ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第152話「ありがとう」

あらすじ

父の見舞いで帰省した布美枝(松下奈緒)は、何年かぶりに幼なじみのチヨ子(平岩紙)と会い、それぞれの近況を語り合う。今は遠く離れていても“故郷の人たちが、自分や家族のことを気遣ってくれている”と感じた布美枝は、その胸に温かいものがこみ上げる思いだった。兄嫁・邦子(桂亜沙美)が、かいがいしく家事をしてくれる姿に、布美枝は、ありがたみを感じて…。

152ネタバレ

飯田家

玄関

布美枝「わあ! おいしそう!」

留蔵「これ 源兵衛さんに。 魚は 脳梗塞にも ええがなけん。」

布美枝「いつも すいません。」

克江「みんな 案じちょ~よ。 早ことような~と ええね。」

留蔵「源兵衛さんの大声が聞こえらんと こっちも 何だい 調子が出んわ。 なあ。」

克江「うん。 そうだども フミちゃんの顔 見て 元気が出ただねかね。」

留蔵「顔見せるのが 何よりの薬だわ。」

布美枝「はい。」

チヨ子「フミちゃん お~かね?」

布美枝「チヨちゃん!」

克江「おや 下駄屋の野村さんとこの?」

チヨ子「ごぶさたしちょ~ます。」

居間

チヨ子「幾つになっても ここに戻ってく~と 下駄屋の野村さんとこのって 言われ~わ。 下駄屋 何十年も前に やめちょ~のにね。」

布美枝「昔から 町中 顔なじみだけん…。 あ こっちで 何かあったかね?」

チヨ子「実家の母親が 風邪ひいたって 言うもんだけん 様子 見に来たんだわ。」

布美枝「具合は どげかね?」

チヨ子「ほんの鼻風邪。 何かと 理由つけては 会いに来いって 言うわね。 けど フミちゃんが 戻ってきちょ~時で ちょうど よかったわ。」

布美枝「ほんとに。 久しぶりだね。」

チヨ子「こないだ まっちゃんと 節子にも会ったよ。」

布美枝「みんな 元気しちょ~かね?」

チヨ子「ちっとも 変わっとらん。 まあ はたから見たら みんな 立派なおばさんになっちょ~けど。」

布美枝「そら そげだわ。」

チヨ子「うちの子も 結婚して2年だし そろそろ 子供が でき~かもしれん。 そげなったら 私も おばあちゃんだよ!」

布美枝「チヨおばばかね。」

チヨ子「やだ!」

布美枝「フフフフ!」

邦子「いらっしゃい!」

チヨ子「お邪魔しちょ~ます。」

布美枝「だんだん。 後は 自分でやるけん。」

邦子「ほんなら私 店に行っとるね。 ゆっくりしていってごしない。」

チヨ子「だんだん。 ふ~ん。」

布美枝「何?」

チヨ子「さりげなく席を外すとは なかなかできた 兄嫁さんだわ。」

布美枝「ええ人なのよ。」

チヨ子「お父さんの事は 大変だけど あげな人がおったら 心強いね。」

布美枝「うん。」

チヨ子「それはそうと 旦那様 また快進撃で おめでとうございます。」

布美枝「あ~がとうございます!」

(2人の笑い声)

