ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第128話「おかあちゃんの家出」

あらすじ

布美枝(松下奈緒)が、藍子(菊池和澄)と喜子(松本春姫)を連れて外出して帰ってくると、茂(向井理)が早とちりをして“布美枝が子どもたちを連れて、家出をしたのではないか”という騒ぎになっていた。浦木(杉浦太陽)が、しばらくぶりに村井家を訪ねてきて、貧乏だったころと比べて、がらりと様変わりした家の様子をあらためてしげしげと眺めながら、茂に“怪しげな商売”の話をもちかけるが…。

128ネタバレ

水木家

玄関

絹代「芝居 終わるのは9時過ぎだけん 戻ってくるの 遅んな~わ。」

布美枝「はい。」

絹代「あっ 鍵は 持って出~けん 戸締りしてかまわんよ。」

布美枝「はい。」

修平「おい 早ことせえ! 急がんと 幕が開いてしまうわ!」

絹代「大丈夫ですよ。 急いだら 心臓に悪いですけんね。 あら! 薬 持ったかいな? ニトロ ニトロ…。」

修平「ああ もう待てん! 俺は 先 行く!」

絹代「芝居の時だけ 張り切って… ハハハ! ほんなら 行ってく~けん。」

布美枝「行ってらっしゃい!」

絹代「1人で行っても 入れませんよ! キップは 私が持っちょ~ますけん!」

布美枝「ええなあ… 2人で芝居なんて。 うっかり 捨ててしまったのかもしれんね。」

仕事部屋

茂「こちらに言ってくるのは お門違いです! 訴えたいって あんたね こっちが訴えたいぐらいですよ!」

光男「どうしたんだ?」

茂「苦情の電話だ! 人形が動かんとか なんとか!」

光男「ああ 昨日 話した件か…。」

茂「どげなっとんだ!」

光男「すまん 今 調べてるとこだ。」

茂「締め切りだというのに つまらん事に 時間とられた。」

菅井「先生。」

茂「ん?」

菅井「ここの指定なんですけど。」

茂「あんた! 何で 月を2つ描いとるんだ?」

菅井「え? 先生?」

茂「いや ここは 墨。」

中野「すいません。 電話 うっかり 先生に取り次いでしまって。」

光男「気をつけなきゃ ダメだよ。 締め切り重なって 寝てないんだから。」

菅井「これって トーンですか? 縦書き?」

茂「ここは…。」

茂の仕事部屋

茂「ん? あれ…。 (ため息) 根 詰めすぎたかなあ。 いや… 気分転換すれば まだ なんとかな~わ。 (ため息)」

台所

喜子「お父ちゃん また 新聞 読みながら食べとるよ。」

藍子「し~っ お仕事 忙しい時は しかたないんだよ。」

喜子「つまんないの!」

茂「おい… お茶。」

布美枝「はい。 今夜も 遅いんですか?」

茂「ああ。」

布美枝「夜食に 芋ぜんざいでも 作りましょうか?」

茂「ああ。」

布美枝「疲れとるようだけど 体 大丈夫なの?」

茂「うん…。」

布美枝「できる事があったら 何でも 言って下さいね。 会社も大変かもしれんけど 大切なのは 会社よりも お父ちゃんの体ですけん。」

茂「また いらん事を…。」

布美枝「え?」

茂「仕事のことに 口出すな。 お前は黙って 家の事したらええ。 仕事 行ってくる。 今度の日曜 久しぶりに富士山 行くぞ。」

藍子「え? 日曜は智美ちゃんと約束…。」

茂「みんなで行く。 ええな。 おい。 おい 返事ぐらいせい!」

布美枝「私… 行かない。」

茂「え?」

布美枝「私 行きませんから。」

茂「何を言っとるんだ? ええけん 俺の言うとおりにせえ!」

布美枝「『いらん事 言うな 口出すな』。 お父ちゃん 近頃 いつも そればっかり! 私にだって 気持ちは あるんです! 何 言っても… お父ちゃんの耳には 届かんのですけん。」

藍子「お父ちゃん…。」

茂「ええけん ほっとけ!」

喜子「(泣き声) お母ちゃん! お母ちゃん!」

玄関

喜子「お母ちゃんが いなくなっちゃった…。 (泣き声)」

藍子「よっちゃん。」

喜子「(泣き声)」

菅井「どうかしたんですか?」

茂「何でもない。」

菅井「先生 お願いします。 そろそろ 時間が。」

茂「ああ。」

喜子「(泣き声)」

深大寺

(虫の鳴き声)

