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連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第19話「さよなら故郷(ふるさと)」

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」】19話のネタバレです。

あらすじ

昭和36年1月30日がやってきた。布美枝(松下奈緒)と茂(向井理)の結婚式当日である。茂の母・絹代(竹下景子)は、新郎となる息子の緊張感のなさに憤慨するが、父・修平(風間杜夫)はマイペースでリラックスした風情で、どうにも足並みがそろわない。いよいよ結婚式が始まった。緊張する布美枝のかたわらで茂は…。

19話ネタバレ

美容院

<今日は 布美枝の婚礼の日です>

ミヤコ「やっぱり 足りませんねえ。 こう もう少し こう たっぷり 引きずるぐらいでないとねえ。 ああ。」

美容師「丈が足らんいうのは 初めてですわ。」

布美枝「すんません…。」

助手「他の衣装屋さんにも 電話してみたんですけど これより長いのは 置いてないそうですが…。」

ミヤコ「ああ ふきを少し こう 出したら ええですねえ。 ちょっこし 縫い直して。」

美容師「はあ。 やった事ないですけんねえ。」

布美枝「お母さん もう これで ええ事にしよう。」

ミヤコ「いや~ けど 少しでも…。」

布美枝「でも もう時間が…。」

ミヤコ「え? あら 大変!」

<めでたく婚礼の一日が こうして 幕を開けました>

美容師「ありがとうございました~!」

式場

茂「あ~あ。」

絹代「しげさん! 自分の結婚式で 寝ぼけとったら いけんよ!」

茂「朝まで 漫画のネタ 考えとったもんだ…。」

絹代「ビシッとしなさい! みんなが あんたの事 見とるんだけんね。」

修平「まあ 役者になった気ぃで 花婿を演じとったらええ。」

絹代「また つまらん事 言うて!」

修平「けど お前 こげな チャップリンみたいな衣装 芝居か結婚式でしか 着んだろう。 ハッハハハハ!」

絹代「今日は 一日中 ちゃんと つけとりなさいよ!」

茂「分かっちょ~。 しかし 邪魔だなあ。 あ~。」

輝子「あれが新郎? いやだがああ 大あくびなんかして。」

絹代「よろしくお願いします。」

係の人「どうぞ こちらへ。」

絹代「はい。 あっ! しげさん 靴下?!」

茂「ああ いけん。 寝ぼけとって 違うの履いてきた。 ハハハハハ ハハッ!」

絹代「ほんに もう! 靴下 置いてないんですと! 『足袋なら ある』言うけん しかたないから 借りてきたけど しげ…。 あれ 茂は?」

光男「足袋が どげした?」

絹代「茂 穴の開いた靴下 履いてきたんだわ。」

光男「靴下に穴?! ハハハ 兄貴らしいわ!」

絹代「笑い事でねえ!」

修平「しかし モーニングに足袋では 恰好がつかんな。」

絹代「当たり前です。 花婿には履かせられません。 一生の恥になりますけん。 だけん あなたのを茂に はっ!」

修平「お前 わしに 『足袋を履け』言うんか え?! 花婿の父親が モーニングに足袋では 笑いもんだが!」

絹代「花婿が 笑いもんになってもええ いうんですか!」

光男「まあまあ めでたい日だけん 2人とも もめんでえ!」

2人「あっ…。」

光男「ん?」

<婚礼の会場は 米子の古い お屋敷で 結婚式場としても 使われていました>

茂「ここが神殿か なかなか 立派なもんですな。」

神主「あんた 何ですか? 支度しとるとこですけん 勝手に入られては困ります。」

茂「これは 実に 面白い形をしとりますなあ。 ハハハハ!」

絹代「もうっ 肝心の新郎は ど…! どこへ行ったんだかいねえ?!」

神主「ですけん 祝詞というのは 万葉時代の古語を使っとる訳です。」

茂「なるほど。 神様は 大昔の方々ですけん 古い言葉が通じるいう訳ですな。」

神主「ああ。 あんたは 分かりがいい!」

(2人の笑い声)

絹代「しげさん! こげな所で 何をしちょ~の 新郎のくせに ウロウロして!」

茂「今 行くけん。」

神主「あ あんた 新郎ですか…。」

茂「神事は 謎に満ちとって 実に 面白いですなあ。 大変 勉強になりました。」

絹代「早こと 履き替えなさい!」

茂「あ~ もう もう もう。」

絹代「すいませ~ん! 早こと!」

茂「分かっちょ~。」

絹代「ほんに このだらずが…。 はいはい!」

輝子「あちらの お母さん… 何しとるんだろう?」

(戸の開く音)

