連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」】18話のネタバレです。
あらすじ
布美枝(松下奈緒)の結婚式がいよいよ翌日に迫った。布美枝は子どものころからの親友・チヨ子(平岩紙)とともに、まだ幼かったころの思い出を語り合う。しかし、自分が結婚して東京に行くという実感が、布美枝にはなかなかわかなかった。父・源兵衛(大杉漣)に、結婚して家から旅立つあいさつをする布美枝。そして、ついに1月30日、結婚式当日の朝がやってきた。慌ただしい雰囲気のなか、布美枝は家をあとにする。
18話ネタバレ
飯田酒店
チヨ子「あんまり 急な話だけん まっちゃんも 節子も 一緒に来られんかったけど これ 私達からのお祝い。 おめでとう!」
布美枝「だんだん!」
チヨ子「座布団カバー 使ってね。」
布美枝「あっ… うん うん。」
チヨ子「明日 お式でしょう? 支度できとるの?」
布美枝「荷物も 送ったし 大体 済んどる。 チヨちゃん ちっと つきあってくれる?」
神社
布美枝「よう ここに座って 2人で いろんな話したよね。」
チヨ子「うん。」
布美枝「願い事したり…。」
チヨ子「ぼた餅 食べたり…。」
布美枝「盆踊りの稽古もしたよね。」
チヨ子「ヒロシに邪魔されたよね。」
(笑い声)
チヨ子「新婚旅行は どこ行くの? 皆生温泉? 玉造温泉?」
布美枝「旅行の予定は 今のとこ なし。」
チヨ子「嘘でしょ?!」
布美枝「仕事が忙しいんだって。」
チヨ子「新婚早々 サービス悪いねえ。」
布美枝「『旅行は 仕事が 一段落したら 考える』って 言っとられた。」
チヨ子「言いくるめられたら いけんよ! 売れっ子の漫画家だったら しっかり 稼いどるだろうし 熱海でも どこでも 連れてってもらわな。」
布美枝「私にしたら 東京に行く事自体 新婚旅行みたいなもんだけんね。」
チヨ子「箱根の山 越えた事ないでしょ?」
布美枝「箱根の山どころか… 京都より東に 行った事ないもんね。」
チヨ子「はあ~っ それで 見合いから5日で結婚して そのまま 東京って ほんとに 一大決心だねぇ。」
布美枝「あんまりトントン 話が勧むけん まだ 実感が わかないんだけどね。
チヨ子「私も… 親の挨拶した時だったな。 お嫁に行くんだって 初めて実感したの。」
布美枝「ふ~ん。」
チヨ子「挨拶 もう済ませた?」
布美枝「お母さんには ゆうべ。 お父さんには まだ言っちょらん。」
チヨ子「タイミングが難しいんだよ。 前の日に言うか 嫁ぐ朝に言うか。 じゃあ 私 そろそろ行くね。」
布美枝「うん。」
チヨ子「フミちゃんが いい奥さんに なれますように。 東京に行って 幸せになりますように。」
布美枝「今まで ありがとうございました。 チヨちゃんの事 よろしくお願いします。」
川
<東京は 安来から はるか遠い場所でした。 今度 いつ戻ってこられるか 分からない故郷。 懐かしい その景色を 目に焼き付けながら 布美枝は ふるさとの山や 川や 町並みに 別れを告げました>
飯田家
居間
(ラジオ)
布美枝「あの… お父さん。 あの…。」
源兵衛「やかましい番組だな。」
いずみ「お姉ちゃんが 何か言っとるよ。」
源兵衛「ニュースは やっとらんのか。」
いずみ「お父さん 照れとるわ。」
布美枝「いずみ。」
ラジオ♬『オーラ オーラ 達者でな オーラ オーラ また 遭おな』
いずみ「すごい ぴったりな曲! ハハッ。」
2階
哲也「ちょっと ええか? すっかり 片づいたな。」
布美枝「うん。 明日 持っていくもんは 全部 これに詰めた。」
哲也「布美枝 ネクタイの結び方 知っちょ~か?」
布美枝「ネクタイ? 結んだ事ないけど…。」
哲也「明日 お前が嫁いでいく相手は 片腕がない。『何でも できる』言っても ネクタイは 片腕では結べんけん。」
布美枝「ああ。」
哲也「お前が 結んでやらなけりゃいけんぞ。 俺が 練習台になるけん。」
布美枝「はい。 上から くるっと回して…。」
哲也「結び目の形を整える。 ええな?」
布美枝「うん ネクタイか… 気づかんかったな。 旦那様が不自由してたら 私が力にならんと いけんね。」
哲也「ああ。」
布美枝「だんだん。」
哲也「気づいたのは おやじだわ。」
布美枝「え?」
哲也「『布美枝に ネクタイの締め方 教えてやれ』と おやじが言ったんだ。 自分で教えれば ええもんを…。」
布美枝「お父さんが…。」
哲也「照れくさいのかもしれんな。」
飯田酒店
