ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第45話「父の上京」

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」】45話のネタバレです。

あらすじ

布美枝(松下奈緒)の貧乏ぶりに驚いた源兵衛(大杉漣)は、「茂(向井理)の考えを後日きちんと聞く」と言い残し去っていく。「茂が週末に店に来る」と、美智子(松坂慶子)が太一(鈴木裕樹)にウソをついたことから、戌井(梶原善)は「同じ日に店で茂と読者の交流の集いを催そう」と言い出す。漫画の宣伝にもなり、太一をそこへ呼び出すこともでき、源兵衛に茂の活躍ぶりを印象づけることもできて、“一石三鳥”だというのだ。

45話ネタバレ

水木家

玄関前

<前ぶれもなく やって来た 父の源兵衛>

布美枝 暁子「お父さん!」

源兵衛「布美枝。 暁子。 この家はどげなっとる!」

<調布の家に また ひと波乱 起こりそうな気配です>

居間

源兵衛「厠は どこだ?」

布美枝「あっちの奥です。」

暁子「(ため息)」

布美枝「アキ姉ちゃん これ どげなっとるの?!」

暁子「今日から 酒屋組合の視察旅行なんだと。 『旅行の最後の日 しあさってに 調布に寄る』って お母さんから電話があったんだわ。 私 それ 知らせに来たのよ。」

布美枝「一歩 遅かったわ…。」

暁子「まさか 初日に来るとはね。」

布美枝「それ 分かっとったら 驚かせんように 少しは準備しとったのに…。」

源兵衛「だらずが! 親に来られたら 困るような 暮らしを しとるのか! 村井さん 仕事は どげしちょるんだ?」

布美枝「人一倍 働いてくれとります。」

源兵衛「ほんなら なして 質屋に通ったり下宿人を 置いたりせにゃならんのだ?」

布美枝「それは… 『社会の悪いせいだ』と こみち書房のおばあちゃんが…。」

源兵衛「何?」

布美枝「いえ… 働いたほどには 稼げん商売ですけん。」

源兵衛「今日は もう 宿に戻らにゃいけん。 布美枝。」

布美枝「はい。」

源兵衛「同曜日 帰る前に もう一遍 來るけんな。 お前やちが どげな考えで やっとるのか 本当のところを ちゃんと 聞かせてもらおう。 村井さんにも 家に いてもらえ。 ええな。」

布美枝「はい…。」

源兵衛「見送っても くれんのか?!」

布美枝「あ 今!」

玄関前

源兵衛「それじゃあな…。」

(2人のため息)