チヨ子「けど 村井さんって フミちゃんより 10歳上でしょう。 普通の会社員なら 定年退職しとる年だわ。」

布美枝「定年か。 考えた事もなかったわ。」

チヨ子「それで まだ 第一線で 活躍しちょ~だけん 大したもんだわ。」

布美枝「売れ始めたのが遅かったけん 人より 定年が 遅いのかもしれんけんね。」

チヨ子「ほんなら まだまだ行けそう?」

布美枝「うん 年中無休で 働いとるよ。 うちの人 体が丈夫だけん。」

チヨ子「それは フミちゃんの功績もあるね。」

布美枝「ん?」

チヨ子「働く亭主の健康を守って 家を支えとるのは 女房だけん。 私 テレビで 『鬼太郎』見る度に フミちゃんが一生懸命やっとる姿 思い浮かべとるんだよ。」

布美枝「私を?」

チヨ子「画面のどこにも フミちゃんの名前は 出てこん。 けど 村井さんの活躍の陰には フミちゃんが お~だもん。」

布美枝「チヨちゃん…。」

チヨ子「いつも テレビに向かって 応援しちょ~よ。 『頑張れ フミちゃん』って。 みんな よう知っちょ~けん フミちゃんは 目立たんとこで 人より 頑張っとる事。 まあ おるかおらんか 分からん時もあるけどな!」

布美枝「ほんと よう忘れられとった。」

回想

布美枝「あれ… あめ玉?」

チヨ子「先生! フミちゃんは 皆勤賞だけん 賞品は キャラメルじゃないかね?」

指導員「お前 毎日 来ちょったか!」

回想終了

(2人の笑い声)

ミヤコ「まあ チヨちゃん! 久しぶりだねえ。」

チヨ子「ごぶさたしちょ~ます!」

ミヤコ「家の人達は みんな お元気かね?」

<遠く離れている ふるさとの人達も 自分や家族を 気遣ってくれている。 布美枝の胸に 温かいものが 込み上げてきました>

台所

布美枝「昔は よう こうやって 2人で 台所に立ったね。」

邦子「歌 歌って お父さんに叱られて。」

布美枝「あの頃の お父さん 怖かったけん。」

邦子♬『夕焼け小やけの赤とんぼ』

2人♬『負われて見たのは いつの日か』

布美枝「やっぱり 私達 ほんとに 上手にハモるわ。」

邦子「ほんと。」

布美枝「邦子さん。」

邦子「ん?」

布美枝「いろいろ だんだん。」

邦子「え?」

布美枝「ほんの 3日ばかりしか手伝えんで 明日には もう東京に戻らんといけん。」

邦子「家 長い事 空けられんもん しかたないわね。」

布美枝「いろんな事 任せっきりで。」

邦子「フミちゃん…。」

布美枝「お父さんの事も ようしてもらって。」

邦子「私ね お嫁に来てから お父さんには 随分 叱られたわ。 昔は ここで こっそり 泣いとった事もあるよ。」

布美枝「うん。」

邦子「でも この間…。」

回想

邦子「今日は 少し冷えますね。 毛布1枚 増やしましょうか。」

源兵衛「いらん。 そげに 着せられたら 重くてかなわん。」

邦子「すんません。」

源兵衛「邦子。」

邦子「はい。」

源兵衛「わしは 運が ええな。」

邦子「ん?」

源兵衛「娘が そばにおって こげに 世話してくれ~だけん。」

邦子「え? お父さん 今 何て言いました? お父さん?」

源兵衛「『うちの娘だ』。 そう言ったんだ。」

回想終了

邦子「あげな事 言ってもらえたら お世話のしがいもあるわね。」

布美枝「うん。」

ミヤコ「邦子さん。」

邦子「はい。」

ミヤコ「つめ切りは どこだかね?」

邦子「茶ダンスの引き出しの中です。 私が出しますけん。」

ミヤコ「見あたらんのだわ。」

邦子「ここに入れたはずですけど。 あ… こげなとこに紛れとった。」

布美枝「ほんとに 親子だわ。」

源兵衛の部屋

(小鳥の鳴き声)

