ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第147話「独立宣言」

あらすじ

藍子(青谷優衣)が教員採用試験に受かった話を聞いて、源兵衛(大杉漣)も喜ぶが、“娘を家に置いておきたい”という茂(向井理)の思いを理解もする。源兵衛は、藍子を手放さずに済むための一計を案じ、茂にそれを伝えるのだが…。

147ネタバレ

水木家

子供部屋

喜子「お父ちゃんって 昔 描いた漫画も面白いよね。 お父ちゃんの頭の中って どうなってるんだろうね。」

回想

浦木「家族も会社も 自分が率いていくのが みんなの幸せだと思うとる。」

智美「家族愛って事ですか?」

浦木「愛? それにしちゃ 押しつけがましいが。」

回想終了

喜子「また勉強してんの? 採用試験 受かったのに?」

藍子「卒業できなかったら 元も子もないもの。」

喜子「ふ~ん。」

藍子「採用辞退なんか する気ないから。 よっちゃん あんたも受験生でしょ? いいの? 勉強しなくて。」

喜子「今 やろうとしてたとこ!」

台所

源兵衛「えらいもんだなあ 藍子は。 さすが うちの家系だなあ。 嫁に行くまでは 先生しとるのが 一番ええわ。」

ミヤコ「そげですね。」

源兵衛「しかし… 婿殿は あんまり 喜んどらんようだったな。」

回想

源兵衛「でかしたな 藍子。」

藍子「うん!」

源兵衛「これで 村井さんも一安心だろう?」

茂「ええ まあ…。」

回想終了

布美枝「ちょっこし あてが外れたみたいで。 藍子には 自分の仕事を手伝ってもらうつもりでおったようだけん。 会社を どげするかも 考えにゃならんのか。」

布美枝「それに 遠くの学校に 赴任する事になったら 家を出る事になるけん それを心配しとるんだわ。」

源兵衛「ほんなら 嫁入り前に 家を出るというのか?」

布美枝「東京は 広いけん そげな事もあるかもしれんね。」

寝室

布美枝「へえ~ こげに小さな お灸が出とるんだ。」

ミヤコ「便利になったよ。 昔は もぐさで あんたに よう据えてもらったねえ。」

布美枝「うん!」

ミヤコ「この家も 随分 立派になって…。」

布美枝「増築ばっかりで おかしな家になとっとるけど。」

ミヤコ「なあ 布美枝。」

布美枝「ん?」

ミヤコ「よう頑張ったね。 よう ここまで やってきた。 それ言いたくて お母さん 東京 出てきたんだわ。」

布美枝「うん…。」

ミヤコ「けど… お父さんと旅行するのは 大変。 せっかちだけん 『あっちいくぞ こっち行くぞ』って。」

布美枝「やっぱりなあ。」

2人「フフフ…。」

ミヤコ「あら… お父さん どげした?」

布美枝「ああ。」

休憩室

源兵衛「(せきばらい) 仕事中すまんが 入ってもええか?」

茂「ああ どうぞ。 あ… 掛けて下さい。」

源兵衛「ああ。」

茂「茶でも…」

源兵衛「いやいや 結構。」

茂「どげしました?」

源兵衛「村井さん。」

茂「はい。」

源兵衛「家というものは 家長を中心に 一糸乱れず 統制されていなければ いかん。」

茂「はあ。」

源兵衛「わしも 最初は ええ話だと思ったんだけども…。」

茂「何の事ですか?」

源兵衛「藍子が教員になる話だわ。」

茂「あ~…。」

源兵衛「1人で 遠くに住んだり 万が一にも そこで 勝手に 結婚相手を決めてしまうようでは 困る!」

茂「困りますなあ…。 自分も うかつでした。 まさか 試験に通るとは…。 落ちろ 落ちろと 念力を送ったのが逆効果で。」

源兵衛「そこでだ! わしに 1つ ええ考えがあ~だ。」

茂「は?」

源兵衛「見合いをさせれ。」

茂「見合い? いや~ 結婚は まだ…。」

源兵衛「いやいや すぐに嫁に出さんでも 話だけでも まとめておけばええだ。 相手は 次男か 三男にしぇ。 この近くに住む男に限るぞ。 こっちに奪い取れる男を選んで 見合いさせ~だ。」

