ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第104話「悪魔くん復活」

あらすじ

茂(向井理)は、豊川(眞島秀和)から「悪魔くん」を「週刊少年ランド」の読者向けに新たに書き下ろしてほしいと頼まれる。「墓場の鬼太郎」のテレビ化が難航しているため、より通りやすい企画として「悪魔くん」をテレビ局に売り込もうというのだ。茂は“貧乏時代の怒りに満ちた「悪魔くん」が少年誌の読者には受けない”と考え答えを渋るが、布美枝(松下奈緒)からの勧めもあり、新しい「悪魔くん」に取り組むことを決心する。

104ネタバレ

水木家

北村「すごい迫力ですね 先生!」

茂「そうでしょう。」

北村「主人公は 山田君か どこにでも いそうな子が  悪魔を呼び出すってのが 面白いですね。」

茂「しかしね こう見えて 1万年に 一人しか生まれん 天才児ですよ。 それを隠して 普通の小学生として 暮らしとるんです。」

北村「このメフィストという悪魔も すごい奴なんでしょうね 恐ろしくて パワーがあって。」

茂「いや 全く。」

北村「え?!」

茂「横着で ずるくて 金にならん事は 一切やらん 人間の代表のような奴です。」

メフィスト『びた一文にもならねえことは おれは やらねえ主義なんだ』。

茂「まあ いい人間が いい事するだけの話は つまらんでしょう。」

北村「それも そうか…。 これ 早速 豊川に見せます。 喜びますよ~! 時間のない中で こんなに描き込んで頂いて ありがとうございます。 まるで 点描画だなあ。」

茂「彼らも 随分 慣れましたからね。 3人もいるとね そろぞれ 点数の高い分野が 違っとるとこが 面白いですな。 倉田は 技術点。 小峰は 芸術点です。」

北村「なるほど。」

茂「菅井は…。 うん。 スガちゃんはな…。 まあ 点々ですな。」

(セミの鳴き声)

茂「こういうのが うまいんです。」

北村「え~?」

客間

(はしゃぐ声)

