ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第44話「父の上京」

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」】44話のネタバレです。

あらすじ

布美枝(松下奈緒)は友人のチヨ子(平岩紙)に、貧乏な暮らしをしていることが打ち明けられず、かえって自分を責めてしまう。美智子(松坂慶子)は、太一(鈴木裕樹)が茂(向井理)のことを尊敬していることから、“茂が店に来てくれれば、太一もまた店に来るのでは”と期待する。一方、源兵衛(大杉漣)は安来から上京し、突然、布美枝の家にやって来る。

44話ネタバレ

水木家

居間

布美枝「えっ 22日って 明日! 東京 來るって… どげしよう。」

<電報は 懐かしい人の 訪れを告げるものでした>

純喫茶・再会

布美枝「電報 送ってくるけん びっくりしたわ! 先に 葉書でも 送ってくれたらええのに。」

チヨ子「ごめん ごめん 急に 決まったもんだけん。」

布美枝「ご主人 仕事で来とられるの?」

チヨ子「会社の研修。 めったにない機会だけん くっついてきたんだわ。 フミちゃんに 会いたくて!」

布美枝「私も 会いたかった! 懐かしいね。」

チヨ子「うん。」

マスター「お待たせしました。」

<上京してきたのは 幼なじみのチヨ子でした>

チヨ子「結婚式の前の日 依頼だね。」

布美枝「うん!」

チヨ子「フミちゃん ちょっこし あか抜けたのと違う?」

布美枝「え? そげかなあ。」

チヨ子「ヘッヘへ あんまし変わらんか? まだまだ 都会には 染まっとらん。」

布美枝「もう!」

チヨ子「フフフ!」

布美枝「みんな 元気にしちょ~?」

チヨ子「まっちゃんとこ 2人目が生まれるんだって。 来月が予定日。」

布美枝「へえ よかったね。 『もう1人 子供 欲しい』って 言っとったもんね。」

チヨ子「『今度は 女の子が ええ』 言っちょ~わ。 あ 節子から 連絡来た?」

布美枝「え 何?」

チヨ子「とうとう 結婚 決まったが!」

布美枝「ほんとに? 誰と?」

チヨ子「大学の先生。 将来は教授らしいよ。」

布美枝「すご~い!」

<まっちゃんも 節子も みんな 女学校の同級生。 ふるさとの仲間達です>

チヨ子「節子 最後まで粘って とうとう 当たりくじ引いたね。」

布美枝「当たりくじ?」

チヨ子「そげだよ! 未来の教授夫人だもの。 私なんか 世間並みの年で 結婚したのは ええけど 結局 平凡な勤め人のおかみさん。」

布美枝「一番ええじゃないの。」

チヨ子「何も。 フミちゃんだって 売れっ子漫画家の奥様で 花の東京暮らしでしょう。」

布美枝「売れっ子って…。」

チヨ子「あ~あ。 急いで結婚して 外れくじ 引いたかなあ。 もっと ええ話が来るまで 待っとれば よかった。」

布美枝「よく言う。 でも ええ旦那さんじゃないの。 東京にも連れてきてくれて。」

チヨ子「まあ 上見たら きりないもんね。 うちの人 この間 課長になったんだよ。」

布美枝「あら すごい。」

チヨ子「同期で 2番目だが。」

布美枝「それは がいなご出世で おめでとうございます。」

チヨ子「あ~がとうございます!」

2人「フフフ!」

チヨ子「漫画の方は どげなの? 1冊描いたら 3万円って 言っとったでしょう?」

布美枝「うん。」

チヨ子「そげに稼いで 夫婦2人なら ようけ お金たまるね。」

布美枝「うん。」

チヨ子「いつも こげに しゃれた店で コーヒー飲んどるの?」

布美枝「あ~ ま たまには。」

<喫茶店に入るのは 東京に来て 今日が初めてでした>

チヨ子「なあ そろそろ 行こうや。」

布美枝「どこに?」

チヨ子「お宅拝見だが。 フミちゃんの新居。」

布美枝「えっ?!」

