ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第43話「父の上京」

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」】43話のネタバレです。

あらすじ

布美枝(松下奈緒)は、「こみち書房」の常連客である太一(鈴木裕樹)の失恋の現場に居合わせてしまった。太一は、心配する美智子(松坂慶子)の優しい言葉を素直に受け止められない。茂(向井理)は、深沢(村上弘明)の後押しで精力的に漫画を描き、店に姿をあらわさなくなった太一のことを気にかける素振りもなかった。

43話ネタバレ

こみち書房

真弓「手紙もらったんです。」

美智子「ラブレター?」

真弓「困ってるんです。 どう言って 断ったらいいか 分からなくて… よく 店に来ますよね 小林太一さん。」

美智子「え?! ちょっと 真弓ちゃん。 ちょっと ちょっと。」

真弓「おばさん?」

美智子「うん うん。 これ…。」

<それは 不器用な太一が 精一杯の思いで 書きつづった ラブレターだったのです。 布美枝には かける言葉が 見つかりませんでした>

<その頃 漫画の持ち込みに 回っていた茂は…>

三海社

深沢「う~む。 う~む。」

茂「まだ途中までしか 描いちょらんのですが…。」

深沢「これ 倍の長さになるかな? 短くしちゃ もったいない。 ページ数は何枚でも構わないから 思い切って たっぷり描いて下さいよ。」

茂「えっ?」

深沢「ボリューム出して ど~んとした本に しましょうや!」

深沢「この辺りに これまでの あらすじを差し込んで と…。 鬼太郎の誕生するまでの経緯が 分かるようにすると いいな。 話は完結させずに 次回作に引っ張って下さいよ。 連作のシリーズ物でいきましょう。」

茂「ちょ ちょ ちょっと待って下さい。」

深沢「そうか。 挨拶が まだだっけ。」

茂「あ あの…。」

深沢「ちょっと待って。」

茂「いや。」

深沢「え~と 名刺 名刺… あれ? 名刺…。 あった~! 私 三海社の深沢です。」

茂「ああ 水木です…。」

深沢「(せきこみ) 失礼。 泊まり込んで 仕事してるもんだから…。 風邪 ひいたかな。 (せきこみ) 私ね 前から 水木さんと 仕事が したかったんですよ。」

茂「え…。」

深沢「『墓場鬼太郎』 うちで やりたくてね。 けど あなた 富田書房の 専属みたいになってたでしょう? 引っこ抜く訳にも いかないしさ。 こんな業界でも 仁義ってものが あるから。 そっちから来てくれて よかったよ。」

茂「じゃあ これは 出してもらえるんですね?」

深沢「出しましょう。」

茂「連作で?」

深沢「はい! 是非 やらせて下さい。」

茂「はあ…。」

深沢「我が社の目玉商品に育てますよ!」

茂「ああ…。」

深沢「ん? 何か?」

茂「始めるにあたって 一つだけ お願いが あるんですが…。」

深沢「何でしょうか?」

茂「はあ…。 前金で お願いします。」

田中家

美智子「あのね…。」

太一「おかしな事に なって すいません。」

美智子「ううん いいのよ。」

太一「まいったな…。 あの子 何で こんなとこさ 持ってくるんだろう?」

美智子「あのね…。」

太一「俺が ここさ居るって 気づいたかな?」

美智子「ううん 気づいてない。」

太一「あれは… どうしたろ?」

美智子「え?」

太一「手紙…。」

美智子「持って帰ってもらった。 預かった方がいいか 迷ったんだけど…。」

太一「さっさと破って 捨ててくんねえかな。」

美智子「う~ん…。」

太一「最悪だ…!」

美智子「ね 食べよう。 お腹 空っぽだと 元気 出ないから。 ね。 こういう時は おいしい物 食べるのが一番。」

キヨ「そうだ そうだ。」

美智子「うん。 もう こんな事ね よくある事なんだから。 あ 盲腸を切るみたいもんよ。 まだまだ先は長いんだし これから いっぱい いい事あるんだから。 しっかり食べて 嫌な事 忘れよう。」

太一「適当な事 言わないでくれよ。」

美智子「え?」

太一「盲腸 切った事 忘れる奴 いないだろ。」

美智子「は…。」

太一「いい事なんか いつ あるんだよ…。」

美智子「太一君…。」

太一「簡単に言わないでくれよ! すいません。」

美智子「あっ。 あ~… ああ…。」

キヨ「かわいそうな事 したね。」

客「こんにちは~。 お願いしま~す!」

キヨ「はい 今 行くよ。」

美智子「いいわ おばあちゃん。 私 行くから。」

<今は どんな言葉を かけても 太一を より深く 傷つけてしまうだけでした>

水木家

居間

布美枝「うわっ! すごい!」

茂「どげだ? 前金で もらったぞ。」

布美枝「ご苦労さまでした。」

茂「今度の出版社は ええぞ。 見た目は ボロで貧乏そうだが 社長の深沢さんが 『鬼太郎』に ほれ込んでくれとる。」

布美枝「そげですか。」

茂「うん。 富田の どケチおやじとは違って 金離れも ええんだ。」

回想

茂「前金で お願いします。」

深沢「はあ?」

茂「アッハハ あの 実は その富田書房から ちっとも金が入らんもんで…。」

深沢「そりゃ お困りでしょう。 よし…。 あるかな? これで なんとか しのげますかな?」

茂「あ~っ! あっ あ はい!」

回想終了

布美枝「あら?」

茂「それだけ 『鬼太郎』に 期待しとる訳だ。」

布美枝「3万円 ですか?」

茂「ん? ああ そげだ。 え~ コーヒー豆に チョコレート。 それから チキンカレーの缶詰。 これは うまいぞ! こっちの キャンデーとキャラメルは 明日にでも 境港に送ってやってくれ。 イトツの大好物だけん。」