藍子「もう1回!」

布美枝「もう おしまいよ。 北村さん お仕事があるんだから。」

北村「また今度ね。」

布美枝「すいません。 藍子に お土産まで頂いて。」

北村「いえ 藍子ちゃん 絵が好きだから 喜ぶかなと思いまして。」

いずみ「北村さんって 子供 お好きなんですか?」

北村「ええ もう好きです。 大好きです。 藍子ちゃんに会うのが楽しみで こちらに 伺ってるようなもので。」

布美枝「あら? いつから そんなふうに…。」

菅井「奥さん!」

布美枝「はい。」

菅井「そろそろ 昼飯にします。 お茶 取りに来ました。」

布美枝「はい。」

菅井「あ まだ こんな所にいる。 せっかく 早めに 原稿 仕上げたのに。」

北村「今 帰るとこですよ。 藍子ちゃん バイバイ。」

藍子「バイバイ!」

菅井「ん?」

布美枝「ご苦労さまでした。」

北村「失礼します。」

藍子「バイバ~イ!」

北村「バイバイ! ヘヘヘ!」

菅井「何してんだ あの人?」

布美枝「藍子に クレヨン 持ってきて下さったんです。 子供が好きだなんて 今まで 聞いた事なかったけど。」

菅井「やっぱり そうか。」

布美枝「え?」

菅井「お目当ては いずみさんですよ。」

布美枝「いずみ?」

菅井「藍子ちゃんに取り入って いずみさんの 気を引く作戦です。」

布美枝「そうなんですか?!」

菅井「この前から 怪しいと 思ってたんです。」

布美枝「ちっとも 気づかんだったなあ。」

菅井「いずみさん 僕 手伝います。」

いずみ「ありがとう。 はい!」

布美枝「あれ? もしかして 菅井さんも?」

<いずみの登場は 村井家に 活気を運んできましたが…>

玄関前

北村「あの点々男 まさか いずみさんを 狙ってるんじゃないだろうな?」

<何やら 騒動の火種にも なりそうな気配です>

休憩室

倉田「いただきます。」

小峰「いただきます。」

菅井「いただきま~す。」

いずみ「わあ おいしそうな お弁当! これ 自分で作るんですか?」

小峰「ええ まあ。」

いずみ「へえ~!」

菅井「作ってくれる人がいるとか?」

小峰「うん まあ。」

いずみ「ほう~!」

菅井「分かんないな 小峰さんは。」

いずみ「菅井さんの お昼ご飯は? ジャムパン あんパン フフ! クリームパンか…。」

菅井「独りもんは わびしいもんです。」

いずみ「フフフ! わあ 大きな日の丸弁当! あ お茶 足しましょうか?」

倉田「ええです。」

いずみ「え?」

倉田「自分らでやりますんで。 茶んも 持ってきてもらわんでも 順番で取りに行きます。 好きにさせてもろた方が 仕事に集中できますわ。」

いずみ「うん。」

菅井「クラさん 感じ悪いな。」

台所

いずみ「小峰さんって 奥さんおるの?」

布美枝「さあ 聞いた事ないけど。」

いずみ「ふ~ん。 きれいな お弁当 持ってきとられたよ。 あれは 女の人が作っとるね。」

布美枝「人の弁当 ジロジロ見たらいけん。」

いずみ「だって 面白いんだもん。 3人とも バラバラで お弁当にも個性が出とるわ。」

布美枝「そげいえば 小峰さん 女の人が 来とった事あったなあ。」

回想

小峰「来てくれたんだ。」

布美枝「小峰さん…。」

女「お疲れさま。」

小峰「ごちそうさん。 今日も うまかった。 じゃあ 行こうか。」

回想終了

布美枝「あれ 誰なんだろう?」

いずみ「ミステリアスだねえ フフフ!」

布美枝「しげさんが連れてくる人は みんな ちょっこし 変わっとるわ。」

いずみ「本人が 一番 変わっとるもんね。 フフフ! けど あの人は ちょっとな。」

布美枝「うん 誰?」

いずみ「倉田さんって苦手。 ぶっきらぼうで 愛想 悪くて。 ああいう人が 将来 亭主関白になって お父さんみたいに 家で威張るんだわ。」

布美枝「そう? 仕事熱心で ええ人よ。」

いずみ「お弁当なんか ど~んと 日の丸弁当で。」

布美枝「日の丸弁当?」

いずみ「ドカ弁が 男らしいとでも 思っとるのかね? なに? どげしたの?」

布美枝「ううん。」

いずみ「ねえねえ そういえば 車 買わんの?」

布美枝「車?」

いずみ「2人目が生まれるんだけん 今までのようにはやっていけんよ。」

布美枝「そげだねえ。」

(犬の遠吠え)