チヨ子「漫画家さんなんて 田舎には おらんもん。 どげな暮らししとるのか 興味津々だわ。 早こと 行こ行こ。 旦那様にも 会いたいけん。」

布美枝「家は ちょっと。」

チヨ子「ダメ ダメ。 新居も見んで帰ったら まっちゃんにも 節子にも 怒らるわ。」

布美枝「ごめん 今日は ちょっと無理だわ。」

チヨ子「なして?」

布美枝「うちの人が 家で仕事しとるの。 今 ようけ 注文が来てて 大忙しなのよ。 人が来たら集中できんて 嫌がるけん。」

チヨ子「ふ~ん 残念だなあ。」

布美枝「ごめんな。」

すずらん商店街

チヨ子「お金 使わせて悪かったね。 コーヒーおごってもらって お土産まで頂いて。」

布美枝「いえ いえ ほんの気持ちばかりで。」

チヨ子「こら 新米! 無駄遣いせんと しっかりやりくりせな いけんよ。 私ら 主婦なんだけん。」

布美枝「先輩風 吹かせちょ~!」

チヨ子「次は 旦那様が暇な時に 寄せてもらうわ。 暇じゃ困るか? どんどん 描いて 稼いでもらわんとな。」

布美枝「うん そげだわ。 そのケーキ すっごく おいしいから 早めに食べて。」

チヨ子「うん。 久しぶりで うれしいわ。」

布美枝「はあ~ 見え張ってしまった。」

こみち書房

キヨ「あら! やけに おめかしして どうしたのさ?」

布美枝「おばあちゃん…。」

田中家

キヨ「はい どうぞ!」

布美枝「はあ。 久しぶりに会った友達に つまらん 見え張ってしまったんです。 みんな順調で 幸せそうにやっとるの聞いたら 自分だけが 貧乏しとるいうのが 惨めな気がして…。」

キヨ「なんだい それっくらい! 女ってのはね 昔の友達に会ったら 誰だって ちょっとは 見え張るもんだよ。」

布美枝「けど 私 うちの人が 一生懸命 仕事しとるとこ いつも 近くで見てて 立派だなって 思っとるんですよ。」

キヨ「うん。」

布美枝「なのに チヨちゃんに 家も見せられんなんて。 私 外れくじ引いたと 思っとるんだろうか。」

キヨ「え? くじって?」

布美枝「いえ。 そげなつもり ないんだけどなあ。」

キヨ「あのね あんたの旦那さん もうけを飲んじまうとか ばくちで使っちまうとか?」

布美枝「とんでもない! 毎日 仕事ばっかり。」

キヨ「それでも もうからないのかい?」

布美枝「はい。 不思議なくらい お金にならないんです。」

キヨ「は~ う~ん! だったらね 貧乏なのは あんたらのせいじゃない。 社会が悪いんだ。」

布美枝「え?」

キヨ「世の中が悪いんだよ。 まったく 政治家ってのは 何やってんだろうねえ。」

布美枝「はあ。」

美智子「ただいま~!」

キヨ「お帰り ご苦労さん。」

布美枝「お邪魔してます。」

美智子「あら どうしたの? おめかしして。」

布美枝「はあ。」

美智子「あ そうそう これ! 出てたわよ これ。」

布美枝「新しい『鬼太郎』?!」

美智子「はい。」

布美枝「うわ! まるまる1冊 『鬼太郎』か。 すごいなあ。」

キヨ「これが大当たりしたら 見え張った分 差し引いても お釣りがくるくらい もうかるかもしれないよ。」

布美枝「そげですね。」

美智子「何の話? 借りに来てくれると いいけどなあ。」

布美枝「え?」

キヨ「太一君ね あれから まだ一度も来てないんだよ。」

回想

太一「いい事なんか いつ あるんだよ。」

美智子「太一君。」

太一「簡単に言わないでくれよ!」

回想終了

美智子「私が 無神経な事 言ったのが いけなかったのよね。」

布美枝「あげな事があったら 誰でも しばらくは 来にくくなりますけん。」

美智子「けど もう1か月よ。 店に来る同僚の子達に それとなく 様子を聞いてみたんだけどね 休みの日も 寮に こもってるらしいの。 この間は 工場の先輩に 突っかかって けんかしたっていうし。」

