ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第29話「花と自転車」

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」】29話のネタバレです。

あらすじ

布美枝(松下奈緒)は、美智子(松坂慶子)がひったくり犯の原田(中本賢)を「こみち書房」の手伝いとして雇い、そのアルバイト代で彼の懐をあたためてやろうという優しさの持ち主であることを知る。ある日、茂(向井理)が自転車を買って帰ってきた。布美枝はその突然の贈り物に感激する。

29話ネタバレ

水木家

仕事部屋

茂「これ… どげした?」

布美枝「お留守の間に 空気を入れ替えて ついでに ちょっこし 片づけておきました。」

茂「仕事のものに 勝手に触っては いけん!」

布美枝「ちょっと 掃除しただけです。 あんまり 散らかっとったけん。」

茂「あ~あ! これを捨てて。」

布美枝「すいません。」

茂「本まで 並べ替えたのか?」

布美枝「高さ そろえたら きれいに見えるかと思って あの。」

茂「勝手に触らんでくれ。 本の 並べ方にも 意味があるんです。 動かされたら困る! 物の置き場所にも あんたには ごみに見える 紙くずにも この部屋のもんには みんな 意味があるんだ!」

布美枝「すんません! 何も分からんで。 教えてもらえたら これからは そういうようにしますけん。」

茂「ええです。 どうせ あんたには 分からん。」

布美枝「え?」

茂「余計な事は せんでくれ。」

布美枝「余計な事? 私 ほんに 分からんのです。 気の利かん人間ですけん ちゃんと 話してもらえんと 何が大事なことで 何が余計なこと なのか 何も分からんのです。」

布美枝「村井さんの お仕事の事も知らんし 漫画の事も よく分かりません。 でも 一緒に 暮らしていくんですけん 村井さんの考えて事 少しでも 話してもらわんと 私 どげしたら ええのか…。 一緒に ここで暮らしていくんですけん。」