布美枝「…。」

茂「何だ? どげした?」

布美枝「高いものばっかし…。」

茂「ん?」

布美枝「こげな高級品 もったいないです。 お金が入った時ぐらい ちっとは 貯金せんと…。」

茂「だら言うな。 金の入った時ぐらいは ぜいたくせんと いけんのだ。」

布美枝「けど…。」

茂「たまには 気分を豊かにせんと 人間が貧しくなる。 生活が貧乏なのは しかたないが 人間まで 貧乏くさくなっては いけん。 飯まで 仕事するかなあ…。 よいしょ!」

布美枝「(ため息) この1缶で 春雨と もやしが どれだけ買えると 思うとるんだろうか。 まだまだ家計は赤字なのに…。 無駄遣いせんでほしいわ。 な?」

<さて その頃 布美枝の実家 飯田家では…>

飯田家

居間

ミヤコ「まあ 東京 行くんですか?」

源兵衛「ああ。 酒屋組合の視察旅行だ。 今年は 東京の蔵元を 回る事になった。 向こうで3泊するけん。 支度 頼むぞ。」

ミヤコ「3泊…。 そげなら 時間 取れますよねえ。」

源兵衛「ん?」

いずみ「フミ姉ちゃんのとこ 行ったら ええのよ。」

邦子「どげしとられるか 気になりますもんねえ。」

源兵衛「物見遊山では な~ぞ。 組合のお歴々も おられるのに 嫁にやった娘のとこに ノコノコ行けるか。」

邦子「すんません。」

哲也「けど 自由時間が あ~だろ。」

貴司「せっかくの機会だけん 家の様子だけでも 見てきたらええよ。」

源兵衛「しょっちゅう手紙が来とるんだ わざわざ行かんでも 大体の様子は 分かっちょ~わ。」

その夜

源兵衛「布美枝からか?」

ミヤコ「はい。」

源兵衛「この前 届いたやつか。」

ミヤコ「いえ 今日 着いたんです。」

源兵衛「何だ。 早こと 見せんか!」

ミヤコ「ああ いつもと同じです。 『元気で やっとります。 茂さんも 一生懸命お仕事しとります』。」

源兵衛「ああ 何よりだ。」

ミヤコ「本当でしょうかねえ?」

源兵衛「ん?」

ミヤコ「毎回 毎回 ええ事しか 書いとらんのですよ。 昔から 親に 心配かけないようにと 何でも我慢するような 子でしたけん。 困ってる事があっても 手紙には 書けないんじゃないでしょうかねえ?」

水木家

居間

布美枝「う~ん おいしい!」

茂「そげだろう。」

布美枝「うん。 家で作るのと 全然違いますね。 ん? この お肉 ちくわに 代えたら節約になるかな?」

茂「貧しい発想するな! 今日は もっと 豊かな気持ちでいけ。」

布美枝「せっかく美智子さんに 節約料理 習ったのに…。 そういえば… 太一君 大丈夫かな…?」

茂「ん?」

回想

太一「いい事なんか いつ あるんだよ…。」

美智子「太一君。」

太一「簡単に言わないでくれよ!」

回想終了

茂「本人が奥で聞いてとったとは 間の悪い事も あるもんだなあ。」

布美枝「はい。 どんなに きまりが悪かったかと思うと かわいそうで…。」

茂「うん。」

布美枝「美智子さんも お気の毒なんです。 励ますつもりが 太一君を 傷つけてしまったって すっかり落ち込んでしまって…。 はあ… 何か 力になる事 ないんだろうか…?」

茂「ふん ふん。」

布美枝「今度 会った時 何言おう…?」

茂「知らん振り しとれば ええ。」

布美枝「え? いや けど…。」

茂「おい 水。」

布美枝「あ はい…。」

茂「あんたが 気に病んでも どうにもならんよ。」

布美枝「(小声で)案外 冷たいんだな。」

<それから しばらく経った ある日の事…>

玄関前

(ノック)

電報局員「村井さ~ん!」

布美枝「は~い!」

電報局員「あ こんにちは 電報局です。」

布美枝「あ…。」

電報局員「村井布美枝さんに電報です。」

布美枝「あら 私に?」

電報局員「はい。」

布美枝「あ ご苦労さまです。」

電報局員「はい 失礼しま~す。」

居間

布美枝「えっ!」

茂「どげした?」

布美枝「22日って… 明日だ! はあ…。 東京 來るって… どげしよう…。」

<電報は 懐かしい人の訪れを 告げるものでした>

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