ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第41話「消えた紙芝居」

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」】41話のネタバレです。

あらすじ

布美枝(松下奈緒)と茂(向井理)は、音松(上條恒彦)が金に困って自分たちから借金をするためにやってきたことを知り、驚いていた。音松のために、いくらかでも用立ててやりたいが、茂は富田(うじきつよし)のやり口に腹を立て、執筆料ももらわずに縁を切ってしまい、収入源がなくなってしまっていた。

41話ネタバレ

富田書房

茂「どういう事か 説明してもらいましょう。 『少年戦記』のせいで 資金繰りに 詰まったと 言っとったが あれは 嘘だったんですな。 他の 事で失敗したんじゃないですか!」

富田「新規事業だよ。 それに まだ 失敗したと決まった訳じゃない。」

茂「こっちに席んがあるような事 言って あんた やり方が汚いよ! 原稿料 すぐに払って下さい!」

富田「すまん。 申し訳ない。 心苦しくて とっても 打ち明けられなかったんだよ。 もう少し 待ってもらえない? これまでの つきあいに免じてさ。 水木さん お願い このとおり!」

(ドアの開く音)

富田「ああ。」

鈴木「忘れ物 取りに来ただけです。」

茂「あれ? あんた?」

鈴木「私 クビになりました。」

茂「え?」

鈴木「いいんですよ! どうせ 給料 出ないんだから。 まだ頂けてない2か月分 なんとか してもらいますからね。 調達したお金も 新規事業に つぎ込んじゃうし。 そのお金で こっちの給料 なんとかして下さいよ! じゃ お世話になり… って なってないか。 ハハ。」

(ドアの閉まる音)

茂「富田さん あんた こっちの原稿料も 踏み倒す気か?」

富田「いつも言ってるじゃない。 漫画家と出版社は 共存共栄。 こういう時こそ お互い 持ちつ持たれつ。 水木さんだって うちがつぶれたら 困っちゃうんじゃないの? この先 漫画 出せなくなるよ。 1冊 2冊の原稿料の問題じゃ 済まないよ。 ね! ま だから そういう事だから 今度ばかりは ちょっと 目をつぶってもらって。」

茂「この だらくそが! 何が 持ちつ持たれつだ 何が 1冊 2冊だ! 気様のとこでは 二度と漫画は 描かん! 国交絶好だ!」

水木家

居間

布美枝「遅いなあ。 どこ行ったんだろう? 大事にしとられるんですね。」

音松「古女房みたいなもんです。 もう 30年近くも 連れ添ってますから。」

布美枝「そんなに古いようには 見えませんけど。」

音松「いやいや もうガタガタですよ。 ほら こんなになっちゃって。」

布美枝「ほんとだ。」

音松「これと一緒に 随分 あちこち回りました。」

布美枝「ほんなら この道具は 音松さんの事 何でも知ってるんですね。」

音松「そうですね。 ハハハ!」

(お腹の鳴る音)

音松「失礼。」

布美枝「先に食べてましょうか?」

音松「いや もうちょっと 待ちましょう。」

布美枝「あ そう…。」

音松「水木さんに 話したい事があるし。」

布美枝「そうですか?」

音松「はい。 すいませんね 奥さん。 すっかり 長居して 世話になってしまって。」

布美枝「いいえ 私も うれしいんです。」

音松「え?」

布美枝「音松さんがいらっしゃるまで 私 うちの人が 紙芝居 描いとる事 知らんだったんです。」

音松「ああ 結婚して何年?」

布美枝「まだ 1年になりません。」

音松「ああ それじゃあねえ。」

布美枝「別々に 何十年も生きてきて 当たり前ですけん うちの人の事 私まだ 何も知らなくて。」

音松「ああ。」

布美枝「音松さんや さっきの ちょっと 困った人だけど 浦木さん。 昔のお友達に会うと いろいろ 教えてもらえて 楽しいんです。」

音松「そう言ってもらえると うれしいんだけど。」

すずらん商店街

(犬のほえる声)

茂「あの おやじ! しまった! 国交断絶したら いよいよ 金が入らんじゃないか。 いや こっちから 頭は下げられん!」

(犬のほえる声)

水木家

玄関前

(布美枝と音松の談笑)

回想

浦木「借金の山で 身動き取れなくなった音松が 東京の知り合いを回って 借金を申し来んで歩いとる。」

回想終了

居間

茂「ただいま!」

2人「お帰りなさい!」

布美枝「遅かったですね。」

茂「うん。 おう! カレーのにおい。」

布美枝「すぐ 温めますね。 今 『河童の三平』の話 聞いとったんですよ。」

茂「『河童の三平』か…。」

音松「そうそう。」

茂「あれも 長編で 80巻くらいは 描いたかなあ。」

音松「人間の子供と河童の子供が 仲よくなる ユーモラスで いい話でした。」

茂「あれは 自分の子供の頃の事を 織り交ぜて描いとったですからな。」

布美枝「そういえば 裏の川に 河童が 住んでるって 言っとりましたね」

茂「ああ 昔から 河童に縁があるんだ。」

布美枝「河童の紙芝居か… どんなだったのかなあ?」

茂「あ ちょっと 待っとれよ。 ほれ!」

布美枝「うわ! かわいい!」

音松「いや~ 懐かしいなあ! これやると 子供達 喜んで キャッキャッと 笑うんですよねえ。 もう一度 こんなのやりたいなあ。 水木さん あの… 実は ちょっと お願いがありまして。」