布美枝「何しとるの?」
源兵衛「ん? 明日 出す酒 選んどる。 酒屋が よそから 酒を買う必要は ないけん うちから持っていく。」
布美枝「はい。」
源兵衛「村井の一族は 飲めんと 言うとったけん ええ酒 出しても 味は分からんな。」
布美枝「うん。」
源兵衛「なら 酒は2級酒で ええか。」
布美枝「え~っ!」
源兵衛「冗談だ。」
布美枝「お父さんでも 冗談 言うんだ。」
源兵衛「だらず。 お前の晴れの日だけん 一番 ええ酒を 出してやる。 どげだ… ピカピカの特級酒だ。」
布美枝「さっき… 兄さんが ネクタイの結び方 教えにきてくれた。」
源兵衛「おう。」
布美枝「お父さんが 気が付いてくれたんだってね。『片手じゃ ネクタイ 結べない』って。」
源兵衛「旦那さん 他にも できん事が あるかもしれんぞ。」
布美枝「うん。」
源兵衛「最初は… 苦労するかもしれん。 慣れん土地で… わしらには 分からん 漫画家いう 仕事をしとって しかも 片腕だ。 楽は できんかもしれん。 だども 人生は その先が 大事だけんな。 40年 50年… 一緒に生きた果てに これで よかったと思えたら それで ええんだ。」
布美枝「うん。」
源兵衛「あの男は なかなか ええ。」
布美枝「お父さんは どこが気に入ったの?」
源兵衛「食べっぷりだ。」
布美枝「えっ?」
源兵衛「あげん うまそうに 朗らかに 遠慮も何もなしに 飯を食う人間は なかなか おらんわ。」
回想
茂「ああ~。」
回想終了
源兵衛「あの食べっぷりは ええ。」
布美枝「それから?」
源兵衛「それだけだ。」
布美枝「それだけ? 食べっぷりだけ?」
源兵衛「ものの食い方には 人間の品性が出るだぞ。 生きる力が どれだけ強いかは 食い方を見れば 分かる。 生きるというのは すなわち 食う事だけんな。 あの男は ええ。」
布美枝「ちゃんと 見るとこ 見とるね。」
源兵衛「当たり前だ。 見どころのない男に 大事な娘は やれんわ。」
布美枝「お父さん。 だんだん。 嫁に行くの… 人より遅くなってしまったけど その分 長く このうちに暮らせて お父さんと一緒に暮らせて… 私 幸せだったと思っとるよ。 長い間… お世話になりました。」
源兵衛「何を言うちょ~だ… もう 寝れ。 明日の朝は… 早いぞ。 ぐずぐずせんと… もう 寝れ。」
(戸を閉める音)
仏間
布美枝「おばば ご縁に巡り合ったよ。 明日 婚礼が済んだら 私 東京に行くけど おばばは ず~っと見守っててくれるよね? 私が 東京に行っても 家族みんな 元気で 幸せに暮らしますように。」
<おめでとう 布美枝。 お前が どこで暮らしておっても おばばは ちゃんと見守っとるよ>
昭和三十六年 一月三十日
<そして 今日は 晴れの婚礼の日>
飯田家
玄関
邦子「食べとかんと 途中で お腹 減るよ。」
布美枝「だんだん。」
邦子「お茶 入れてくるけん。」
布美枝「水で ええよ。」
源兵衛「ああ~ お前 まだ そげなとこで。 早せんと ハイヤーが迎えに来るぞ。」
貴司「姉ちゃん おめでとう。 式には行けんけど しっかりな。」
いずみ「おめでとう。」
邦子「フミちゃん お水。」
源兵衛「立って食べる奴がおるか! 行儀が悪い。 あっ ミヤコは どげした。 ミヤコ~!」
ミヤコ「はい はい。 今…。」
源兵衛「お前 何しちょ~! 早う 美容院で着付けせんと。 花嫁が遅れたら みっともねがな!」
ミヤコ「はい。 あっ いけん 草履。 草履 忘れた。」
源兵衛「あ~。」
(一同のため息)
布美枝「あの~。」
(車のクラクション)
源兵衛「あ ハイヤー来た。 わしと哲也は おっつけ 行くけん。」
ミヤコ「ほんなら 先に行ってますけん。」
貴司「ああ… きれいにしてもらえよ。」
いずみ「お姉ちゃん おがらんでね!」
布美枝「いってきます!」
ミヤコ「早う!」
<婚礼の朝は 慌ただしいものでした>
美容院
美容師「まあ ほんとに きれいな花嫁さん。」
ミヤコ「はあ。」
美容師「こげん 高島田の似合う お嫁さんは めったに おらんですけんね。 はい。 出来ました… あら?」
ミヤコ「あら ちっと 丈が 足らんのではないでしょうか?」
美容師「そげですね 少~し 短いかもしれんですね。 衣装屋さんに 丈の長いのないか 聞いてみて。」
助手「一番 大きいの 借りたんですがね…。」
美容師「ほんなら 羽織り方で 調整してみましょうかね。」
<いよいよ始まる結婚式。 何やら 波乱の気配も 漂っています。 布美枝 落ち着いて 頑張ってな!>