ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第106話「悪魔くん復活」

あらすじ

とうとう「悪魔くん」の初回放送日がやってくる。テレビの放送が始まるまでに、仕事を終わらせようと、茂(向井理)をはじめとするプロダクションの面々は、昼から大わらわの騒ぎだった。布美枝(松下奈緒)も放送後のお祝いの準備で、てんやわんや。“まもなく放送が始まる”というとき、村井家に浦木(杉浦太陽)や、境港から前ぶれもなく絹代(竹下景子)と修平(風間杜夫)までもがやって来て…。

106ネタバレ

乾物屋

(商店街の賑わい)

和枝「毎度どうも!」

客「これ 同じの 八百屋さんで もらったわ。」

和枝「あら うちのは別ですよ。 割引券付きだから。」

客「あ じゃあ もらっとこ。」

和枝「また どうぞ!」

靖代「案外 ワタナベさんの奥さんって しっかりしてる。」

徳子「ほんと。」

和枝「ねえねえ。 『怖いの苦手だ』って言ってた お客さんいたけど 大丈夫かしら。 人気 出るかなあ?」

靖代「見てから 文句 言いなさいよ。 私は 絶対 面白いと思う!」

徳子 和枝「うん!」

純喫茶・再会

亀田「村井さんのドラマ ここで 見てって いい?」

マスター「え?」

亀田「今日 うちの奴 いなくてさ 実は 私 怖いの苦手なんだよ。 ハハハハ!」

マスター「ハハハハ! どうぞ。 僕も見ますから 一緒に。」

亀田「よかった。 これが ほんとの 怖いもの見たさ ハハハハハ!」

<商店街の面々も そわそわしながら その時を待っていました>

水木家

客間

布美枝「美智子さんから来とる! 『オメデトウ コンヤ タノシミニミマス』…。」

いずみ「姉ちゃん ご飯 5合 炊けば ええかね?」

布美枝「アシスタントさんと お兄さん夫婦と うちの家族と…。 ああ ダメだ 足らん! あっ あんた あれ 噴いてる!」

いずみ「あ~っ!」

<放送の後 そろって お祝いの食事をする予定で 布美枝達は 料理の支度に てんやわんやでした>

雄一「アハハハハハ! いや~ 俺も 会社で鼻高々だわ。」

茂「そげか。」

雄一「おう。 弟が漫画 描いとるなんて 今まで恥ずかしくて 人には 言えんだったからな ハハハハハハ! しかし 俺の言ったとおりになっただろ。」

回想

雄一「お前の漫画も テレビにしてもらったらええよ。」

茂「夢のような事 言うなよ。」

雄一「いやいやいや! 人生ってのはな 明日 何が起こるか分からんぞ。」

回想終了

布美枝「そげな話をしとるとこに お母さん達が みえられて びっくりしたんでしたねえ。」

茂「ああ そげだったなあ。」

雄一「また そんな縁起でもない事 言わんでよ!」

佐知子「そうですよ!」

茂「今日は 大丈夫だ。 『準備万端 整えて テレビの前で 待機しとる』と言っとった。」

雄一「ああ 全国放送で よかったなあ!」

(一同の笑い声)

藍子「誰か 来たよ~。」

雄一「…まさか!」

浦木「おや 皆さん おそろいで。」

茂「何だ また お前か…。」

浦木「『何だ』とは ご挨拶だね。 奥さん これ お祝いです。」

布美枝「あ~ ありがとうございます。 浦木さんから お土産 頂くなんて。」

茂「珍しい事も あるもんだなあ。」

浦木「いや~ つまらんもんですがね。」

茂「う~ん どれどれ? あ?」

佐知子「あら これ 雑貨屋さんの 回転祝の配り物の粗品。」

浦木「あ し~っ し~っ!」

茂「ほんとに つまらんもんだな!」

浦木「まあ あれだ。 気は心だ。 な。」

藍子「おじいちゃん…。」

雄一「おい 藍子 この人はな お父さんの友達だぞ。 おじいちゃんは 失礼だろう。」

(一同の笑い声)

浦木「誰が おじいちゃんだ? こら!」

茂 布美枝「嘘…!」

藍子「おばあちゃんだ。」

雄一 佐知子「え…?」

絹代「フフフフフ! あ~! なんとか間に合った。」

(佐知子の悲鳴)