源兵衛「ああっ! おい 布美枝! これ 土産だ。 ほれ… ほれ!」

布美枝「うちの蜂蜜… だんだん。」

源兵衛「土曜日に また 來るけんな。」

布美枝「はい。」

居間

布美枝「お父さん うちの人に 何 言うつもりだろうか?」

暁子「まさか 『夫婦別れしろ』って 言う気かしら?」

布美枝「え~っ!」

暁子「そげな話にはならんと思うけど。 村井さんには よう言っといた方が ええよ。 ちゃんとしとるとこ見せんと どげな騒ぎになるか分からんわ。」

布美枝「うん。」

暁子「本当の事 打ち明けずにいたのが かえって いけなかったね。」

布美枝「うん…。 お父さん… 重いのに こんなに持ってきてくれて…。」

玄関前

源兵衛「もう少し まとな暮らしを しとると思うとったが…。(ため息)」

仕事部屋

茂「ええ出来だろう!」

布美枝「そげですね。」

茂「この厚みが ええ。 他の貸本は 1冊 124ぺージだが これは 176ページもある。」

布美枝「はい。」

茂「造本も しっかり しちょ~ぞ。 紙も 富田書房のより 上等だ!」

布美枝「ほんとですね…。」

茂「は~っ。 せっかく 新刊をもらってきたのに ちっとも喜ばんのだな!」

布美枝「喜んどりますよ! こみち書房にも 宣伝のビラ たくさん貼っとりましたし…。」

茂「ほう そげか。」

布美枝「けど… 私 父の事が気になって…。」

茂「うん。 土曜日の再上陸に向けて 万全の備えを せねばならんな!」

布美枝「ちょっこし家を空けた間に 中森さんにも お兄さんにも 鉢合わせするなんて ほんとに間が悪い! チヨちゃんに 見え張った 罰かもしれん…。」

茂「ん?」

布美枝「いえ…。 お父さんも 電報の1本でも 打ってくれれば ええのに 奇襲攻撃なんて 卑怯だわ!」

茂「まあ ええだろう。 初めのうちに みっともないとこ見られたら これ以上 印象悪くは ならんけん。」

布美枝「けど…。」

茂「それよりも 見逃したのが 惜しかったな!」

布美枝「え? 何をですか?」

茂「おやじさんが 中森さんを 締め上げるとこだよ。 漫画を描く ネタになったのになあ。」

布美枝「そげに のんきな事 言って!」

茂「まあ 新刊も出たことだし 少しは ええ話も できるだろう。 いつまでも 体裁繕ったままでは おられんわ。」

布美枝「えっ 私 体裁を繕っとった訳では ないですよ! 心配かけたらいけんと 思っとっただけです。」

茂「ああ 分かった 分かった! とにかく もう ありのままを 見せれば ええんだけん。」

布美枝「だったら 境港のご両親にも 本当のところを話して下さいね!」

茂「え?!」

布美枝「お母さんに手紙書く時 あなた いつも言うじゃないですか。 『余計な事は 書くな! 心配させたらいけん!』って。」

茂「それはだな… 悪い事 書くと 慌てて イカルが飛んでくるからだ。 イカルは 強烈だぞ。 『漫画で貧乏するぐらいなら 田舎に戻って 灯台守になれ』と 言いだしかねん。 灯台守の苦労を考えてみろ。 あれは 大変な仕事だぞ! だけん… うちの方には 黙っとれ。 ええな!」

布美枝「けど 贈り物までせんでも ええじゃないですか!」

茂「ん?!」

布美枝「キャンデーなんて よっぽど もうかっとるみたいに…。」

茂「たかが キャンデーで 何言っちょる。」

布美枝「たかがですか?! あげな高級品 うちでは 買った事ないですよ!」

茂「うるさい! みみっちい事 言うな!」

<つい 勢いで 布美枝は 言わなくてもいい事まで 言ってしまいました>

飯田家

ミヤコ「そげかね。 うん 分かったわ。」

貴司「電話は アキ姉ちゃんからか?」

ミヤコ「うん。 お父さん 今日 布美枝の所に行ったらしいわ。」

貴司「出張 第1日目にか。 ハッハハ! せっかちだなあ おやじも。 ハハ…。」

ミヤコ「様子見に行ったら 行ったで 電話くらい くれても ええのに。(ため息)」

水木家

玄関前

(玄関の戸の開ける音)

