ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第151話「ありがとう」

あらすじ

昭和60年10月。布美枝(松下奈緒)の父・源兵衛(大杉漣)が、脳こうそくで倒れたという知らせが届き、布美枝は1人、安来へと見舞いに向かう。実家では、床で眠る源兵衛に、ミヤコ(古手川祐子)や兄嫁・邦子(桂亜沙美)たちが、心配そうに付き添っていた。源兵衛は、自分が倒れたことを東京の布美枝に知らせようとはせず、源兵衛の容体が落ち着くのを待って、家族が布美枝に連絡をしたということだった。

151ネタバレ

水木家

玄関

布美枝「冷蔵庫に 煮物 作ったの 入っとるよ。 おばあちゃんの好きな シチューの作りおきも あるけんね。」

喜子「学校なかったら 一緒に行くんだけど…。 おじいちゃん 大丈夫かな?」

布美枝「『意識も はっきりしとるし ご飯も食べられるけん 心配いらん』と言っとったよ。」

藍子「『深大寺の桜 見に来る』って 約束だよ。 『早く元気になって』って伝えてね。」

布美枝「うん。 あ お母さん。 3日ばかり 家を空けますけど よろしくお願いします。」

絹代「ミヤコさんに 伝えてごしなさい。 『源兵衛さんは 必ず ようなる! 心配して 自分が患わんように』って。」

布美枝「はい! あ お父ちゃん もう こげに朝早くから ええのに。」

茂「おやじさんに よろしくな。」

布美枝「はい…。 行ってきます。」

父の源兵衛が 脳梗塞で 倒れたという知らせが入り 布美枝は 見舞いのため 一人 安来に向かいました>

島根県安来市大塚町

飯田家

源兵衛の部屋

布美枝「お母さん…。」

ミヤコ「ああ 布美枝。 来てくれたかね。」

布美枝「お父さんの具合 どげ?」

ミヤコ「今 寝とる…。」

絵里子「おばあちゃん ここ 代わる。」

邦子「絵里子が ついとりますけん フミちゃんと お茶でも。」

ミヤコ「ほんなら 頼むかね。」

布美枝「お父さん… 年取ったなあ。」

居間

邦子「これ フミちゃんのお土産です。」

ミヤコ「ああ だんだん。 遠いところ わざわざ すまんだったねえ。」

布美枝「ううん。 お父さん しばらくは 病院かと思っとったけど。」

邦子「頭のレントゲン撮るのに いっぺんは 入院したんだけどねえ。」

ミヤコ「『うちがええ』って言うもんだけん 連れて戻ったんだわ。」

布美枝「そう。」

邦子「村井さんのお仕事 大変なんでしょう?」

布美枝「テレビも始まって 仕事の注文も 増えて 慌ただしくしとるわ。」

ミヤコ「お父さんも 楽しみにしとったんだよ。 『鬼太郎』のテレビ。」

邦子「倒れたの あれ 放送が始まる2日前でしたねえ。」

布美枝「え?」

ミヤコ「張り切って あっちこっちに 知らせろ言って。」

回想

ミヤコ「あんまり言って回ると 自慢しとるようですけん。」

源兵衛「婿の自慢して 何が いけんのだ。 繰り返しテレビになるというのは 『鬼太郎』が名作の証拠だわ。」

邦子「そげですねえ。」

源兵衛「わしは 貸本漫画の頃から ええと思うとった。」

ミヤコ「何回も おんなじ自慢して。」

源兵衛「何だ?」

ミヤコ「…いいえ。」

源兵衛「おい お茶ごしぇ。」

ミヤコ「ああ はい。」

源兵衛「及川さんとこには 連絡したか?」

ミヤコ「はい。 この前 電話で。」

(茶わんを落とす音)