布美枝「飛び出してきてしまった。 あっ ここ 昔…。 美智子さん 捜しに来たとこだ…。」

回想

政志「どこ行くんだ! 帰ろう。」

回想終了

布美枝「お父ちゃん? 来るはずないか…。」

水木家

台所

喜子「お母ちゃんは どこへ行ったの? 何で 帰ってこないの? (泣き声)」

茂の仕事部屋

回想

布美枝「『いらん事 言うな 口出すな』。 お父ちゃん 近頃 いつも そればっかり!」

回想終了

茂「(ため息) 何なんだ 急に…。」

回想

布美枝「私にだって 気持ちは あるんです!」

回想終了

相沢「先生! 『コミックセブン』の編集さんから 電話ありました。 あと 1時間で取りにくるそうです。」

茂「ああ。 (ため息)」

深大寺

布美枝「何が いけんだったんだろう…。 あの人は 前は いつも笑っとったなあ。 あの頃に 戻りたい。」

子供「もう嫌だよ~!」

母親「いつまで泣いてるの?」

子供「だって~!」

母親「もう行くわよ。」

子供「待ってよ~ お母ちゃん!」

布美枝「喜子 泣いとらんだろうか…。」

母親「パパも待ってるよ!」

(子供のぐずる声)

布美枝「あ…。 何しとるんだろう 私…。」

水木家

玄関前

(犬のほえる声)

(ドアの開く音)

(ドアの開閉音)

客間

布美枝「ただいま。」

喜子「あっ! お母ちゃんだ!」

藍子「お帰り!」

喜子「やっぱり 帰ってきた!」

藍子「ほ~らね お姉ちゃんの 言ったとおりでしょ?」

喜子「うん! どこ行ってたの? 心配したんだよ。」

布美枝「ごめんね。」

喜子「でもね お姉ちゃんが お母ちゃんは 絶対に 帰ってくるって言うの!」

藍子「だって お母ちゃんが私達を置いて どっかに行くはずないもん!」

布美枝「藍子…。」

藍子「私 ちっとも 心配じゃなかったよ。」

喜子「お母ちゃん 帰ってきた! お母ちゃん 帰ってきた~!」

布美枝「お母ちゃんの帰ってくるとこは ここしかないもんね。」

藍子「そうだよ。」

台所

布美枝「きれいに片づけて。 藍子は 頼りになるなあ。」

布美枝「あの…。」

相沢「先生! 『コミックセブン』さん 見えられました。」

茂「ああ。」

布美枝「(ため息) 私が出ていっても やっぱり 仕事 仕事か…。」

<ところが その翌日>

玄関前

喜子「お腹すいた。」

布美枝「遅くなっちゃったねえ。」

藍子「あれ おばあちゃん?」

絹代「布美枝さん! あんた 今まで どこ行っとったかね?!」

布美枝「え?」

修平「よう 戻ってきたな!」

布美枝「はい。 あの… 何か あったんですか?」

絹代「え?」

布美枝「私 買い物に行っとったもんで 何も知らんで…。」

絹代「買い物?!」

修平「2人 連れて?」

布美枝「はい そげです。」

玄関

修平「昼過ぎに出ていったっきり 戻らんいうけん 心配しとったんだわ。」

絹代「全く 人騒がせだねえ!」

布美枝「すいません!」

茂「おう 戻ったのか。」

布美枝「ただいま。」

茂「うん。」

修平「茂の奴 慌てとったんだぞ。」

絹代「『子供やち連れて あんたが 家を出ていっただねかや』って。」

布美枝「え?!」

客間

布美枝「冬物や何か 選んどったら 時間かかってしまって。」

喜子「食堂で ジュース飲んだんだよね。」

藍子「し~っ!」

絹代「ほんとに ただの買い物かね?」

布美枝「はい!」

絹代「そげなら ええけど… あんたやち 何か あっただないかね?」

布美枝「え? いえ 何にも。」

修平「ハハハ! 『大山鳴動して鼠一匹』だ! ハハハハハ!」

<どうやら 騒ぎの原因は 茂の早とちりだったようです>

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