布美枝「あ…。」

茂「コーヒーいれてくれ。」

布美枝「お疲れさまです。 まだ仕事ですか?」

茂「朝まで ネームやらんといけん。」

布美枝「今日 いずみに『車は買わんのか』って 聞かれました。」

茂「うん 車なあ。」

布美枝「ここは 駅から遠いですけん。」

茂「うん まあ いらんだろう。 俺も お前も 運転できんのだし。」

布美枝「やっぱりね。 ねえ お父ちゃん。」

茂「ん?」

布美枝「倉田さんって お昼は いつも 日の丸弁当なの?」

茂「知らんなあ。 何 食っとるかまでは 監督しとらんけん。」

布美枝「実家に仕送りしとるんですよね。」

茂「ああ そげ言っとったな。」

布美枝「食費 切り詰めとるんだろうか?」

茂「倉田が どげした?」

布美枝「ああ いいえ。」

茂「あいつは いずれ 本物になるぞ 絵は うまいし 努力もしとる。 家に帰ってからも 毎日 漫画を描いとるようだけん あまり寝とらんじゃないのかなあ。

布美枝「そげですか…。」

茂「うん。 仕事場で 時々 ウトウトして。」

回想

倉田「あかん! 根性や!」

回想終了

布美枝「無理して 体 壊さんと ええですけどね。」

茂「うん まあ 若いけん 大丈夫だろ。 おい コーヒーは?」

布美枝「ああ すいません。 あ… そげだ!」

休憩室

3人「お~!」

倉田「うまそうやな!」

小峰「具が多いね。」

菅井「どうしたんすか? 急に。」

いずみ「姉が お昼ご飯は 皆さん いつも お弁当 持参だけん おみそ汁ぐらい だそうかって。 たくさん ありますけん お代わりして下さい。」

菅井「はい!」

小峰「おいしい。」

倉田「おおきに。 いただきます。」

いずみ「はい! あっ 菅井さんの あんパンには 合わんかもしれんけど。」

菅井「みそ汁 明日も出るかな?」

いずみ「出ると思いますよ。」

菅井「そしたら 俺も明日から クラさんの まねして 日の丸弁当にします。」

いずみ「アハハハ!」

菅井「みそ汁あれば おかずも いらないし。」

(セミの鳴き声)

台所

布美枝「あら! 砂糖が安い。」

倉田「あの… 奥さん。」

布美枝「あ…。」

倉田「ごちそうになりました。」

布美枝「置いとってくれたら 取りに行ったのに。 すんません。 あっ! お茶ですね? ちょっと 待ってて下さい。」

倉田「思い過ごしやったら すまんのですけど。」

布美枝「はい。」

倉田「さっき 先生にも 仕送りの事 聞かれたんで。 もし 僕に 気ぃ遣(つこ)うて みそ汁 作ってくれてはるんやったら そんなん もう ええですから。」

倉田「給料は ちゃんと頂いるし 実家へ仕送りは できる範囲で やってる事やから 気ぃ遣わんといて下さい。 生意気 言うようですけど 人の好意に甘えたら あかん 思うてるんです。 根性 据えてやらんと 漫画には なれませんから。」

布美枝「気に障ったのなら すいません。」

倉田「いや せやないですけど。」

布美枝「けど… ちょっと違うんです。」

倉田「え?」

布美枝「私 うちの人のために やっとるんです。 前は 時々 漫画の手伝いも しとったんですよ。」

倉田「はい 先生から聞きました。 奥さん 器用やて。」

布美枝「いいえ 素人ですから 線を引いたり 墨を塗ったりするくらいで。 前は 手伝いの人頼む お金もなかったですから。」

倉田「はい。」

布美枝「けど それはそれで 結構 楽しかったんですよ。 2人で 朝まで カリカリ カリカリ。 今は アシスタントさんが 3人もおられるでしょ。 私の出番は なくなってしまって。 何か できる事はないかって 考えて…。 思いついたのが みそ汁なんです。」

倉田「え…。」

布美枝「倉田さん達が 健康で元気で 頑張ってくれる事が 何よりも うちの人の助けになります。」

倉田「奥さん…。」

布美枝「ステーキや ウナギは 出せませんけど 残り野菜で みそ汁作るくらいなら 毎日でも できますから。」

菅井「お~い クラさ~ん!」

布美枝「呼んでますよ。」

倉田「ごちそうさまでした!」

布美枝「はい!」

仕事部屋

倉田「先生! こっち 上がりました。」

茂「うん。 力の入った ええ絵だ。」

倉田「ありがとうございます! よし! 根性や!」

<それから 数日後の事です>

玄関

豊川「奥さん! 決まりました!」

布美枝「え?」

船山「『悪魔くん』の放映が 決まったんです!」

豊川「やりましたね!」

布美枝「あ…。」

豊川「奥さん!」

布美枝「お父ちゃん! お父ちゃん 大変!」

茂「大声出して…。」

布美枝「『悪魔くん』が テレビになるんです!」

茂「ええっ?!」

豊川「決まりました!」

茂「ほんとに?!」

<うらしい知らせが 飛び込んできたのです>

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