茂「う~ん…。」

源兵衛「家庭を持つ事が決まっておれば 配属先も 考慮してもらえるかもしれん。」

茂「それは どげですかなあ。」

源兵衛「いったん 仮に 遠くに行ったとしてもだ 結婚相手が こっちにおれば 藍子は 必ず… 戻ってくる!」

茂「う~ん…。」

源兵衛「どげだ? ええ考えだらが。」

茂「なるほど!」

源兵衛「うん!」

(笑い声)

茂「なるほど!」

源兵衛「うん! アハハハ…。」

布美枝「お父さん?」

源兵衛「ああっ!」

布美枝「ここにおったの。」

源兵衛「ああ… 仕事部屋 見せてもらっとったんだ。 なかなか面白いわ。 ハハハ…。」

布美枝「上の部屋に 布団 敷いてありますけんね。」

源兵衛「おお。 明日の朝は 箱根だけん そろそろ 寝るかな。 村井さん 仕事の邪魔をして すまんだったな。」

茂「ああ いえいえ。」

源兵衛「(せきばらい) 寝るぞ。」

茂「はい。」

布美枝「そこの奥 左です。」

源兵衛「ああ。」

<その翌日の事です>

台所

佐知子「茂さんが 『急用だ』って 言うから 来たんだけど。」

布美枝「私は 何も聞いとらんですけど…。」

茂「ああ すまんな 呼び出して。」

佐知子「また お母さんに 何か?」

茂「いや~ イカルは 光男のとこだ。」

佐知子「ああ。」

茂「ちょっこし相談だ。 姉さんなら 顔も広いし なんとかなると思ってな。」

佐知子「経理の事か何か?」

茂「いや… 藍子に見合いさせようかと 思うんだが…。」

布美枝「ええっ?!」

佐知子「知り合いが 結婚相談所にいるから 登録だけでも してみましょうか?」

布美枝「結婚相談所…。」

茂「どげなどこだ?」

佐知子「会員の中から 希望に合った相手を 紹介してくれるんですよ。 それは ええな。」

布美枝「お父ちゃん 藍子 この事 知っとるの?」

茂「相手が見つかってから話せばええ。」

布美枝「話を勝手に進めて 藍子が知ったら 怒りますよ。」

茂「だけん しばらくは 隠密裏に 事を運ぶんだ。」

布美枝「まあ…。」

茂「こっちは 何を用意したら ええのかね?」

佐知子「まず 写真ですね。 それから 相手に望む条件。」

茂「条件は 次男か 三男に限る。 住まいは 東京で 転勤がない事。」

佐知子「人柄は 優しい人って事で いいかしらね?」

茂「う~ん うん うん。」

布美枝「お姉さんまで…。」

佐知子「こういう事は 昔も今も 周りが 気を利かせて おぜん立てするものだから。 すぐに 話がまとまる訳じゃなし 登録するだけしておけば?」

布美枝「そげですかね…。」

茂「おい! お前は 藍子の写真を用意せえ。」

布美枝「いや けど…。」

茂「ええけん。 早こと。」

客間

布美枝「言いだしたら きかんのだけん。 (ため息) なして 急に見合いだなんて…。」

<突然 始まった 藍子のお見合い作戦。 しばらくの間は 水面下での 動きとなるはずだったのですが…>

<その2日後に…>

玄関前

雄一「藍子! よお。」

藍子「ああ 伯父ちゃん!」

雄一「安来のおじいちゃん達 箱根から 戻ってくるんだろう?」

藍子「うん。」

雄一「長男として 挨拶ぐらい しなけりゃな。 へへ…。 あ ついでに お前の写真 借りてこいって 佐知子に頼まれたわ。」

藍子「私の写真?」

雄一「ああ。 なんか この前のは 古いみたいだから もっと新しいのが いいみたいだ。」

藍子「それ 何の話?」

雄一「え?」

台所

藍子「どういう事? いつの間に 私が 見合いする事になってるの?」

雄一「すまん まさか 本人が知らんとは…。」

布美枝「ええ…。」

喜子「お姉ちゃん まだそこまで せっぱ詰まってないよね。」

