ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第40話「消えた紙芝居」

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」】40話のネタバレです。

あらすじ

布美枝(松下奈緒)と茂(向井理)は、音松(上條恒彦)を町に案内しては、なけなしの金でコーヒーやケーキなどをごちそうしていた。音松は何かを言いたそうにしているのだが、なかなか切り出そうとしない。そんなとき、浦木(杉浦太陽)が「音松は借金まみれで、知人から金を借りようとして東京に姿を現した」という情報を持ってくる。

40話ネタバレ

水木家

居間

音松「『紙芝居は時代遅れだ 廃れてしまった』 と言う人も おりますが 私は まだまだ諦めてませんよ。 紙芝居の火を 消す訳には いきません!」

茂「ええ人なんだよ。紙芝居への 情熱は 誰にも負けんし 人の面倒も よう見てくれる。  昔の事 考えたら ちょっこしでも 力にならんと いけんな。」

玄関前

茂「ちょっこし 金 出してくれ。」

布美枝「え?」

茂「出かけてくるけん。」

音松「せっかくですから ちょっと この辺り ぶらぶらしてきます。」

布美枝「行ってらっしゃい。」

茂「金を使わせる訳には いかんだろう。」

布美枝「幾らですか?」

茂「う~ん 喫茶店のコーヒー代くらい。」

布美枝「これくらい?」

茂「…もう一声。」

純喫茶・再会

マスター「コーヒー お待たせしました。」

音松「あ~ うまい このコーヒーは 香りもいいですねえ。」

茂「そげですな。」

音松「水木さん ここの常連?」

茂「ええ まあ…。」

音松「ああ。」

茂「そういえば もう随分 来とらんな。」

音松「やっぱ 漫画は 景気が いいんだなあ。」

2人「え?」

茂「いえいえ。」

音松「あ いや…。 あの~ 水木さん その…。 実は… 相談が ありましてね。」

茂「何でしょう?」

音松「あの… その そちら 景気が いいようなら…。」

茂「景気が何か?」

音松「あの 景気が…。」

マスター「お待たせしました。」

音松「ケーキが おいしそうですね。」

茂「…あ 頼みましょうか?」

音松「え… いやいや!」

茂「ええ すいません。」

茂「あ~ 2個は無理だ。」

音松「あれ あの 水木さん食べないの? あんた 甘い物 好きだったでしょう。」

茂「いや~… ちょっと虫歯が。」

音松「ああ。」

茂「あ! 親方 どうぞ。」

音松「あ そう? それじゃ。 いや~ ケーキなんて 何年ぶりだろう。」

茂「え?」

音松「いや。 あ~ いやいや。」

茂「あれ そういえば 何の話してましたっけ?」

音松「ん? いやいや… あの… その… 金を。」

茂「はい。」

音松「カネ…。 カネーライス?」

茂「何ですか それ?」

音松「ん? あ~あ~。 いや カレーライスも いいねえ。」

茂「ふう… 無理。」

水木家

玄関前

茂「帰ったぞ。」

布美枝「お帰りなさい。」

音松「どうも。」

茂「はい どうぞ。」

音松「はい。」

茂「ちょ ちょっと…。 今夜は カレーにしてくれ。」

布美枝「カレー?」

茂「もう1泊 泊める事になったけん カレーライス ごちそうしよう。 な!」

布美枝「はい…。 カレーか。 お肉 買わんと。 はあ…。」

(小鳥の鳴き声)

布美枝「せめて これが百円札に 変わらんかなあ。」

仕事部屋

(ペンを走らせる音)

居間

布美枝「すんません。 うちの人 仕事せんといけんもんで。 お相手できず ご退屈でしょう。」

音松「いやいや 忙しい時に お邪魔を してしまって。 久しぶりで懐かしいもんですから。 それに まだ話したい事もあるし。」

布美枝「うちは構いませんけん ゆっくりしてって下さい。」

音松「はい。」

布美枝「そうだ! 私が ご案内しましょうか?」

音松「えっ?」

布美枝「この近くに ええ所が あるんですよ!」

深大寺

音松「いいとこですなあ。」

布美枝「うちから 自転車で来るのに ちょうど ええんです。」

音松「ああ。」

布美枝「静かで 落ち着くし 拝んだら ご利益あるような気がするし。」

音松「ハハハハ!」

布美枝「ええ事尽くしな上に お金も かかりません。」

音松「え?」

(2人の笑い声)

布美枝「あ そうだ。 うちの人の お気に入りの場所に ご案内しますね。」

音松「ほう…。」

音松「墓地ですねえ。」

布美枝「はい。 うちの人 墓巡りが 趣味なんです。」

音松「うん。」

布美枝「『じ~っと見とると 墓の主と 心が通じあう』って 言うんですよ。」

音松「なるほど 『墓場鬼太郎』の 作者らしいですな。」

(2人の笑い声)

布美枝「あれ?」

(小鳥の鳴き声)

美智子「あら。 驚いたあ。 こんな所で… お参り?」

布美枝「私は 観光案内というか…。」

美智子「え?」

布美枝「どなたかの…?」

美智子「早く戻らないと おばあちゃんが これだ。」

布美枝「そうですね。」

美智子「それじゃ。」

音松「どうも。」

美智子「ん? あっ! 昨日 うちの店に来てた方?」

回想

美智子「お客さん うち 初めてですか?」

回想終了

美位子「確か 『墓場鬼太郎』全巻 立ち読みしていった…。」

音松「奥さん あちらに いいお墓 ありましたよ。」

布美枝「ああ そうですか? それじゃ…。」

<こみち書房の美智子にも 何か 事情が ありそうです>

音松「私 水木さんは 漫画でも きっと 成功すると思ってました。 受けないものでも 必ず どこかに 光るものがありましたからねえ。」

布美枝「そうですか…。 ゆうべ うちの人が 言っとりました。 『音松さんに 叱られたり 褒められたりしながら お尻叩かれて 何千枚 何万枚と 紙芝居を描いたけん 今 漫画を描いて やっていけるんだ』って。」