布美枝「あ 叔母ちゃん 来てくれてありがとう。」

ミヤコ「お店 忙しいのに 悪いねえ。」

輝子「店より こっちの方が ずっと気がかりだわ。 見合いしたかと思ったら いきなり『結婚 決めた 式は5日後だ』って言うだけん。 びっくりしたわ!」

ミヤコ「あれよあれよという間に 話が進むもんだけん。」

輝子「しかも すぐ東京に行くだなんて お祝いしてあげたくても 何もできんがね。」

布美枝「ええのよ。 式に来てくれるだけで うれしいわ。」

輝子「きれいに できとるよ! おめでとう 布美枝!」

布美枝「…ありがとう。」

係の人「失礼します。」

ミヤコ「はい。」

輝子「あ…。」

係の人「では そろそろ。」

ミヤコ「お願いします。 はい はい 大丈夫。 ね。 お願いします…。 えっ?」

輝子「姉さん ほんに大丈夫なの?」

ミヤコ「え?」

輝子「あの人が婿さんで…。」

回想

茂「あ~。」

絹代「ほんに この だらずが!」

回想終了

輝子「何だい変わった人ねえ。」

ミヤコ「ちょっと 輝子っ! お式の前に 嫌な事 言わんでごしない。」

輝子「だけん…。」

布美枝「落ち着いて…。」

修平「あ…。」

絹代「あ…。」

巫女「こちらでございます。 前から ご順番に どうぞ。」

村井家親族1「大きな嫁さんだなあ!」

村井家親族2「茂んとこ 来てくれるんじゃけん ぜいたく言えん。」

輝子「どういう事かね…。 背広に足袋…? やっぱし ちょっと おかしいわ!」

神主「(祝詞)」

神主「『高砂の尾上の松の相生に 八千代を掛けて相結び相助け…』

茂「古代の言葉は 神さんでないと 分からんなあ。」

神主「(祝詞)」

神官「では 三献の儀を 執り行います。」

巫女「杯は両手で お持ち下さい。」

茂「こっちは 義手ですけん。」

巫女「あ すんません。」

<終生の契りを誓う婚儀は こうして つつがなく進みました>

カメラマン「お嫁さん 扇子を 手に持って。 あ そげです。 それで… こう持って はい。」

源兵衛「なかなか ええでないか 衣装も よう 似合うとるわ。」

ミヤコ「ああ けど やっぱり 足らんですねえ。」

源兵衛「何がだ?」

ミヤコ「はあ… 打ち掛けの丈ですわ。」

源兵衛「ん? あ ちっと 短いな… みっともねがな!」

カメラマン「もう ちっと 寄り添って下さい。 お婿さん 左に半歩。 お嫁さんは 右に半歩。」

(扇子が義手に当たる音)

<それは 扇子が 茂の義手に 当たった音でした>

カメラマン「はい ハの字に なって…。」

<コツンと響いた その音を この先 何度も 何度も 聞くのだろう…>

(カメラのシャッター音)

<布美枝は そんな事を考えていました>

(披露宴のざわめき)

飯田家親族「ほんに 良かったなあ 源兵衛さん!」

源兵衛「はあ やっと 肩の荷が 下りましたわ。」

ミヤコ「あ~がとございます。」

源兵衛「どんどん やって下さい。 酒は いくらでも ありますけん。」

(茂の食べる音)

茂「あんたも 食べたら ええですよ。」

布美枝「あ はい。」

茂「腹 減ったでしょう。」

布美枝「いえ…。 私は 胸がいっぱいで。」

茂「帯 ちょっこし ゆるめたら どげですか?」

布美枝「え?」

茂「婚礼いうのは 何もかも窮屈で いけませんなあ。 ハハハハハ!」

布美枝「あ ハハッ…。」

源兵衛「ミヤコ。」

ミヤコ「はい。」

源兵衛「見てみい。 仲よう話しとるわ。」

ミヤコ「あら 布美枝は 笑うちょりますねえ。」

哲也「内気な あいつにしちゃ 珍しいなあ。」

輝子「よう食べる婿さんだこと… あんた どげん思ってるの?」

ユキエ「私には 分からんけど フミちゃんは 『面白げな人だ』と言ってたよ。」

輝子「面白い?!」

村井家親族1「ああ 変わりもんの 一家ですが よろしく 頼みますわ!」

源兵衛「いやいや あちらのお父さんは 大学まで出とられて 大したもんですな!」

村井家親族2「修平さんは 境港で初めて 東京の 大学へ行きなすったゆうて 『末は博士か大臣か』って 言いましてねえ エヘヘヘヘ!」

源兵衛「ほう…。」

村井家親族1「それが 今では 『子供は東京の大学にやるな。 修平のように なったらいけん!』と こげに 言われちょりますわ。 ハハハハハ!」

村井家親族2「ハッハハハハ!」

2人「(笑い声)」

絹代「あちらのお父さん 挨拶に 回っておられますよ。 あんたも 早こと!」

修平「う~ん 急がんでも これを食ってから。 うん。」

絹代「だらず親だわ…。」

茂「あ…。」

(おならの音)

布美枝「え~っ?!」

茂「ああ これは失敬。」

輝子「今の もしかして…。」

ユキエ「おなら?」

<めでたい宴の席に 響き渡った怪音 布美枝は ただ あっけに とられていました>

布美枝「嘘…。」

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