ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第155話「ありがとう」

あらすじ

水木プロダクション設立20周年記念の謝恩パーティーを無事に終えて、布美枝(松下奈緒)、茂(向井理)、藍子(青谷優衣)、喜子(荒井萌)は、家へと帰ってくる。盛況だったパーティーの余韻が残るなかで、一家はあらためて“家族のきずなの尊さ”を感じる。パーティーの翌日、調布の住人たちをはじめとする、さまざまな人びとが村井家を訪れ、それぞれに“水木プロ20周年”を祝う。

155ネタバレ

水木家

客間

絹代「やれやれ 着いた!」

布美枝「お母さんも 疲れたでしょう。」

絹代「次から 次に いろんな人が 挨拶にく~だもん。 しげさん!」

茂「ん?」

絹代「ええ パーティーだったね。」

茂「ああ。」

藍子 喜子「お父ちゃん!」

茂「おう。」

藍子 喜子「20周年 おめでとう!」

喜子「はい!」

布美枝「あら!」

藍子「長い間 お疲れさまです。」

喜子「これからも 頑張ってね。」

茂「おう。 おい。」

布美枝「え?」

茂「それは お母ちゃんにだ。 お母ちゃんがおらんと ここまで やってこられんだったけんな。」

布美枝「お父ちゃん…。」

茂「さち 俺は 仕事だ 締め切りが迫っとるけん。 気を抜いては おられんわ。」

布美枝「あの…。」

茂「お茶 持ってきてくれ。」

絹代「しげさん てれとるわ。」

藍子「あ~あ お父ちゃんに やられちゃったね。 お母ちゃんの分も 用意してあったのにな。」

喜子「ブローチじゃ 勝ち目ないよ。 お父ちゃんにもらう 花束の方が ずっと うれしいよね。 お母ちゃん!」

布美枝「今日は… いい日だな。」

両親の部屋

絹代「はい お土産。 いい集まりでしたよ。 あら! 『目玉親父』だわ。 ハハハ! こっちは 布美枝さんですかね? ハハハ!」

絹代「面白い事がありましたわ。 藍子達からもらった 祝いの花束。 しげさん 布美枝さんに 渡したんですよ。 あの 朴念仁が 気の利いた事 するもんですねえ。 お父さんも もう ちょっこし 頑張っとったら 一緒に見られたのに。 慌てて死んでしまうけん。」

仕事部屋

布美枝「お茶 置きますね。 変らんな… お父ちゃんは。」

<そして パーティーの翌日の事>

客間

布美枝「あ 喜子 これ配りにいくの 手伝ってくれる?」

喜子「いいよ どこ持ってくの?」

布美枝「商店街。 パーティーには 来てもらえんだったけど 記念品だけでも 差し上げたいけん。」

喜子「うん。」

(電話の呼び鈴)

布美枝「はい 村井でございます。 あ 靖代さん! 今 そっちに 行こうと。 え? はい それじゃあ。」

玄関

一同「こんにちは~!」

布美枝「あら! おそろいで。」

靖代「20周年」

一同「おめでとう!」

布美枝「え?」

徳子「お祝いに押しかけてきたの。」

靖代「実はさ パーティ会場に お花でも贈ろうって みんなで 話してたのよ。 けどさ 仕事の会にまでねえ しゃしゃり出るのも どうかと思ってね。」

徳子「でもさ 何かしたいじゃない!」

和枝「それで 押しかけ祝賀会。」

布美枝「あ~ 皆さん!」

靖代「ちょっと! お祝い 連れてきたわよ!」

布美枝「連れてきた?」

靖代「はいはいはい!」

布美枝「亀田さん。」

亀田「どうも~!」

徳子「いや もう この人じゃない! 分かってますよ! 私はほんの おまけ。 真打ち 真打ち! はい!」

和枝「ほら 入って 入って。」

亀田「怖くないから はいはいはい!」

太一「ごぶさてしてます。」

布美枝「あ~ 太一君!」

客間

靖代「まあ~ 面白いわね この湯飲み!」

亀田「特注?」

布美枝「それを 届けに行こうと 思っとったんですよ。」

亀田「それ 私も頂いていいのかな?」

布美枝「もちろんです。 一六銀行さんには 長々お世話になりました。」

和枝「銀行だって。 いよ! 頭取!」

亀田「コホン! ハハハハ!」

布美枝「太一君は 今 福島なんでしょう?」

太一「あっちに 工場が移って それから ずっとです。」

靖代「ちょっと あんた 今 工場長なんだってさ!」

布美枝「わあ すごい!」

太一「いや 年の順で。 年賀状ばっかりで なかなか 顔も出せず すいませんでした。」

布美枝「いいえ こちらこそ。」

太一「靖代さんから 20周年の話 聞いて 俺も何か お祝いしたくなって。」

徳子「寄り道してきたのよね。」

太一「はい。 これ 預かってきました。 こみち書房の おばさんからです。」

布美枝「美智子さんから? 手紙? あら… これ? 美智子さんのはり紙。」

(一同の歓声)