音松「そうですか。 水木さんが そんな事を。」

布美枝「けど 残念です。 もう 残ってないんですよね うちの人が描いた紙芝居…。」

音松「はあ…。 紙芝居は 手書きの一点物。 現品限りです。 結局は 何もかも 消えていく運命です。 アハハハ…。 ここは 本当に いい所だ。 こういう所で また 紙芝居 やりたいもんだなあ。 私らが 拍子木を打ちますとね なけなしの小遣い握りしめた 子供達が わ~っと 走り寄ってきたもんです。」

音松「子供の目は 怖いですよ~。 紙芝居屋が 下手だと バカにして近寄ってきません。 こちらは 毎日が 真剣勝負だ。 ハッハ…。 面白かったなあ。 金は さっぱり もうからなかったけど 面白い商売でした…。 ここは いい。 本当に いい所だ。」

布美枝「はい…。」

<布美枝と音松親方が 深大寺の 夕焼けを眺めていた その頃…>

水木家

玄関

茂「『音松親方に気をつけろ』とは どういう意味だ?!」

浦木「待て ゲゲ。 俺は 親友のよしみで 忠告しに来てやったんだぞ。」

茂「音松さんの事 何も知らんくせに。」

浦木「知っとるよ。 神戸の水木壮で 時折 顔を合わせとった。」

茂「顔見知りってだけじゃないか。」

浦木「俺の情報網に 引っかかってきた。 借金の山で 身動きが取れなくった音松が 東京の知り合いを回って 借金を申し込んで歩いとる。 落ち目の人間に 金を貸す奴なんか おらんから 近いうち お前んとこまで やって来るかもしれんぞ。」

茂「俺だってな 人に貸す金なんか ない。」

浦木「けど お前 意外と お人よしなとこが あるけんな。 なけなしの金を むしり取られては 気の毒だから 教えに来たんだ。」

茂「もう ええ! 帰れ 帰れ!」

浦木「待て 待て! あ~ ゲゲ 話が もう一つある!」

茂「まだ言うか!」

浦木「音松の話じゃない 富田だ 富田。」

茂「え?」

浦木「お前 『鬼太郎』の原稿料 受け取ったか?」

茂「…いや。」

浦木「やっぱりな。 うかうかしてると このまま 踏み倒されるぞ!」

茂「何?!」

浦木「あの おやじ 金を払う気は なさそうだ。」

茂「どういう事だ?!」

浦木「あ~ 待て! 苦しい! 離せ! ばか力だなあ もう。 俺の情報網によるとだ。 お前に払う原稿料まで 他の事に つぎ込んどる。 はやりの 新書版漫画に 手を出したんだ。」

茂「それで?」

浦木「大失敗の大赤字 返品の山だそうだ。 『鬼太郎』の売り上げを そっくり 穴埋めに使っても まだ足りん。」

茂「そげな事は聞いとらんぞ。 俺には 『『少年戦記の会』のせいで 金詰りになった』と言っとった。」

浦木「あの狸おやじが そう簡単に しっぽを出すもんか お前 うまくやらんと このまま金を取り損なうぞ。 そこでだ。 俺が作戦参謀に なってやろうじゃないの。 取り分は 3割。 成功報酬でええぞ。 どうだ? おい ゲゲ? ん?」

茂「そこ どけ!」

浦木「お~?!」

茂「こげしちゃおられん!」

浦木「お~い。 熱くなっとったら 取るもんも取れんぞ~ 待て~!」

茂「富田~!」

深大寺

(子供達の声)

<村井家に とんでもない事態が 訪れようとしておりました>

音松「私の大好物です。 ハハハ!」

布美枝「よかったです。」

音松「楽しみだな。」

布美枝「早く帰りましょう!」

水木家

布美枝「あら 浦木さん?」

浦木「ああ 奥さん。 こうなったら 奥さんを味方につけて 成功報酬を狙う手だな…。」

布美枝「うちの人 出かけとりますか?」

浦木「それがですね 奥さん 大変な事が起こりました。」

布美枝「大変な事?」

浦木「はい。 実は 富田書房がですね…。」

音松「おや? あんた 浦木さんじゃない? 神戸の水木さんのアパートで ウロウロしてた… 浦木さんでしょ。」

浦木「杉浦音松 まずい! もう来とったか。」

音松「これは いい所で出会いました。」

浦木「え?」

音松「昔 あんたに金を融通した事 ありましたね。 『紙芝居の助け合い活動に使う』とか言われて。」

浦木「ん…?」

音松「あの時の金 返してもらえませんか。」

浦木「そんな事 ありましたっけ?」

音松「とぼけないで下さい。 あなた 借用書だって ちゃんと 書いたでしょう。 私は ちゃんと持ってますよ。」

布美枝「大変な事って 何かあったんですか?」

浦木「(小声で)こっちから取っても こっちに持っていかれんじゃ 意味ねえな。」

2人「浦木さん。」

浦木「ゲゲの奴 どうしたかな… 出直してきます。 サイナラ!」

布美枝「あっ!」

音松「ちょっと! また金が逃げた…。 ああ いえ!」

<音松が抱える事情を 布美枝は まだ 知る由も ありませんでした>

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