ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第36話「アシスタント一年生」

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」】36話のネタバレです。

あらすじ

布美枝(松下奈緒)と茂(向井理)は、「墓場鬼太郎」の連載再開に胸を躍らせた。必死に原稿用紙に向かう茂の姿を見て、布美枝は何か自分に手伝えることはないかと思う。何も手助けできずにいる布美枝だったが、茂から原稿の一部にペンを入れてほしいと頼まれ、布美枝は茂と肩を並べ「鬼太郎」をともに仕上げていく。

36話ネタバレ

水木家

仕事部屋

<一度は打ち切りになった 『墓場鬼太郎』の再会が決まり 茂は 部屋に閉じこもって 仕事に打ち込んでいました>

茂「あ~ いけん!」

居間

中森「暑い 暑い! 真夏の2階は 蒸し風呂ですなあ。 失礼しま~す。 うわっ!」

布美枝「あ お水ですか? どうしたんですか? 閉めきって。 …うわっ!」

布美枝「『怪奇物の雰囲気が欲しい』って うちの人 閉めきったまま 仕事をしてますけん。 私も…。」

中森「あ しっかり!」

布美枝「暑~!」

中森「奥さんまで 閉じこもる事 ないでしょう。 アイロンまで… うわ~ 暑苦しい!」

布美枝「何したら ええのか …分からんです。」

中森「え?」

布美枝「頑張っとるのを見ていながら 私 何も できんのです。 『今度は 絶対 当てる』言って 描いては 描き直し 描いては 描き直し…。」

(風鈴の音)

布美枝「せめて 力の付くもん 食べてもらわんと!」

<少ない食費の中で 少しでも 栄養のあるものを 食べさせようと 日々 料理に奮闘する 布美枝でした>

布美枝「これで よし! ご飯 できましたよ 夕飯… 支度できましたよ。 あれ… 寝とるのかなあ?」

戌井「奥さん!」

布美枝「あ… 戌井さん。」

戌井「聞きましたよ! 『鬼太郎』 再開するそうですね。 おめでとうございます! ひと言 お祝いが言いたくて 来てしまったのですが… あれ? 奥さん! どうかしたんですか?」

布美枝「戌井さん。」

戌井「はい。」

布美枝「私… 声も かけられませんでした。」

戌井「え?」

布美枝「あんなに 仕事に打ち込んどる人の背中 …初めて見ました。 あの人… 片腕ですけん 左肩で紙押さえて 描いとるんですよ。 背中が ぐいっと ねじれとって…。」

回想

(ペンを走らせる音)

回想終了

布美枝「あげに精魂込めて 描いとるもんが 人の心を 打たんはずないですよ。 売れても 売れんでも もう かまわんような気します。 あの人の努力は… 本物ですけん。」