布美枝「けんかですか? 太一君が?」

美智子「すさんでるんじゃないかと思うと 心配になっちゃってね。 あ そうだ 新刊が出た事 分かるようにしとかなきゃ。」

布美枝「美智子さん 元気ないですね。」

キヨ「うん。 毎日のように来てた子が ぱったりだろ? 行き場をなくして 悪い道にでも 入らなきゃいいけどって 気にしてんだよ。」

こみち書房

美智子「よいしょ! あ…。」

布美枝「私やりますよ。」

美智子「ありがとう!」

布美枝「こちらこそ。 いつも 宣伝して頂いて。」

美智子「こうやって貼ってとけば 目につくわよね。」

布美枝「はい。」

美智子「太一君 気づいてくれるかな? やっぱり 一度 様子 見に行った方がいいかな?」

布美枝「ええ。」

美智子「でも 余計な事して また 傷つけてもいけないしなあ。 あ そうだ! ねえ 水木先生に お願いできないかしら?」

布美枝「え?」

美智子「太一君 先生の事 尊敬してるでしょう。 お目にかかれたら 元気出ると思うのよ。」

布美枝「どげでしょうか?」

回想

茂「知らん振りしとればええ。」

回想終了

布美枝「うちの人 こげな事には 意外と 冷たい気がしますけど…。」

美智子「そう? ダメかしら?」

布美枝「もう少し 待っとったら きっと ふらっと やって来ますよ。」

美智子「そうだと いいけど。」

水木家

居間

中森「うん。」

源兵衛「おい こら! 荷物を離せ この泥棒!」

中森「く… 苦しい!」

源兵衛「この空き巣が! ジタバタするな! 警察に突き出すぞ!」

中森「け… 警察?! 誤解ですよ。 私 空き巣なんかじゃありません。」

源兵衛「何を言っとる! 留守宅に上がり込んで 荷物を持ち出しとったら 空き巣でな~か! こげな つまらん物まで盗むとは!」

中森「これ 全部 私のですよ。」

源兵衛「嘘をつくな! なら 何で 担ぎ出しとるんだ?」

中森「質屋ですよ。 質屋に行くところだったんです。」

源兵衛「うん?」

中森「あなたこそ 誰なんです?」

雄一「お~い 入るぞ!」

佐知子「お邪魔します。」

雄一「あ! どうしたんだ これ? 古道具屋にでも なんのか?」

佐知子「あらら 大変。」

源兵衛「あんたら誰だ?」

雄一「はあ? 風呂入りに来たんですよ。 おい 支度しろ。」

佐知子「は~い。」

源兵衛「おい こら ちょっと待て! ここは 風呂屋ではね~ぞ!」

雄一「はあ?! あんた 誰ですか?」

源兵衛「そっちこそ 誰だ?」

雄一「兄ですよ。」

源兵衛「兄?!」

雄一「ええ。 茂の兄。」

中森「ほんとですよ。 この人 村井さんのお兄さんです。」

源兵衛「じゃあ あんたは?」

中森「私は 下宿人です。 2階を お借りしてます。」

源兵衛「下宿だと?! こげな狭い家にか?!」

雄一「あれれれれ? この長くて怖い顔 どっかで 見た事あるぞ。 写真だ! あの婚礼の時の家族写真。」

佐知子「あっ! そうね。」

源兵衛「わしは 布美枝の父だ!」

玄関前

暁子「フミちゃん!」

布美枝「あ アキ姉ちゃん どげしたの?」

暁子「あんたに知らせる事があって 急いで来たの。」

暁子「実はね…。」

雄一「おい 行くぞ!」

布美枝「あら? お兄さん…。」

雄一「あ~ どうも どうも! いや~ 大変な人が来とるね。」

布美枝「え?」

雄一「じゃ しかたない。 今日は 銭湯 行こうか?」

佐知子「そうですね。 今日は 大きいお風呂だって。」

健太 波子「は~い!」

雄一「そうじゃ 台風が過ぎた頃に また 風呂 借りに来ますわ。 行こうか。 どうも。」

暁子「ひょっとして まさか もう?」

玄関

布美枝 暁子「お父さん!」

源兵衛「布美枝! 暁子! この家は どげなっとる!」

居間

源兵衛「兄さん一家は 度々 風呂を使いに来るのか?」

布美枝「市営住宅には お風呂がないそうですけん。」

源兵衛「銭湯が あるだろう! 下宿人が おる事も わしは 聞いとらんぞ。」

布美枝「はい。」

源兵衛「あれは 何もんだ?」

布美枝「漫画家さんです。」

源兵衛「漫画家? あの男 質屋に行くと 言うとったが お前やちも そげなとこに通っとんのか?」

布美枝「私は 行っとらんけど。」

源兵衛「村井さんは?」

布美枝「たまに…。」

源兵衛「手紙では 体裁のええ事ばかり 書いてよこしおって。」

暁子「それは フミちゃんが 家に 心配かけたらいけんと 気ぃ遣って。 ねえ!」

源兵衛「暁子 お前も お前だ! 電話では さも ええように 言うとったでな~か!」

暁子「すんません。」

<前ぶれもなくやって来た 父の源兵衛。 また ひと波乱 起こりそうな気配です>

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