源兵衛「うっ!」

ミヤコ「お父さん?」

源兵衛「うん… おかしいな。」

ミヤコ「お父さん! えっ?! お父さん!」

邦子「どげしました?! 大丈夫ですか?!」

源兵衛「大丈夫だ…。」

邦子「絵里子! 隣の田村先生 呼んできて!」

絵里子「はい!」

ミヤコ「お父さん!」

邦子「どげしました~!」

ミヤコ「しっかりしてごしない!」

回想終了

ミヤコ「かわいそうに 体の右側が 動かせんようになってしまって。」

邦子「それでも 心配しとったより ずっと軽かったですけんねえ。 『リハビリしたら 動かせるようになる』って お医者さんも言っとられましたし。」

布美枝「調布のお母さんも そげ言ってました。 『必ず よくな~だけん お母さん方が 病気せんように』って。」

ミヤコ「だんだん。 でも… 年も年だし。」

邦子「気持ちが しっかりしてますけん。 フミちゃんとこにも 最初は 『知らせるな』って 言っとられたんだよ。」

布美枝「え?」

邦子「倒れた時 すぐに電話しようとしたわね。 そげしたら お父さんが…。」

ミヤコ「『俺は このぐらいでは死なん 大げさに騒ぐな』って。 『心配させたらいけん』って。」

源兵衛の部屋

源兵衛「もう ええわ。」

布美枝「…はい。 こげして栄養つけて ゆっくりしたら すぐに よくな~ね。」

源兵衛「だけん 『わざわざ来んでもええ』と 言ったがの。 大げさに騒ぐ事はないが。」

布美枝「何 言っとるの。 私だって たまには帰ってきて お父さんの顔 見たいわ。」

源兵衛「春に また 調布に 行くつもりでおったわの。」

布美枝「子供達が言っとったよ。 『桜を見に来る約束だ』って。」

源兵衛「アッハ… 藍子は どげしとる? 学校の先生 しっかりやっとるか?」

布美枝「うん。 最初は苦労しとったけど 近頃は ちょっこし 自信もついてきたみたいだわ。」

源兵衛「そげか。」

布美枝「喜子は 『短大卒業したら 水木プロの仕事を手伝う』って 言ってくれとるんだわ。」

源兵衛「ああ そら よかった~!」

布美枝「うん。 あ お父さん 横にならんと。 無理したらいけんよ。」

源兵衛「重病人扱いをするな! だらず!」

布美枝「あっ… すんません。」

源兵衛「布美枝… テレビは どげだ?」

布美枝「『鬼太郎』?」

源兵衛「うん。」

布美枝「評判 ええみたいだわ。」

源兵衛「そげか…。 ええ仕事をしとるなあ 村井さんは。」

布美枝「うん…。」

源兵衛「お前… ええ男と一緒になったなあ。 どげなるかと 案じとったが…。」

布美枝「なして? お父さん 最初から言っとったよ。 40年 50年 連れ添うなら あげな人が ええ」って。 『腕一本で 自分の道を 切り開いて生きとる。 つまづいても しぶとく立ち上がるのは あげな男だ』って。」

源兵衛「そう思っとってもな…。 見込み違いかもしれん。 嫁にやって つらい思いを させたかもしれんと…。」

布美枝「お父さん…。」

源兵衛「心配せん親は おらんわ。 貸本屋の店先で… わしが どなった事があっただらが。」

布美枝「ええ…。」

源兵衛「お前 わしに向かってきた…。」

回想

布美枝「うちの人は… 本物の漫画家ですけん!」

回想終了

源兵衛「村井さんに 寄り添って立っとった…。 ほっとしたわ。 この結婚は 間違いではなかったと 分かったけん。 だども… ちょっこし寂しい気もした。 お前は わしの娘から 村井さんの女房に 変っとったけん。」

布美枝「お父さん…。」

源兵衛「うん…。 さて 横になる…。 うん。」

居間

哲也「布美枝が 戻ってきたか。」

邦子「ええ。 今 お父さんのお部屋に。」

哲也「お父さん 喜んどるだろう。」

ミヤコ「強がり言っとるけど 会いたいに決まっとるわ。 昔は 賑やかだったねえ…。」

哲也「え?」

ミヤコ「大勢で ワイワイ…。 布美枝が目立たなくて かわいそうなぐらいだった。」

哲也「みんな 嫁に行ったり それぞれで やっとるけんな。」

邦子「日曜日には 俊文が 『夫婦で 顔 出す』と言っとりましたよ。」

哲也「俊文んとこに 子供ができたら また賑やかになるわ。」

ミヤコ「ウフフ! そげだね…。」

源兵衛の部屋

布美枝「お父さん。」

源兵衛「ん?」

布美枝「よくなったら 歌 聞かせてね 『安来節』。」

源兵衛「ああ…。」

布美枝「『近頃 よう歌っとる』って お母さん言っとったよ。 私は 2回しか聴いた事ないけど。」

源兵衛「そげか…。」

布美枝「最初は 子供の時…。 お母さんの枕もとで 一緒に歌っとったね。 次は 私の婚礼の時で…。」

回想

源兵衛♬『安来千軒』

回想終了

布美枝「『枝も栄えて 葉も茂る』と 歌ってくれた。」

源兵衛「ああ…。」

布美枝「あの時は… 緊張しとったし お婿さんが酔っ払って倒れたりで 気づかんだったけど…。 『枝も栄えて』には 布美枝の枝。 『葉も茂る』には しげさんの名前。 両方 ちゃんと 入れとってくれたんだね。」

布美枝「♬『枝も栄えて 葉も茂る』 お父さん… 眠ったの?」

源兵衛「♬『枝も栄えて 葉も茂る』 歌のとおりになれよ。 布美枝。 ええな。」

布美枝「…はい。」

源兵衛「うん…。」

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