布美枝「すぐに どうこうなる訳じゃなくて とりあえず 登録しとこうかって。」

藍子「分かった…。 早く結婚させて 先生 辞めさせるつもりなんだ。」

布美枝「それは…。」

茂「おう 兄貴。 来とったのか。 何だ?」

藍子「お父ちゃんでしょ? 言いだしたの。」

茂「ん?」

藍子「見合いだなんて! ひどいじゃない!」

茂「ばれてたか…。」

布美枝「まあ 藍子 落ち着いて。」

藍子「お母ちゃんも お母ちゃんだよ! なんで 止めてくれなかったの?」

布美枝「そげな事 言っても…。」

茂「こら お母ちゃん いじめるな!」

藍子「いじめてないでしょう!」

雄一「まあまあ 茂も 落ち着けって!」

茂「兄貴は 黙っといてくれ!」

雄一「何だ その言い方は! 俺は せっかく 頼まれて 写真 取りに来てやったのに!」

茂「ふん!」

<作戦は 大失敗でした>

玄関前

雄一「とても あの場には おられんな。」

源兵衛「おや?」

雄一「あ~ 安来の…?」

源兵衛「あんた 確か…。」

ミヤコ「茂さんのお兄さん?」

雄一「ええ どうも 雄一です。」

ミヤコ「あ どうも!」

源兵衛「お久しぶりです。」

雄一「ええ…。」

回想

源兵衛「あんたら 誰だ?!」

雄一「風呂 入りに来たんですよ。」

源兵衛「ここは 風呂屋ではねえぞ!」

雄一「はあっ?」

回想終了

源兵衛「今日も 風呂ですか?」

雄一「いえ まさか。 ありますよ。 風呂は うちに。」

源兵衛「ああ。」

雄一「そんな事よりね…。 もめてますよ。 失礼…。」

客間

源兵衛「箱根は わしは2度目だが やっぱり ええとこだなあ。」

ミヤコ「紅葉が 色づき始めてましたね。」

源兵衛「富士山が よう見えた。」

布美枝「天気よくて よかったねえ。」

源兵衛「暁子が 用意してくれた 旅館 昔 泊まったとこと 同じ宿でな 宿の人 わしの事 よう覚えとったぞ。」

喜子「旅館の人 すごい記憶力だね。」

源兵衛「わしは 特別だ。」

ミヤコ「何でも 特別が お好きですけんね。」

源兵衛「黙っとれ。 前に 来た時 東京で 胸像を作ってな。」

喜子「胸像?」

源兵衛「ケネディ大統領が 胸像を作ったとこが あると聞いたけん ほんなら わしもと。」

喜子「ケネディと一緒?! さすが おじいちゃん。 ねえ お姉ちゃん!」

藍子「…。」

源兵衛「胸像の話を聞いて 宿の人ら わしの事 陰で 御前様と呼んどったそうでな。 『久しぶりに 御前様が来た』 と言って 刺身を 余計に付けてくれたわ。 ワハハハ…。」

(2人の笑い声)

藍子「…。」

源兵衛「おい 布美枝 どげなっとるんだ?」

布美枝「それが…。」

藍子「私の知らないうちに 見合いの話が進んでたの。 相手の条件まで決めて 申し込むなんて。 やりすぎだよ!」

茂「今 そげな話をするな。 また 後に せえ。」

源兵衛「藍子 そげん怒るな。」

藍子「だって おじいちゃん!」

源兵衛「わしだ!」

藍子「え?」

源兵衛「わしが アドバイスしたんだ。」

ミヤコ「やっぱり。」

布美枝「お父さんが…? あっ!」

回想

源兵衛「村井さん。」

茂「はい。」

回想終了

布美枝「あの時か…。」

藍子「なんで おじいちゃんまで 私の進路を妨害するの? 信じられない。」

喜子「かえって こじれた。」

藍子「邪魔しても 無駄だからね。 みんなが反対しても 私は 先生に…。」

絹代「ただいま!」

ミヤコ「ああ!」

源兵衛「おう。」

絹代「あ~。」

ミヤコ「お邪魔しております。 ごぶさたいたしております。」

絹代「いえいえ こちらこそ。」

源兵衛「どうも この度は…。」

喜子「おばあちゃん いいところに 帰ってきたね。」

布美枝「ほんと!」

モバイルバージョンを終了