靖代「よく 取ってあったわねえ!」

美智子✉『布美枝ちゃんへ 会社設立二十周年 おめでとうございます』。

布美枝「美智子さん…。」

太一「おばさん この間 とうとう 貸本屋 閉めたそうです。 そんで 片づけてる時に 古い本の間に それが 挟まってたって 言ってました。」

美智子✉『先生が ここまでお元気に 漫画を描き続けていられるのも 布美枝ちゃんが しっかり 支え続けてきたお陰ですね』。

回想

美智子「布美枝ちゃん 頑張ってね!」

回想終了

仕事部屋

茂「おい スガちゃん これ頼む!」

菅井「はい。」

新人「菅井さん ここなんですけど。」

菅井「ここは もっと 細かく点を打たないと。」

新人「はい。」

喜子「お父ちゃん。」

茂「おう 何だ?」

喜子「珍しい人が来てるから 後で 顔を出して下さいって お母ちゃんが。」

茂「ん? 珍しい人?」

客間

靖代「布美枝ちゃんが来てから まあ いろんな事あって 楽しかったわねえ。」

徳子「ほんとに! ほら! 読書の集いとか やりましたねえ。」

布美枝「懐かしいですね。」

回想

布美枝「お世話になります! 宣伝 よろしくお願いします!」

3人「うん! 任せなさい!」

回想終了

布美枝「胸をポンと叩いて 任せなさいって 言ってくれるのが 頼もしくて。」

亀田「いい話だね。 その時 一声かけてくれたら 私だって 質流れの品物 一つや二つ ナニしてさ…。」

和枝「あら そんな事したら おかみさん怖いわよ!」

亀田「離縁します。 ハハハ! 一度 言ってみたかったの。 一度 言ってみたかったの! 離縁しますって。」

茂「あれ! 珍しい人って 質屋のご主人か! 一遍 会いに行こうと 思っとったんですよ。」

亀田「あらら! 何か質入れですか?」

茂「今になって気づいたんですがね 本当なら流れとる質ぐさ ご主人が 止めとってくれたんじゃないかと。」

靖代「あら そうなの?」

亀田「え? 忘れちゃった。 ヘヘヘヘ!」

太一「先生!」

茂「あれ? あんた…。」

太一「ごぶさたしてます。」

茂「ああ~! 詩人の!」

太一「詩人か…。 はい。」

茂「詩は 書いとるんですか?」

太一「趣味で細々と。」

茂「そら ええですな。」

太一「先生の漫画も ずっと読んでます。 最初の『鬼太郎』とは 今のは 大分 違うけれども やっぱり先生の作品は 面白いです。」

茂「あんた 貸本の時代から 『鬼太郎』の世界を よう 分かっとったからな。」

太一「俺は 大勢の中の一人です。 何万か何百万か 数は 分からないですけど 大勢の読者が 俺と同じように 『鬼太郎』を応援してるんです。 先生の漫画を 楽しみに待ってるんです。 描き続けて下さい。 俺は ずっと 読み続けます。」

茂「うん。」

靖代「まだまだ 先が長いですね。 先生 たくさん 食べて 力 つけないと!」

布美枝「あら! お茶がないですね!」

<太一は 布美枝が 最初に出会った 茂の漫画の読者でした。 会った事のない大勢の読者 その人達も また 茂の漫画を 支えてくれていたのです>

布美枝「たくさんの人達に… だんだん。」

<水木プロ20周年の夏は こうして 賑やかに過ぎていきました>

<そして 秋風が吹き始めた 9月の末 安来から 悲しい知らせが 届いたのです>

夫婦の寝室

布美枝「おばば お父さんが…。 そっちに行ってしまったよ。」

茂「一緒に送りに行くか。」

布美枝「仕事は ええの?」

茂「なんとかなる。 みんなで行こう。」

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