布美枝「お出かけですか?」

茂「散歩だ。」

<ゆうべの 小さな いさかいを まだ 引きずっている 2人です>

戌井「水木さん!」

茂「おお 戌井さん。 どうも。」

布美枝「こんにちは。」

戌井「奥さん 今日はね お客さん 連れてきました。」

布美枝「あら 美智子さん?!」

美智子「こんにちは。 あの… ちょっと お願いがあって 伺いました。」

戌井「お出かけですか?」

茂「いや ええです。 どうぞ。」

戌井「大丈夫です。」

布美枝「どうぞ。」

戌井「どうぞ。」

美智子「あっ。」

居間

布美枝「どうぞ。」

美智子「突然 ごめんなさいね。」

布美枝「いいえ。 でも… どうして お二人で?」

戌井「ここ 來る途中ですね 店に寄ったんですよ。 『鬼太郎夜話』のビラが 貼ってあったもんですから。」

美智子「お願いして 連れてきて頂いたの。」

茂「いつも 本を宣伝して頂いてるそうで。」

布美枝「ありがとうございます。」

美智子「困ったわ… お礼なんか言われたら 頼み事 しづらくなっちゃうな。 水木先生。」

茂「はい。」

美智子「あの~ 一度 店に 来て頂けないでしょうか?」

茂「え?」

美智子「会ってほしい人が いるんです。」

布美枝「太一君ですか?」

美智子「うん。」

布美枝「何か あったんですか?」

美智子「実はね… ゆうべ 寮の前まで行ってみたの。」

回想

美智子「太一君!」

太一「あっ…。」

美智子「元気だった? しばらく 顔見せないから 心配してたのよ。」

太一「何か 用ですか?」

美智子「用って… 別に ないけど…。」

太一「だったら…。」

美智子「本 借りにいらっしゃいよ! 新刊 出たのよ! 水木先生の『鬼太郎』…。 太一君の分 よけてあるから いつ来ても 大丈夫。 ね 借りに いらっしゃい。」

太一「いいです。」

美智子「ねえ ねえ 水木先生も来るのよ。」

太一「え?」

美智子「あの… うちに来るの。」

太一「いつ…?」

美智子「土曜日… 土曜日の午後。 太一君も いらっしゃい。」

回想終了

美智子「ごめんなさい。 勝手な事 言って。 あの… 『水木先生に会えたら』って 話してたのが 頭に残ってて つい…。」

布美枝「太一君 何か言ってました?」

美智子「ううん 何にも。 会いたいに決まってるのよ。 それなのに もう すっかり かたくなになってしまって…。」

戌井「そこで 僕からの提案なんですが… 水木さん こみち書房で『漫画家と 読者の集い』を やりませんか?」

茂「え?!」

戌井「出版社の主催で 漫画家と読者の交流会を 開く事があるでしょう。 あれを やるんです!」

茂「何を言っとるんですか。 ああいう催しは 売れっ子漫画家でなけりゃ やれんですよ。」

戌井「ですから 『地元の漫画家を 応援する会』という形なら いけるんじゃないですかね。 町内会の催しのような感じで…。」

茂「町内会?」

戌井「はい。 『鬼太郎夜話』の宣伝にもなります。」

茂「宣伝ねえ…。」

美智子「お願いできませんか? そういう会なら 太一君も 顔 出しやすいと 思うんです。」

戌井「どうです? 一石二鳥だと思いますよ。」

茂「う~ん…。」

美智子「土曜日の午後は どうでしょうか?」

戌井「出版直後で 宣伝のタイミングとしては 最高なんですけどね~。」

布美枝「あっ! あさっては ダメです! 父が来る日です。 うちに おってもらわんと 困りますけん。」

茂「そげだな。 おやじさんの襲来に 備える日だ!」

戌井「おやじさんの襲来…?」

美智子「あ~ そう… それじゃあ 土曜日は 無理ね。」

戌井「いや。 ちょっと待って下さいよ。 あえて その日に ぶつけてくる という手もあるんじゃないですか。」

茂「あえてとは 何ですか?」

戌井「いや… お父さんに 水木さんの活躍ぶりを アピールする いい機会だと思うんですよ。 漫画のよしあしは 素人目には よく分からないでしょう。」

布美枝「ええ。」

戌井「しかし 水木さんが 読者に囲まれてる姿を見れば お父さんにも 水木さんの仕事の 好調ぶりが 伝わるはずです。」

布美枝 茂「なるほど!」

戌井「太一君も 無理なく来られて 新刊の宣伝にもなって しかも お父さんの心証が よくなる。 どうです? こりゃもう 一石二鳥どころか 一石三鳥ですよ!」

茂「う~ん。」

布美枝「父も 喜ぶかもしれませんね。」

茂「うん…。 しかし ちっと待て… 人が集まれば ええが 閑古鳥が鳴いとったら どげなる?」

布美枝「逆効果ですねえ。」

茂「可能性は 大いにある。」

美智子「人は… 必ず集めます!」

<一石三鳥をねらう この計画 果たして うまくいくのでしょうか>

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