茂「もう ええ。 とにかく 勝手な事は せんでくれ。」

布美枝「あの…。 何で…。」

居間

中森「寒 寒 寒! 奥さん?」

布美枝「あ…。」

中森「どうかしました?」

布美枝「いえ 何でも。」

<胸の もやもやを打ち明けられる 家族も友人も ここには いませんでした。 間借り人と同居する家には 心安らぐ場所もないように 思えたのです>

布美枝「あの… 買い物 行ってきます。」

仕事部屋

回想

富田「こんな気色の悪いもの 子供に受けないって 取り次ぎから 苦情が殺到したんだよ!」

回想終了

茂「う~ん 俺が ちょっこし イライラしとったかもしれんなあ。 ちっと きつく 言い過ぎた。 う~ん。 あれ? ナズナ。 もう 咲いちょったか。」

居間

茂「ほう! いつの間にか 部屋が変わっちょ~!」

回想

布美枝「一緒に ここで暮らしていくんですけん。」

回想終了

茂「ここで一緒にか…。」

すずらん商店街

布美枝「あ …アキ姉ちゃん?」

暁子☎『フミちゃん どうした?』

布美枝「うん 大塚の方 何か 言っとったかなあと思って。」

暁子☎『心配するような事は 話してないけん。」

布美枝「そう。」

回想

一同「元気でやれよ! 頑張れよ! 元気で!」

回想終了

布美枝「もう 戻れんもんな。」

暁子☎『えっ? 何かあったの?」

布美枝「ううん 何でもないけん。 用事は それだけ。 うん。 じゃ また かけるけん。」

キヨ「待ちなさい! 仕事が休みの日くらい 店 手伝ったらどうなのさ!」

田中政志「貸本屋の店番は おふくろがいりゃ 間に合うだろ!」

キヨ「年寄りを こき使って!」

政志「一発 当ててくるよ。 第5レース 大穴 来そうなんだよ。」

キヨ「バカ言うんじゃないよ! 馬でもうかった ためしはないよ!」

政志「分かっちゃいるけど やめられないってな。 店 頼むよ。」

キヨ「まったく もう! ろくでなしの のら息子が!」

布美枝「息子さん? 親子げんかか…。」

キヨ「イタ! イタタ! イタ~イ!」

布美枝「どげしました?」

キヨ「急に痛みが出てね。」

布美枝「リューマチですか?」

キヨ「ああ…。 あ あんた この間の?」

布美枝「あ…。 今 おうちの人 呼んできますね!」

キヨ「いない。 仕入れに行ってて。」

布美枝「大丈夫ですか?」

キヨ「(うめき声)」

こみち書房

布美枝「大丈夫ですか? もう着きますよ!」

美智子「まあ! おばあちゃん! どうしたの?」

田中家

キヨ「あ~! あ~ 温(あった)かくて いい気持ちだ!」

布美枝「ここに お灸を据えると よく効きますけん。」

美智子「あなた若いのに 詳しいのね。」

布美枝「母がリューマチで お灸 据えるの よく手伝ってましたけん。」

美智子「そうなの。」

キヨ「よ~く見て 覚えておきな。 お灸ってのはね 変なとこに 据えたら 灸当たりがするんだよ。」

美智子「はい はい。」

キヨ「あの のら息子がさ 店番おっぽり出して 馬の顔 見に行くっていうから とっちめてやろうと 思ったら 自分が このざまだ。 ほんとに。」

美智子「ほっておきましょう。 店番頼んだって どうせ 当てになりゃしない。」

キヨ「甘い顔するから あんなふうになっちまうんだよ!」

美智子「あら! 私のせいですか?」

キヨ「女房が頑張ると 亭主に甘えが出て ダメになるんだよ!」

美智子「おばあちゃんたら! うん。 あら やだ! お客さんの前で。」

原田「奥さん 本 出来ましたけど。」

美智子「はい ありがとう!」

原田「店へ並べておきます。」

美智子「いいわよ あと 私がやるから。 ちょっと 待ってね。 はい 5日間 ご苦労さま。」

原田「は?!」

美智子「少ないけど お給料。」

原田「奥さん そりゃダメだ。 盗み 見逃してもらうために 手伝っただけで。 毎日 飯 食わしてもらって 給料だなんて そりゃダメだ。」

美智子「よく働いてくれたじゃない。 随分 助かったのよ。 それにね。 遠慮されるほど 入ってないから。 これで 一度 田舎 帰って 家族の顔 見てさ。 それから また 出直したらいいじゃない!」

原田「でも 俺。」

キヨ「いいから 早く しまっときなよ!」

原田「ありがとうございます! 遠慮なく頂きます!」

美智子「また いつでも いらっしゃいよ。」

キヨ「うちはね いつだって 誰かね 毎日 油売ってんだよ。 だからね あんたも 気楽に 遊びにおいで。」

美智子「しっかりね。」

原田「はい。 ありがとうございます。」

靖代「おばあちゃん ひっくり返ったんだって?」

徳子「あら 元気そうね?」

キヨ「がっかりしたかい?」

和枝「心配して来たのに!」

靖代「あら? あんた この間の のっぽさん。」

キヨ「そんな言い方しないでおくれ この人はね お灸の名人なんだよ。」

徳子「お灸 名人?」

美智子「そうなのよ。 おばあちゃんの 命の恩人。」

布美枝「いや そんな 大げさな。」

こみち書房

美智子「今日は ありがとう。」

布美枝「いいえ。」

美智子「村井さんって 言ったっけ?」

布美枝「はい。」

美智子「お礼に ご飯でも作るから また 寄ってちょうだい。」

布美枝「はい。」

美智子「私の料理 なかなかなのよ。 うち 元は 食堂だったんだから。」

布美枝「ああ そういえば この間 おばあちゃんが そんな事を。」

美智子「『食堂やってりゃ よかった』って すぐ言うのよ。 まあ いろいろあって 商売替えしたんだけどね。 貸本屋もいいわよ! いろんな人が 本 借りに来るでしょ。 商店街のお得情報から 町の噂まで みんな 耳に入るから。 フフフ! 何かあったら いつでも いらっしゃいね。」

布美枝「ありがとうございます。」

美智子「じゃあ。」

布美枝「あ…。 あの 置き引きの人…。」

美智子「あ! あの人の事も ありがとね。 ん? 何か?」

布美枝「うまくいくと ええですね。」

美智子「うん。 きっと 大丈夫よ。」

布美枝「それじゃ。」

美智子「じゃあ。」

<布美枝は 東京に来て初めて ほっとできる人と 出会った気がしました>

水木家

仕事部屋

布美枝「ただいま 帰りました! あれ? おられん。 お出かけかなあ? 張り込んで 買い物してきたのに。 どこに行かれたんだろう?」

(置き時計の時報)

布美枝「いらん事したから 怒って 出ていかれたのかなあ。」

茂「お~い! ちょっこし 出てきてくれんかね!」

玄関前

布美枝「お帰りなさい。 あれ?」

茂「あんたの自転車です。 中古ですけど ものはええですよ。 俺のは ボロすぎて 乗せられん。 買い物も これで行ったら 楽でしょう。 そうだ 仕事も一段落した事だし サイクリングにでも 行きますか? ね! どげしました? 自転車 乗れますよね? えっ?」

布美枝「これ 買いに?」

茂「ええ。」

布美枝「私 びっくりして…。 だって 自転車 買ってきてくれるなんて。」

茂「いや あんた なにも 自転車ぐらいで… そんな…。」

<思いがけない 茂からの 初めてのプレゼントでした>

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