布美枝「お母さん…。」

修平「まだ 余裕が あ~だねか。 『急がんでも ええ』と言ったろ。 せかせか歩くけん 息が切れ~わ。」

茂「イトツ…。」

光男「うわ~!」

茂 雄一「光男!」

光男「よう しばらく。」

茂「お前まで…。」

絹代「しげさん おめでとう! ハハハ! これは よいしょ! お祝い!」

茂「お~ 境港の芋か!」

<放送開始直前 境港の両親が 茂の弟の光男まで 引き連れて 現れたのでした>

雄一「おい お前 九州の会社に 勤めとったんじゃなかったのか?」

光男「出張で米子まで行ったけん ついでに 境港まで顔出したんだ。」

茂「それが 何で 東京におるんだ?」

光男「それはだな…。」

絹代「テレビが壊れたんだわ。」

茂「え?」

絹代「画面が ザーザーするけん 光男に見て もらったら かえって悪なって。」

光男「何 言っとるんだ?!」

修平「ええけん お前は黙っとけ。」

絹代「しげさんの番組 見逃したら いけんでしょう。 買い替えたらと思ったけど ほんなら いっその事 東京 行って 一緒に見る方が ええと思ってね。」

雄一「どうして そういう理屈になるんだ。」

光男「俺は 荷物持ちで 無理やり 引っ張ってこられたんだわ。」

雄一「お前 会社は どげした? 平日なのに。」

光男「仮病 使って 休みもらった。」

雄一「そんな事して 大丈夫か?」

絹代「浦木さん!」

浦木「は はい!」

絹代「何しとるの? 遠慮せんで あんたも食べなさい!」

浦木「あ はい…。 いや あの 僕は あの そろそろ 失礼します。 家族水入らずのところを お邪魔するのも何なんで。

絹代「茂のテレビは どげするかね? 見んで帰るのかね?!」

浦木「え?」

絹代「見んで帰るかね?!」

浦木「あの よそで 一緒に見る約束が ありまして。 茂君 おめでとう。」

茂「うん。」

浦木「それじゃ。」

茂「茂君…?」

いずみ「イタチさんが退散してったね。」

布美枝「浦木さん お母さんに弱いけん。」

倉田「先生 仕事 片づきました。」

菅井「そろそろ 始まりますね。」

茂「あ もう時間か?」

修平「この人達は?」

茂「うちのアシスタントだわ。」

絹代「いつの間にか 大所帯になっとるねえ!」

茂「ああ。」

絹代「この人らの生活も あんたに かかっと~だけん ますます 頑張らんと!」

茂「あっ!」

絹代「いけんねえ!」

茂「あ 痛~!」

絹代「ハハハハ!」

布美枝「そろそろ 始まります!」

一同「おおっ!」

テレビ『悪魔くん』

いずみ「うわ~ 何か 怖いね。」

布美枝「し~っ。」

テレビ『悪魔くん』 『エロイム・エッサイム エロイム・エッサイム』。 『話~!』。 『悪魔くん』

飯田家

居間

哲也「おっ 始まったかや。」

源兵衛「黙っちょれ!」

(俊文と絵里子の笑い声)

源兵衛「こら 静かにしぇ!」

邦子「すいません。」

テレビ『悪魔くん』

中森家

中森「ああ 村井さん 奥さん…。 おめでとうございます。」

テレビ『悪魔くん』

ラーメン屋

客1「日本シリーズ どうなるかねえ。」

客2「まあ 巨人だろうなあ。」

富田「静かに~!」

テレビ「悪魔くん』

富田「いや 頼む! 今 大事なものを見てるんだ。」

テレビ・メフィスト『化け物よ 来い!』。

<その夜の放送を それぞれの場所で 熱い思いで 見守っている人達が いました>

水木家

客間

テレビ・ナレーション『頑張れ 悪魔くん。 負けるな メフィスト。 次回 悪魔くん『化烏』に ご期待下さい』。

布美枝「あ お父ちゃんの絵です!」

茂「っ おう!」

♬~『悪魔くんのマーチ』

修平「おい 今 茂の名前 出たな!」

絹代「いや~ もう1回 出ませんかねえ! ほい ほれ! 出た~!」

(歓声)

(拍手と歓声)

飯田家

中森家

中森「面白かったね!」

ラーメン屋

富田「あれ 昔の仲間なんです! ブラボー!」

純喫茶・再会

水木家

客間

修平「面白かったなあ!」

茂「ああ。」

布美枝「お母さん…。」

お祝いの食事

布美枝「じゃあ これ 持っていきます。」

佐知子「お願いします。」

布美枝「いずみ 次のお願い。」

いずみ「はい。」

布美枝「よいしょ。 あっ どうぞ。」

(一同の賑わい)

布美枝「あれ… お父ちゃんが おらん…。」

仕事部屋

布美枝「お父ちゃん?」

茂「そうですか。 見てくれましたか。」

戌井家

戌井「ええ。 面白かったですよ。 怖さもあって 大人も子供も楽しめる。 え…? はい…。 はい。 おめでとうございます。 では…。」

早苗「水木さん 何だって?」

戌井「あんたの 編集茶としての目に 狂いはなかった。」

回想

茂「あんたの 編集者としての目に 狂いはなかったですなあ。」

回想終了

戌井「これは すごい漫画だ。」

回想

茂「これは すごい漫画だ…。 絶対に当たると 言った あんたの言葉が…。 本当になりました…!」

回想終了

戌井「本当になりましたよって…。」

早苗「そう…。」

水木家

仕事部屋

(受話器を置く音)

布美枝「お父ちゃん。 お祝いの支度 できたよ。 みんな 待っとる。」

茂「おう…。」

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