ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第51話「私、働きます」

連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」】51話のネタバレです。

あらすじ

茂(向井理)は、これまでつきあいのなかった春田図書出版の仕事を受けた。布美枝(松下奈緒)はこれまでと同じように、茂の仕事を手伝いたいと思うが、茂はなぜかよそよそしい態度で、布美枝を仕事場に入れようとしない。ある日、漫画家になることを本格的に決意したはるこ(南明奈)が、村井家にやってくる。茂は即座にはるこを家に上げると、自分の描く漫画を彼女に手伝わせ始める。布美枝はあっけにとられるばかりだった。

51話ネタバレ

水木家

仕事部屋

茂「う~ん。 (ため息) どうも うまく進まん。」

回想

茂「深沢さん! しっかりして下さい! 深沢さん! 深沢さん!」

回想終了

<深沢が病に倒れて 茂が 仕事をしていた三海社は倒産。 茂の原稿も 次の仕事も 原稿料と 共に 消えてしまいました>

茂「いや… やるしかない。」

<茂は これまで つきあいのなかった 出版社の仕事を受けていました>

居間

布美枝「あっ また開いとる…。 いや まだまだ ここからが勝負だわ。」

茂「お~い ちょっこし来てくれ。」

布美枝「は~い。 そろそろ お呼びがかかる頃だと 思っとった!」

仕事部屋

布美枝「はい。 漫画のお手伝いですか?」

茂「蛍光灯 取り替えてくれ。」

布美枝「え? あ… すんません。 買い置きないですけん。」

茂「だったらええ。 明日 買ってきてくれ。」

布美枝「はい。 あの…。」

茂「ん?」

布美枝「お手伝いする事ないでしょうか?」

茂「いや。」

布美枝「ベタ塗りとか…。」

茂「今は ええ。」

布美枝「肩 凝ってませんか? ちょっこし もみましょうか?」

茂「気が散るけん ええ。」

布美枝「ほんなら 生姜の湿布でも。」

茂「ああもう。 ごちゃごちゃと うるさい。 あっち行っとってくれ。」

居間

布美枝「心配して言ってるのに なしてかな…。」

<茂の態度は このところ なぜか よそよそしく 布美枝に 漫画の手伝いを頼む事も なくなっていました>

玄関前

(小鳥の鳴き声)

居間

布美枝「あ 境港のお父さんから。 『お便り 嬉しく 拝読いたしております。 近頃は 格別のお計らいにて 芝居の記事を お送りいただき…』。 よかった 喜んでくれとる。 境港のお父さんからです。 新聞のお芝居の記事 楽しんで読んどられるそうですよ。」

茂「そげか。 新聞も もう止めんとな。 いる時だけ 外で買えばええけん。」

布美枝「そげですね。 切り詰めていかんと いけんですね。」

<三海社の消滅は 村井家の家計に 大きな打撃を与えていました>

布美枝「お出かけですか?」

茂「ああ。」

布美枝「お留守の間に お部屋を片づけときますね。」

茂「いや 寒いけん ええ。」

布美枝「けど…。」

茂「空気が変わると気が散る。 入らんでくれ。」

布美枝「分かりました。 行ってらっしゃい。 何か おかしいわ。 閉めたまんまじゃ 体に悪いのに。 やっぱり 出かけとる間に 掃除しとかんと…。 いや 勝手に入ったらいけんな。」

純喫茶・再会

亀田「最近 店が暇でさ 景気がよくなるほど 質屋は暇になるってんだから 因果な商売だよね。 ハハハ。 あらららら… 知り合い。 よう! 村井さん。 あんたが 喫茶店なんて すごく珍しいんじゃないの? 最近 来ないけど まだ出してない品物 結構あるよ。 もう流れちゃうよ。」

茂「どちらさん?」

亀田「え? 亀田だよ。 質屋の亀田。」

茂「ああ 質屋のおやじさんか。 外で会うと 分からんもんですな。」

亀田「はあ! おかしな人だね。」

マスター「コーヒー1杯で もう5時間も粘られてんです。」

亀田「5時間?!」

マスター「ええ。 お客さん用に置いてる雑誌 片っ端から見てんですよ。 それも ほら ご婦人向けのやつ。」

亀田「え~っ? 似合わないねぇ。」

マスター「でしょう。 古いのも 見せてくれって頼まれたんで 奥から 引っ張り出してきたんですけどね。」

亀田「それにしても 何 見てんのかね。」

マスター「さあ…。」

茂「この写真は 絵に使えるなあ…。」

亀田 マスター「あっ!」

亀田「あんな人じゃないんだけどね。」

水木家

玄関

はるこ「ごめんください。」

布美枝「は~い。」

はるこ「水木先生 いらっしゃいますか?」

布美枝「今 出かけてますけど。」

はるこ「お留守ですか?! あ~ どうしよう。」

布美枝「あの… どちらさま…。」

はるこ「いつ お戻りでしょうか? 私 家を出てきました。」

布美枝「えっ!」

玄関前

茂「早ことせんと 締め切りは もう過ぎとるんだ。」

玄関

はるこ「私 どうしても 先生に お目にかかりたいんです。」

(戸の開く音)

