)
裕一「久志 いるかな? 僕だけど。 久志。 あっ 藤丸さん。」
藤丸「裕一さん。」
裕一「ごめんね。 ちょっといい?」
池田「あ~ どうも どうも どうも。」
裕一「池田さん…。」
池田「何だ 何だ カビ臭いとこだな~。 えっ? 何だか じめじめしてんな ここ。」
藤丸「どちら様?」
裕一「この人ね あの 劇作家の池田さん。」
池田「どうも。」
久志「そんなご立派な方が何の御用ですか?」
池田「カモりに来たんだ。 博打やってるって聞いたから。」
裕一「池田さん 何言ってるんですか?」
久志「めんどくさい人 連れてこないでよ。」
裕一「いや 違う…。」
池田「何だよ 負けんのが怖いのか? 弱そうな顔してるもんな。 よし… じゃあ 丁が出たら 俺の財布の有り金 全部くれてやる。 半が出たら… おごれ。」
ラーメン屋
池田「うん! 完璧じゃねえか! アハハハ… 大将 さすがだね。」
智彦「ありがとうございます。」
池田「あっ お勘定 こっちつけといてね。」
智彦「はい。」
池田「おい スープも全部飲めよ。 大将 渾身の味なんだからよ。 これ 全部 栄養だから 栄養。」
久志「あんた 本当 何しに来たんですか?」
池田「うん? ああ…。 まあ 強いて言えば 暇つぶしの のぞき見ってとこかな。 古山が えらく熱心でな…。 何としても友人を助けたいってさ。 俺はさ この年になるまで 友人っていう 人間に出会ったことないんだよ。 人は裏切るし 信用すれば痛い目見る。」
池田「そう思って生きてきた。 けど あいつは どうだ。 一点の曇りもなく 心の底から あんたを生涯の友と言い切って 何としても助けたいとさ。 ハハハ。(麺をすする音)うん…。 」
NHK
裕一「おはようございま~す。 おはようございます。 池田さん あの 昨日 本当にありがとうございました。 あの 昨日 結局 久志とは ど… どうなった…?」
池田「よし 出来た!」
裕一「はい?」
池田「10倍にして返せって言っとけ。」
裕一「じゅ…?」
長屋
藤丸「あの池田って人が この人のために 詞を書いてくれたってこと?」
裕一「うん。 すごくいい歌詞なの。 久志 この歌で レコード出さないか? 曲は 僕がつけるから。 コロンブスに話したら すぐにでも録音できるって。 僕は また 君と一緒に 音楽を作りたいと思ってる。」
藤丸「裕一さん お気持ちは ありがたいんですけど しばらくは そっとしておいてもらえますか? 体調も万全じゃないし ブランクもあるし いきなり録音っていうのは…。」
久志「いいよ。 歌うよ。」
裕一「えっ…。」
藤丸「ちょっと本気で言ってる?」
裕一「ほ… 本当に?」
久志「早いとこ 曲つけてよ。」
裕一「も… もちろん! すぐにでも作るから。 あっ ああ… よ… よかった。 久志…。」
コロンブスレコード
録音室
池田「本当に来んのかよ?」
(ドアが開く音)
藤丸「遅れて申し訳ございません。」
池田「ああ… ようやく登場か 優男。」
裕一「よかった…。 来てくれないかと思った。」
杉山「お願いします。」
池田「どうした どうした?」
藤丸「すみません もう一度 お願いします。」
久志「♬『暗い酒場の ダイスのかげに ひょいと覗いた 地獄の顔よ けむりふきかけ 笑って見たが 心淋しや 何處かのすみで すすり泣くよな 胡弓のひびき』。」
喫茶店 バンブー
裕一「やっぱり… あいつは すごい! 池田さんの詞が また すばらしいんです。 今の久志にぴったりで。」
鉄男「よかったよ。」
裕一「ねっ!」
鉄男「やっと あいつも やる気になって。」
裕一「うん!」
保「今度 久志君 連れてきてよ。 藤丸さんも一緒にさ。」
裕一「あ~ そうですね!」
恵「次は 福島三羽ガラスのレコードが聴けるかな?」
保「おっ! 再始動しちゃう?」
裕一「三羽ガラス… いいですね!」
闇市
「さっびぃな~ もっと燃えるもん ねえのかよ。」
「あっ じゃあ こいつも燃やしちまいますか?」
「お~ いいね。 うん?」
回想
「気の毒にな…。 心労がたたったんだべ。 戦争の歌なんか歌って あんたんとこの せがれは 戦犯みてえなもんだよって。」
久志「♬『あゝ あの顔で』。」
「戦犯… 戦犯… 戦犯…。」
藤丸「返して! 駄目!」
久志「いいから!」
藤丸「もう駄目だって! 飲まないで もう! ねえ もう駄目…。」
裕一「久志?」
鉄男「おい。」
裕一「どうしたの? 久志!」
鉄男「おいおい…。 やめろ! これ以上 飲んだら 体壊すって 言われてんだべ。」
裕一「どうしたの?」
久志「また うるさいの来たよ。」
鉄男「歌えなくなったら どうすんだ? せっかく またレコード出せたんだろ。」
久志「どうだっていいんだ そんなこと! あの曲 歌ったのは 金が必要だったんだよ。 ありがとな 裕一。 またしばらく 遊んで暮らせるよ。 持つべきものは友だ。 ハハ… ハハハ…。」
鉄男「勝手にしろ。」
裕一「大将… 大将!」
久志「何してんだ? 君も帰ったら?」
裕一「一つだけ言いたいことがある。 久志は やっぱり歌うべきだ。『夜更けの街』を聴いて 僕は本当に心揺さぶられた。 あれは お金欲しさで歌った歌じゃない。 魂が こもってた。 僕だって それくらい分かるよ。 また来る。 何度でも来るから。」
古山家
玄関
大倉「ごめんください。 あっ すいません。 お約束より 少し早く着いてしまって。」
裕一「いえいえ お待ちしてました。 どうぞ。」
大倉「あっ すいません…。」
裕一の仕事場
大倉「佐藤久志ですか…。」
裕一「僕が推薦するなら彼しかいません。」
大倉「う~ん… 上司が何と言うか…。」
裕一「ありがとう。」
大倉「実を言うと 上司は 古山先生の起用を反対していたんです。 戦時歌謡の作り手が 野球大会の歌に関わるのは どうなのかと。」
裕一「はあ…。」
回想
大倉「ですが 私が どうしてもと頼んで 通してもらいました。 佐藤久志も 戦時歌謡の印象が強い人ですし…。 正直 私としては 先生を擁立するだけで 精いっぱいでして…。 ほかにも 優れた歌唱力の方は たくさんいます。 別の方で 心当たりはないですか?」
裕一「すいません。 それでも僕は 佐藤久志を推薦したいです。」
大倉「あ~… ですが…。」
裕一「彼が もし… 彼が もし 戦時歌謡の歌い手としか 捉えられていないのならば なおさらです。」
裕一「彼は 皆さんが思う以上に いろんな引き出しを持った歌い手です。 大倉さん どうか お願いします。 どうか… どうか お願いします!」
大倉「いや… 先生 ちょっと あの…。」