茂「はい。」

音松「その…少々…。」

茂「はい。」

音松「少々…。 しょうゆをかけると おいしんですよね? カレーは。 ハハハ!」

布美枝「あ! しょうゆですね はい すんません 気づかんで。」

2階

音松「(ため息) 明日には なんとか頼まんと どうにもならんなあ。」

仕事部屋

布美枝「借金の申し込み?!」

茂「し~っ! 聞こえる。」

布美枝「そんな。 懐かしくて 会いに来てごされたんじゃ なかったんですか?」

茂「妙だとは 思っとったんだ。 大して売れてもおらんのに 俺の 評判が耳に入るはずないけん。 どっかで たまたま 『鬼太郎』を見かけて 売れとると 勘違いしたのかもしれん。」

布美枝「でも 再起を図るって 言っとられたですよね?」

茂「金がなくては 人は集められんよ。」

布美枝「けど お金の事なんて ひと事も。」

茂「何か言いたそうには しとったんだ。 切り出しにくかったんだろうな。 少し都合つけてくれ。」

布美枝「えっ?」

茂「幾らかでも 包んで渡したい。」

布美枝「あ 今すぐは ちょっと あちこちの払いもありますし。 あ! 富田書房からの原稿料が 入ってからでは いけませんか? じき入りますよね。 1冊分でも 入れば 一息つけますけん。」

茂「金は 入らん。」

布美枝「え?」

茂「国交が断絶して 金は 凍結状態だ。」

布美枝「こげな時に 何 言っちょるんですか? それ どこの国の話ですか?」

茂「富田と うちだよ。」

布美枝「え? えっ?!」

茂「富田書房とは 絶縁してきた。」

布美枝「お金 もらわずに?」

茂「向こうのやり口が 腹に据えかねた。」

布美枝「けど…。」

茂「今更しかたない。 あの金は すっぱり諦めるぞ。 心配するな。 明日から 他の出版社に売り込みに回るけん。」

布美枝「そげな事なら 都合つけるも何も ないじゃないですか! 幾らか包むだなんて うちが 借りたいぐらいですよ。 国家予算は 赤字です!」

茂「分かっとる!」

布美枝「だったら…。」

茂「知らん振りは できん。 幾らか都合せい。 ええな。」

布美枝「そげなら これ。 狐に頼んで 小判に変えてもらって下さい!」

茂「むちゃ言うな!」

布美枝「そっちこそ むちゃばっかり。」

<嫁入りの時に持ってきたお金も 残りわずか。 家の月賦の支払い 生活費 お金は どんどん 出ていくばかりだったのです>

玄関

茂「売り込みに 行ってくる。 うまくしたら その場で 前借りできるかもしれん。」

布美枝「はい。」

茂「音松さんは?」

布美枝「上で 何かしとられます。」

茂「前借りに成功したら 幾らか包もう。 もしダメなら…。」

中森「お待たせしました!」

茂「これしかない。 行ってくる。」

中森「新作です。 行って参ります。」

(戸の閉まる音)

布美枝「あはっ…。」

居間

音松「あの 水木さんは?」

布美枝「さっき 出かけました。」

音松「そうですか。 奥さん あの… 近く 質屋はありませんか?」

布美枝「えっ?」

太興社

茂「ここから 攻めましょう!」

中森「はい。」

茂「ハハハ! あ~ あっさり 断られましたな。」

中森「1分かかりませんでした。」

茂「次 行きましょう。」

中森「はい。」

むささび書房

むささび書房の男「うち 貸本から手を引こうと思ってて。(せきこみ)」

(赤ちゃんの泣き声)

つぶれた出版社

中森「先月は まだ あったんですがね。 どこも弱小ですから つぶれる時は 早いです。 昨日あった所が もうない。」

回想

茂「昨日 10人いた子供が 今日は 8人になり 明日 また 2人減る。」

音松「『誰だい! てめえ 一体(いってえ) 誰なんだい ハハハ』。」

<紙芝居がダメになっていった時と それは よく似た光景でした>

回想終了

中森「どうしました?」

茂「いや 次 行きましょう。」

中森「はい。」

水木家

玄関前

布美枝「どげしよう。 どこ 行ったんだろう? あ! よかった 帰ってきた! 音松さんが 出かけたっきり まだ 戻ってこないんです。」

茂「どこ 行ったんだ?」

布美枝「質屋さんだと思います。」

茂「質屋?」

布美枝「紙芝居の道具 持って。」

質屋

音松「すまないな。」

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