戌井「『鬼太郎』は… きっと 水木しげるの代表作になります。」

布美枝「はい。」

居間

布美枝「痛いはずですよ。 首も 背中も ぱんぱん。 私 湿布 買ってきます。」

茂「あ~ ちょっ… 待て 待て! 湿布? そげな高いもん いらん。」

布美枝「ちょっこし 休む訳には いかんのですか?」

茂「締め切りは 明日だぞ。 今夜は 徹夜だ。 ああ 今んとこ もっと強く押せ。」

布美枝「はい。」

茂「うん。」

仕事部屋

布美枝「何か 手伝える事 ありませんか?」

茂「え?」

布美枝「私に できる事 ないでしょうか?」

茂「何 言うとる?」

布美枝「紙を そろえるとか  …ペンに インクを付けるとか。」

茂「だら! いらん事 せんでええ。 素人が 何 言っとる!」

数時間後

茂「今 何時かな?」

居間

茂「あれ? まだ 起きとったのか?」

布美枝「あ はい。」

茂「もう 夜中じゃないか。 はよ 寝ろ 寝ろ!」

布美枝「今 生姜の湿布 作ってますけん。 昔 おばばに教わったんです。 これ 肩凝りに効きますよ。」

茂「そげな事 せんでええ。 肩凝りは 漫画家の宿命みたいなもんだ。」

布美枝「私も… 何か 役に立ちたいんんです。」

仕事部屋

茂「おほ~っ。」

布美枝「ちょっこし 熱いかもしれんけど。 どげな具合ですか?」

茂「う~ん。 ホカホカして なかなか ええ。」

布美枝「しばらく そのまんまに しちょって下さい。」

茂「そこ 座ってくれんか?」

布美枝「え?」

茂「その 『スミ』と書いてあるとこ …そこに これ 塗ってくれ。」

布美枝「え?」

茂「ぼさっと しとらんで! 朝まで 仕上げんとならんけん。 ほれっ… 早く!」

布美枝「はい。」

茂「これで ムラがないように塗れよ。」

布美枝「はい。」

茂「そげに 力まんと!」

布美枝「私… こげな事するの 初めてで …私で ええんでしょうか?」

茂「あんたなら できる! 手伝ってくれ。 時間ないぞ! ほれ さっさと!」

布美枝「はい!」

茂「なかなか ええじゃないか。」

茂「ここに 点々を打ってくれ。 こんなふうに。 できるな?」

布美枝「はい。」

布美枝「これで どげでしょう?」

茂「この 丸の囲った部分の 真ん中から右側を もっと点々…。」

布美枝「はい。」

<布美枝が 初めて 茂のアシスタントを 務めた夜。 仕事は 夜更けを過ぎても続き …いつしか 夜が明けていました>

(小鳥の鳴き声)

すずらん商店街

二週間後

(店員達の掛け声)

布美枝「椎茸と春雨と…。」

和枝「何? 今日の晩ご飯?」

布美枝「今日 すき焼きなんです!」

和枝「ほんと?」

靖代「随分 豪勢だわね。」

徳子「何か いい事あった~?」

布美枝「今日 本が出来上がるはずなんです。」

3人「ふう~ん。」

布美枝「ほんなら。」

和枝「毎度 ありがとね~。」

靖代「張り切ってんねえ。」

徳子「…本って 何だろう?」

和枝「さあ…。」

水木家

居間

布美枝「あら もう 帰っとったんですか?」

茂「うん。 ええ話と 悪い話があるが… どっちから聞く?」

布美枝「じゃ… ええ話から。」

茂「本が出来たぞ! …ほれ。」

布美枝「わ~っ ほんとに出来たんだ!」

茂「表紙ばかり見とらんで 中 開いてみたら どげだ?」

布美枝「はい。 これ…。」

茂「これは あんたと一緒に 作った本だけん。 最初の1冊は あんたに プレゼントだ。」

茂「あ 待て! 泣くのは 悪い方の話を聞いてからにしろ。」

布美枝「何ですか?」

茂「実はな… 原稿料は もらえんだった。」

布美枝「そんな…。」

茂「困ったな~! 本は出来ても 金が入らんのでは どうにもならん!」

布美枝「そげですね。 …けど なんとかなりますよ! もう 今日は お金の心配は やめて 嬉しい事だけ 考えましょう。 せっかく 本も 出来たんですけん。」

茂「実はな もう一つ ええ話がある。 『鬼太郎』の長編を頼まれた。 『続けて 【鬼太郎】を描いてくれ』と 富田書房のおやじに頼まれたんだ。 あの ドケチ社長も ようやく分かったらしい。 これが 傑作だという事が。 原稿料は それと併せてという事に なるんじゃないかなあ。 おい 聞いとるのか?」

布美枝「やった… やった! やった やった やった やった! よかった ほんとに よかった! やった やった やった…。」

茂「何だ! その踊りは?」

布美枝「ああ~ 嬉しい! あなた ほんとに すごいです。 よかった! やった!」

茂「あ~ もう 分かった 分かった。」

<漫画に懸けた茂の努力が やっと 少し報われた気がして 嬉しさを 抑えきれない 布美枝でした。 よかったなあ 布美枝>

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