はるこ「水木先生!」

茂「おお! な… 何だ!」

はるこ「私です。 河合はるこです。」

茂「おお あんたか。」

はるこ「あ~ よかった。 随分 捜したんです。 『先生に お目にかからなくちゃ』って。」

茂「どげしました?」

はるこ「私 家を出てきました。」

茂「えっ また家出?」

はるこ「家出じゃありません。 父を説得したんです。 こっちで 暮らすつもりで 出てきたんです。 それなのに 力になってくれる人が いないなんて…。」

茂「ああ… ちょっと。 弱ったなあ こげな時に…。」

はるこ「先生 一体 何があったんでしょう。 訳を聞かせて下さい。」

茂「あっ! あんた ほんとに家出してきた訳じゃ ないんだな?」

はるこ「はい。」

茂「あの おやじさんが どなりこんでくる事もないな?」

はるこ「はい。」

茂「よし 上がってくれ。」

布美枝「え…。 あっ! あの…!」

居間

茂「ええとこに来てくれたよ。」

はるこ「え?」

茂「あんたに頼みたい事があるんだ。」

布美枝「あの この方は…?」

茂「お茶を いれてくれ。」

布美枝「え…。」

茂「それからな 晩飯 この人の分も頼む。」

布美枝「はい。」

仕事部屋

はるこ「先生 三海社は どうなったんでしょう? 私 どうしても 深沢さんに お目にかかりたいんです。」

茂「あの人は 入院しとる。 三海社は もう消滅した。」

はるこ「え~?」

茂「今後の事は 後で相談に乗るけん ひとまず 手を貸してくれんか。」

はるこ「これ 先生の漫画ですか?」

茂「ああ。」

はるこ「信じられない…。 私 あれから 『鬼太郎夜話』 全部読んだんです。 けど これ 全然違う…。」

茂「描き慣れんせいか どうも進まん。 そこで あんたに 手伝ってほしいんだが。」

はるこ「分かりました。 プロの手伝いが できるなんて すごい経験。 ぜひ やらせて下さい!」

茂「よし! そげなら ここ座って。 ここに こんな背景を入れてくれ。」

はるこ「もう少し 派手にしてもいいですか?」

茂「ああ 頼む。」

布美枝「入ります。 あの…。」

茂「何だ?」

布美枝「お茶を…。」

茂「そこ 置いといてくれ。」

居間

布美枝「あの机 私の場所なのに…。 あの人 誰なんだろう? 忙しそうだけん 話は 後にしよう。 おいしいものでも作って…。」

仕事部屋

布美枝「ご飯の支度 できましたよ。」

茂「よし 飯 食いましょう。 おい あんた。」

はるこ「あ はい。」

茂「がいに集中しよるな。」

はるこ「すいません。 つい 夢中になっちゃって。」

茂「飯ですよ。」

はるこ「はい。」

居間

茂「え… 鍋?」

布美枝「今日は ち~っと寒いですけん 鍋にしました。 さあ どうぞ。 スタミナつくように ニラも たくさん入れました。 馬力 出ますよ。 ご飯 よそいましょうか? それとも 後で 雑煮に しましょうか?」

茂「だら。」

布美枝「え?」

茂「締め切り前の時間がない時に もたもたと鍋など つついておれるか。」

布美枝「でも お客様 お見えですし 力のつくもんをと…。」

はるこ「私は 朝まででも大丈夫ですから どうぞ ゆっくり食事して下さい。」

茂「いや のんびり食っとる暇はない。」

布美枝「ほんなら すぐに食べられるものを 作りましょうか?」

茂「ああ 握り飯でも頼む。」

布美枝「はい。」

茂「ほんなら やるか。」

はるこ「はい。」

(襖の閉まる音)

仕事部屋

はるこ「出来ました。」

茂「うん。 こっちにも 背景頼む。」

はるこ「はい。」

<布美枝は 1人 置いてきぼりに された思いでした>

<茂と はるこが ペンを走らせる音は 夜が明けるまで続きました>

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