布美枝「また 近いうちに来るけんね。 今度は 藍子達も連れて。」

ミヤコ「そげしてごしない。」

源兵衛「度々 来んでも ええ! 一家の主婦が 軽々しく 家を空けたらいけん。」

布美枝「はい。」

源兵衛「村井さんも 子供やちも ここからが 正念場だ。 今ちょっこし ええからと 油断しとったら いけん。」

布美枝「はい。」

源兵衛「村井さんに 伝えてごしえ。 いずれ 一戦 交えに行くけん 腕 磨いて 待っとれと。」

布美枝「はい。 ほんなら 行くね。」

源兵衛「うん。」

布美枝「大事にね。 お父さん!」

源兵衛「はい。」

台所

ミヤコ「邦子さん!」

邦子「はい。」

ミヤコ「部屋には おらん!」

邦子「フミちゃんなら さっき もう 帰られ…。」

ミヤコ「お父さんだがね! お父さんが おらん。」

邦子「ご不浄じゃないですか?」

ミヤコ「見たけど おらん!」

邦子「ええっ?! まだ 1人では 歩けんですよ。」

ミヤコ「そげだがね。」

仏間

源兵衛「おばば…。 貴司…。 布美枝達を頼むぞ。 わしは 行ってやれんけん 代わりに 守ってやってごしえ。」

水木家

台所

茂「ようけ もらってきたなあ。」

布美枝「今年は おいしく出来たって 梅干しも 持たされました。」

茂「うん 蜂蜜が利いとる これは うまいな!」

布美枝「お父さんは 先見の明がありましたよね。 戦時中に始めた 蜂蜜作りで うちは その後 随分 助かったんですよ。」

茂「うん。 おやじさんは 大局観を持っとるな。」

布美枝「碁の腕 磨いとけって 言っとりましたよ。」

茂「この前は してやらてたが もう 手筋は 読めた。 この次は 負けんわ。」

布美枝「大丈夫ですか? うちの父は 段持ちですよ。」

茂「何段だ?」

布美枝「アマの四段と聞いとります。」

茂「何だ 通りで 強いはずだ!」

布美枝「お茶 いれましょう。」

茂「ああ。」

布美枝「この次か…。」

<この次は もう ないかもしれない。 布美枝も茂も 心のどこかで 覚悟していました>

玄関前

<そして 翌年の春…>

布美枝「はあ! きれい! 邦子さんからだ。 ああ よかった! お父さん 元気そうだわ。」

北村「奥さん! ごぶさたしてます。」

布美枝「ああ 北村さん!」

<久しぶりに 雄玄社の北村が 訪ねてきました>

北村「ドラ焼き 買ってきました!」

休憩室

茂「いや~ しばらくですなあ。」

北村「すいません! すっかり ごぶさたしまして。 先生 3度目の『鬼太郎』のアニメ 大ヒット おめでとうございます!」

茂「うん。」

布美枝「お待たせで すいませんけど。」

茂「おう ドラ焼きか! 好物を よう 覚えとったですな!」

北村「もちろんです。」

茂「うん うまい!」

北村「『鬼太郎』ブームのお陰で 連載中の『月刊マンガタンク』も 売れ行き好調です。」

茂「あんたは しばらく 漫画から 離れとったね。」

北村「ええ。」

布美枝「今は 何の雑誌 やっておられるんですか?」

北村「3年ばかり 文芸誌の方におりましたが 今度 また異動で。 『月刊マンガタンク』で 編集長をやる事になりました。」

茂「ほう! 編集長か!」

布美枝「おめでとうございます。」

光男「おめでとうございます。 今後とも よろしくお願いします。」

北村「あっ こちらこそ。 実は 今日は 早速 その件で ご相談にあがったんです。」

茂「うん 何でしょう?」

相沢「こんにちは!」

北村「いや~ 点々の菅井さん!」

菅井「ああ どうも…。」

北村「ちっとも 変らないなあ!」

菅井「北村さんは 貫禄つきましたね。」

光男「北村さん 今度 『マンガタンク』で編集長だそうだ。」

菅井「へえ~! 編集長!」

茂「それで 話というのは 何ですか?」

北村「ああ…。 ちょっと 大変なお願いなんですが。」

茂「ん?」

<好評のはずの 『鬼太郎』の連載に 何か 新たな問題が 持ち上がったのでしょうか?>

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